自分の愛犬が、ある日突然血を吐いたらどうしますか?
それまで元気に遊んでいた犬が、突然真っ赤な血を吐いて元気がなくなってしまったりしたら、どうしていいのか分からなくなってしまいますよね。
犬の吐血には、様々な病気が隠れています。
そこで今回は、犬の吐血によって疑われる病気の種類や、犬が吐血をした時にまず何をすべきか、更に血便や血尿についてまでを紹介していきたいと思います。いざという時のために慌てないためにも、犬の吐血について知っておいてください。
目次
1.愛犬の吐血にびっくりしないために
1.1.犬が血を吐く症状
1.2.犬が吐血で突然死するケースもある
2.体内から出血している場合
2.1.嘔吐物に血が混じっている場合
2.2.血便が出る場合
2.3.血便から考えられる病気
2.4.血尿が出る場合
2.5.血尿から考えられる病気
1.愛犬の吐血にびっくりしないために
血を吐くような症状のことを吐血といいます。犬の病気のなかには、この吐血を伴うものがいくつかあり、吐血を引き起こすということは症状もあまり楽観視はできません。
突然の吐血にも対応できるように、どのような物なのかを知っておくようにしてください。
1.1.犬が血を吐く症状
犬が血を吐く症状には、大きく分けて2つの種類があります。
喀血(かっけつ)
呼吸器(肺や気管支など)に、炎症や損傷または腫瘍ができたことが原因となり、咳き込んだ時に血が吐き出されることを喀血といいます。咳と共に吐き出された血は鮮やかな赤色であるのが特徴で、時には泡が混じることもあります。
鮮やかな血を吐き出す時には、気管支炎・肺炎・咽頭炎・肺水腫など呼吸器が関係する病気や、フィラリア症や心不全の他に、事故による打撲や喧嘩が原因で気道や肺が傷ついてしまったことが原因である場合もあります。また、ごく稀なケースではありますが肺ガンが原因となっていることもあるようです。
吐血(とけつ)
消化器系(食道・胃・十二指腸など)に、炎症や損傷または腫瘍ができたことが原因となり体内で出血が起こり、その血液が口から吐き出されるのが吐血となります。
吐き出された血は、体内で出血してから少し時間が経ったものが外に吐き出されることから、その色は黒ずんで、少し粘りのあるドロッとしているのが特徴です。消化器官から吐き出されるために、時には消化できなかった食べ物や、胃液などが混じっていることもあります。
その他は、異物の誤飲が原因で消化管が傷ついてしまい、それが原因で出血してしまった血が吐き出される時も、少し黒ずんだような血となります。
1.2.犬が吐血で突然死するケースもある
少し前までは元気にしていた犬が、吐血をした後に突然死してしまうケースもない訳ではありません。突然死をしてしまった原因は様々あります。
- 消化器官からの出血による失血性ショック…何らかの原因で消化器官から出血をし、その出血が多かったことで失血性ショックを引き起こす。
- 血栓症(血液凝固異常)…ウイルス感染、心臓疾患、フィラリア症などが原因で起こることがある。
- 急性膵炎…消化器系の疾患で、重症度の高い病気。肥満傾向の犬は要注意といわれている。
- 誤嚥性肺炎…食べた物や飲んだ物を誤嚥したことにより、それが原因となり肺が炎症を起こし肺炎を引き起こす。
- 胃拡張…胃の中が空気で膨満し体内の他の臓器を圧迫して呼吸困難や出血を起こしてしまう。
- 腎不全…何らかの原因で腎臓機能が働かなくなり、老廃物の排出ができなくなる。
- 肝不全…何らかの原因で肝臓機能が働かなくなり、体内に入った毒素の分解できなくなる。
- 中毒…中毒性のある物を口にしたことが原因で、他機能不全などに陥る。
元々持病などがあり、その病気から推測できることもありますが、それまで元気にしていた犬の突然死の原因を本当に明確にするには、解剖をするしか方法がない場合もあります。
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2.体内から出血している場合
犬の体内で出血が起こるには、病気が原因であったり、異物や毒物を口にしてしまったりしたことが原因であったりするなど様々な要因があります。
吐いた血の色によってもその原因が多少は絞られますので、吐いた物をよく確認するようにしてください。
2.1.嘔吐物に血が混じっている場合
犬が嘔吐物を出した時に、その嘔吐物やよだれに血が混じっていた場合には、以下の可能性を疑いましょう。
口の中や喉に異物が刺さっている
プラスチックのおもちゃを噛んでしまい、そのかけらが口の中に刺さっている場合や、食事時に与えた鶏の骨などが喉に刺さっている場合があります。
鶏の骨は、縦に鋭利に裂けることが多いので喉に刺さりやすいといわれています。鶏を骨ごと与えるのはあまりおすすめできません。
毒物を食べた
散歩に出た時に、道に落ちていた物などを口にしてしまったことはありませんか。野良猫を退治するために、毒物を道端に置く方も時にはいます。拾い食いの癖のある犬は十分に気を付けるようにしてください。
内蔵損傷
腹部を強く強打したことで内蔵が出血し、それが吐き出されることがあります。
内蔵疾患
内蔵に関する病気が原因で、体内のなかで出血をしてそれが吐き出されてきます。ガンや肝臓病の可能性もあります。
犬の吐いた血の色が鮮やかな明るい血の色だった場合には、口の中などを念入りにチェックしてみてください。何かが刺さっているかもしれません。
色が黒っぽいようでしたら、傍目ではどこから出血しているのか分かりませんので、すぐに動物病院に行くようにしてください。
2.2.血便が出る場合
血便が出た場合、その血の付き具合や、混ざり具合、色などでいくつかの原因が考えられます。血便が下痢状の場合や嘔吐を伴う時には、夜間でもすぐに動物病院で診察を受けることをおすすめします。
病院へ行く際には、便が乾燥しないようにラップに包むかビニール袋に入れて持参するようにしてください。
ウンチの周囲に鮮やかな血が付いている場合
排出したウンチの表面にだけ鮮やかな血が付いている場合には、大腸近辺の出血が原因であることは多いようです。これは、大腸にポリープが出来てしまったりストレスなどが原因で腸のコンディションを崩してしまったりしたことがきっかけになります。
ウンチ全体に血が混ざっている場合
腸管がなんらかの原因で傷付いてしまっていたり、腫瘍ができていたりする時にこのようなウンチをします。また、毒物を食べた時にもこのようなウンチをすることがあります。
その他には、ウイルス感染が原因であることも否定できませんので、早めに動物病院に行く必要があります。
血で黒ずんでいるウンチ
どこかの臓器で出血が起きていて、その血液がウンチとして排出されるまでに色が変色してしまったのだと思われます。かなり深刻な症状である場合も多いので、すぐに動物病院へ行くようにしてください。
2.3.血便から考えられる病気
犬が血便を出した時に考えられる病気の種類をいくつか紹介していきます。
急性大腸炎
何かしらの強いストレスを感じた時などに、腸内環境が一気に悪くなり大腸炎を起こし、鮮やかな血が付いている血便を出すようになってしまうことがあります。
いつもと違う環境に長時間おいておいた、ペットホテルに預けたなど何か思い当たることがありましたらこちらを疑ってください。また、おやつの与えすぎなどの場合にも急に血便を出すことがあります。
出血性胃腸炎
つい数時間前まで元気にしていた犬が、突然赤黒い下痢状の血便を出します。この時、ウンチの塊だけでなく血液も多く出てきているようであれば、一過性の貧血を起こしている可能性も考えられます。
この場合は、すぐに動物病院にて処置をしてもらえば、ほとんどの場合症状はおさえることができるようです。驚く程急に体調が変化するのが特徴ともいえます。
肛門周囲瘻(こうもんしゅういろう)・肛門狭窄(こうもんきょうさく)
普段と様子が変わらず元気な犬が、鮮やかな血のついた便をします。これは便秘傾向の体質を持つ犬に多いようで、内蔵系の病気が原因であることは少なく肛門周りの疾患が考えられます。
食物繊維の多いものを与えるなど、食事内容を見直すことで症状の改善に繋がる場合もあるようです。
2.4.血尿が出る場合
犬の血尿はおしっこと一緒に排泄されるため、真っ赤な血がでるわけではありませんので気が付きにくい場合もあります。
- トイレに行く回数が異常に増えた
- トイレにかかる時間が長い(おしっこが出るまでに時間がかかる)
- 陰部を気にしてやたらに舐める
犬にこれらの様子が見られましたら、血尿を疑ってみてください。確認の仕方は、おしっこをした後のシーツをチェックするか、おしっこをしたすぐ後にティッシュで陰部を軽くおさえてみてください。
ティッシュついたおしっこが、薄いピンクやオレンジ色でしたら血尿の可能性が高いでといえます。
2.5.血尿から考えられる病気
犬が血尿を出した時に考えられる病気の種類をいくつか紹介していきます。
貧血
犬は貧血を起こした場合に血尿を出すことがあります。犬の貧血は、人の場合の鉄分が少なくなる貧血とは少し性質が違い、血液中の赤血球が破壊されてしまうことで、体内に酸素が充分に行き渡らなくなってしまうことをいいます。
これは玉ネギなどのネギ類を誤って食べてしまった場合や、免疫に関わるようなウイルス性の病気などに感染している可能性があり、特徴としては歯茎や舌の色が白っぽくなっていきます。このような症状が見られましたら、早めに動物病院へ連れて行く必要があります。
前立腺炎
オス犬だけが持つ生殖器が炎症を起こすことにより、血尿が出ることがあります。かなり激しい痛みを伴いますので、排尿時の様子がいつもと変わることで気が付くことがあるようです。
尿道閉塞
おしっこの量が少なくそれが血尿だった場合には、結石や腫瘍で尿道がふさがれてしまう尿道閉塞を起こしている可能性があります。
万が一尿道が完全に詰まっておしっこの排出ができなくなってしまうと、あっという間に毒素が体内に回ってしまい大変危険な状態になってしまいます。おしっこの量が少ないと感じたのであれば、早急に動物病院にて診察を受けるようにしてください。
膀胱炎・前立腺肥大
血尿が出てはいるけれど、食欲もありいつもと変わらない様子であれば、軽い膀胱炎や前立腺肥大の可能性があります。
血尿を確認しても犬が元気だと、つい様子を見てしまう飼い主さんが多いようですが、血尿が出ている時点で通常の健康な身体とは違いますので、あまり様子を見過ぎず悪化しない前に動物病院へ行くようにしましょう。
その他にも、血尿が出たことで考えられる病気はあります。犬が血尿を出してぐったりしている様子でしたら、緊急性を要す場合がありますので夜間に関わらずすぐに動物病院へ行くようにしてください。
病院に行く際には、そのおしっこを持参すると診断の参考になる場合があります。おしっこの採取は、犬がおしっこをしそうになったらあえてシーツを外して床にした物をスポイトのような物で吸い取るか、シーツの上に清潔なガーゼなどをあらかじめ置いておき、おしっこをしたのを確認したらすぐにガーゼを絞ります。
ただおしっこの持参は絶対ではありませんので、犬がおしっこをするのを待って病院へ行くのが遅くならないようにしてください。
3.吐血に伴って別の症状がある場合の対処法
犬が吐血したのを確認した場合、基本的にはすぐに動物病院へ連れていくのがおすすめです。病院へ行くまでの自宅でできる対処法をいくつか紹介しておきます。
吐血と咳
犬が吐血する時には、ゴホッと水を含んだように咳き込み始めることが多いです。それが1回の咳き込みと吐血で終わるのか、何度か続いてしまうのかはその時の状況によります。
この時犬が起きている状況の時には、吐いた血が再び喉から体内に流れ込んでしまわないように、優しく身体を支えて顔を下に向くように促してあげてください。もしも強く抵抗するようでしたら、興奮させないように優しく背中を撫でながら落ち着かせてください。
寝ている状態で吐血をした時には、吐いた血が口の外に流れにくく気管支に血液が入ってしまうおそれが出てきますので、なるべく血が戻らないようにまずは横向きにし、もしも犬が目を覚まして立たせられるようでしたら、起きている時と同じように優しく支えて顔を下に向けてください。
起き上がらせるのが無理な様子でしたら、無理に立たせる必要はありませんが、必ず顔は横に向けたままで、口を閉じてしまわないように注意して見守ってください。
吐血と嘔吐
吐血と共に、消化しきれなかった食べ物が一緒に吐き出されることもあります。この時も、咳をしている時と同様に吐いた物で喉を詰まらせたりしないように、顔を下に向かせてあげます。吐いた物が口の中に残っている場合には、犬が嫌がらないようであれば取り除いてあげてください。
もしも嫌がるようでしたら、喉に詰まる恐れのある大きな物でなければ無理に取り除く必要はありません。
犬は吐血や嘔吐をする時には、身体を弓なりにして激しく呼吸をすることが多いです。少しでも呼吸がしやすいように首輪はすぐに外してください。洋服などを着せている場合には、すぐに脱がすようにしましょう。
吐血や嘔吐がおさまったように見えても、しばらくは犬から目を離さないようにして、仰向けに寝かせることは避け早めに動物病院へ行くようにしてください。
吐血と痙攣
吐血をしたのと同時に痙攣を起こす場合もあります。この時にまず心掛けることは、飼い主さん自身が落ち着いて対応をすることです。
痙攣だけの場合は、痙攣がおさまるまでは犬の身体に触ったり起こしたりすることはおすすめしないのですが、吐血を伴う痙攣の場合には吐いた血が気管支に入ってしまうのを避けるためにも、顔を横向きにすることだけはしてあげてください。
その後の動物病院での診察の時には、痙攣をした時の様子は重要な情報になりますので、可能であれば痙攣をしていた時間を計っておくようにして、痙攣が始まる直前の様子や、おさまった時の様子などをよく観察しておき、混乱状態のなかで記憶が曖昧になる前に走り書きで構いませんのでメモに残しておくようにしましょう。
吐血と下痢
吐血に伴い下痢をすることもあります。これは犬の身体にはかなりの負担がかかりますし、脱水症状を起こして状態が悪化してしまう可能性も高いので、なるべく早めに動物病院へ連れて行くようにしてください。その際には、排泄した下痢の便を持参することをおすすめします。
便は乾かないように、ラップやビニールなどに包んで持っていってください。
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4.まとめ
犬が血を吐く症状について紹介をしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
吐血は、その吐いた血の色によってかかっている病気や吐血をした原因が変わってきます。
内蔵系の疾患だけでなく、異物や毒物を誤って食べてしまった時にも吐血をすることがありますので、これは飼い主さんが生活をしていくなかで十分に気を付けてあげるようにしてください。
吐血だけではなく、血便や血尿が出る場合についても紹介してきました。血便も、その血の付き方や混ざり具合によって、疑われる病気の種類は変わってきます。特に病気でなくても、大きなストレスがかかった後にも犬は血便を出す場合がありますので、病気を疑うのと同時に何かストレスがかかるようなことがなかったか、思い返してみることも大切です。
犬が吐血をした後は、なるべく早く動物病院で診察を受けるようにしてください。また、ぐったりしているような様子であれば、最近では夜間対応をしている動物病院も数多くありますので、翌朝まで待たずにすぐに連れて行くようにしましょう。
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