犬を飼う上で、どうしても避けることができないのが、愛犬との死別・もしくは行方不明になって生き別れるといった『ペットとの別離』です。
特に、生活の中心であった愛犬を失うということは精神的にも身体的にも多大なショックを与え、近年ではペットを失うことで『ペットロス』に陥り、心身ともに障害をきたす『ペットロス症候群』が問題となっています。
そこで今回は、犬のみならず、猫などの愛玩動物を飼育する上で、誰もが避けて通れない『ペットロス』及び『ペットロス症候群』について詳しくご説明していくとともに、ペットロスを克服する上で必要なことなどをご紹介していきます。
目次
1.「ペットを失うこと」によって陥る『ペットロス』
1.1.悲しみの5段階とは?
1.2.どれくらいで回復できるの?
2.ペットロスの要因ともいえる飼い主のペットへの『後悔』
2.1.番外編 猫への後悔
3.心身ともに何らかの障害を引き起こす『ペットロス症候群』とは
3.1.一般的なペットロス症候群の症状とは?
3.2.海外におけるペットロス症候群(Animal loss)
3.3.『虹の橋』とは?
3.4.ペットロス症候群なのかどうかチェック!
3.5.ペットロスの乗り越え方6つ
3.6.グリーフワークでペットロスを乗り越えよう
4.ペットロス「後追い」とは
4.1. 新しいペットはいつ迎えるべき?
4.2ペットロスになった時に読みたい本
4.3.『虹の橋』に関するオススメの本
4.4.ペットロスになった時に聴きたい歌
6.ペットロスカウンセラーの仕事とは
6.1.必要な資格はあるの?
6.2.仕事内容は?
6.3.平均年収や給料
6.4.ペットカウンセラーの求人
1.「ペットを失うこと」によって陥る『ペットロス』
『ペットロス』とは、その名の通り、ペットを失うことで主に精神的に落ち込み、場合によっては身体にも影響を与える症状を引き起こす状態になることを言います。
長年連れ添い、愛した犬や猫がいなくなることで、気持ちが落ち込み、倦怠感や不眠などといった症状が現れたら、ペットロスを疑うべきでしょう。
1.1.悲しみの5段階とは?
ペットロスのプロセスとして、『悲しみの5段階』(悲嘆のプロセス)と呼ばれる感情の変化が見られます。
この悲しみの5段階は『否認』、『怒り』、『取引』、『抑うつ』、『受容』の5段階に分けられ、それぞれの症状の重さは人によって異なります。
ペットロスによる『悲しみの5段階』
- 否認…ペットの死を受け入れられない状態
- 怒り…自分や周囲のペットの士に関わった人間を責め、後悔が怒りと変わる
- 取引…ペットを失った悲しみの重さを何かに仮託する
- 抑うつ…死といったネガティブなことばかりを考えてしまう
- 受容…時がたつにつれ悲しみが薄れ、徐々にペットの死という事実を受け入れる
これら5つの段階を経て徐々にペットがいなくなったことを受け入れて初めて、ペットロスから回復し、乗り越えることができるのです。
そのため、ペットロスに陥った場合、今の自分の感情がどの段階であるかを予め把握しておくことで、ペットロスからの回復・復帰も比較的早くなる可能性があります。
否認
『否認』とは、突然のペットの死や行方不明による別離が信じられず、「そんなことは起こっていない」と理解を拒絶し、例えば、ペットが交通事故などで突然死した時に「さっきまであんなに元気だったんだから、死んだはずがない。嘘だ」とペットが自分の傍からいなくなってしまったことをかたくなに受け入れず、拒絶する状態を指します。
この『否認』という状態は、人の心があまりの悲しみに受け入れるキャパシティーがオーバーした際に精神的ショックから逃避する所謂自己防衛本能からくるもので、大なり小なり誰でも『否認』の状態に陥ります。
そのため、周囲の人はこの『否認』状態を受け入れ、厳しい言葉を投げかけずに飼い主がペットの死を徐々に受け入れられるように支えてあげる必要があります。
怒り
『怒り』とは、愛するペットを失ったときに「何もしてやれなかった」という後悔の念からくる感情で、「私が愛したペットが死んでしまったのは『誰か』のせいだ!」と、飼い主がペットを失ったことは『誰か』のせいであると思いこみ、漠然とした怒りをぶつける段階です。
その対象は飼い主自身だけでなく、ペットの死に関わった獣医師や家族にも向けられます。
『怒り』の感情の度合いも人によって様々で、場合によっては怒りの感情が尾を引き、場合によってはペットロスがこじれる原因につながることもあります。
取引
『取引』とは、『交渉』とも呼ばれる状態で、飼い主がペットの死によって受けた悲しみから「ペットの死を覆すことができるのであれば、なんでもする」と願うあまり、神様といった超常的なものにすがったり、「自分の命を代わりにあげるから、どうかあの子を生き返らせて」と現実には不可能なことを願い、取引材料にすることが多く、その取引対象はペットの治療に携わった獣医師だけでなく、神様やいなくなったペット自身に向けられることが多いです。
抑うつ
『抑うつ』とは、ペットの死により精神的に深く落ち込み、考えることは常にネガティブな方向へと転がり、何もする気が起きず、無気力になる状態を指し、特にペットロスの状態で一番気を付けなければならない状態を指します。
『抑うつ』状態は人によって症状の重さは異なるものの、周囲の心ない言葉などで長引き、こじらせてしまうことで『ペットロス症候群』に陥りやすくなります。
ペットロス症候群になると、心身ともに様々な障害をきたす可能性があり、最悪の場合、いなくなったペットの後を飼い主が追おうとして、自殺を図ってしまうことも決して少なくありません。
そのため、特にペットを失った飼い主の周囲の人は、不用意な言葉や行動をせず、暖かく見守ってあげる必要があります。
受容
最後の段階である『受容』とは、『否認』、『怒り』、『取引』、『抑うつ』といった悲しみのプロセスを段階ごとに経験し、ペットを失った悲しみや後悔の念といった感情が徐々に薄れ、ペットが自分の傍からいなくなったことを受け入れる状態を指します。
人によってペットの死を受け入れる時期はまちまちですが、この『受容』の段階に入ることで初めてペットを失った飼い主は心身ともにポジティブな状態へと回復していくのです。
1.2.どれくらいで回復できるの?
ペットロスが回復する時期は、平均で10カ月程度とされていますが、ペットを失った悲しみの度合いは人によって異なるため、特に子供がいなくてまるでわが子のようにかわいがってた人や、孫のように愛した高齢者の方、またストレスに対する体制のない繊細な方はペットロスが長引くケースも少なくなく、明確に「この時期になれば回復する」とはいえないのです。
ゆえに、周囲の人による「まだペットロスから立ち直っていないのか」とペットロスを引きずる飼い主を責めたり、「たかが犬が死んだことぐらいでなにをそんなに落ち込む必要があるんだ」と心ない言葉を投げかける人とは距離を置き、できるだけ精神への負担を減らすようにしましょう。
自分自身で克服するのが難しい場合は、家族やかつてペットロスを経験した人などに相談し、悲しみを分かち合うことも大切です。
ペットロスから回復するために必要なのは、ペットを失った悲しみを自分だけで抱え込まないことなのです。
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2.ペットロスの要因ともいえる飼い主のペットへの『後悔』
長年に渡り愛情深く育て、共に暮らしてきた愛犬と愛猫との永遠の別離は、「あの時、ちゃんとリードにつなげておけば…」、「もっと散歩したり一緒に遊んであげたかった」、「突然いなくなるんだったら、大好物のごはんをもっとたくさん食べさせてあげたかった」といった深い後悔を呼びよせます。
人は、何かをやり遂げた達成感よりも、何もできなかった、何もしてやれなかったことの後悔の念のほうが心に深く刻まれやすい生き物です。
故に、「ペットに対して何もしてやれなかった」、「あの時、こういった選択をとっていれば、あの子を失わずに済んだのに…」といった飼い主の『後悔』は、時に精神をむしばみ、ペットロスの症状を深刻化させることも少なくありません。
犬や猫、そしてすべての愛玩動物は、餌や小屋などの住処の掃除といった日常生活は飼い主の世話によって賄われています。
ペットの飼い主への依存度の高さゆえに、いなくなったときの飼い主の精神は責任を果たせなかった後悔の念にさいなまれてしまうのです。
ですが、自己を強く責めすぎるのは、決してあなたのためにはなりません。ペットを失った悲しみを見つめ、乗り越えることだけを考え、立ち直ることこそがいなくなったペットたちに対する最後の責任なのです。
2.1.番外編 猫への後悔
基本的に、犬も猫も、老衰による死別よりも、突然の事故などによる突然死やある日突然いなくなり、何年も帰ってこず、行方不明になる方が後悔の念も深まり、ペットロスに陥りやすいとされていますが、ある研究データによると、犬の飼い主よりも猫の飼い主の方がペットロス及びペットロス症候群に陥りやすく、特に犬の飼い主以上に「あのときこうすればよかった」という後悔の念から深刻化していくケースが少なくないそうです。
犬の場合はリードと首輪でつないでおけば脱走や突発的な交通事故などをある程度防ぐことは可能ですが、猫の場合、個体差はありますが、基本的に気ままな性格で勝手にふらっといなくなることが多く、行方不明や突発的な事故などによる突然死が多いため、心の準備ができていない状態でのお別れが犬よりも多いのです。
そのため、より「あのとき外に出さなければ…」といった自責や「もういちど、愛猫に逢いたい」という後悔にさいなまれやすいのです。
3.心身ともに何らかの障害を引き起こす『ペットロス症候群』とは
『ペットロス症候群』とは、ペットと死別したり、行方不明になって生き別れる経験をした飼い主がペットの喪失による強いストレスを受け、精神的及び肉体的に何らかの疾患や症状を引き起こすことを指し、主にうつ病や不眠、情緒不安定、死んだはずのペットの姿を見たり、または鳴き声をきいたりするといった幻覚・幻聴症状といった精神的な障害と、それに伴う消化器疾患、所謂『心身症』といった症状が現れます。
『ペットロス症候群』の主な症状
うつ病、不眠、情緒不安定、無気力・虚脱感、虚脱状態、幻覚・幻聴といった精神病様症状、胃潰瘍といった消化器疾患(心身症)
3.1.一般的なペットロス症候群の症状とは?
一般的なペットロス症候群の症状としては、
- 深い落ち込み
- 何にも関心・興味が持てなくなる
- 何も楽しめない、喜べない
- 常にだるい
- 眠れない
- 食欲が出ない、もしくは過食傾向にある
- 集中できない
- やる気がでない
- 自責感、罪責感
といった症状が現れ、深刻化していくにつれ、うつ病や幻覚・幻聴症状といった精神病様症状、および心身症を引き起こす可能性が高くなります。
『ペットロス症候群』を疑うべき症状
- ペットを失ってから1カ月以上たっても食欲不振や過食、不眠、明け方に目が覚めて以降眠れなくなるといった症状が2週間以上続く
- 喪失感による孤独感がひどく、「寂しすぎて死にたい」と思うようになる
- 生きていくことがつらいと感じるようになる
- 2週間以上外部と接触せず、外出しないで家の中に引きこもり続ける
- いなくなったペットの姿を見たり、鳴き声を聞くなどの幻覚及び幻聴症状が現れる
- ペットの死別など、いなくなった瞬間のつらい記憶が突然フラッシュバックする
もし、ペットを無くしてから1カ月以上これらの症状が続くようであれば、なるべく症状が軽度のうちに、精神科や心療内科に受診し、カウンセリングなどの適切な処置や医師の判断を仰いで治療を行うようにしましょう。
ペットロスで精神科や心療内科に受診するのは抵抗感がある方も少なくないと思います。
ですが、症状を放っておくことで重篤化し、飼い主が苦しむことをいなくなったペットたちは決して望んでいません。
ペットと述べ釣りという悲しみを克服する上でも、時には心理カウンセラーや心療内科医といった専門医に頼ることも必要なのです。
3.2.海外におけるペットロス症候群(Animal loss)
日本でいわれる『ペットロス』という名前は、和製英語で、本来は“Animal loss”と呼びます。
日本に比べて海外はペットロス及びペットロス症候群の研究が進んでおり、特にペット先進国であるアメリカでは、ペットを失った際にその飼い主に所謂忌引き休暇を企業が導入し、またペットロスを患った飼い主のメンタルケアを行うペットロスカウンセラーなどペットロスへの理解が深く、飼い主へのケアやバックアップ体制が充実しています。
ペットロスを悪化させることで被る人的損害に対して真剣に考え、早期の社会復帰ができるよう取り組んでいるというわけです。
ペットロスに陥った人へ贈る犬にまつわる海外の『名言』
「犬は人類にとって最良の友」という言葉があるように、犬と人類は古い時代から互いに寄り添い、生きてきました。
そのために、世界中で犬にまつわる名言が多数広まり、特に愛犬を失い、悲しみの底にいる人々の心を慰めていきました。
この項目では、そうした数ある犬にまつわる海外の名言をいくつかご紹介していきたいと思います。
どうか、ペットを失ってしまったあなたの心が、少しでも安らぐことを願います。
犬の十戒(作者不明)
日本でも有名な『犬の十戒』は、元はノルウェーのドッグブリーダーMrit Teigen氏がバイヤーに渡している『犬からご主人への11のお願い』が元になっているそうで、人間の元にペットとしてやって来た犬が、飼い主である人間と好ましい関係を築き上げるために大切なことを語りかけるという内容です。
それが世界中に伝わり、現在、10の英散文で綴られた『犬の十戒』として知られる内容に変化したのだそうです。
以下が犬の十戒の原文と日本語訳になります。
1.My life is likely to last ten to fifteen years. Any separation from you will be painful for me. Remember that before you get along with me.
(私の寿命は大体10から15年くらいしかありません。私はあなたと離れ離れになることがとてもつらいのです。どうか私と一緒の生活を送る前に、別れの時が来ることを忘れないでください)
2.Give me time to understand what you want of me.
(あなたが私に何をしてほしいのか、理解する時間をくださるようお願いします)
3.Place your trust in me ? it’s crucial to my Well-being.
(あなたからの信頼こそ、私にとって何者に代えがたい幸福なのです)
4. Don’t be angry at me for long and don’t lock me up as punishment. You have your work, your entertainment and your friends. I have only you.
(私に長すぎるお説教をしたり、お仕置として閉じ込めたりすることはしないでください。あなたには仕事やお楽しみがあり、友達だっているでしょう。でも、私にはあなたしかいないのです。)
5. Talk to me. Even if I don’t understand your words, I understand your voice when it’s speaking to me.
(しっかりと私に話しかけてください。あなたの言っている言葉の意味を私は理解できないかもしれないけど、私に話しかけてくれる時のあなたの声はちゃんと理解しているのですよ)
6. Be aware that however you treat me, I’ll never forget it.
(あなたが私にしてくれたことは、私は決して忘れることはないでしょう)
7. Remember before you hit me that l have teeth that could easily crush the bones of your hand but that I choose not to bite you.
(どうか私を叩く前に、私には、容易にあなたの手を骨ごとく抱くほどの歯を持っているにもかかわらず、あなたには噛みつかないと決めたことを思い出してください)
8. Before you scold me for being uncooperative, obstinate, or lazy, ask yourself if something might be bothering me. Perhaps I’m not getting the right food or I’ve been out in the sun too long or my heart is getting old and weak.
(どうしていうことを聞かないの、と私を叱る前に、いうことを聞かない原因を考えてみてはいただけないでしょうか。おいしいご飯が足りていないのか、ずっと炎天下で外にいたのか、それとも、もう、私は年老いて弱ってしまっているのではないか、と)
9. Take care of me when I get old ; you, too, will grow old.
(どうか、私が年老いたら介護をしてください。あなただって私と同じように年をとるのですからね)
10. Go with me on difficult journeys. Never say, “I can’t bear to watch it .” or ” Let it happen in my absence.” Everything is easier for me if you are there. Remember I love you.
(『永遠の別れ』が来たときは、どうか私の傍にいて見送ってください。「死に際なんて見ていられないよ」とか「もう、つらくてこの場にいられない」とか、そんな悲しいことは絶対に言わないで。あなたが私に寄り添ってくれるだけで、私は安らかに旅立てるんだよ。私があなたを愛しているってこと、絶対に忘れないでね)
著名人達の名言
A dog is the only thing on earth that loves you more than he loves himself.(ジョシュ・ビリングス)
アメリカのユーモア作家であるジョシュ・ビリングス氏の犬まつわる名言です。
訳すと、「犬は自身よりもあなただけを愛してくれる唯一無二の存在である」と、ビリングス氏の犬に対する深い愛情とその観察眼が短い文章の中に感じられます。
Happiness is a warm puppy.(チャールズ・M・シュルツ)
「幸せって、あったかい子犬のこと」と訳せるこの言葉は、日本でも高い人気を誇るSNOOPY(スヌーピー)が出演する世界的人気漫画『ピーナッツ』の作者、チャールズ・M・シュルツ氏が作中に残した言葉です。
登場人物の一人である少女、ルーシーがスヌーピーの頭を撫でて抱きしめ、去り際につぶやいたこの言葉は、たった一行で済む言葉でありながらも犬への深い愛情をにじませる素敵な言葉です。
The dog is a gentleman ; I hope to go to his heaven not man’s.(マーク・トゥエイン)
『トム・ソーヤの冒険』でおなじみのアメリカの冒険小説家マーク・トゥエイン氏の犬にまつわる名言の一つで、「犬は紳士的であるからね。私は人の天国ではなく犬たちの天国に行きたいものだよ」と友人ウィリアム・ディーン・ハウエル氏への手紙に綴ったものです。
犬の献身的な愛情を『紳士的』と称したトゥエイン氏のこの言葉は、世界中の愛犬家の心に深く刻み込まれました。
Heartbreak is life educating us.(ジョージ・バーナード・ショー)
ヴィクトリア朝時代から近代にかけて、文学者、脚本家、劇作家、政治家、教育家、ジャーナリストと幅広く活躍し、イギリスやアメリカなどの英語圏国家にて多大な功績を残した偉大な人物、ジョージ・バーナード・ショーが残したこの一文は、犬にまつわる言葉ではありませんが、「傷心とは、人生の教訓である」と語り、悲しみは決して人を蝕むだけでなくさらに上のステップへと進むためのものであると捉えたこの言葉は、すべての人の、特に悲しみの底にいる人を激励してくれます。
3.3.『虹の橋』とは?
『虹の橋』とは、原作者不明の詩で、その内容は、「飼い主の元から永遠の旅に出たペットたちは、天国の手前にある美しい草原にて飢えや病の苦しみも、悲しみもなく陽気に楽しく過ごしながら、飼い主がやってくるのを待つ」といったものです。
この『虹の橋』は二節目があり、愛されなかった犬や猫も、同じように愛することもせず、愛されなかった人間の傍に寄り添い、一緒に天国へと渡るといった内容です。
人とペットのきずなと愛情は、たとえ死によって別つとも永遠であることを美しい言葉で綴ったこの詩は、世界中のペット愛好家の心の灯として今なお愛され続けています。
虹の橋(和訳版)
https://pet-rainbow-bridge.info/
3.4.ペットロス症候群なのかどうかチェック!
ペットロス症候群を患った際、心身ともに以下のような症状が見られます。
- 体の疲労感が抜けず、常に虚脱感がある
- 胃腸の調子が良くない
- 頭痛がする
- 食欲がない、もしくは過剰に食べ過ぎる
- 孤独感や漠然とした不安にさいなまれ、心もとない状態である
- 自分だけでなく、家族や獣医師など、ペットの死に関わった周囲の人間の発言や判断に対していつまでも責め続ける
- いなくなったはずのペットの姿を見たり、鳴く声が聞こえる(幻覚・幻聴)
これらの症状は人によって異なり、軽い症状で済む人や、重症化しやすい人など個人差があります。
判断する基準としては、ペットを失くしてから1カ月以上続き、あまりにもひどい状態である場合は一つしか当てはまらなくても至急心療内科および精神科へ受信することをお勧めします。
3.5.ペットロスの乗り越え方6つ
ペットロスを乗り越える上で一番大切なのは、「ペットとの別れを受け入れる」ことです。
ペットがいなくなったことを受け入れる準備が整わないうちに、無理に行動しようとすると必ず破たんしてしまいます。
まずは、『悲しみの5段階』を理解したうえで、自分の中の感情に折り合いをつけ、ペットを失った悲しみを十分に発散したうえで、少しずつ自分の心に折り合いをつけていきましょう。
ペットの不慮の死を予防する
ペットロスに一番陥りやすいのは、心の準備が整わないうちの突然死によるペットの喪失です。
そのため、首輪やリードで繋いだり、戸締まりを徹底したりしてまずは脱走を回避しましょう。
また、首輪には迷子札などを付け、万が一脱走して行方不明になってもすぐに見つけられるようにします。
また、散歩の時も急に道路に飛び出したりしないようにしっかりとトレーニングをしましょう。
持病を持つ犬を飼っている場合は、しっかりと動物病院で定期的に診察及び検査を受け、食生活や運動など、日常生活にも気を配り、常に愛犬の状態を観察し、すぐに異常があったら動物病院へ運べるようにしましょう。
ペットに依存しすぎない
ペットロスにかかりやすい人は、子供がいない夫婦や年配の方、「自分にはこの子しかいない!」とペットに愛情を深く注ぎすぎ、『ペット依存』を患っている方も少なくありません。
ペットを愛することは何も悪いことではありませんが、ペットに依存しすぎないようにするのはとても大切なことです。
あくまでも対等な関係で、家族の一員として接するようにしましょう。
ペットの死に際には必ず立ち合う
ペットの臨終の際、「ペットが死に行く様子を見るなんてできない」と考える飼い主の方は少なくないかと思われます。
しかし、ペットの死に際に傍にいてやれなかったことへの後悔は時が経つにつれ増していき、ペットロスをこじらせ、長期化させる原因にもなります。
ペットの死に際を看取るのは、飼い主が最後にしてあげられる愛情です。故に、必ずお別れをし、弔ってやるようにしましょう。
ペットを失ったら、思いっきり泣く
ペットロスを防ぐ方法として、特に有効なのが『思いっきり泣く』ということです。
泣くという行為には、ペットを失ったことで多大な心理的ストレスを受けたときにそれを発散する効果があり、涙にはストレス原因物質を流し出す役割があります。
よく、「人前で鳴くなんて、みっともない」と考える方は多いと思われますが、ペットの死に際に涙を流さずぐっとこらえるということは、かえってペットロスを招いてしまうのです。
かけがえのないものを失って深い悲しみに陥ったときに、涙を流し、大声で泣き叫ぶのは人として当然の行動です。
恥ずかしいという感情はかなぐり捨てて、ペットが死んだときは涙が枯れるまで、喉がつぶれるまで思いっきり泣き、悲しみの感情を十分に発散してしまいましょう。
生活スタイルやルーチンを変えてみる
ペットがいなくなった直後、しばらくの間はペット中心であった生活からなかなか抜け出せず、不意にペットのことを思い出して悲しい思いをしてしまうことも少なくないかと思います。
今すぐには不可能でも、徐々にペット主体であった生活スタイルを変えていき、ペットに関わっていた行動を少しずつ無くしていくようにしましょう。
また、ペットの形見は失ってしばらくは目の届かない場所に一旦閉まっておくのも、ペットのことを思い出して悲しまないように予防する手段として有効です。
ペットロス経験者と対話し、悲しみを共有する
一人でペットの死を抱え込み、悲しむのはペットロスを悪化させる原因になります。
そのため、自分一人で乗り越えるのではなく、同じようにペットロスを経験した人と対話し、悲しみを共有しましょう。
「自分だけがペットを失って悲しい思いをしているわけではない」と理解することで、悲しみもある程度軽減され、ペットロスの克服も早くなります。
近年では、SNSや掲示板、ブログなどを通じてペットロス経験者が交流し、その体験談と克服した経験を語り、悲しみを共有する場が増えてきています。
もし自分一人で抱え込み、ペットロスから抜け出せない状態が続くのであれば、こうした場を活用するのもよいでしょう。
日本ペットロス協会
公式サイト:http://www5d.biglobe.ne.jp/~petloss/
ペットラヴァーズ・ミーティング
公式サイト:http://www.ddtune.com/plm/
3.6.グリーフワークでペットロスを乗り越えよう
『グリーフワーク』とは、死別などで大切な人やペットなど、自分にとってかけがえのないものを失い、離ればなれになった悲しみを表現し、昇華することで少しずつ失った事実を受け入れる過程を、遺族同士や、ペットロス経験者など同じ経験と悲しみを経た人たちと共有する取り組みのことを指します。
行動目的としては、
- 現実と直面する
- 自分の気持ちに素直になる
の二つに大きく分けられ、それぞれカウンセリングや医学的アプローチによる心理的な手法を用いた飼い主の心のケアをメインとし、基本的にペットを失った飼い主の悲しみや後悔の念といった感情を否定せず、分かち合うことでペットロスからの回復を目標としています。
ペットの死を受け入れ、現実と直面する
ペットを失った直後に、飼い主が『ペットの死』という事実を受け入れることは非常に困難で、すぐに受け入れようとすることはより悲嘆が深まり、ペットロスがこじれ、悪化する可能性もあります。
そのため、悲嘆のプロセスとしての『悲しみの5段階』による感情の変化を把握し、理解したうえで、ペットの死への『否認』からそれを受け入れることで得る『絶望』すなわち現実と直面するためのケアを行うようにしましょう。
ペットを失った悲しみを受け入れ、自分の気持ちに素直になる
ペットを失った現実と向かい合い、絶望の淵に立たされたときは、自分の気持ちに素直になることが一番です。
ペットを失った悲しみを抑圧することは、ペットロスからの復帰を阻む原因に繋がります。
故に、自分の中のペットを失った悲しみ、怒り、絶望を思いっきり泣いたりすることで発散する必要があります。
また、自分一人で立ち直る力がなければ、同じ境遇にある人と悲嘆を共有しましょう。
何よりも大切なのは、自分一人でペットの死による深い悲しみを抱え込まないことです。
家族や友人、カウンセラーなどに頼り、自分の中の悲しみを昇華させることこそ重要なのです。
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4.ペットロス「後追い」とは
多頭飼いの場合、人間だけでなく一緒に生活し、暮らした他のペットたちもペットロスに陥ることがあり、場合によってはいなくなった犬の後を追うように命を落としたり、わざと死につながる行為をすることがあります。
これを『後追い』と呼びます。
このペットによる『後追い』行動は、いなくなったペットと夫婦であったり、親子や兄弟姉妹といった深い絆で結ばれた関係であるほど起こりやすいとされています。
そのため、残されたペットにも飼い主による心のケアが必要になってきます。
4.1. 新しいペットはいつ迎えるべき?
まず、新しく迎えるペットは例え同じ犬種でそっくりの姿かたちでも、その子はあくまで別の、新しい家族であり、決していなくなったペットの身代わりにはならないことを肝に免じておきましょう。
その上で、新しいペットを家族として迎えるのにふさわしい時期は、ペットロスから立ち直り、自分の心に折り合いを付けられるようになったころが一番良いとされます。
とはいえ、ペットロスから立ち直る時期は個人差があり、人によっては新しいペットを迎え入れるまで数年以上かかるかもしれません。
あくまで、自分の気持ちが落ち着いてから迎えるようにしましょう。
「新しい犬や猫などをペットとして迎えることは、前にいたペットに対して不義理ではないか?」と考える方も多いかと思いますが、決してそうではありません。
自分の悲しみの感情に折り合いをつけ、新しい生活の門出を迎える希望ともなりうるからです。
4.2ペットロスになった時に読みたい本
『ペットたちは死後も生きている』(著:ハロルド・シャープ、訳:小野千穂)
Amazon:『ペットたちは死後も生きている』(著:ハロルド・シャープ、訳:小野千穂)
イギリスにて半世紀にわたって愛読されたベストセラーで、ペットたちの死後のエピソードをつづった優しさと愛情あふれる一冊です。
ペットたちの魂もまた永遠不滅で、死んだ後にも彼ら自身の世界と生活は続いていくという内容の本書は、最愛のペットを失い、悲しみの縁にいる飼い主たちを励まし、いやしてくれます。
『ありがとう。また逢えるよね』(著:横田晴正)
Amazon:『ありがとう。また逢えるよね』(著:横田晴正)
この本の著者である横田晴正氏は、ペット霊園を営む僧侶の方で、本書ではペットを失い、悲しみの底にいる人々を、癒し慰める優しく深い言葉がつづられています。
2008年に出版され、数多くのペットロス体験者の心を癒すロングセラーとして愛されながらも絶版しましたが、新装版が復刊。現在は単行本のほか、AmazonのKindle版でも読むことができます。
4.3.『虹の橋』に関するオススメの本
『虹の橋-Rainbow Bride』(著:葉祥明)
Amazon:『虹の橋-Rainbow Bride』(著:葉祥明)
柔らかいタッチのイラストと暖かい文体で世界中に愛されている絵本作家、葉祥明氏が『虹の橋』を氏の持ち味である優しく、あたたかなイラストと文章でつづられ、愛するペットを失い、深い悲しみの中にいる人の心を癒し、慰める一冊です。
4.4.ペットロスになった時に聴きたい歌
『ボクが傍にいるから…』(今井優子)
今井優子氏の柔らかな歌声と優しくも切ないメロディーが、ペットロスに悩む人々の心をいやす楽曲として今なお支持されている『ボクが傍にいるから…』は、飼い主を残し、虹の橋の元に旅立ったペットの心情をつづった一曲です。
優しく、語りかけるように飼い主を励まし、今なお絶えない愛情と再び会えることを約束する歌詞は、悲しみの淵に立たされたペットロスの人々の心をいたわるように癒します。
『象の背中 旅立つ日』
『象の背中』は2005年1月から6月の半年間、産経新聞にて連載され、2006年に単行本化した小説をもとに、『象の背中 旅立つ日』として改題されたDVDアニメーションです。
内容はある日突然死神から死を宣告された象のお父さんが、残りわずかな命を家族とともに穏やかに過ごすことに費やすことを選び、天寿を全うするという内容です。
優しくも切ない旋律の歌をBGMに、柔らかなタッチのアニメーションで何気ない日常風景を描く内容は、多くの人々の心に感動を与え、大切な人を失った人への優しい励ましとなりました。
5.楽しい日々の思い出を残せる「ぬいぐるみ」
ペットと過ごした楽しい日々の思い出を、面影とともに残したいという飼い主の方にオススメなのが、ペットそっくりの所謂『クローンぬいぐるみ』です。
アメリカのグッズ工房である『Cuddle Clones(カドルクローン)』では、ペットの写真や名前、犬種、体重などの基礎情報、姿勢やしっぽ、視線の向き、口元といった物理的特徴をもとに、ほぼ生前そのままの姿を再現したぬいぐるみを製造・販売しています。
完全オーダーで価格は199~249ドルほど。公式サイトは英文なので、オーダーするのに少々時間がかかるかもしれませんが、もし生前そのままの姿を残しておきたいとお考えの方は、検討してみてはいかがでしょうか。
『Cuddle Clones』公式サイト:http://www.cuddleclones.com/
(※英語サイトです)
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6.ペットロスカウンセラーの仕事とは
『ペットロスカウンセラー』とは、ペットを失った飼い主の精神的なケアを行う専門職で、主に心理療法に基づいたカウンセリングを中心に、ペットロスに陥った飼い主の深い悲しみを癒し、克服する手助けをするのが主な仕事です。
6.1.必要な資格はあるの?
ペットロスカウンセラーになるには、『ペットロス・ハートケアカウンセラー』の2級及び3級の資格が必要です。
この資格をとるために、まず『ペットロス・ハートケアカウンセラー』の講座を受講し、修了後本試験を受ける必要があります。
ペットロス・ハートケアカウンセラー2級・3級
- 受講料…44,000円
- 期間…最短で2、3カ月ほど
- 試験料…2級:8,700円、3級:7,700円
- ※2級、3級ともに在宅試験
- 参考サイト:http://www.medin.gr.jp/exam_sche/exam_heartcare.html
また、民間検定の一つにペットロスに関する知識を深めることを目的とした『ペットロス検定』があり、こちらはペットカウンセラーになるために必ずしもとらなければならない資格ではありませんが、受けておくと周囲でペットロスに陥った人がいた場合、ペットロスから立ち直る手助けに大いに役立つはずです。
ペットロス検定
- 受験料:1級~4級まで、一律5,500円
- 参考サイト:http://www5d.biglobe.ne.jp/~petloss/kentei.htm
6.2.仕事内容は?
ペットロスカウンセラーの主な仕事内容は、飼い主と事前に対話(セッション)のゴールを設定し、ゴールに向けて対話を行い、まとめることで飼い主の心のケアを行うことです。
主に、メールや電話、実際に対面して飼い主と対話し、ペットを失った悲しみや現在のペットロスによる悩みを聞き、ペットロスから立ち直る手助けをするとともに、本来のポジティブな感情や健康を取り戻すサポートをすることで、飼い主を社会復帰させるのが目的です。
人対人であるために、どうしてもカウンセラーとの相性の良し悪しが出るため、一度お試しコースを設けているところも少なくありません。
まずはお気軽にお申込みしてみて、自分に合ったカウンセラーを見つけるようにしましょう。
6.3.平均年収や給料
ペットロスカウンセラーという職業自体がまだ新しく世に出たばかりで、ほとんどの方がボランティアやフリーランス、他の職業との兼業として行っているのが現状です。
また、お給料も歩合制であることが多く、この金額が必ずもらえるとは言い切れないため平均年収を算出するのは非常に難しい状態であるといえます。
6.4.ペットカウンセラーの求人
ペットロスカウンセラーは、まだまだ世に出始めたばかりであるため一般によく周知されておらず、求人広告や就職情報誌などにも求人が載ることの方が珍しいほどです。
故に、ペットカウンセラーのほとんどが自宅でカウンセリングルームなどを開設してフリーランスで開業する方が多く、あるいはセミナーや口座などを開いて講師やカウンセラーとして仕事をするか、もしくはペット業界に就職するのを目的として、ペットカウンセラーの資格をとるといった人も少なくなく、ペットカウンセラー単独では生活していくのが厳しいというのが現状です。
7.まとめ
今回は、ペットロスについてまとめてみましたがいかがでしたでしょうか。
ペットの死に関わる内容でもあるため、少しセンシティブな内容だったかもしれません。
ですが、ペットとともに暮らしていくうえで、決して避けて通れない道でもあります。
もしも、あなたがペットを失い、深い絶望と悲しみに包まれたときは、どうか決して、一人で抱え込もうとしないでください。
そして、自分一人で立ち直る力がなければ、周囲の人の力をちょっとだけ借りましょう。
あなたのそばにはいつも、あなたを思ってくれる人が必ずいるはずです。
無理に立ち直ろうとせず、周囲の力を借りつつ自分の足で立てるようになるまで、根気強くあなたの心をいやしてください。
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