人の健康には役立つと言われている海苔ですが、犬にも同じように与えても問題ないのでしょうか。
犬に海苔をあげると喜んで食べているので、ついついあげてしまうという飼い主さんは意外と多いようです。
海苔は、様々な栄養素は豊富な食品なので、犬に与えても問題はありませんが、与える量と与え方を注意する必要があります。
そこで今回は、犬に海苔を与える時に注意しなくてはいけない点や、上手な与え方、海苔に含まれる栄養素が犬の健康にどのような効果をもたらすのかを紹介していきたいと思います。
目次
1.犬に海苔を食べさせても大丈夫?
1.1.海苔は少量なら栄養補給になる
1.2.犬は海苔を消化できる?下痢にならない?
1.3.犬に海苔を与え過ぎるとどうなる?
2.犬に海苔をあげることの3つのメリット
2.1.ガンや老化の予防
2.2.ビタミン豊富
2.3.豊富なミネラル成分
3.海苔を犬にあげる時の注意点
3.1.海苔の量や与え方について
3.2.味付け海苔はNG
3.3.最初は少量ずつ
3.4.持病持ちの犬は要注意
3.5.海苔好きな犬
3.6.手作り海苔
1.犬に海苔を食べさせても大丈夫?
海苔は少量であれば犬に食べさせても大丈夫な食品といわれていますが、実際に食べさせると、犬にはどのような効果があるのでしょうか。
また、与える時には少量と言われていますが、その理由についても紹介していきます。
1.1.海苔は少量なら栄養補給になる
海苔などの海藻類は、ビタミン・ミネラル・食物繊維・カルシウムが多く含まれている健康食品といえます。
味付きではない焼き海苔は、犬にとっても優良な食品といえます。
最近は乳製品アレルギーの犬もいますが、そのような犬にとっては海苔を食べることによって、カルシウムを摂取することができます。
ただし、いくら優良な食品とはいっても、毎日のように与えすぎていては、犬の健康に害を及ぼす場合もあります。犬に海苔を与える時には、少量にしておきましょう。
1.2.犬は海苔を消化できる?下痢にならない?
海苔は食物繊維が大変豊富な食品になります。便秘がちな犬に少量与える程度であれば、便秘解消に繋がることもあります。
ただし、与えすぎてしまうと今度はその食物繊維の多さと、海苔特有の消化の悪さから下痢になってしまうことがあります。
せっかく便秘のために与えたのに、下痢になってしまったのでは意味がありません。犬に与える量ですが、いつも食べているフードのうえに、小さくちぎった物をパラパラと散らす程度で十分です。
人が蕎麦を食べる時に刻みのりが上にかかっていますよね。あれ位のイメージです。
直接海苔だけを犬に海苔を与える時には、大きい1枚のまま渡してしまうのではなく、飼い主さんが小さくちぎった物を与えるようにしてください。
1.3.犬に海苔を与え過ぎるとどうなる?
ミネラル成分が豊富な海苔には、カルシウムやマグネシウムが大変多く含まれています。
人にとっては、是非積極的に取り入れたい成分ではあるのですが、犬の場合は少し事情が違ってきます。
犬がカルシウムやマグネシウムも摂り過ぎてしまうと、それらが体内で固まって結石になってしまう恐れがあります。その結果、尿路結石症にかかりやすくなってしまいます。
犬が尿路結石症になると、まず初期症状としておしっこの出る感覚が分かりにくくなるようです。そのため、いままではきちんとトイレでできていたのが、感覚が鈍るせいなのか失敗をするようになり、症状の悪化と共に失敗する回数も増えていきます。
症状の悪化と共に痛みも出てきますので、排尿の時には苦痛でうめくような様子を見せることもあります。
また、おしっこが思うように出なくなることから、元気がなくなり食欲不振につながっていくことが多いようです。その結果体力もだんだんと衰えていき、最悪の場合はおしっこが排出されずに身体に周り尿毒症になってしまう犬もいます。
特に結石のできやすい犬種が下記になります。
- パグ
- ペキニーズ
- ヨークシャーテリア
- ビーグル
- コーギー
- ミニチュアダックスフント
- ブルドック
これらの犬に海苔を与えるようであれば、極力少なめにするほうがいいでしょう。
上記にあげた犬種以外でも、結石にならないということはありませんので、くれぐれも海苔の与えすぎには注意するようにしてください。
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2.犬に海苔をあげることの3つのメリット
犬に海苔を与える時には、あまり大量に与えるとよくありませんが、少量であればそれなりのメリットもありますので、それらを紹介していきます。是非海苔を犬に与える時の参考にしてください。
2.1.ガンや老化の予防
海苔にはβカロチンやビタミンCなどが多く含まれていて、これらには抗酸化作用があります。この抗酸化作用は、活性酸素の働きを抑制してくれますので、活性酸素が必要以上に増え過ぎて細胞を傷つける心配が減ることになります。
活性酸素によって細胞が必要以上に傷つけられてしまうと、老化やガンの原因になることがありますので、抗酸化作用のある物を身体に摂り入れることで、老化やガンの予防に役立つといえます。
高齢の犬に海苔を適量与えていたら、パサパサしていた被毛にツヤが出てきたという話もありますので、適量を上手に与えていくようにしましょう。
2.2.ビタミン豊富
海苔には下記のビタミンが豊富に含まれています。
ビタミンA
視力の低下予防や、粘膜を健康な状態に保つ助けをしてくれる効果があります。
ビタミンB群
ビタミンB群は、エネルギーを作るのに必要なビタミンですので、これを摂取するとエネルギーを効率的に作ることができます。結果的には疲労回復の効果を期待できます。
ビタミンC
コラーゲンの生成や抗酸化作用の働きを助けてくれますので、皮膚を健康に保つ効果が期待できます。
2.3.豊富なミネラル成分
海苔にはミネラル成分が豊富に含まれているのは有名だと思います。ミネラルは人の身体にも大変いい成分ですが、犬の身体にもいい働きをしてくれます。
カリウム
カリウムを適度に摂取することで、体内に溜まった余分な塩分を対外に排出をしてくれます。
カルシウム
カルシウムをきちんと摂取していると、丈夫な骨や歯を作るのに役立ちます。骨粗しょう症予防にも効果があるといわれています。
最近増えてきている乳製品アレルギーの犬はカルシウム不足になりがちですが、海苔からカルシウムを摂取することもできます。
鉄分
健康的な血を作ってくれますので、貧血予防に効果があります。
3.海苔を犬にあげる時の注意点
海苔を犬に与える時には、与える量はもちろんですが、その与え方にも注意を払わなくてはいけません。
また、市販されている海苔には様々な種類がありますが、犬に与える海苔は味の付いている物や加工してあるものは避けるようにしましょう。
3.1.海苔の量や与え方について
犬に海苔を与える時には、大きなまま与えてしまうと口の中に海苔が張り付いてしまうことがあり、取り除くのが困難になってしまうことがあります。
また、喉などに張り付いてしまうと、窒息をしてしまう可能性もありますので、海苔は必ず小さくちぎって与えるようにしてください。
そして、小さくちぎった物でも水分を含んで口の中で張り付いてしまうこともありますので、犬が海苔を食べている時には、飼い主さんがそばにいるようにしましょう。
海苔の張り付き事故を防ぐためにも、海苔はぬるま湯にいれて溶かしたものをフードにかけて与えてあげるのがおすすめです。
海苔を犬に与える時の適量が下記になります。
- 5㎏程度の小型犬・・・0.5g(大判サイズの約1/4弱程度)
- 10㎏程度の中型犬・・・0.8g
- 20㎏程度の大型犬・・・1.5g
これは1回ではなく1日の適量となります。適量とはいっても毎日与えてしまうと、過剰摂取になってしまう可能性もありますので、海苔は時々与えるくらいがちょうどよいのかもしれません。
また、この適量よりも少なめに与えているにも関わらず、便がいつもより柔らかくなってしまったり、下痢をしたりする時には海苔はその犬の体質に合っていない可能性がありますので、与えるのは少し控えた方がいいかもしれません。
3.2.味付け海苔はNG
人がそのまま食べても美味しく感じる味付け海苔は、犬の身体にとっては危険と感じるほど塩分が多過ぎます。
塩分の強い味付け海苔を犬に与え続けてしまうと、塩分摂取が過剰になり心臓や肝臓には大変な負担をかけることになり、内蔵疾患を患う可能性が大変高くなります。
また、慢性的に塩分を過剰に摂取していると、人と同じように高血圧の症状や腎臓機能の低下にも繋がり、皮膚のトラブルを引き起こすこともあります。
ただし味付けでない普通の焼き海苔にも、実は塩分は含まれています。結石などになる可能性も含め、与える時には少量にしましょうというのは、塩分の過剰摂取を防ぐためでもあります。
犬の塩分摂取量は飼い主さんが管理してあげるしかありませんので、気を付けるようにしてください。
3.3.最初は少量ずつ
最近は食物アレルギーを持つ犬が増えてきていて、稀に海苔を食べることでアレルギー症状を発症する犬もいるようです。
初めて海苔を与える時には、少量を与えてしばらく様子をみて、だんだんと慣らしていくようにしましょう。
- 皮膚を痒がる
- 嘔吐や下痢をする
- 目が充血してくる
万が一これらの症状が出てしまった時には、海苔を与えるのはすぐにやめて、動物病院でアレルギー検査をしておくと安心です。
3.4.持病持ちの犬は要注意
海苔には甲状腺ホルモンの主原料であるヨウ素も多く含まれています。犬のなかには、甲状腺の病気でヨウ素(ヨード)制限を獣医師から告げられている場合があります。
このような場合には、海苔を与えることはやめておきましょう。
その他にも、腎臓病などを患っていてカリウム制限などがある場合にも、海苔は与えるべきではありません。
もしも与える場合には、必ず獣医師に相談してからにしてください。
3.5.海苔好きな犬
「うちの犬は海苔が大好物なの」と言う飼い主さんは意外と多いようです。でも、本当に犬は海苔が大好物なのでしょうか。
海苔は磯の香りがする食べ物で、嗅覚のいい犬にとってはその匂いは食欲をそそる可能性はあります。
本来タンパク質である肉を喜ぶ性質を持っている犬にとっては、実際に海苔を食べた時に、それほど幸福感を得られるとは少し考えにくいです。
海苔が犬の好物だと思っている飼い主さんは、犬が海苔を食べている姿を見ると「やっぱり好きなのね」と思い、嬉しそうな顔をしていると思います。
飼い主さんの喜ぶ顔を見るのが大好きな犬は、自分が海苔を欲しがって食べると飼い主さんが嬉しそうにすると結び付けて記憶してしまったのかもしれません。
必ずしもそうだとは言えませんが、好物と思って毎日与えてしまうと病気のきっかけにもなりかねませんので、毎日与えるのは避けるようにしましょう。
ただ、毎日の海苔がご褒美となってしまっている犬にとって、突然もらえなくなってしまうのは楽しみが減ってしまい残念なことですので、海苔をあげる分、何か別のおやつを用意してあげて、海苔と交互に与えるなどの工夫をしてあげてください。
3.6.手作り海苔
飼い主さんが適量を与えようと思っても、犬がどうしてもせがむのでつい多めにあげてしまうという飼い主さんのために、市販の焼き海苔を使用して犬用の減塩海苔の作り方を紹介します。
用意するもの
味の付いていない焼き海苔・お湯
作り方
- お湯を沸かしたお鍋の中に海苔を入れて、ドロドロに溶かします。この時お湯の量は多めにしてください。そのほうが海苔の塩気がきちんと抜けます。
- 海苔の塊がなくなってドロドロの状態になったら、巻きすや目の細かいザルに海苔を流して水気を切ります。お湯は全て捨ててしまって構いません。
- 巻きすやザルの上に残った海苔を薄く伸ばして、完全に乾くまでよく乾燥させます。
- 完全に乾いてシート状になった海苔を、トースターなどで軽く火を通すと海苔の匂いが立つようになります。
この手順で犬用の減塩海苔ができあがります。ただし、これはあくまでも減塩であって、塩分が完全に抜けるわけではありません。与える量には注意するようにしてください。
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4.海苔以外の海藻類
海苔はご存知の通り海藻の一種ですが、海苔以外の海藻について、犬の身体にいい効果があるものを紹介していきたいと思います。
青のり・あおさ
青のりやあおさには、ビタミンやミネラルはもちろんですが、他の海藻よりもマグネシウムが多く含まれています。マグネシウムは体内のバランスを調整してくれる役割をしてくれます。
ただし、犬が下痢気味の時には、このマグネシウムが下痢の症状を悪化させてしまうことがありますので、そのような時には与えることはやめておきましょう
昆布
他の海藻と同じく、カルシウムやミネラル分が豊富に含まれています。動脈硬化や高血圧の予防に役立ちますので、昆布で出汁をとって野菜などを煮たものをあげるのがおすすめです。
とろろ昆布
生の昆布を薄く削って作られたものです。昆布の栄養素はそのまま含まれているうえに、薄く削られているので犬にも食べやすいといえます。
水分を含むと少しとろみを持ちながら膨張しますので、ダイエットをしている犬に与えると少量でも満腹感が得られます。
とろろ昆布の持つ粘り気は食物繊維なので、これを摂取することで腸内環境を整える効果も期待できます。
わかめ
わかめにもミネラルや食物繊維が豊富に含まれていて、抗酸化作用がありますのでガン予防の効果も期待できます。
5.まとめ
犬に海苔を食べさせていいのか、という疑問について紹介すると共に、海苔の持つ栄養についても紹介してきましたがいかがでしたでしょうか。
海苔は犬に食べさせること自体には全く問題はありません。人にとっても栄養豊富で大変貴重な食品ですので、犬にとってもそれは同じことといえます。ただし、犬に海苔を与えるのであれば、その量に注意しなくてはいけません。
1日に与える適量についても、実際のグラム数で紹介しましたが、この適量を守っていたとしても、毎日あげるのは避けるようにしてください。
味の付いていない焼き海苔でも塩分は多少なりとも含まれていますので、毎日与え続けることにより塩分の過剰摂取になりかねません。
また、海苔に対してアレルギー症状を起こす犬も稀にいるようですので、海苔を与えた後にいつもと違う様子が見受けられましたら、与えるのはすぐに中止し念の為動物病院にてアレルギー検査をしてもらうようにしましょう。
海苔は適量を与えることによって、健康維持にも繋がる優良な食品ですのですので、与え方や与える量に十分注意をしながら、犬の健康維持に役立ててあげてください。
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