愛犬を歩かせるとき、リーダーウォークをしていますか?
リーダーウォークをしていないと、愛犬が散歩のときに好き勝手なところに行こうとしたり、グイグイ引っ張ったりして大変ですよね。
特に大型犬の場合だと、小さい子どもや年配の方だと散歩ができません。リーダーウォークをしっかりしつけることで、愛犬がリードを引っ張ったり、好き勝手なところに行こうとしたりする行動が抑えられるのです。
そこで、今回はリーダーウォークのしつけをしていないとどうなるのか、リーダーウォークに必要なもの、上手なリーダーウォークのしつけ方などを紹介していきます。
リーダーウォークのしつけは簡単なことではなく、とても根気が必要ですが、これを読んでリーダーウォークがとても大切なものだと思っていただけると幸いです。
人間と一緒に暮らしていくには、とても大切なリーダーウォーク、ぜひとも実践してみて欲しいです。
目次
1.リーダーウォークが出来るようにするには?
1.1.リーダーウォークって何?
1.2.どうしてリーダーウォークをした方が良いの?
1.3.最適なリーダーウォークの開始時期
2.上手なリーダーウォークのしつけ方
2.1.事前に準備すること
2.2.リーダーウォークのしつけ方法
2.3.飼い主が気をつけたい3つのこと
3.Q&A~こんな時はどうするの?~
3.1.犬がリードを引っ張る・歩かない
3.2.草やゴミなど他の物の匂いを嗅いでしまう
3.3.時間が経つにつれていうことをきかなくなる
3.4.いつまで経ってもリーダーウォークが身につかない
1.リーダーウォークが出来るようにするには?
リーダーウォークと言う言葉を聞いたことがありますか?犬の散歩をしている人を見ると、犬が人間の前をぐいぐいと引っ張って歩いている姿を見ることがあります。
犬が主導して歩く歩き方はリーダーウォークとは言えません。
リーダーウォークとは、人間がリーダーであることを犬に認識させて、犬が人間につかず離れず寄り添って歩く方法です。簡単そうで難しいリーダーウォーク。この歩き方は実は犬の安全や健康を守るために、とても重要なのです。
リーダーウォークが出来るようになるには、トレーニングが必要になります。
まずここでは、リーダーウォークは何か、なぜ必要なのか、いつから始めれば良いのかを説明していきましょう。
1.1.リーダーウォークって何?
リーダーウォークというのは飼い主主導による歩き方のことです。
犬は自分よりも上だと思った人や動物について行ったり甘えたりする性質があります。この性質を利用して、犬に飼い主が上だと思わせることによって、散歩のときにぐいぐい引っ張ることなく後について来させることです。
リーダーウォークの歩き方は、飼い主につかず離れず寄り添う歩き方です。
飼い主が持っているリードが、犬に引っ張られてピンと張っているのではなく、少したるむくらいがちょうど良い加減です。
リーダーウォークは英語では「Loose Leash Walking」と言い、「引綱(リード)が緩んだ状態で歩くこと」を意味しています。
1.2.どうしてリーダーウォークをした方が良いの?
リーダーウォークは、ただ飼い主をリーダーであると思わせる訓練であるというだけでなく、もっと重要な意味があります。
それは犬の安全と健康を守るということです。犬をノーリードで歩かせた場合、他の犬や人に跳びかかる、拾い食いをしてしまう、自転車に飛び掛って乗っていた人間に怪我をさせる等の危険があります。
他の人間や犬に怪我をさせた場合は、賠償金を請求されることもあり得ます。また犬自身も自動車や自転車にはねられてしまう危険性も高いです。公道をノーリードで歩かせるということはタブーであるということは、犬の飼い主であれば誰もが知っておかなくてはいけないことであり、常識です。
それではリードをつけていれば安全なのかと言うと、決してそういうわけでもありません。首輪をつけた状態で犬が無理にリードをぐいぐい引っ張ったり、逆に引っ張って前を歩こうとする犬を飼い主が引き戻そうとリードを強く引っ張ったりすると、犬の健康に影響が出てくることがあります。
散歩のたびに毎回リードを強く引っ張ることで首に影響が出るだけでなく、脳や眼球にも悪影響を及ぼすことがあります。
このように、犬の安全のためにリードをつけて犬を歩かせなくてはいけないのですが、リーダーウォークをしないまま、犬や飼い主がリードを強く引っ張りながら歩かせるということを続けていると、慢性的な首への刺激により犬の健康に悪影響を与えることになるのです。
1.3.最適なリーダーウォークの開始時期
リーダーウォークは正しい歩き方ですので、散歩を始める時期になるとリーダーウォークを教え始めていくとマスターするのも早くなるのではないでしょうか?具体的には生後3~4ヶ月位の頃から散歩を始めることが多いので、その時期から始めてみるといいですね。
まずは首輪とリードに慣れてもらわなければなりません。いきなり慣れない屋外に出ると、外の刺激に驚いたり怖がったりして普通に歩くこともできなくなる可能性があるので、室内で首輪とリードに慣れる練習から始めましょう。
子犬は集中力がありませんので、あまり長時間にわたってしつけようとしても効果がありません。焦らずに少しずつ行っていくようにしましょう。
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2.上手なリーダーウォークのしつけ方
リーダーウォークのしつけ方も、間違ってしまうと、いつまで経っても身につかないということになってしまいます。上手くいくと、それほど時間もかからずにリーダーウォークを身につけることができます。
リーダーウォークのしつけ方のコツと、準備しておいたほうが良い物などを説明してみましょう。
2.1.事前に準備すること
リーダーウォークのしつけのためには、身に合った首輪と適度な長さのリードがまず必要です。上手くできたときのご褒美(おやつ)も用意しておいたほうがいいでしょう。
おやつは食事が食べられなくなるほど与える必要はありませんので、愛犬が食べ慣れていて美味しいと感じている好物で低カロリーのものにします。おやつを食べる習慣がなければ好きなドッグフードでも良いですし、なくてもかまいません。
ご褒美と反対に、犬がぐいぐいとリードを引っ張ってしまったときに軽い不快感を与えさせる「ヘッドカラー」という道具がありますので、手に入れることができれば便利です。
ヘッドカラーはアメリカの動物行動学者などによって開発された引っ張り防止アイテムで、犬がリードを強く引っ張るとマズルに圧力がかかり、犬に適度な不快感を発生させます。
ヘッドカラーは優位の犬が劣位の犬のマズルを噛んで押さえつけるという行動パターンを再現させるもので、身体的なダメージはあまりありません。安心して使うことができる道具ですが、もちろんなくてもしつけはできます。
トレーニング時には集中できる環境が大切なので、そういう環境の場所を選んでしつけを行いましょう。
2.2.リーダーウォークのしつけ方法
初めは簡単なしつけから始めます。リードをつけて歩かせ、犬がリードを引っ張って好き勝手な方向に進もうとしたら、飼い主はそのまま進まずに立ち止まります。
立ち止まっている時に犬の方を見てはいけません。目を合わせないで反対方向に向きを変えます。犬がそばに寄ってきたら、また歩き始めます。基本はこの繰り返しです。犬が寄ってきて歩き始めたら、ほめてあげましょう。
実際におやつやヘッドカラーを使ったしつけの方法を説明します。まずはリードをつけて歩くということに慣れることから始めます。その時点では飼い主のことは無視して、自分の好き勝手に動いていくことでしょう。次に飼い主の前に出たことによって軽い刺激を与え、それを罰と考えさせます。
犬がリードを引っ張ることによってリードがピンと張り、首に圧力が加わることによって不快感を感じているのです。その不快感から逃れるために引っ張ることをやめる、ということが狙いなのですが、それだけですんなりと引っ張ることを止める犬は多くありません。
そこでヘッドカラーを使用してみましょう。ヘッドカラーを装着している状態では、リードを引っ張れば引っ張るほど、強い不快感を感じ、正面を向いていられなくなります。何度か繰り返すと、犬は「リードを引っ張って歩くと嫌なことが起きる」と学習していきます。
引っ張ることで嫌なことが起こると学習した犬は、嫌なことが起こらないように飼い主のそばに寄り添ってきます。このタイミングを見計らって「いいこ!」というほめ言葉と一緒におやつを与えます。これを繰り返すことで犬は「飼い主のそばにより添えば良いことが起きる」と学習します。
ここまでできるようになると、今度は歩く速度や歩くルートを変えてみます。速さやルートを変えても同じことができるように根気よくしつけていきます。
そしてできるたびに与えていたおやつは、少しずつ減らしていくようにしましょう。毎回おやつを与えていたのではおやつに飽きてしまい、いくら低カロリーのものでも肥満の原因になったり食事に影響が出てきたりしてしまいます。
最終的には「いいこ!」というほめ言葉だけで犬がリーダーウォークをマスターしてしまうようにしつけていきましょう。
おやつをもらえなくても犬の頭の中に「間違った行動(リードを引っ張って好き勝手に動く)→悪いことが起きる(引っ張ることで首に不快感)→飼い主のそばに寄り添う→良いことが起きる(飼い主がほめてくれる)」とインプットされるとリーダーウォークはほぼマスターできたと言えるでしょう。
2.3.飼い主が気をつけたい3つのこと
リーダーウォークのしつけで、特に飼い主が気をつけたいことが3つあります。
- リードを引くタイミング
- 号令のかけ方と表情
- うまくできた時はとことんほめてあげる
この3点に気をつけるとリーダーウォークのしつけは、よりうまくいくことでしょう。
リードを引くタイミングは犬が飼い主より前に歩こうとしたときに、後ろに引くのではなく真上に引く感覚で、犬が不快だと感じるくらいに引きます。このタイミングと力具合はとても大切で、かわいそうだからと曖昧に引いてしまうと、犬が遊んでくれているものと勘違いしてしまい効果がなくなってしまいます。
号令というのは、好き勝手な方向に行こうとしたり前へ出ようとしたりしたときに「ダメ!」と言う風に強く言って悪いことだということを教えるようにしましょう。
その時の言葉は強く、表情も厳しくします。犬は飼い主の表情と言葉で飼い主の言いたいことを理解できますので、飼い主の表情や言葉の強さから、次第に前へ出ることはいけないことだと学習します。
その反対に、引っ張らずに横に寄り添って上手く歩くことができた時は、優しい口調で表情も柔らかくして「いいこ!」とほめて頭などを撫でてあげましょう。
犬は飼い主にほめられるのが大好きです。ほめられると、またほめられたい一心で、飼い主が喜んでくれることをしようとします。飼い主の横に寄り添うことでほめられるということが理解できれば、リーダーウォークのしつけは成功です。
3.Q&A~こんな時はどうするの?~
リーダーウォークのしつけは、簡単にマスターすることができる犬もいれば、なかなかできないこともあり、かなり個体差があります。
できない時はタイミングが悪かったり、環境が良くなかったりすることもありますし、何か他の原因があるのかもしれません。決してあきらめないでチャレンジしたいものですね。
ここでは、よくある疑問について説明していきます。
3.1.犬がリードを引っ張る・歩かない
犬がリードを引っ張って好きな方向に行こうとするのは当然のことです。それを改めて飼い主に寄り添うようにして横につけて歩かせるというのがリーダーウォークですので、必ずしもリーダーウォーク=散歩ということではありません。
歩いてくれるけれどもリードを引っ張る場合は、飼い主が歩くのをやめて立ち止まり、方向を変えてみましょう。そこで犬が飼い主についてくるようなら大丈夫です。横に寄り添ったときにほめてあげれば、次第にリーダーウォークができるようになります。
歩きたがらない時は、無理に外に連れ出さなくても室内でもリーダーウォークのしつけはできます。外で歩くのを怖がっている場合は、少しずつ外の様子に慣れるようにしてあげましょう。遊び好きの犬が多いので、おもちゃやボールで遊ばせることから始めても良いでしょう。
飼い主との信頼関係ができて飼い主をリーダーだと認識すれば、散歩にも喜んでついてきてくれるようになるでしょう。
3.2.草やゴミなど他の物の匂いを嗅いでしまう
リーダーウォークの目的は犬の安全を守るということもありますので、草やゴミなどの道端のものに興味がひかれてしまう時は、まだまだリーダーウォークのしつけの必要がありますね。
草やゴミなどの所に行こうとしたときはリードを一度だけ強く引っ張ってみて「ダメ!」と強い口調で言ってみてください。リードを曖昧に引かずに少し強めに引くようにします。曖昧にすると遊んでもらっていると勘違いしてしまいます。
リードを引っ張られて不快な思いをしたことと、飼い主に叱られたことで犬は好き勝手な方向に行くことは悪いことだと学習します。その代わりに横に寄り添ってきたら思い切りほめてあげてください。
もし歩いている途中に愛犬が気を取られそうなものに愛犬より先に気がつけば、方向を変えたり、声をかけたりして気をそらせるのもいいかもしれません。
3.3.時間が経つにつれていうことをきかなくなる
犬は一旦学習して身についたものは、あまり忘れてしまうことはありません。「リーダーウォークが身についたはずなのに、時間が経ってからいうことをきかなくなった」という場合は、身についていなかったと考えることができるかもしれません。
リーダーウォークを完全に覚えてしまうまでの時間は、犬の性格や環境によって、かなりの差があります。
飼い主は時間をかけてしつけをしたつもりでも、犬にとって完全に身につくには不十分な時間であれば、時間が経つにつれていうことをきかなくなった、と言う風に見えます。
リーダーウォークのしつけは、ちゃんとメリハリをきかせることができていたか(叱る時は叱り、ほめる時は思い切りほめる)、犬が歩く時、常に飼い主の横を歩くようになっていればマスターしたと言えますが、横を歩いたり歩かなかったり、時々引っ張ってしまうというのであれば完全ではなかったのかもしれません。
曖昧なしつけの方法では、時間だけがかかってしまい正しいリーダーウォークが身についていないということにもなりかねませんので、メリハリをつけて学習させるようにしたいですね。
3.4.いつまで経ってもリーダーウォークが身につかない
どれくらいの時間があればリーダーウォークが身につくのかは、犬によって差が大きいです。これくらい経ったから身についたはず、と思って途中でしつけを止めてしまうと、身につかないままになってしまうことがあります。
常に飼い主の横に寄り添って歩くことができるようになるまで、飼い主も諦めないことが肝心です。
リーダーウォークは散歩の方法ではありませんので、室内でもしつけをすることができます。あまり散歩に行けないという場合は、室内でもしつけを続けるようにしてみましょう。
まだ外での散歩に慣れていないという場合は、散歩コースを決めてコースに慣れるようにしましょう。慣れてきたら、また別のコースに変えてみると目新しく見えるので、しつけもやりやすくなるかもしれません。
リーダーウォークは犬との根競べのようなところがあります。
しつけを始めたのに途中で飼い主が諦めると、リーダーウォークが身につかないだけでなく、飼い主のことをリーダーとは思わなくなります。一旦犬が人間をリーダーではないと判断してしまうと、リーダーターと思わせるのが難しくなってきます。
決して諦めないで根気強く続けていくことがコツだと言えます。
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4.まとめ
犬を飼っている人の中にもリーダーウォークという言葉を知らない人、リーダーウォークのしつけをしたことがない人というのは意外と多いことでしょう。
しかし、ペットイベントやドッグショーを見たことがある人なら、人間の横にピタッと寄り添って歩いている犬を見たことがありますよね。
まさに、あれこそがリーダーウォークです。イベントでしか見たことがない場合、リーダーウォークは普段の生活には必要性があまりないものだと考えてしまうかもわかりませんが、リーダーウォークは愛犬の安全と健康を守る大切なしつけなのです。
ドッグランなどではリードなしで自由に走り回ることができますが、普段の散歩や外出ではそうはいきません。
犬を散歩に連れて行く場所は、ほとんどが人間や自動車、自転車、そして他の犬など様々なものに出会います。そんな時に犬が自由に飛び出してしまったらどうなるでしょう?散歩をしている犬が危険にさらされるだけでなく、他の人間や犬に飛び掛って怪我をさせてしまうこともあるのです。
特に大型犬の場合は子どもよりも大きいことが多く、遊びにつもりで飛び掛っても大変なことになってしまいます。
また、そんな犬を制するためにグイグイと散歩のたびにリードを引っ張っていたらどうなるのでしょう?リードを強く引っ張られることによる慢性的な刺激で首への悪影響だけでなく、眼内圧の上昇や脳への悪影響の危険性もあります。
リーダーウォークのしつけは簡単なことではなく、根気が必要です。うまくいかないからと簡単に諦めてしまわないで、横にぴったりと寄り添って歩くことができるようになるまで、がんばってしつけたいものです。しつけの方法の中には、犬がかわいそうだと思える方法もあります。
しかしリーダーウォークをしないまま、散歩のときに好き勝手な歩き方をしていると、もっとかわいそうな目にあってしまうかもしれません。
犬は人によっては友達代わり、家族代わりの存在です。しかし人間ではありません。言葉で一度言ったから理解できるわけではありません。人間と一緒に暮らすためには、その中で危険がないように、迷惑にならないように生活していく必要があります。
そのために様々なしつけが必要であり、リーダーウォークも、そんなしつけの一つです。
時にはプロのトレーナーに力になってもらうことも必要になってくるかもしれません。犬を飼う限りは、リーダーウォークはトイレのしつけやハウスのしつけと同じくらいに重要なものだと受け止め、しっかりとマスターさせたいですね。
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