愛犬にマウンティング、止めさせるべきか、そのままでいいのか悩んでいませんか?
マウンティングは本能的な行動で、特に問題行動というわけではありません。
でも人に見られると恥ずかし思いをしてしまいますし、知らない犬や人にマウンティングをしてしまうと、とても不快な思いをさせてしまうことになります。
マウンティングには様々な理由と原因があり、止めさせたほうが良い場合も多いのです。
そこで今回は、マウンティングの原因、マウンティングの対象物によって違いがあるマウンティングの意味、効果的な止めさせ方について詳しく紹介していきます。
マウンティングは問題行動ではないですが、習慣化することは少し問題です。
愛犬と気持ち良くドッグランなどへ出かけるためにも公共の場でのマウンティングは止めさせたいですね。
マウンティングに悩んでいる飼い主さんたちは、愛犬に合った対処法を見つけて実行してみてください。
目次
1.どうしてマウンティングするの?パターン別理由と問題点
1.1.飼い主-上下関係の確認・遊び-
1.2.メスの犬-本能・繁殖行為-
1.3.オスの犬 -コミュニケーション-
1.4.クッション・ぬいぐるみ -支配欲-
1.5.その他
1.6.習慣化と出血には要注意!
2.マウンティングを止めさせるための効果的な方法
2.1.リードをひいてショックを与えよう
2.2.対象物(ぬいぐるみ等)は撤去しよう
2.3.去勢・避妊手術を行う
1.どうしてマウンティングするの?パターン別理由と問題点
犬が犬同士で、またはぬいぐるみやクッションに、そして人間の足などに絡み付いて腰を振る行為を見たことがある人も多いことでしょう。
また所かまわずその行為をする犬に困っている飼い主さんもいることでしょう。
犬が腰を振るのは「マウンティング」と呼ばれる行為です。
マウンティングとは馬乗りになる行為のことを言います。
一般的にこの行為はオスの交尾の時の動きですが、犬のマウンティングには複雑な意味があり、オスだけでなくメスまでもがマウンティングをすることがあります。
何に向かってマウンティングをしているかで、その理由を探ることができます。
ここではマウンティングのパターン別に、その理由と問題点を考えていきます。
1.1.飼い主-上下関係の確認・遊び-
愛犬にマウンティング行動をされた経験がある飼い主も少なくないことでしょう。
飼い主へのマウンティングは何を意味するのでしょうか?
飼い主へのマウンティングは、犬が自分のほうが強いということをアピールする行動です。
犬は上下関係を意識する動物なので、飼い主にマウンティングするということは、飼い主を自分よりも下に見ているということになります。
犬の愛情表現だと受け取っていると、犬との上下関係、信頼関係が崩れてしまいますので、飼い主へのマウンティングは止めさせなければなりません。
飼い主へのマウンティングを許していると、やがては飼い主を支配したいという気持ちが強くなっていき、言うことを聞かなくなってしまいます。
犬を飼うときには犬との信頼関係をしっかりと築くこと、上下関係をしっかりと意識させておくことですので、自分のほうを上に見ているのは、ちょっと問題があるということになってしまいます。
また人前で飼い主が飼い犬にマウンティングしていると、とても恥ずかしく気まずい空気になってしまいます。
そればかりか人間を下に見てしまったばかりに、噛み付くなどの問題行動を起こしてしまっては取り返しがつかなくなりますので、飼い主や他の人間へのマウンティング行為はダメなものだとしっかりとわからせるようにしましょう。
止めさせ方が中途半端であると、犬は飼い主が遊んでくれていると思ってしまいます。
マウンティングが楽しい遊びだと認識してしまうと、余計にマウンティングを止めなくなってしまいます。
止めさせる時は徹底して止めさせて、上下関係をしっかりと確認させておくようにしましょう。
1.2.メスの犬-本能・繁殖行為-
オスの犬がメスの犬にマウンティングするのは本能と言えるでしょう。
オスの犬は生後半年位で性成熟期に入ります。
子犬から飼っている場合、生後半年を超えてからクッションなどにマウンティングしているのを見て戸惑う飼い主さんも多いですね。
特に飼い主さんが女性の場合、気まずいような感じがして、どうやって叱れば良いのか、叱って良いものかがわからなくなります。
オス犬がメス犬にマウンティングする場合、子孫を残そうという本能で行なわれることが多いです。
オス犬は性成熟期に入ると、実際に交配することが可能になります。
オス犬には発情期というものがなく、メス犬のヒート(発情期)に誘発される形で発情します。
家庭で飼われている犬は、まだ成犬になっていない段階で交配させることを考えている飼い主さんは、ほとんどいないことでしょう。
オスの犬はヒート中のメス犬に誘発されることがないと発情することはありませんので、ヒート中のメスをオスの成犬に近寄らせないようにすることが大切です。
放っておくと望まない形で妊娠してしまうことがあります。
ヒート中のメスの犬はドッグランやペット宿泊可の宿泊施設でも利用禁止になっていることが多いです。
オスの犬を飼っている飼い主さんだけでなく、メスの犬を飼っている飼い主さんも注意しなくてはいけないことですね。
メスの犬がヒート中にマウンティングすることも、よくあります。
メスの犬の場合は、ヒートの期間だけにマウンティングが見られるので、性的な興奮が原因になっていることがほとんどですが、気が強いメス犬の場合は、上下関係の確認という意味が含まれていることもあります。
メスの場合はヒート期間が終るとマウンティングも治まります。
メスのヒート期間は年に二度位ですが、その期間、飼い主さんはオスに近づけないようにする、マウンティングをなるべく止めさせるようらにするなどの注意が必要になります。
1.3.オスの犬 -コミュニケーション-
オスの犬がオスの犬にマウンティングをすることもよくあります。
この場合はもちろん繁殖行為ではなく、コミュニケーションとして行なっていることが多いです。
仲良しの犬に「一緒に遊ぼう」というサインを送っていると考えることができます。
もちろん上下関係の確認のために行うこともありますが、相手が仲良しの犬の場合はコミュニケーションと考えるほうが自然です。
コミュニケーションと考えると微笑ましくもありますが、犬のマウンティング行為は犬を飼っている人にも嫌悪感を持つ人が多いです。
たとえ散歩のときによく出会う仲良しの犬であっても、マウンティングされることを嫌がる人が多いので、マウンティングは止めさせるようにするに越したことはないでしょう。
1.4.クッション・ぬいぐるみ -支配欲-
犬は犬同士や飼い主などの人間の他にも、クッションやぬいぐるみなどにマウンティング行為をすることがあります。
生き物ではないクッションやぬいぐるみにマウンティングするときは、犬や人間にする時とは、また別の理由があります。
犬がマウンティングするクッションやぬいぐるみは、普段その犬がお気に入りとして寝たり遊んだりしているものであることが、ほとんどです。
犬がクッションやぬいぐるみにマウンティングする時は、そのクッションやぬいぐるみがお気に入りであり、それを独占したいという表れであることが多いです。
独占欲や支配欲からマウンティング行為につながっているのですね。
エスカレートしてくるとクッションやぬいぐるみのとどまらず、布団や枕にまでマウンティングすることもあるので、どこで止めさせるかが難しいところです。
飼い主や犬へのマウンティングがダメで、クッションやぬいぐるみへのマウンティングはOKとしてしまっても犬にはどうしてダメなのかOKなのかは区別できません。
マウンティングを止めさせる場合は、犬や人へのマウンティングと同様にクッションやぬいぐるみへのマウンティングも止めさせることが大切です。
止めさせる際に大切なことは、マウンティング行為の最中にクッションやぬいぐるみを取り上げないことです。
興奮しているので、大好きな飼い主であっても噛み付いてしまう恐れがあります。
また騒ぎ立ててもいけません。
マウンティングしている最中に騒いでしまうと、マウンティングすると飼い主にかまってもらえると考えて、よりひどくなって止めなくなってしまう可能性があります。
1.5.その他
犬のマウンティングはストレスが原因となることも、とても多いです。
性成熟期前の子犬やメスの犬、去勢した犬にもマウンティングが見られることがあるのは、ストレスが原因と考えれば頷けます。
ストレスがかかったときに体から出るコルチゾールというストレスホルモンの影響でマウンティング行為をしてしまいます。
マウンティングの原因で、実は一番多いのではないかと言われているのが、このストレスホルモンの影響です。
犬のマウンティング行為の原因がわからない場合、まず犬がストレスを感じる環境になっていないかを確認する必要があります。
犬は様々なことでストレスを感じます。
かまってもらえない、叱られてばかりいる、留守番が多い、引越しなどで環境が変わった、家族が増えた、寒い・暑い、新しい犬を飼い始めた、怖いものがある、自分の居場所がない、などは犬にとってはいずれも大きなストレスとなります。
これらの環境にある犬がストレスのためにマウンティングをするということは、とてもよくあることです。
ストレスが原因になっている場合、マウンティングだけを止めさせても、別の行動に出てしまいますので、何がストレスになっているかを知り、原因になっていることを取り除いてあげることが大切です。
習慣化してしまう前にストレスを取り除いてマウンティングを止めさせるようにしないと、止めさせること自体がとても難しくなってしまいます。
1.6.習慣化と出血には要注意!
マウンティングは止めさせずに放置していると習慣化してしまうことがあります。
習慣化してしまうと興奮するたびにクッションやぬいぐるみを持ち出してマウンティング行為をしてしまうようになります。
犬は悪いことだとは思っていないので、飼い主さんから止められることがなければ、してもいいものだと考えてしまいます。
習慣化してしまうと散歩をしていても他の犬や人間にマウンティングしてしまい、その犬の飼い主さんに不快な思いをさせてしまいます。
また家の中で来客があった時にマウンティングをしていると、気まずく恥ずかしい思いをすることになります。
習慣化して頻繁にマウンティングをするようになると皮膚が擦れて出血してしまうことがあります。
マウンティングしているぬいぐるみやクッションの布地の素材には出血しやすいものがあります。
人間の腕や脚にマウンティングをしてしまう犬も、衣服の布地に皮膚がこすれてしまい出血してしまうことがあります。
出血がすぐ止まるのなら、犬が傷口を舐めないように様子を見てあげてください。
出血がひどくて止まらないようであれば動物病院で診てもらうようにしましょう。
出血する場所が場所なだけに、とてもデリケートですので、感染症を起こすことも考えられます。
マウンティングは止めさせるに越したことはありません。
出血するまで習慣化してしまった場合は、すぐに対策を考えることが必要です。
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2.マウンティングを止めさせるための効果的な方法
マウンティングは犬にとっては異常な行動でも何でもありません。
どの犬にも考えられる行動です。
しかし知らない犬や人など、誰彼かまわずマウンティングするのは止めさせなければなりません。
マウンティングを止めさせるのは簡単なことではありませんが、効果的な方法を3つ説明しますので、根気よく試してみてくださいね。
2.1.リードをひいてショックを与えよう
散歩のときなど、リードをつけている時に他の犬や人間に飛びかかってマウンティングしようとしたら、リードをひいてショックを与えてみます。
少し緩めてから一気にひくと効果的です。
リードをひかれることで犬はびっくりしてしまいますが、興奮状態になっていたのが、それで冷静になることができます。
一度では効果はあまりありませんが、何度か行うことにより、マウンティングしようとすると嫌なことが起こる、と考えるようになって、リードをつけている時にマウンティングは行わなくなっていきます。
この場合に注意しなければいけないのは、リードをひくだけにしておく、ということです。
飼い主がリードをひく時に大声を出してしまうと、犬は飼い主が喜んでくれていると勘違いしてしまい、効果がなくなってしまうことがあります。
犬を冷静にさせるためには飼い主も冷静になることか必要です。
2.2.対象物(ぬいぐるみ等)は撤去しよう
家の中でぬいぐるみやクッションでマウンティングをする場合は、マウンティングの対象となっているぬいぐるみ、ソファ、毛布などは撤去してしまいましょう。
どうしても目につくところにあると、興奮状態になる度にマウンティング行為をしてしまい習慣化してしまいます。
対象物がなくなってしまうと、ぬいぐるみやソファにだけマウンティングしていた犬は、マウンティングをしなくなります。
ストレスからマウンティングをしていた犬は対象物がなくなっても、マウンティング以外の他の行動に出てしまうことが考えられますので、ストレスの原因を見つけて、それを取り除いてあげることが必要です。
2.3.去勢・避妊手術を行う
去勢手術や避妊手術は交配を考えていない犬が行う手術であり、マウンティング行為を止めされるための手術ではありません。
家庭で飼われている犬の場合、オスなら去勢手術、メスなら避妊手術を動物病院で勧められることが多いです。
望まない妊娠を避けるという意味だけでなく、この手術には大きな意味があります。
その中にマウンティングを止めさせるという効果も含まれます。
動物の本能として、子孫を残すことがあります。
去勢手術や避妊手術をしないと性成熟期になっても交配できないというストレスが溜まってしまいます。
このストレスがマウンティングの原因となってしまうこともあります。
手術をすることによって、これらのストレスから解放されてマウンティング行為をなくす、または減らすことが可能です。
去勢手術や避妊手術は受けたからと言っても、必ずしもマウンティングをしなくなるということはありませんが、手術を受けることで避けられる病気が多く、手術を受けた犬のほうが長寿であるとも言われています。
健康上、特に問題がなく、交配を考えていないのであれば、去勢手術や避妊手術は検討してみるべきではないでしょうか。
3.しつけ方2つのポイント
- 2つの体験を学習させること~マウンティングをすると嫌なことが起きる、マウンティングを止めると良いことが起きる~
犬のマウンティングをやめさせる効果的なしつけ方は、「マウンティングをすると嫌なことが起きる」、「マウンティングを止めると良いことが起きる」という経験をさせることです。
他のどのしつけでもこの方法は使いますが、マウンティングを止めさせるしつけの場合は少し根気が必要です。
犬が大好きな飼い主にされて嫌なことは「無視される」ということです。
家の中で愛犬がマウンティングをしたら、徹底的に無視してください。
声を出して騒ぐと、喜んでもらえていると考えて、余計にエスカレートしてしまうことがあります。冷静に騒がずに無視すること大切です。
マウンティングをする度に無視され続けると、愛犬は「マウンティングをすると飼い主さんにかまってもらえない」と感じて、次第にマウンティングしなくなってきます。
習慣化している場合は無視していてもマウンティングを止めない犬もいます。
その場合はマウンティングをしそうになったらケージかクレートに入れて1匹にさせてください。
もちろんマウンティングの対象物は取り上げます。
いきなりポツンと一匹にされてしまった愛犬は、何度か繰り返すうちに「マウンティングすると嫌なことが起きる」とインプットされていきます。
次に散歩に出たときに他の犬に飛び掛ってマウンティングしそうになった時、リードを一旦緩めてひいてみてください。
愛犬はびっくりして冷静さを取り戻すと同時に、リードをひかれるという不快感が残ります。
ここでも「マウンティングすると嫌なことが起こる」と言う風にインプットされます。
「マウンティングすると嫌なことが起こる」という経験をすることで、マウンティングを止めさせることはできるでしょうが、それだけでは愛犬にストレスが溜まってしまいます。
「マウンティングを止めると良いことが起きる」という経験もさせてあげなくてはいけません。
いつもマウンティングするシーンで、しつけがうまくいってマウンティングをしなくなったことに気がついたら、思い切りほめてあげて、愛犬が好きなおやつを与えたり、好きなおもちゃで遊んであげたりしてください。
ほめるときにはオーバーなくらいにほめてあげるのがコツです。
飼い主に対するマウンティングを止めさせたい場合は、まずは主従関係を見直すようにしましょう。
飼い主よりも犬のほうが上だということを確認するために飼い主にマウンティングをしていることが多いので、改めて飼い主が上なのだということを愛犬にわかってもらうことが必要です。
犬によって何が「嫌なこと」か「良いこと」なのかは違ってきます。無視したほうが効果的なのか、リードをひくほうがいいのかは個体差がありますので、愛犬にはどの方法が一番効果があるのかを考えて行ってみてくださいね。
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4.まとめ
犬のマウンティング行為は犬の本能によるもので、行動自体は問題があるものではありません。
飼い主さんによっては、特に止めさせることなく容認していることもあります。
しかし散歩やドッグランなどの公共の場所で、他の犬やその犬の飼い主さんにマウンティングをするのは、やはり問題行動と言えるでしょう。
知らない犬にマウンティングされて喜ぶ人はいませんし、犬が苦手な人はますます苦手になってしまいます。
マウンティングをした相手の犬が子犬だった場合、その犬が犬嫌いになってしまうこともあり得ます。
ドッグランなどではマウンティングを禁止しているところもありますので、少なくとも公共の場ではしないようにしつけるようにするべきなのでしょう。
飼い主に対してマウンティングをしている場合、放置していると飼い主よりも自分のほうが上だと考えてしまい問題行動に出ないとも限りません。
外出先で飼い主にマウンティングをしているのを見られた時にも、恥ずかしいだけでなく、犬のしつけができていない飼い主だと見られることもあります。
ドッグランなどにも気持ちよく行くためにも、しつけは必要ですね。
マウンティングをする原因は本能的なもの、支配欲、コミュニケーション、遊びなど様々ですが、ストレスも大きな原因になります。
ただ止めさせようとするよりも、ストレスの原因を取り除くことが必要です。
毎日、散歩などで健康的に体力を消耗していると、ストレスが発散できるので、マウンティングでストレスを発散させることを減らすことができるでしょう。
マウンティングが習慣化してしまうと、止めさせることが難しくなりますが、出血して感染症を起こすなどの危険性があります。
とても根気が必要になりますが、愛犬に合う方法を見つけて、うまくやめさせてあげたいですね。
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