愛犬が「伏せ」をしてくれなくてお困りではありませんか?
「伏せ」はしつけの基本の1つで、とても重要なものです。簡単そうに思いがちですが、うまくいかない飼い主さんも少なくないはずです。
そこで今回は愛犬にきちんと「伏せ」をしてもらうための正しいしつけ方をご紹介します。
しつけの方法だけでなく、伏せをしつける意味や伏せを覚えさせる時期、逆に伏せを勝手にしてしまう場合の対処法についてもまとめました。
正しい知識を身につけ、しっかりとしつけができるようにしましょう!
目次
2.子犬に伏せのしつけはいつからやるべき?
2.1.伏せのしつけは生後3ヵ月から
2.2.大切なのは信頼関係を築くこと
3.基本的な伏せのしつけに必要なものと教え方
3.1.しつけの大前提となる正の強化と弱化とは
3.2.伏せのしつけに必要なもの
3.3.実際の伏せのしつけの流れ
3.4.伏せをしてくれない場合は環境を変えてみる
4.勝手に伏せをする場合に考えられる2つの動機
4.1.他の犬が来た瞬間に伏せる『カーミングシグナル』
4.2.自分を落ち着かせている(餌を前に落ち着かせているようなこと)
5.散歩のときに伏せる犬の気持ちとその対策法
5.1.散歩中に伏せる犬の2つの気持ち
5.2.散歩中に犬が立ち止まってしまった時の2つの対処法
5.3.散歩中に役立つ2つのしつけグッズ
6.耳を伏せる場合の犬の気持ちとは?
6.1.穏やかな表情であれば主従関係がうまくいっている証拠
6.2.目を細めているときはリラックス状態(マッサージなどの紹介)
6.3.横に耳が突き出ている場合は警戒している
6.4.前後に動かす場合は耳の位置を調整している
6.5.カーミングシグナルを出している
1.犬に伏せを覚えさせる意味とその大切さ
散歩中やドッグカフェなど、他の犬がいる場所で興奮するのを防いだり、飛び掛かって事故や怪我につながるのを防いだりすることができるのが「伏せ」のしつけです。
また伏せを犬に覚えさせれば、ドッグカフェで犬が大人しくしていられるだけでなく、飼い主さん自身も犬と一緒にゆったりとお食事を楽しむことができます。
外出が大好きな犬と飼い主さんなら、ぜひ「伏せ」のしつけを取り入れてみてください。
犬と一緒にお出かけするのが、さらに楽しくなりますよ!
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2.子犬に伏せのしつけはいつからやるべき?
子犬が生後3~6ヵ月の間は、トイレのしつけや甘噛み・本気噛みを防ぐしつけなど快適に暮らせて、かつ思わぬアクシデントを防いであげられるしつけをまずは覚えさせていきたい時期です。
ただしこの時期の子犬はよく学び、学んだことを吸収できる時期。もしも時間や気持ちに余裕があるのであれば生後3ヵ月頃から「伏せ」のしつけも始めていくのがお勧めです。
散歩デビューはワクチンプログラムが終了した生後5~6ヵ月目から始める飼い主さんも多いと思いますが、それまでに伏せのしつけを覚えていたら、子犬を事故や怪我から防ぐのにも役立ちます。
この時期はやんちゃ盛りで簡単に言うことを聞いてくれないワンちゃんもたくさんいますが、できる範囲でなるべく小さい頃から徐々に「伏せ」を覚えさせていきましょう。
2.1.伏せのしつけは生後3ヵ月から
生後3ヵ月の時期の子犬は学ぶ力、物事を覚えて吸収する力があるため、伏せのしつけを始めるのにも最適な時期です。
ただしこの時期は他の犬との遊び方や関わり方を学ぶための大事な時期でもあります。
生後3ヵ月を過ぎた頃から、他の犬への警戒心が強まることもあるため、最寄りの動物病院やしつけ教室などで「パピーパーティー」が開催されているなら、参加も検討してみるとよいでしょう。
他の犬への警戒心が高い子と、そうでない子では伏せのしつけのしやすさが変わってきます。
他に覚えさせることがたくさんあり「伏せ」のしつけまで手が回らない時は、他の犬や環境、人間との関わり方を学ばせる機会をまずは優先して作ってあげましょう。
その上でできるようなら、「伏せ」のしつけを学ばせてみてください。
2.2.大切なのは信頼関係を築くこと
しつけを進める上で注意しておきたいのが犬との信頼関係を築くことです。
なぜなら信頼関係が築けていない状態でしつけを進めていくと、時々「しつけられることが嫌いな犬」になるケースがあるからです。
何が原因でそうなるのかはそれぞれ異なりますが(例えば飼い主さんの指示を出す声が怖いと感じた、またはしつけで罰されることを覚えた・・・など)、犬はしつけに対して恐怖や不快感を覚えることがあります。
信頼関係を築くためには、自分の意思を犬に理解させることはもちろん「犬が何をどう感じ、考えているのか」を飼い主さん自身も理解していかなくてはなりません。
お互いの意思疎通をスムーズにはかれるよう、まずは犬の観察をしっかり行い、犬が何をするとどう感じるのかを理解できるようにして信頼関係を築きましょう。
3.基本的な伏せのしつけに必要なものと教え方
伏せのしつけに必要なのが「ごほうび」です。
ごほうびにはおやつが一番使いやすく一般的に用いられていることが多いですが、犬が与えられて喜ぶものならおやつ以外のものでも構いません。
おもちゃやほめること、なでること、他の犬のお尻の匂いをかぐことなど、伏せの後に「犬の大好きなもの」を用意すると、犬が喜んで伏せのトレーニングにつきあってくれます。
遊ぶタイミング、または大好きな犬友だちと会わせるタイミングなど、犬が大好きな時間の前に少しだけ「しつけの時間」を設けると、伏せのしつけが日々習慣化されやすく、犬も覚えてくれやすいためお勧めです。
またしつけがうまくいかなくても、怒ったり叱ったりして犬を怖がらせる必要はありません。しつけが楽しいものだと犬が理解してもらえるよう、楽しい時間を利用して「伏せ」を覚えさせていきましょう。
3.1.しつけの大前提となる正の強化と弱化とは
犬のしつけは主に「正の強化」と「正の弱化」、そして「負の強化」と「負の弱化」という4種類の方針のもとに行われます。
正とは、快感または不快な刺激を犬に与えること。負は逆に上記の刺激を犬から取り除く、しつけの方法です。
「正の強化」とは犬が何等かの行動を起こした時に、快感となる刺激(ごほうびがもらえるなど)を与えること、「正の弱化」は犬が何らかの行動を起こした時に不快となる刺激(罰を与えること)を指します。
逆に「負の強化」と「負の弱化」は、犬が何等かの行動を起こした時に、快・不快となる刺激を取り除くことを言います。
プロのトレーナーさんの場合は、この4つの方針をうまく使い分けることができますが、しつけ初心者の方の場合は犬との信頼関係を築くことをまずは優先し「正の強化」から始められるのがお勧めです。
現状の手法に限界を感じてきたら、プロの力を借りながら、その他の手法を取り入れることも検討してみましょう。
3.2.伏せのしつけに必要なもの
伏せのしつけには、基本的に犬が大好きで喜ぶものを使います。
具体的には下記のようなものが必要です。
- おやつ
- おもちゃ
また遊び盛りで集中力がない場合、犬の意識を自分に向けるため、下記のようなものがあると便利です。
- クリッカー
- 音が鳴るおもちゃ
好奇心旺盛でその場にじっとしていられない子には、下記のものを。
- リード
さらに犬と一緒にドッグカフェへお出かけしたいと思っているなら、マットの上で伏せさせる習慣を覚えさせておくのもお勧めです。
- マット
おやつやおもちゃは犬が伏せをできた時のごほうびとして、また音がなるものは犬の集中力がなくなってきた時に使用します。
リードは犬があちこち動き回るのを防ぐために、またマットは伏せの時間を少しずつ伸ばす時にも犬がリラックスして待機できる道具です。その他にも、伏せさせたいシーンに必要なものがありそうなら、一緒に用意するとよいでしょう。
3.3.実際の伏せのしつけの流れ
伏せのしつけは犬に伏せのポーズをさせる、できたらご褒美を与える、伏せと指示語を関連付ける、少しずつ伏せできる時間を伸ばしていく、の流れで行います。
伏せのしつけはお座りができてから始めた方が動きがスムーズになり、犬も覚えやすくなります。
まずはお座りを覚えさせるところから、始めてみましょう。
またお座りはできるけれど、伏せのポーズがなかなか覚えられないという犬にあると便利なのがリードです。リードがあれば犬の動きを固定できるため、伏せのポーズをまずは体で覚えさせたい時に使用してみましょう。
マットは「この上で伏せするんだよ」と教えると、犬と一緒に外出先で食事する際などに待機させやすくなり便利です。
犬に伏せのポーズを覚えさせよう
犬に伏せのポーズを覚えさせるには、まずお座りの姿勢をとらせるところから始めます。
犬の頭上におやつやおもちゃを掲げ、腰を落とさせてお座りの姿勢をとらせます。
その後、おやつやおもちゃを地面に近づけ、犬の視線を下に落として胸を地面につけさせ、伏せのポーズをとらせます。できたらごほうびを与え、ほめてあげましょう。
犬がお座りや伏せのポーズを覚えられない時は、リードを装着し、おやつやおもちゃを片方の手で掲げながら片方の手で犬の腰を落とさせたり、膝を折らせて伏せのポーズをさせたりします。
できたら素早くごほうびを与えて、「このポーズをするといいことがある」と覚えさせていきましょう。
伏せと指示語を関連づける
伏せのポーズができるようになったら、「伏せ」の声かけをしながら伏せのポーズと指示語を関連付けていきます。
おやつやおもちゃを地面に近づけ、犬に伏せのポーズをとらせたら「伏せ」と指示を出します。できたらごほうびとして、おやつやおもちゃを与えましょう。
これを繰り返し、おやつやおもちゃなしでも「伏せ」という指示だけで伏せのポーズができるようにしていきます。
小さいおやつなら「ここにおやつがある」とわからせるため犬に匂いだけかがせて、その後手の平にくるみ、人差し指を地面につけて「伏せ」の指示が出せ、徐々におやつなしでの訓練ができるため便利です。
おやつやおもちゃで犬の意識を引き、伏せさせることができるようになったら、徐々におやつやおもちゃなしでもできるよう伏せを覚えさせていきましょう。
少しずつ伏せできる時間を長くする
犬が指示だけで伏せできるようになったら、マットの上で伏せをキープさせ、伏せする時間を少しずつ長くしていきます。
これを覚えさせる時は、あらかじめ「待て」のしつけをしておく必要があります。
指示語だけで「伏せ」と「待て」ができるようになったら、チャレンジしてみましょう。
伏せできる時間を少しずつ長くするには、まず伏せをキープする目標時間を設定し、それを1分2分と少しずつ伸ばしていきます。犬が伏せをしたら、「待て」の指示がけをして、そのまま伏せの状態を目標時間までキープさせます。
目標時間に到達する前に、犬が待ちきれず動き出したら、もう一度「伏せ」と「待て」の指示を出して、同じ姿勢をキープさせましょう。目標時間に到達するまで同じ姿勢をキープできたら、ごほうびを与えます。
これを繰り返し、伏せできる時間を少しずつ伸ばしていきましょう。
3.4.伏せをしてくれない場合は環境を変えてみる
まだ落ち着きがなく、いくら教えても犬が伏せをしてくれない場合は、まずはトレーニングする環境を「犬が落ち着ける環境」に変えてみる必要があります。
当たり前の室内風景でも、当たり前の恰好をしていても、犬にとっては「おもちゃ」に見えるものがたくさんあります。
例えば飼い主さんがスリッパを履いていて、犬がそれをいつもおもちゃにしているなら、それだけで犬は集中力を失ってしまいます。
また家具を噛む癖がある場合は、目の前にその家具があるだけで落ち着かなくてそわそわしてしまう場合も。
そのためトレーニングをするなら周りに物がない場所で、飼い主さん自身も動きやすくシンプルな服装にする(装飾のない洋服を選ぶなど)など、犬が集中力を発揮しやすい環境を作ってあげることが大切です。
家の中だとその環境が作れない場合は、散歩中に広い場所を見つけ、そこでトレーニングをするのもよいです。
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4.勝手に伏せをする場合に考えられる2つの動機
伏せをしつけるまでもなく、散歩中、他の人や犬を見かけた時に勝手に伏せをしてやり過ごせるワンちゃんもいます。
このような場合はわざわざ伏せをしつけなくても、「自分に必要なことは自分でできる子」だと飼い主さんが考えてしまうため、伏せのしつけをつい後回しにしてしまうことが。
ただしこの犬の「勝手に伏せする行動」は、飼い主さんが考えている「伏せ」とは、また違った意味もあります。
そこで「犬はなぜ教えなくても、勝手に伏せをすることがあるのか」についてご紹介したいと思います。
4.1.他の犬が来た瞬間に伏せる『カーミングシグナル』
散歩中、他の犬に出会った時に、犬に伏せをまだ教えていないのに自ら進んで犬が伏せをすることがあります。
それは犬にとっての「カーミングシグナル」の可能性があります。
犬は人間のように言葉が使えないため、しぐさや身振りで自分の気持ちを表現します。また他の人や犬とコミュニケーションをとりたい時、円満な関係性を構築したい時にも犬はしぐさや身振りで相手に気持ちを伝えています。
こんな時の犬にあらわれるしぐさや身振りが「カーミングシグナル」です。
もしかしたら勝手に伏せをしてしまうワンちゃんは、他の人や犬、もしくは飼い主さんに対して、何か声ならぬ声を発しているのだと思います。
では犬が勝手に伏せる時、犬は一体どんな気持ちで、相手に何を伝えようとしているのでしょうか?
4.2.自分を落ち着かせている(餌を前に落ち着かせているようなこと)
お腹を地面にぴったりとくっつける「伏せ」の姿勢は、犬が自分自身を落ち着かせようとする時によくあらわれます。
例えば犬に「待て」のしつけをしている時に、犬がこの行動をよく見せることがあります。
これはごほうびや大好物を目の前にして気持ちが興奮している時に「少し落ち着こう」と犬が勝手にとっている行動です。
また他の犬と遊んでいる時に、突然犬が動きを止めて伏せのポーズをすることもあります。
飼い主さんから見ると「疲れたのかな?」「休憩中かな?」と思える行動ですが、これも遊びすぎて犬が興奮しすぎた時、自分と相手の気持ちを少し落ち着かせるためにカーミングシグナルとして出しているケースが。
言葉が使えなくても、犬は身振りやしぐさで相手に上手に気持ちを伝えたり、また言葉ではなく身振りやしぐさで自分を励ましたり落ち着かせたりすることができるのです。
5.散歩のときに伏せる犬の気持ちとその対策法
犬の「伏せ」のカーミングシグナルには「落ち着こう」という気持ちと共に「服従」という意味が込められていることがあります。
例えば散歩中に他の犬とばったり遭遇し、他の犬が近づいてきた時に「敵意はありませんよ」と伝えると同時に、自分自身を落ち着かせようとこのポーズをすることが。
また相手の犬が興奮している時は、自分を落ち着かせつつ服従の姿勢を見せ、相手の犬を落ち着かせようとこのポーズをする場合もあります。
散歩中の犬の「伏せ」のカーミングシグナルは、それをする犬が落ち着くのはもちろん、相手の犬を落ち着かせるための動作でもあります。
さらには別の意味で犬が伏せをすることも。散歩中にやる犬の「伏せ」には実にさまざまな意味があるため、自分の犬がどんな気持ちでこの行動をしているのか、しっかり観察してみましょう。
5.1.散歩中に伏せる犬の2つの気持ち
また散歩中に伏せをする場合「カーミングシグナル」なケースと、もうひとつ「普段の習慣から覚えた行動」のケースがあります。
カーミングシグナルについては前述の通りですが、「習慣から覚えた行動だった」場合は問題行動につながるケースがあるため注意が必要です。
例えば伏せをすると他の犬が警戒心を解いてくれるのを、いつの間にか覚えてしまったケースでは、他の犬が近づいてくるのを伏せで待ち、他の犬が近づいてきた瞬間、「遊んでもらえる!」と犬が一気に興奮状態になってしまうことも。
このケースの場合、犬が飛びついて相手の犬にケガを負わせる危険はもちろん、びっくりした相手の犬から噛みつかれ、思わぬ怪我や事故を招いてしまう危険性もあります。
この場合はできていても本来の「伏せ」ではないため、ぜひしつけで本来の「伏せ」を覚えさせてあげてください。それができれば、安心して他の犬と挨拶させてあげることができるのではないでしょうか。
怖いものを見て動けない
散歩中の犬が見せるカーミングシグナルには、伏せ以外にもさまざまなものがあります。
そのひとつが散歩中に「固まってしまう」という動作です。この固まるしぐさは、犬が緊張しているカーミングシグナルです。
目の前からやってきた他の犬が大きくて怖そうな時。近寄ってきた犬がどんなサインを出すか、じっとうかがっている時など。目の前にいる何かに対して緊張している、もしくは警戒している時に出やすいしぐさです。
こんな時はふとしたきっかけで、犬がパニック状態や興奮状態に陥りやすいため、犬をなるべく落ち着かせてあげて、緊張を感じている対象物と距離を置き、ケガや事故がないように防いであげてください。
飼い主に構ってほしくて動かない
また犬が固まってしまう行動には習慣化からくる行動もあります。
例えばいつもの散歩コースで嫌な経験をしたことがある犬は、嫌な経験をした場所を通るのを嫌がり固まってしまうことがあります。
また散歩コースがいつも決まったルートだと、散歩がそろそろ終わることを感じて立ち止まり固まってしまうケースも。こんな時、犬は自分の要求・欲求を伝えようと、固まって意思表示をすることがあります。
このケースの場合、犬の要求・欲求をくんでその通りに動いてしまうと、それが「新しい習慣の上塗り」になってしまうことが。この行動も問題行動につながってしまいやすいため、しつけを入れて回避していくことがお勧めです。
5.2.散歩中に犬が立ち止まってしまった時の2つの対処法
散歩中に犬が立ち止まってしまった時は、犬が緊張しているか、もしくは次に起こることを犬が予測して、飼い主さんに何かを訴えているケースがあります。
まずはそれのどちらに当たるのかを観察し、犬が緊張しているなら、犬の目線に立ち怖がっているものから距離を置かせてあげましょう。
また犬の目の前に立ち、犬の視界を遮って怖いものを見せないようにするのも効果があります。おやつやおもちゃを使って、犬の意識を恐怖からそらさせてあげる方法もあります。犬に効果的なものを試しながら、犬の気持ちを上手に恐怖からそらしてあげましょう。
また「この先に行くと嫌なことがある」と立ち止まるケースでは、おやつやおもちゃを使いながら犬の気をそらし、少しずつ「嫌なポイントをクリアできるように」導いてあげるのが大事です。
またこんな時のために、リーダーウォークの練習をしておくのも効果があります。
怖いものに遭遇しないよう工夫する
犬が何かを怖がって動かない時は、上記のようにおやつやおもちゃを使ったり、また別ルートを選んで通ってあげたりする方法があります。
人間もそうですが一度覚えた「恐怖」の体験は、忘れようと思ってもなかなか忘れることができません。そのためトラウマを忘れさせるには、少々時間がかかることも。
おやつやおもちゃ、普段のしつけで太刀打ちできない場合は、無理せず別ルートを通って散歩させてあげましょう。別ルートを散歩する内に、以前よく通っていた道で起こった「怖いこと、嫌なこと」を忘れてくれることもあります。
自分から動かない場合は欲求には答えない
犬の要求や欲求不満からくる立ち止まり行動だった場合、それに応えてあれこれ犬の世話を焼いてしまうと、同じようなシーンで同じことをする癖がついてしまうこともあります。
このケースの場合は、おやつやおもちゃなどを使って犬の気を引き、意識をそらせ、自分から動いて楽しく散歩できるようにしてあげてください。
「できたらごほうび」の正の強化方法では限界だと感じたら、プロの手を借りることも検討してみましょう。
5.3.散歩中に役立つ2つのしつけグッズ
散歩中、犬が動かなくなった時や恐怖で心がいっぱいになってしまった時など、一度気持ちをリセットさせたい時にあると助かるのが「音のなるグッズ」です。
声掛けだけでは犬の気をそらすことができない時は、こんなグッズを使ってみましょう。
- クリッカー
犬のしつけでよく用いられる、クリック音がなる道具です。犬の意識をそらせるのはもちろん、しつけを覚えさせる時にこれを使えば、声で指示がけしなくても犬がクリック音に反応して動いてくれるようになります。
犬に指示語を覚えさせる代わりに、クリック音を覚えさせ、しつけしていくことをクリッカー・トレーニングと言います。
興味がある方は、ぜひプロのトレーナーにその方法を教えてもらいましょう。
- スマホや携帯電話
音のなるもので、飼い主さん自身がいつも身に着けているものといえばスマホや携帯電話。これも犬が動かなくなった時にあると助かります。
また犬の声を使った効果音を、着信音や音楽としてダウンロードしておけば、犬の気を上手に引くことができます。一度立ち止まったら頑として動かない子に効果的です。
飼い主と犬をつなぐリード
犬の命を守るために大切なのが、飼い主と犬とをつなぐしっかりとしたリードです。犬の体格や体重に合ったもの、犬の性格に合ったものを選びましょう。
必要な時に犬をすぐに捕まえられ、コントロールのしやすいのがショートリードです。またペットショップなどでよく売られているスタンダードリードは、必要な時には短く持て、自由にさせたい時は少し長めに持てる柔軟性のあるリードです。
また広い場所で思いっきり走らせてあげたい時や、犬と距離を置くしつけをする時に、あると便利なのがロングリードです。また自分の意図や用途に応じて長さを調節できる伸縮リードもあります。
それぞれ適応体重があるため、犬の命をしっかりと守れて、かつ用途目的が今の自分と犬に合うものを選ぶようにしましょう。
気を引けるおやつやおもちゃ
しつけしながら散歩をするのに、欠かせないのがおやつやおもちゃです。
両手が自由になり、かつ物がすぐ取り出せるウェストポーチに忍ばせておくと、すぐごほうびを与えたい時に便利です。
おやつは犬の大好物を、おもちゃは犬の気を引くための「音のなるもの」を用意しておきましょう。また犬が一番お気に入りのおもちゃがあるなら、それもごほうびとして使えるため用意してみましょう。
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6.耳を伏せる場合の犬の気持ちとは?
犬が散歩中に何を考え、次にどんな動きをしようとしているのかは「耳」を見ればわかることもあります。
犬の耳がピンと立っている時は、何かに注意を払うか注目している時です。その耳がやや前傾気味になっている時は、緊張がピークに達し攻撃姿勢に入っているサインです。
また犬が耳を後方にピタッと折っている時は、「うれしい」「甘えたい」もしくは「不安」のサイン。不安の場合は犬の体が震えていたり、飼い主さんの陰に隠れたりすることがあるため全体を見て判断しましょう。
さらに犬が耳を後方に折っていても、歯をむきだしてうなっていれば威嚇になり、遠くの匂いをかぐようなしぐさを見せれば警戒のサインになります。耳だけでなく全体を見て、犬の気持ちを読み取ってみてください。
6.1.穏やかな表情であれば主従関係がうまくいっている証拠
さらに耳以外で犬の感情を読み取れるのが、犬の表情です。
一番わかりやすいのが犬が威嚇している時の表情。眉間にしわを寄せ、歯をむきだしにしていている表情が犬の威嚇のサインです。
逆に犬と自分がどのくらい信頼関係を結べているのか、は犬のどんな表情で判断すればいいのでしょうか?
判断基準には下記のようなものがあります。
- 犬が口角をあげていて、笑顔のような表情を見せている。
(リラックスしていて穏やかな状態)
- 飼い主さんが見つめたら目をそらす、もしくはまばたきをする
(服従のサイン)
上記のような表情が犬に見られたら、「一緒にいたら落ち着く」「信頼している」と思われている可能性が。自分の犬と良い関係が結べているか心配になったら、ぜひ犬の表情を観察してみてください。
6.2.目を細めているときはリラックス状態(マッサージなどの紹介)
犬の体をなでていると、気持ちよさそうに犬が目を細めることがあります。
これは犬が落ち着いている時にも、自分だけでなく「相手を落ち着かせよう」とする時にもあらわれることがあります。
散歩中、犬が他の犬に恐怖を覚えていた時、またそれ以外の何かに怯えて緊張していた時は犬を優しくなでてあげて、この目をしているかどうか確認してあげてください。
6.3.横に耳が突き出ている場合は警戒している
犬が耳を後ろに倒し、やや横に耳を突き出している場合には「何かに警戒している」サインです。
散歩中、このサインがあらわれやすいのが「他の犬が近づいてきた時」です。また以前飼い主さんからされて嫌だったことがある時にも、このサインを出すことが。
この耳のサインの後に突発的な威嚇行動や噛みつきなどがあらわれる場合があるため、犬がこの耳をしていた時は、リードをしっかりと持ち、怖いもの嫌なものを見えないようにしてあげるか、近づかせないようにしてあげましょう。
6.4.前後に動かす場合は耳の位置を調整している
犬が耳を前後に動かしている時は、目の前にあるものがどんなものかを一生懸命把握し、理解しようとしているしぐさです。
またこの時、犬はさまざまな思いに揺れ動いて葛藤しています。
「この犬は安心できる犬かな?」
「でも知らない犬は、やっぱり怖いな」
「でも興味がある」
「でもやっぱり怖い!」
など、心の中で色んな葛藤を感じています。
何か大きな動きを見せる前にあらわれやすい動作なので、このしぐさも注意して見ておくとよいでしょう。
6.5.カーミングシグナルを出している
犬のカーミングシグナルにはさまざまなものがあります。
ひとつひとつ覚えるのは大変ですが、意味を知っていると犬が攻撃行動に入る前に犬を止めたり、犬が怖がっているものを遠ざけたりと事故や怪我を事前に防ぐことができます。
犬のカーミングシグナルについては、さまざまな本が出ているため、ぜひ時間がある時に手に取って読んでみてください。
7.前足を出して伏せる行為は「犬のお辞儀」
最後に犬の「伏せ」に似たポーズで、伏せとは全く異なるポーズが「前足を出してお尻を浮かせるポーズ」です。
これは犬が他の犬や人を遊びに誘うサインで、しっぽを振り振りしていることも多いはずです。
このポーズは犬のお辞儀とも言われていて、犬が遊びたい時によく見せるポーズ。これを見せたら遊んであげると、犬はきっと喜ぶはずです。
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8.まとめ
犬をしっかりしつけたい時にも、また突発的な事故や怪我を防ぎたい時にも役立つのが、犬の「伏せ」のしつけと、犬があらわすカーミングシグナルを読み取ることです。
この2つができるようになれば、犬が今何を考えているのかがよくわかり、事前に危険なものを取り除いてあげ、犬が落ち着いて楽しく散歩できる手助けがしてあげられます。
犬との信頼関係を築くために、ぜひ少しずつ犬と一緒に解決し、乗り越えていってみてくださいね!
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