犬はイカを「食べていい」はウソ!犬にイカを与えると腰が抜けるワケ

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犬や猫にイカを食べさせると腰を抜かすという言い伝えがありますが、実際のところどうなのでしょうか。イカに含まれる成分が影響しており、あながち嘘ではありません。生で与えたり、大量に食べると危険です。安全な与え方を知っておきましょう。

目次

1.犬はイカを食べることができる?
1.1.少量なら食べられるがデメリットあり
1.2.アレルギーの心配は?
1.3.イカを食べると腰を抜かすという話は本当?

2.イカを与えてはダメな理由5つ
2.1.ビタミンB1欠乏症になる恐れがある
2.2.消化不良を起こしやすい
2.3.寄生虫がいる可能性も
2.4.アレルギーを引き起こすことも
2.5.稀に銅の過剰摂取となる

3.イカを食べるメリットもある?
3.1.豊富な栄養がある
3.2.タウリンの摂取はどうするか

4.イカの与え方や調理法について
4.1.加熱して細かく刻むとよい
4.2.タウリンを気にするならサプリメントで

5.まとめ

1.犬はイカを食べることができる?

イカは犬にとってNG食材というイメージがある方もいるかもしれませんが、絶対にNGという食材ではありません。イカが好物の犬もいるので食べさせても良いのですが、ビタミンB1欠乏症やアレルギーの心配があります。

1.1.少量なら食べられるがデメリットあり

犬がイカを食べたときに起こるデメリットは、ビタミンB1欠乏症になる可能性があるということです。イカにはチアミナーゼという成分が含まれているのですが、これはビタミンB1の吸収を妨げてしまいます。

イカを食べ続けるとビタミンB1が不足すると、脳や神経が正常に働かなくなります。しかしこれはイカを生で食べさせた場合です。

チアミナーゼは熱に弱いので加熱処理してあれば問題ありませんし、体内に長くとどまっていられる成分ではありません。ですから、生のイカを頻繁に食べさせなければよいのです。

生でも加熱してもイカは犬にとって消化の悪い食材なので、与えるのであれば少量にとどめておきましょう。

1.2.アレルギーの心配は?

その他のデメリットとして、アレルギーを引き起こす可能性があります。イカは甲殻類ではありませんが「甲殻類アレルギー」の原因となる「トロポミオシン」という成分が含まれています。

これはエビ、カニ、タコ、貝類にも含まれるたんぱく質で、アレルギー症状を引き起こしやすい成分です。クモ、ダニ、ゴキブリなどの節足動物も持っている成分なので、甲殻類アレルギーになってしまうと、これらとの接触にも注意が必要になります。

トロポミオシンは加熱しても少し形が変わる程度で、完全には変質しないため、加熱したからといって安心できません。アレルギーが起こる可能性は十分にあるのです。

また、イカには「アニサキス」という寄生虫が潜んでいる場合があります。イカアレルギーだと思っていたら、イカではなくアニサキスがアレルギー症状を引き起こしていたという症例もあるそうです。

1.3.イカを食べると腰を抜かすという話は本当?

昔から「犬や猫がイカを食べると腰を抜かす」と言われていますが、それもあながち間違いではないようです。

イカに含まれるチアミナーゼが、ビタミンB1の吸収を阻害すると言いましたが、それによって起こる、倦怠感やふらつき、歩行障害などの神経症状をみて、腰を抜かすと表現したものと思われます。

また、犬はイカに含まれるたんぱく質を分解する酵素を持っていないため、イカを食べ過ぎると消化不良を起こしてしまいます。それによって、下痢、腹痛、胃痛などが起こった状態を指しているとも考えられるでしょう。

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2.イカを与えてはダメな理由5つ

イカが犬にとってデメリットをもたらす理由が5つあります。

生のまま与えてしまうと、ビタミンB1欠乏症や消化不良、寄生虫に感染するといった危険性があります。加熱してもアレルギーの危険性や、稀に銅の過剰摂取となることもあるのです。

2.1.ビタミンB1欠乏症になる恐れがある

イカに含まれるチアミナーゼという酵素は、特に内臓に多く含まれ、それを摂取してしまうとビタミンB1の吸収が阻害され、ビタミンB1欠乏症になってしまいます。生のイカ以外にもエビやタコなどにも含まれている酵素です。

ビタミンB1欠乏症の症状は、

  • 食欲不振
  • 元気がなくなる、倦怠感
  • 手足のむくみ、しびれ
  • 歩行時のふらつき
  • 動悸
  • 嘔吐、脱水
  • 痙攣
  • 体重減少
  • 瞳孔反射の鈍化
  • 瞳孔散大
  • 失明

などがあげられます。初期症状は食欲不振や倦怠感などの軽いものですが、その状態に気づかずにいると、運動障害や歩行障害、失明にまでつながってしまいます。

ビタミンB1という栄養素は、

  • 炭水化物の代謝
  • エネルギーの生産や消費
  • 精神状態の改善
  • 神経系、筋肉、心臓の機能を正常に保つ

といった働きをするため、欠乏すると神経症状がでてしまうのです。もし、イカを食べたことによってビタミンB1欠乏症の症状が出てしまったら、食事でしっかりビタミンB1を補給するようにしましょう。

犬は体の中でビタミンB1を作り出すことはできないため、以下のような食材を与えるとよいです。

  • 豚肉
  • 鹿肉
  • うなぎ
  • 枝豆
  • ゴマ

これらは、ビタミンB1を多く含む食材です。犬は基本的に肉食なので、肉類を食べさせていれば問題ありません。もし食べ過ぎてしまっても、ビタミンB1(チアミン、サイアミンとも呼ばれる)は水溶性なので、過剰な分は尿と一緒に排泄されてしまいます。

熱に弱い栄養素なのでなるべく生で与えたいですが、食中毒なども考えると生で与えられない食材もあります。特に豚肉はトキソプラズマの心配があるので、生で与えるのは避けましょう。豚肉は、煮込んだ煮汁と一緒に食べさせるなどの工夫が必要です。

反対に鹿肉は、ホルモン剤などを使用せずに育てられることが多い上、寄生虫がいない正常肉といわれているので、鮮度が落ちていない限り生でも安心して与えることができるのでおすすめです。

2.2.消化不良を起こしやすい

犬は消化機能が強いといわれていますが、それでも生ものは消化しにくいものではあります。加えて、イカに含まれるたんぱく質を分解する酵素を犬は持っていないので、生のイカは特に消化に良くない食材といえます。

消化不良になると下痢や嘔吐、胃痛、腹痛といった症状があらわれます。排泄物や嘔吐物のなかに、未消化のイカが混ざっていたら、上手く消化できていない証拠です。

健康な犬でも消化に時間のかかる食材なので、胃腸の弱っている犬や高齢の犬に与えるのは控えたほうがよいでしょう。体調を崩している犬には、体調が改善してから少量与えるようにしてください。

また、イカを乾燥させたスルメは、水を吸収すると数倍にふくらむので、与え方に注意が必要です。犬の歯は肉を噛み切ることはできますが、すり潰すことはできないので、大きなまま胃の中に入ると消化液を吸収して、ふくらんでしまいます。

たくさん食べ過ぎると、急性胃拡張を引き起こしたり、胃の先にある十二指腸を通過できなくなってしまう可能性があります。胃の中で膨張してしまったら、吐き出すことができなくなって犬が苦しい思いをするかもしれません。

胃が急激にふくらむと胃捻転(いねんてん)になる可能性もあります。胃捻転は、胃がねじれてしまうことで、

  • 呼吸が苦しくなる
  • よだれが出る
  • 嘔吐
  • 頻繁にげっぷをする
  • ご飯を食べない
  • お腹を気にする
  • 動こうとしない

などといったの症状が出ます。胃がねじれて周辺の臓器を圧迫するので、最悪死亡してしまうこともあるため、すぐに治療しなければなりません。

特に、ゴールデン・レトリーバーやジャーマン・シェパードといった胸の厚い大型犬は胃捻転を発症させやすいため、スルメは与えないようにしましょう。

スルメはイカの塩分が濃縮されているので、塩分濃度が高くなっています。スルメの塩分は犬にとってかなり濃いものですから、食べ続けると心臓病や腎臓病などの病気を引き起こすリスクが高くなってしまいます。

2.3.寄生虫がいる可能性も

アニサキス症

生のイカには寄生虫が潜んでいる可能性もあります。アニサキスやニベリニアが寄生していることがあるので、調理の際には注意が必要です。

アニサキスは有名人が感染したことで注目された寄生虫です。幼虫の頃はイカ、サバ、アジ、イワシ、カツオ、サケ、サンマなどの内臓表面や筋肉内に寄生し、それらの魚を食べたクジラやイルカの胃に成虫となって寄生しています。

捕食者に食べられることで宿主を変えていくため、基本的には内臓に寄生していますが、宿主が死んでしまうと身の部分に移動してくるので、内臓以外の部分にも寄生している可能性があります。内臓を取ってしまえば安心ということにはなりません。

幼虫の体長は2~3cm程度で肉眼でも見つけることができます。白く細長い幼虫が、イカなどの内臓表面でとぐろを巻いて、うねうねと動いていることがあるので、生ものを調理する際は気をつけて観察するようにしましょう。

アニサキスに感染したときの症状

犬も人間と同様に、アニサキスが寄生していると知らずにイカやカツオなどの生魚を食べてしまうと、寄生され激しい腹痛や嘔吐の症状がでる可能性があります。

アニサキスが胃に感染すると「胃アニサキス症」、腸に感染すると「腸アニサキス症」と呼ばれます。胃アニサキス症の場合は、イカなどと一緒にアニサキスを飲み込んでしまってから3~4時間以上経ってから、激しい痛みに襲われます。

胃壁にアニサキスが潜り込むとかなり痛がると思いますが、内視鏡で摘出してしまえば、嘘のように痛みを感じなくなるそうです。感染したからといって命にかかわるものではありませんし、アニサキスが体内に入っても寄生されずに、そのまま消化されて排泄されることもあります。

しかし、数日経ってから痛みに襲われた場合は、腸アニサキス症と考えられ、楽観視はできません。腸にアニサキスが侵入してしまうと内視鏡では見つけられないため、X線検査や超音波検査で調べます。

それでも診断が難しい場合は、開腹手術となる可能性もあります。腸にアニサキスが寄生し、腸壁が厚くなると腸管の通過障害が起こるため、手術で病変部位を摘除しなければなりません。

稀にアニサキスが胃や腸以外の臓器にまで入り込んでしまうことがあり、そうなるとイヌ回虫症のような、嘔吐、下痢、腹痛、腹部のふくらみ、食欲不振、体重減少などといった症状を引き起こします。この場合は、どのような感染症にかかっているかを調べる抗体検査を行うのが有効です。

アニサキスは人間の体の中では1週間程度しか生きられないといわれており、犬も同様と考えられます。しかし、犬の場合は、人間よりもアニサキスを飲み込む確率が低く、アニサキス症になっても飼い主が他の病気と判別できない、知らないうちにアニサキスが死んで症状がなくなっていたなどの理由から、はっきりとしたことはいえません。

アニサキス症の予防法

アニサキスは、イカの中で「スルメイカ」に寄生していることがほとんどで、その他のイカに寄生していることは稀だそうです。スルメイカを調理する際は、特に気をつけるようにしましょう。また、比較的寒い時期に感染することが多いため、冬場の生ものの調理には特に気をつけたほうがよいです。

アニサキスの幼虫は、酢漬けにしても醤油につけても死にません。イカをお刺身で食べるときに醤油につけたら大丈夫だろうと考える方がいますが、それは危険です。

冷凍庫などで-20℃以下に保ち、48時間以上経てば死亡するそうですが、古い冷凍庫や-20℃以下に保てないようなところでは、この対処法は難しいかもしれません。

熱には弱いので、70℃の熱湯に入れると、数秒で死滅してしまいます。イカを細かく刻むことも有効です。アニサキスは体に傷がつくと生きていけないので、もし肉眼で見つけられなくても刻んでおけば問題ないでしょう。

ニベリニア

イカには、アニサキスだけでなくニベリニアという寄生虫が潜んでいる可能性もあります。乳白色をしていて、楕円形のような体で5㎜程度の大きさです。タラやスルメイカに寄生しており、その筋肉や体腔に存在しています。

このニベリニアはアニサキスのように危険なものではありません。アニサキス同様に冷凍するか加熱するか死滅します。生きたまま飲み込んでも体に害はないそうです。

しかし、ニベリニアは死んでいても口内や喉などに貼りついてしまうので、犬も不快感を示すでしょう。寄生する際に、宿主の体内に引っかかるようにして貼りつくため、このようなことが起こります。

魚介類にはたいてい寄生虫がいるものなので、寄生虫がいないものがよければ養殖ものを買いましょう。養殖ものでも育てる環境によっては、寄生虫がついています。

海の魚についている寄生虫は比較的危険性の低いものが多いですが、川魚についている寄生虫は危険性の高いものが多いです。心配な方は、寄生虫に対する正しい知識をつけることが望ましいでしょう。

2.4.アレルギーを引き起こすことも

イカは頭足類なのですが、甲殻類アレルギーの原因である「トロポミオシン」というタンパク質が含まれています。イカを食べたことによって甲殻類アレルギーの反応を示すと、

  • 発疹、蕁麻疹
  • 嘔吐
  • 下痢
  • 目の充血や腫れ

といった症状が出ます。たいていの場合は、イカを食べて1時間程度で蕁麻疹や皮膚の腫れといった症状が現れるそうです。

また、アニサキスの潜んでいるイカを食べた場合、アニサキスアレルギーになることもあります。通常であればアニサキス症は、激しい腹痛や嘔吐といった症状が出るだけですが、発疹や蕁麻疹、かゆみといった症状が出たら、アニサキスに対してアレルギー反応を示しているとも考えられます。

サバアレルギーの人を調査してみたところ、サバではなくアニサキスが原因でアレルギー症状が出ていたという報告もあるのです。

2.5.稀に銅の過剰摂取となる

イカを食べさせ過ぎると、稀に銅の過剰摂取になることがあります。人間の血液には鉄分が含まれていますが、イカの血液には銅が含まれています。通常、過剰な銅は胆汁に排出されますが、銅が蓄積しやすい犬種がいるのです。

  • ペドリントンテリア
  • ウエストハイランドホワイトテリア
  • スカイテリア
  • ダルメシアン
  • ドーベルマンピンシャー

上記の犬種は、体に銅が蓄積しやすく、銅関連性肝疾患になりやすいと言われています。特にペドリントンテリアでは、25%程度が銅が蓄積したことによって病気にかかっており、50%程度はその予備軍であるとも考えられているそうです。銅が過剰になると、

  • 吐き気や嘔吐
  • 下痢
  • 腎臓の損傷
  • 肝臓障害
  • 溶解性貧血
  • 反射障害

といった症状がが現れます。銅は鉄とともに血液の材料になって、鉄を適切に使えるように助ける役割があります。しかし、過剰摂取すると鉄の吸収を阻害してしまうのです。銅の最小必要量は7.3mg/kgで、最大値は250mg/kgとされています。

食材の中に含まれる銅は微量ですが、その中でも銅の含有量が多いのは

  • ラム肉
  • 豚肉
  • カモ肉
  • エンドウ豆
  • レンズ豆
  • 大豆

などです。銅関連性肝疾患になりやすい犬種は、イカを含めこれらの食材を摂り過ぎるのは控えましょう。

それ以外の犬種で健康な犬は、銅が足りなくても貧血気味になってしまいます。ペットフードには鉱物塩として銅が含まれていますが、体の中での利用率が低いので、手作り食でバランスの良い食事を与えるのがおすすめです。

3.イカを食べるメリットもある?

イカは犬にとってデメリットばかりではありません。豊富な栄養が含まれる食材なのです。特にタウリン含有量が多く、疲労回復効果があります。

3.1.豊富な栄養がある

今まで見てきたようにイカを与えるデメリットがあるのに、それでも与えている飼い主さんもいるのはなぜでしょうか。単純に、愛犬が大好物であるということもあります。スルメは、香ばしいにおいが食欲をそそるので、夢中になる犬もいるようです。

それ以外には、イカに含まれる豊富な栄養素があげられます。

  • たんぱく質
  • タウリン
  • ビタミンEなどのビタミン類
  • カリウム
  • マグネシウム

などの栄養素が含まれているので、疲労回復効果が期待できます。運動量の多い犬にとっては効果のある食材になるので、少量与えるのはよいかもしれません。

疲労回復に最も効果を発揮するのはタウリンですが、これは他の食材からも摂取できるため、イカを食べるリスクを考えると、積極的に与えなくてもよい食材と考える専門家もいます。

3.2.タウリンの摂取はどうするか

タウリンを多く含む食材は、牡蠣やハマグリなどの貝類やイカ、タコなどなので、生では与えられませんから、調理の手間がかかります。しかも、タウリンは加熱すると多くて60%、茹でると50~90%も失われてしまうため、生で食べることが推奨されています。

犬には加熱したものを与えたほうが安全なので、茹でた場合は煮汁も一緒に与えるようにするとよいでしょう。

また、猫は体内でタウリンを合成することができませんが、犬は合成できます。それでも必要量には足りないので、食べ物で補う必要があるのです。犬種によって合成する能力の差があるとの指摘もあります。

犬の心臓のトラブルとタウリンの不足には関連性があるため、

  • キャバリア・キング・チャールズ
  • アイリッシュ・ウルフハウンド
  • アメリカンコッカースパニエル
  • ゴールデンレトリバー

などの犬種は、タウリン不足に注意しなければならないともいわれています。タウリンが不足すると白内障にかかるリスクが高まり、最悪の場合失明することもあるそうです。

以上のことから、タウリン不足に注意が必要な犬種はイカを少量与えるように心がけてもよいかもしれません。

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4.イカの与え方や調理法について

イカのデメリットをカバーするために、加熱することは必須です。それによってタウリンは減少してしまいますが、どうしてもタウリンを摂取させたい場合は、サプリメントが最も効率的でしょう。

4.1.加熱して細かく刻むとよい

イカを与える時は、ビタミンB1欠乏症や寄生虫を防ぐため、そして消化をよくするために、必ず加熱しましょう。細かく刻むことで、アニサキスを死滅させ、消化もよりよくなります。

イカを愛犬の食事として取り入れている飼い主さんは、フードプロセッサーを使って細かくし、片栗粉とあわせて団子にしたりハンバーグにしたりして食べさせているようです。

スルメイカは寄生虫が潜んでいる可能性があるので、ホタルイカを刻まないでそのまま煮込むなどして、小型犬でも食べやすい種類のイカを使うといった工夫もされています。

スルメを与える時は、胃の中で膨張することを考え、加熱したイカを与える時よりも少量にすることを心がけましょう。塩分過多にならないためにも少量でとどめ、加熱したイカは味付けをしないで与えると安心です。

初めてイカを与える時は、アレルギー反応が起きる可能性もあるため極少量にし、愛犬の様子や排泄物を観察して、おかしなことがないかどうか確認してください。

異常がないからといって毎日与えるのはおすすめできません。銅が蓄積しやすい犬種にとっては、デメリットが多いのであえて与える必要はないといえます。

4.2.タウリンを気にするならサプリメントで

イカが好物の犬やタウリン不足になりやすい犬種なら、イカからタウリン摂取することを考えてもよいと思います。しかし、現代はサプリメントという強い味方があるので、イカに固執することはないでしょう。

サプリメントに含まれるタウリンには、天然のものと合成のものがあります。天然タウリンは、牛の胆汁や魚介類の煮汁から抽出されるのですが、合成タウリンは重油からできるエチレンから化学合成されます。人間の栄養ドリンクに使われるのも、合成タウリンです。

もし、サプリメントでタウリンを補うのであれば、天然100%と明記されたものを与えるとよいでしょう。動物病院でタウリンを処方される犬や猫は、比較的多くいるのでサプリメントとして与えるのも心配ありません。

5.まとめ

イカは豊富に栄養を含む、優秀な食材ではありますが、犬にとってのデメリットが多くあります。イカが大好物であったり、タウリンを積極的に摂取しなければならない犬でない限り、頑張って与えなくてもよい食材かもしれません。調理に細心の注意をはらうことになるので、手作り食の飼い主さんは大変です。使いやすい食材を使用し、足りない栄養素はサプリメントで補うなど工夫するほうが気持ちの面でも楽だといえるでしょう。

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