子犬の無駄吠えは止められる!子犬が吠える原因と正しいしつけ方

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犬が通行人や来客に吠えたり、雷や雨、風に音に吠えるなどといった所謂『無駄吠え』を無くしたい飼い主の方は少なくないかと思われます。

実際、犬の無駄吠えは近所の方々の騒音となって迷惑がかかってしまうことも。

しかしながら、犬が吠えるのは、私たち人間が言葉を用いて会話するのと同じように犬にとって重要なコミュニケーションツールでもあります。

そのため、ただ無暗に『無駄吠え』を無くしたいとしつけるのでは、矯正できないどころかかえって悪化することも少なくありません。

そこで今回は、なぜ犬が吠えるのか、そして時と場所を考えた正しい吠え方ができるようにするしつけ方、更に用いてはいけない犬のしつけグッズなどといった吠え方をしつける際に注意したいNG行為についてご紹介していきたいと思います。

目次

1.『無駄吠え』に聞こえるようで実は意味がある

2.犬が吠えている理由と原因
2.1犬の吠え方で意思表示や欲求を理解する
2.2.散歩中に吠える理由は?

3.子犬のころから一生涯『吠え方』をしつけることが大切
3.1.時期や原因ごとに考慮した子犬への『吠え方』のしつけ
3.2.しつけの方針を明確にする
3.3.『要求』や『欲求』などが原因で吠える場合
3.4.『恐怖心』や『不安感』が原因の場合
3.5.『分離不安』が原因の場合
3.6.『縄張り意識』が原因の場合
3.7.病気やケガなどによる『苦痛』が原因の場合
3.8.加齢による『認知症』が原因の場合

4.絶対やってはいけない!子犬への間違った『吠え方』のしつけ
4.1.犬が吠えているのを無視するだけ
4.2.電撃が流れる『しつけ首輪』や口枷の使用
4.3.家族で犬への態度を統一しない

5.まとめ

1.『無駄吠え』に聞こえるようで実は意味がある

犬にとって、『吠える』という行為は私たち人間が感情表現や意思表示のために言葉を発しいて会話するのと同じように、吠えることでほかの犬や人間などに「自分はいまこういった状態だ」、「ここは自分のテリトリーである」、「こうしてほしい」といった状態や意志、要求を伝える手段として用いています。

そのため、一見無駄に吠えているようでも実は一つ一つに意味があるのです。

特に、飼い主への要求は人間と同じように言葉を使って「これこれこうしてほしい」と訴えるわけにいきません。

そのため、自分の要求が満たされない限り犬は吠え続けてしまいます。

そして結果的にそれが『無駄吠え』と呼ばれてしまうわけです。

そのため、飼い主はまず愛犬の要求や感情についてじっくり観察し、理解することが必要なのです。

犬の感情表現やしてほしいことを理解したうえで、犬の吠える頻度を抑える方向でしつけていきましょう。
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2.犬が吠えている理由と原因

犬が吠える原因や理由としては、

  • コミュニケーション不足や生活環境の不十分による『欲求不満』
  • 健全な『信頼関係』を築けていない
  • 飼い主と犬の立場が逆転することによる『犬のリーダー化』

が主な原因とされています。飼い主への意思表示や感情表現といった要求の面が強いです。

そのため、散歩や遊び、スキンシップといった飼い主とのコミュニケーション不足や餌や水の不足、小屋・トイレ掃除といった犬の生活環境が十分に整っていないといった欲求不満や飼い主と愛犬との信頼関係が十分に築けておらず、犬が「飼い主より自分の方が上だ」と勘違いし、見くびられ、最終的には犬が「自分は家族たちのリーダーである」と誤認している状態も、犬が吠える頻度を増やす原因になっています。

このほか、

  • 分離不安
  • 恐怖・不安
  • 縄張り意識の強さ
  • 病気やケガによる苦痛
  • 薬の副作用
  • 認知症
  • 社会的促進による行動パターンの学習

などといった要因も絡んできます。

そのため、常に飼い主は愛犬の様子を観察し、犬の欲求や要求に十分応えているか、信頼関係をしっかりと築いているか見直し、充分なコミュニケーションやお世話をすることを心掛けつつ犬が吠える頻度を増やす原因や理由を追及していく必要があります。

そして、それらを解消することが犬の吠える頻度を抑えることにつながるのです。

2.1犬の吠え方で意思表示や欲求を理解する

犬はただ「ワン!ワン!」と吠えるのではなく、満たしたい欲求やこうして欲しい要望、意思表示によって声のトーンや間隔、音の大きさを調節しています。

そのため、犬の吠え方を理解することで、犬が飼い主にしてほしいことや犬が考えていること、主張したいことがある程度わかるようになります。

犬の意思表示、要求別の吠え方(一例)

「ウーッ!」と低く唸る 警戒の意思表示
「グルルル…」と低く、激しい声で唸る 「攻撃するぞ」という意思表示
「クーン」と鼻にかかるような高めの声 甘えたい、遊びたいといった意思表示
「ヒィン!」と悲痛に感じる響きの声 便意を訴えている
「キャン!」と高く短い悲痛に感じる声 痛みを訴えている
「ワン!ワン!」と吠えたてる 警戒もしくは飼い主への催促
「ハッハッハッ」と息を荒く短く声を出す 尻尾を振っている場合は喜んでいる状態

こちらの表で紹介した犬の吠え方はあくまで一例です。

日ごろから愛犬が何故吠えるのか、吠えるときの声のトーンや音量といった特徴をじっくり観察し、できればボイスレコーダーやノートなどに記録をとるなどをしておきましょう。

2.2.散歩中に吠える理由は?

愛犬との散歩中に、通行人やほかの犬に吠えるのは、ほかの犬や飼い主以外の人間とのコミュニケーション不足が考えられます。

これは、社会帰を迎える前の子犬時代に母犬から引き離されたことで、ほかの犬との接し方がよくわかっていないからです。

また、飼い主以外の人間との接触機会が少ないとどう対応すればいいのかわからず、結果的に「攻撃されないように」と威嚇するよう吠えてしまうのです。

改善方法としては、飼い主以外の人間やほかの犬との接触機会を増やし、「これらは自分に害を与えない存在である」と理解させることで、未知の存在への恐怖心を薄れさせることが可能です。

しかしながら、いきなりほかの犬と遊ばせたり、他人に預けるのは愛犬に対して多大なストレスになるほか、思わぬ事故を引き起こしかねません。

できれば事前に動物臨床行動学専門の獣医師やプロのドッグトレーナーに相談し、犬の個性や性質に合った改善方法を探るようにしましょう。

3.子犬のころから一生涯『吠え方』をしつけることが大切

犬の『吠え方』をしつけることは、一時的なものではなく一生涯行う必要があります。

というのも、私たち人間もそうですが、“PREE”や“消去バースト”といった行動矯正を阻む要素や学習内容を忘れてしまったり、病気やケガ、老化による認知症などといった不可逆的要因などで、たとえ矯正したとしても、かえって悪化したり頻度が増えた状態で再発することもあります。

そのため、子犬のころから老犬まで、根気強く最後まで付き合う覚悟で犬の正しい『吠え方』をしつけなければなりません。

そこでこの項目では、子犬時代から老犬まで、時期や原因に考慮した『吠え方』のしつけ方法についてご紹介していきたいと思います。

3.1.時期や原因ごとに考慮した子犬への『吠え方』のしつけ

子犬には、4つの発育段階があり、それぞれ

  • 新生子期(生後間もなく~2週齢)
  • 移行期(生後13日~20日)
  • 社会化期(4週齢~13週齢頃)
  • 若齢期(13週齢~6カ月)

と呼ばれます。

中でも、社会化期は自分以外の生物や無機物への好奇心や愛着、恐怖心などといった関心を示す時期で、子犬の性格を形成する重要な時期と言われています。

生後間もなくからこの時期に、成犬と同じレベルのしつけをしたとしても、叱られたことを理解できないためあまり効果は望めません。

そのため、まずは子犬が何をしてほしいのかを理解し、対応することを重視しましょう。

ただし、全くしつけないでいると、成犬になってわがままな性格になりやすいとされています。

この時期の理想的なしつけ方として、社会化期の絶頂期(6~8週齢)あたりから母犬と協力し、簡単な、好奇心を引くような内容のしつけを適度に行うとよいでしょう。

本格的なしつけは『若齢期』から行う

社会化期を終え、対象への長期的な愛着やおもちゃやお気に入りのブランケットといった非生物への愛着、動物種としての自覚や社会性を身につけたり、短期間での変化を獲得し、犬の個性や性格がはっきりし出したころ、犬は『若齢期』に入ります。

若齢期を迎えたあたりから、本格的にしつけを開始し始めます。

この頃あたりから、外部からの刺激や飼い主とその家族以外の人間、自分や母犬、兄弟犬以外の犬や他の生物と接触したり、食事や排せつ、吠え方といった社会生活を営むうえで必要な行動を学ばせ、しつけるようにしましょう。

3.2.しつけの方針を明確にする

愛犬が本格的にしつけを開始するのに適した時期になったら、早速正しい『吠え方』をしつけていきます。

ですがその前に、しつけの方針を明確にする必要があります。

ただ闇雲に「吠えるのをやめさせたい」と吠えたら叱ったり叩いたりするのはかえって逆効果になりがちです。

そのため、まずは明確に「してほしい行動」と「してほしくない行動」を予め脳内に描き、そのビジョンに従ってしつけを行うようにしましょう。

正しい『吠え方』のしつけを行うためのビジョン

してほしい行動 吠えるべきでない時や場所で、吠えずに大人しく待機する
してほしくない行動 吠えるべきでない時や場所で吠えてしまう

しつけは体罰を用いず、積極的に褒める

犬が吠えたとき、ついひっぱたいたり大きな声で「うるさい!」と怒鳴ってしまう経験はありませんか?

実は体罰を用いたしつけは犬に多大なストレスを与え、神経過敏になったり、非常に臆病な性格になったり、攻撃的な性格になるなど様々なデメリットを抱えています。

そのため、最悪の場合、犬が飼い主に牙を向いて思わぬ事故を引き起こしかねません。

基本的に、犬のしつけは褒めることに重点を置き、罰を与える場合はちょっと驚く程度の刺激を与える(サプライズ)か、無視(タイムアウト)を用いるようにしましょう。

『吠え方』のしつけを行う際は『オペラント条件付け』を活用する

注意したいのが、ご褒美を与えるタイミングです。

最新の研究によって、犬の学習をより効果的に成立させるには行動や中性刺激(生理的な反応を無条件に引き起こさない刺激)から0.3~2秒後に報酬を与えることが必要であるとされています。

簡単にいうと、その時間内に報酬を与えることで、快楽物質であるドーパミンが分泌・作用し、記憶を形成し確実なものとするシナプスが強化され、学習が成立するのです。

そのため、常にタイミングを見計らい、確実かつ迅速に賞罰を与えることが必要なのです。

オペラント条件付けを活用した吠え方のしつけ
正の強化 「してほしい行動」をとった場合、ご褒美を与えて「吠えない状態」を強化する。
正の弱化 「してほしくない行動」をとった場合、罰(サプライズ)を与えて「所かまわず吠える」のを弱化する。
負の弱化 「してほしくない行動」をとった場合、ご褒美(飼い主の関心)をとりあげて、「所かまわず吠える」のを弱化する。

犬の学習を阻む『PREE』と『消去バースト』

イヌの吠え方をしつける際に注意したいのが、『PREE』と『消去バースト』です。

『PREE』とは、ある行動をした際に、間欠的に報酬が得られたりあるいは得られない場合、報酬が得られなくても「いつか報酬がもらえるはず」とその行動を続ける現象で、『消去バースト』とは、一度習慣化された行動をやめようと、一旦行動を停止したら一時的にその行動の頻度が倍増してしまう一種の禁断症状を指します。

飼い主からの興味を引くために吠え続けたり、無視されてムキになってより一層強く吠え続けるのも『PREE』や『消去バースト』が影響しています。

どうしても折れてしまいがちですが、ここでふんばり、決して犬に関心を与えないよう一貫的な態度を保つ必要があります。

それだけ犬に正しい吠え方をしつけるのは並大抵の覚悟では上手くいかないともいえます。

飼い主は、常に毅然とした『リーダー』であるべし

犬に正しい吠え方をしつける際に重要なのは、飼い主が常に毅然とした態度で犬と向き合い、一貫した行動、態度でしつけに臨むということです。

これは、飼い主だけでなくほかの家族にも徹底しなければなりません。

一貫性のある行動と態度、そして折れない強い意志を持ってしつけを行うよう心掛けましょう。

3.3.『要求』や『欲求』などが原因で吠える場合

犬が吠える原因の多くは、『要求』や『欲求』です。構ってもらいたい、遊んでもらいたい、小屋掃除をしてもらいたい、散歩がしたい、餌や水を新鮮なものに取り換えてほしいといった欲求不満を満たすことで、ある程度改善されることもあります。

最近、愛犬とのコミュニケーションやお世話が疎かになっていないか、一度振り返ってみるといいかもしれません。

とはいえ、吠えたから愛犬の要求にこたえるのは、正しい吠え方をしつける際にあまりいい影響を及ぼしません。

そこで、愛犬が吠えるのをやめたらすかさず犬が求めている行動や報酬を与え、『正の強化』による行動の関連付けを行うようにしましょう。

こうすることで犬が「大人しくしたら飼い主が要求に応えてくれた」と学習し、「吠えるのをやめて大人しくする」という飼い主が愛犬に「してほしい行動」の強化につながります。

3.4.『恐怖心』や『不安感』が原因の場合

犬が吠える原因が恐怖心や不安感にある場合、犬の脅威となるものからできるだけ遠ざけるか、恐怖心や不安感を薄れさせることで幾分か改善されることがあります。

例えば、掃除機が怖い犬の場合、掃除中は別の家族に頼んで散歩に出かけて掃除機から遠ざけたり、『拮抗条件付け』や『系統的脱感作』を用いて掃除機への感情を恐怖の対象から怖くない、安全なものへ転換・希釈する方法をとることで掃除機に向かって吠える頻度は大分少なくなるはずです。

3.5.『分離不安』が原因の場合

犬の分離不安の一つとして、吠える頻度が多くなるといった症状があります。

分離不安の症状や原因は多岐にわたるため、素人では判断が難しく、気が付いた時にはかなり症状が進んでいて重症化しているケースも少なくありません。

疑わしい症状が見られたら、まずは動物臨床行動学専門の獣医師に診てもらい、適切な処置や治療を行うようにしましょう。

また、犬が家で一人でいることに不安や恐怖を感じないようにトレーニングするのも大切です。

例えば、出かけるときは声掛けをせずにあくまで飼い主の外出は『日常の延長』であると認識させたり、『リラックスシグナル』を用いたり、愛犬が一人でも寂しくないよう、一人でも楽しめるおもちゃを用意するなど、「家の中で一人でいる不安」を解消していきましょう。

3.6.『縄張り意識』が原因の場合

犬は本能的に、自分の生活する家を縄張りと認識します。

そのため、外部からやってきた人間や他の動物に対し、威嚇や攻撃行動として唸ったり吠えたりするのです。

この縄張り意識からくる吠えを抑制したい場合は、犬の反応を刺激する環境刺激自体に働きかけてみましょう。

具体的には、屋内で飼っている場合は犬の視界から外の様子がわからないよう、日中はカーテンを閉めたり、屋外で飼っている場合は、玄関から遠い場所に犬小屋を設置するなど、外部からの接触をできるだけ少なくすることで、威嚇や攻撃反応としての吠えが大分減少します。

3.7.病気やケガなどによる『苦痛』が原因の場合

犬にとって吠えるという行為は自分の状態を他社に伝えるためのツールであることはご説明しましたが、特に注意したいのが病気やケガなどによる苦痛が原因のときです。

  • 弱弱しい鼻声
  • 非常に短い高温の吠え声
  • 高い音の声で連続して吠える
  • 「キャイーン!」といった高い悲鳴

犬がこういった吠え方をした場合、何らかの病気やけがをしている可能性があります。

犬は基本的に痛みに強く、よほどのことがなければ吠えて苦痛を訴えることはありません。

そのため、多くの場合、犬が「痛い、苦しい」と訴えて吠えるのはケガや病気がかなり重症化している可能性があります。

常日頃から犬の健康状態をチェックし、症状が悪化しないうちに動物病院に行き、獣医師の診察を受けて適切な治療や処置をしてもらいましょう。

3.8.加齢による『認知症』が原因の場合

シニア犬の認知症症状の一つに、夜啼きや無駄吠えといった症状があります。このほか、

  • いつもの散歩道で迷子になったり、家の中でも迷う
  • よく知っている人を屋外・屋内問わず認識できない
  • 挨拶行為の頻度が低下する
  • 遊んだり、スキンシップに対する積極性が著しく低下する
  • グルーミングの頻度が著しく低下する
  • ちょっとしたことですぐに怒りだす etc…

といった症状が見られたら、認知症の可能性があります。

愛犬が年齢的に老境に入り、これらの症状が見られるようになったら、動物病院に行き、獣医師に相談、場合によっては検査を受けましょう。

早期に発見することで、認知症の症状も軽減することができます。

認知症が原因の場合は、しつけによって抑制・矯正するのではなく、基本的に犬の要求に応えることを重視したり、攻撃的な吠え方をする場合は別のものに興味を持たせて犬の感情を紛らわせたり、孤独な状態にしないよう常に寄り添ってあげるなど、対処療法を中心にしていきましょう。
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4.絶対やってはいけない!子犬への間違った『吠え方』のしつけ

愛犬の吠え方をしつけるにあたって注意したいことがいくつかあります。

その中でも特にNG行為なのが

  • むやみやたらと犬が吠えるのを無視する
  • 無駄吠え矯正のための電流の流れる『しつけ首輪』や口枷の使用
  • しつけのルールが一定でなく、家族の愛犬に対する態度が統一化されていない

という3点です。

もししつけの際にこれら3点のNG行為が入ってしまったら、しつけは思うようにうまくいかないばかりか最悪の場合、犬が家族のリーダーであると誤解するようになったり、信頼関係を壊し飼い主への不信感を抱くことに繋がりかねません。

そのため、しつけの際に何故これらの行為をとってはならないのかをこの項目では詳細に説明していきたいと思います。

4.1.犬が吠えているのを無視するだけ

犬が吠えたてるのを無視するのは、オペラント条件付けにおける『負の弱化』を狙う上で有効ではありますが、むやみやたらに無視するのはかえって悪化を招く恐れがあります。

というのも、犬が吠えたてるのを無視するやり方は、あくまで犬の過剰な要求吠えには効果的ではありますが、特に攻撃的な意味合いを持つ吠え方に関してはかえって逆効果になってしまうのです。

というのも、攻撃行動として吠えてきたので無視して意に介さなかった場合、無視されたのを犬は『吠え返さない=反撃してこない』ととらえるからです。

そして反撃してこないと判断し、相手は負けを認めたと考え、自分の方が偉いと錯覚してしまいます。

この繰り返しによって最悪の場合「自分の方が飼い主より偉い」と誤認し、一家のリーダーであると誤った認識をしてしまうのです。

また、犬が鳴き止んだのに無視し続けるのも逆効果です。

犬が起こったことを鮮明に覚えていられるのはせいぜい数分程度までで、時間が経つにつれどんどん記憶が劣化していきます。

そのため、長時間無視し続けると「何故いつまでも無視されているんだろう」と罰を与えられている理由が犬自身にもわからなくなり、「吠えること=無視される」と関連付けられなくなります。

無視するしつけを用いる際は、必ずご褒美を与えて行動を強化する『正の強化』を併用して行い、吠えるのをやめたらすかさず褒めてご褒美を与えるようにしましょう。

また、信頼関係が浅い状態での無視によるしつけはあまり効果を成しません。

信頼関係があまり築かれていない状態で吠えたてているのを無視しても、犬は自分がしてはいけない行動をとったとは思わず、逆に「なんか機嫌が悪いのかな?」と飼い主の方に問題があると考えてしまい、無視されたことが罰に繋がらないのです。

そのため、犬が家にやってきて日が浅い場合や十分なコミュニケーションを行わず、充分な信頼関係を築けていない場合、まずは愛犬との信頼関係を十分に築き上げる必要があります。

4.2.電撃が流れる『しつけ首輪』や口枷の使用

よくネット通販などで見かける『しつけ首輪』。スイッチやリモコンで電流が流れる仕組みになっていて、犬が吠えたらすかさず電気ショックを与えることで無駄吠えをストップさせるというのがこの『しつけ首輪』の謳い文句ですが、果たして、本当に犬の正しい吠え方をしつける上で効果的なアイテムかといえば決してそうではないといえます。

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商品説明では、犬の体に影響が出ない微量の電気が流れるとありますが、研究によればたとえ微量の電流であっても犬の体や精神に多大なストレスを与え、脱毛症や神経過敏、ストレスに対する弱化や精神不安定などといったデメリットが多数報告され、ドイツでは使用禁止が出ているほどです。

また、電気が流れる部品が犬の首に食い込み、穴が開いて細菌感染し、傷が化膿してしまったケースも報告されています。

確かに、電気ショックによる体罰で無駄吠えはなくなるかもしれませんが、それ以上に後遺症が残りやすく、それを治すための治療費や時間を考えれば、まさに「百害あって一利なし」なのです。

ならば口枷を用いてはどうか?とお考えの方もいるかと思いますが、これもNGです。

口枷はあくまで犬が餌以外のものを口に入れたり、噛み癖のある犬が散歩中に通行人やほかの犬に噛みつくのを防ぐための予防処置として用いるためのグッズであって決して無駄吠えをさせないようにするためのグッズではないからです。

そもそも、一日中口枷をさせるというのは犬にとって多大なストレスになります。

また、どうして犬が無駄吠えをするのか原因や理由を探ってしつける行為を怠っているため、根本的な解決には至らないまま犬にストレスがどんどん溜まっていき、かえって無駄吠えが悪化するケースも少なくありません。

また、口枷の構造上犬が呼吸できるよう口を少し開閉できるようになっているので、完全に無駄吠えをシャットアウトすることは不可能です。

こうした強烈な体罰を与えたり、強制的に口をふさいで吠えさせないようにする道具を用いるのは、言葉が強くなってしまいますが短絡的といえます。

じっくりと、時間をかけて信頼関係を築き上げて初めてしつけは成立するということを忘れてはいけないのです。

4.3.家族で犬への態度を統一しない

例えば、愛犬をしつける際に、娘は厳しくしているのに、母が甘やかすせいで中々うまくいかないといったケースはないでしょうか?

よく、「アメとムチ」と言われますが、犬をしつける場合、実はこの方法はNGなのです。その理由は『連続強化』と『間欠強化』の違いにあります。

連続強化とは、ある行動をとった際、常に同じ罰やご褒美を与えるこで、間欠強化とは、ある行動をとった際に、罰や褒美が常に同じではなくその時々に与えられたり逆に与えられなかったりすることを言います。

連続強化は次第に刺激に対して報酬がなくなれば「刺激をしても無駄だ」と犬が学習し、刺激に対して反応しなくなり(反応の消去)、結果的に問題行動(この場合は無駄吠え)の矯正に繋がります。

ところが、間欠強化の場合は間欠的に報酬がもらえるということで、「もしかしたら今度こそもらえるかもしれない」と期待し、行動を続けます(PREE)。

そのため、反応の消去が起こりにくく、結果的に問題行動の矯正がしにくくなってしまいます。

そのため、犬のしつけの際は間欠強化が起こらないように常に同じ賞罰を与えるようにし、家族の態度も犬におもねるようなことがないよう、一貫して毅然とした態度で徹底的に臨みましょう。

厳しい態度で接するのは確かに愛犬がかわいそうですが、正しい吠え方を学習せず、周囲に迷惑をかけることの方が愛犬のためにはなりません。

心を鬼にして、鉄の意思でしつけていく姿勢で臨みましょう。

5.まとめ

今回は犬の吠え方のしつけについてご説明しましたが、参考になりましたでしょうか?

犬にとって吠えるというのは私たちが他社とのコミュニケーションや意思表示をするための会話と同じくらい重要な行為なのです。

ですが、時と場所をわきまえずに吠えるのは、ずっとひっきりなしにおしゃべりをされるのと同じくらい困った行動といえます。

周囲の人々や同種、他の生き物たちも快適に暮らせるようにするには、常に我々飼い主が犬に正しい吠え方を指南していかなければなりません。

そして、犬の吠え方のしつけは一時的なトレーニングでは解決しません。

愛情とは、ただ甘やかして愛犬のしたいようにするだけではありません。

犬が社会になじめるようにしつけることこそが正しい愛情といえるでしょう。

時に獣医師やドッグトレーナーと相談し、どうすればよいのか、原因はなんなのか突き止め、犬の気持ちを理解して信頼関係をしっかりと構築し、焦らずじっくりと時間をかけてしつけていくようにしましょう。
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