犬にぶどうを食べさせてはいけないと、聞いたことのない方も多いかもしれません。ぶどうで中毒症状を起こすかどうかは、犬によっても差があります。どのように対処すればよいのでしょうか。ぶどう膜炎になる原因や、ブドウ球菌が与える影響も解説します。
目次
1.犬にブドウを食べさせるのは危険
1.1.ぶどうがNGなのはなぜ?一粒でも駄目?
1.2.犬がぶどうを食べてしまったらどんな症状が出る?
2.犬にブドウ糖を与えるのはどんな時?
2.1.ブドウ糖の量は?いつまで与えれば良い?
2.2.低血糖の時に与えるブドウ糖の量について
3.犬の病気の一つ、ぶどう膜炎とは?
3.1.ぶどう膜炎の症状は?失明の可能性がある?
3.2.治療法は?目薬だけの治療で治る?
4.犬のブドウ球菌って?
4.1.ブドウ球菌と皮膚病や皮膚炎との関係
4.2.膿皮症のさまざまな症状
4.3.膿皮症の治療は?
4.4.ブドウ球菌を抑制するシャンプーについて
1.犬にブドウを食べさせるのは危険
犬にぶどうを与えると、急性腎不全になる可能性があります。
どのような成分によるものなのかは、まだはっきりわかっていませんが、1999年からぶどうによる中毒症状が報告され始めています。犬によって症状の現れかたが違うため、1粒でも与えないほうが安心です。
1.1.ぶどうがNGなのはなぜ?一粒でも駄目?
1999年から犬がぶどうを食べたことが原因で、中毒症状を起こしたことが報告され始め、2004年にはアメリカの動物保護団体ASPCAが、ぶどうを食べた犬に腎不全の症状がみられるため、注意を促しています。
日本では数例しか報告がありませんが、アメリカでは毎年犬がぶどうを食べたことで中毒を起こしたという報告がされているようです。
英国の動物中毒情報サービスセンターでは、2005年に死亡例が2匹、2006年には5匹報告されており、増加傾向にあります。
どのくらいの量を食べてしまったら、腎機能に問題を起こすかというと、体重1kgに対してぶどう32g食べると症状が現れるとされています。
小型犬でいえば、ぶどう一房食べてしまうと危険ということです。レーズンはぶどうの成分が凝縮されているので、体重1Kgに対して30g以上食べると症状が現れます。
ぶどうを食べて、なぜ腎不全になるかという原因ははっきりしていません。
しかし、中毒症状が出た犬を検査すると、ほぼすべての犬が腎臓の近位尿細管が壊死してしまうことは判明しています。推測ではありますが、下記のような原因が考えられています。
- カビ毒(オクラトキシンなど)による汚染
- 高濃度のビタミンDまたは同じような化合物
- 殺虫剤による汚染
- 重金属、または他の環境の毒素
- まだ見つかっていないぶどうの毒素(酸味成分、酒石酸など)
などが考えられます。しかし、一般的に犬がぶどうで中毒症状を起こすのは稀です。大量に摂取しなければ発症しませんし、発症するかしないかは個体差も大きいため、日本での認知度は低くなっています。
ぶどう一房食べても元気なままの犬もいれば、一粒食べただけで吐き出すような犬もいるそうです。個体差が激しいので、すべての犬にとって危険だとはいえませんが、ぶどうの何が危険なのか判明していない以上、与えない方が安心です。
また、ぶどうの実だけ食べるよりも、皮ごと食べたときの方が中毒になる危険性が高いので、飼い主の目を盗んで食べてしまわないよう注意しましょう。
1.2.犬がぶどうを食べてしまったらどんな症状が出る?
ぶどうを食べたことで出る症状の多くは、急性腎不全です。早ければぶどうを食べた2、3時間後、あるいは5時間後に下記のような症状が出るようです。
- 吐き気
- 下痢
- 食欲不振
- 腹痛
- 元気がなくなる
- 脱水
- 水をよく飲む
- 尿がよく出るか出なくなる
- むくみが出る
- 腎臓の痛みで背中が丸くなる
数日経つと、長期の治療が必要になったり、死に至る場合もあります。2~4日後に急に発症する場合もあるそうです。アレルギーがある場合は、湿疹や蕁麻疹といった症状も併発します。
誤ってぶどうを食べてしまった場合、上記のような症状が出ないか観察しましょう。6~12時間経っていても元気な場合は、問題ないとする考えもありますが、心配であれば病院で診てもらってください。
もし、中毒になるほどの量を食べていた場合、病院に連れていくと、食べたものを吐かせて胃を洗浄します。
それから、活性炭や下剤の投与が行われます。急性腎不全になっていたら、入院して点滴治療などが行われるそうです。重傷であれば、その後は腎機能不良となることが多いので、ぶどうは一粒でも食べさせないほうが安心でしょう。
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2.犬にブドウ糖を与えるのはどんな時?
子犬の時や低血糖になった時、またその予防のために、犬にブドウ糖を与えることがあります。
子犬はストレスや冷えなどから低血糖になりやすく、老犬は低血糖になっても年齢のせいだと思い見過ごしがちになってしまうので、普段から気をつけて観察しておきましょう。
2.1.ブドウ糖の量は?いつまで与えれば良い?
生後3ヶ月までの子犬は、環境の変化がストレスとなって、とても低血糖になりやすいです。
特に神経質な性格の犬は、なりやすいといわれています。すぐに対処すれば問題はありませんが、子犬の変化に気づかなかったり、処置が遅すぎたりすれば、最悪の場合死に至ってしまいます。
低血糖は、
- ストレスなどによって食事をとらない、空腹
- 遊びすぎで体力を消耗した
- 下痢や嘔吐を繰り返した
- 内臓障害によって栄養吸収しにくくなる
- 体の冷え
などによって血糖値が下がり、低血糖症に至ります。生後3ヶ月未満の子犬は、肝臓の機能がまだ弱く、糖を貯めにくいので、食事から十分な糖分を摂取する必要があるのです。低血糖になると下記のような症状が出ます。
- 急に元気がなくなる
- フラフラする
- いつもの食事を食べない
- 舌に血色がなくなる
- 痙攣する
- ぐったりする
6~12時間食事を食べなかっただけで、これらの症状を引き起こすことがあるので、そうなる前にブドウ糖を与えておくとよいでしょう。
特に、チワワ、トイプードル、ヨークシャテリアは低血糖になりやすく、死亡してしまうことも珍しくありません。子犬をペットショップやブリーダーから購入した場合は、ブドウ糖を与えた方がよいかそちらに聞いてみるのがおすすめです。
食事の時間を空けすぎたり、体を冷やしたりしないよう気をつけて、2~3ヶ月までは1日2回以上1ml程度与え、4~5回与えられると予防効果が高まります。注射器のようなシリンジがあると、口の端から少しずつ飲ませやすいので便利です。
ブドウ糖がない場合は、砂糖2:水8の割合で溶かした砂糖水や、はちみつ、ガムシロップ、スポーツドリンクでも代用できます。市販のブドウ糖や子犬用の栄養剤もありますよ。
ブドウ糖はドッグフードをしっかり食べられるようになるまでは、与え続けたほうがよいです。子犬の調子を見ながら、少しづつブドウ糖を減らして、最終的にはブドウ糖を与えなくても食事から栄養を取れるようにしましょう。
もし、なんらかの治療で点滴を受けた場合、点滴にもブドウ糖が含まれていることがあるので、過剰摂取にならないよう、病院に確認してください。
2.2.低血糖の時に与えるブドウ糖の量について
子犬は、内臓の障害、空腹、体の冷えによって低血糖になりやすいですが、成犬、老犬の場合は違う原因で低血糖になります。
成犬の場合は、空腹、興奮や運動のし過ぎ、老犬の場合は膵臓の腫瘍が原因になっていることが多いです。
成犬、老犬関係なく、糖尿病でインスリン治療を行っている場合は、インスリン注射の量を間違えたことによって低血糖が起こります。
血糖値は70mg/dl以上に維持されていますが、それ以下になると異常な空腹感が現れ、動悸、震えなどの症状が出ます。
それに気づかないか放置して、血糖値が50mg/dl以下になると、中枢神経の働きが低下、血糖値が30mg/dl以下になると意識レベルが低下し、昏睡状態から死に至ることもあります。
子犬の場合は、チワワ、トイプードル、ヨークシャテリアが低血糖になりやすいのですが、5歳以上になると、アイリッシュセッター、ゴールデンレトリバー、ボクサー、スタンダードプードル、ジャーマンシェパードなどが低血糖になりやすいといわれています。
老犬の場合は症状が出てぐったりしていても、年齢のせいだと思ってしまいがちなので、いつもの目の様子や呼吸の仕方、表情などの細かい部分をみておくことも大切です。
低血糖の症状が出ていても、ブドウ糖を飲めそうな場合は飲ませるか、歯茎にはちみつなどを少量塗ると自然になめてくれます。
意識を失ってしまった場合は、ガムシロップなどを口内に少し入れてあげてから、急いで病院へ連れていきます。水に溶いたものを含ませると、誤って器官に入ってしまうのでやめましょう。
重症低血糖を防ぐために、外出先でも対処できるよう、ペットシュガーやブドウ糖ゼリーなどを携帯しておくのがおすすめです。薬物療法を受けている場合は、糖尿病手帳や携帯用のIDカードを携帯していれば、昏睡状態で病院に運ばれたときでもすぐに適切な処置が受けられます。
3.犬の病気の一つ、ぶどう膜炎とは?
ぶどう膜炎は、その名の通りぶどう膜に炎症が起きる病気で、炎症が網膜にまで広がると失明の可能性もあるので注意が必要です。
早期発見が大切ですが、涙や目やにが増えるという症状だけのこともあるので、日頃から目の様子をチェックしておきましょう。
3.1.ぶどう膜炎の症状は?失明の可能性がある?
ぶどう膜炎とは、眼球のぶどう膜に炎症が起きた状態のことです。ぶどう膜は、虹彩(こうさい)、毛様体(もうようたい)、脈絡膜(みゃくらくまく)などの膜の総称です。
実際にぶどうのような形をしていて、血管やメラニン細胞が集まっているので色も似ていて、眼球血管膜とも呼ばれます。
虹彩、毛様体、脈絡膜に炎症が起きると、それぞれ「虹彩炎」「毛様体炎」「脈絡膜炎」と呼ばれることもありますが、お互いに影響しあって起こるため、まとめて「ぶどう膜炎」と呼ばれ下記のような症状が出ます。
- 角膜の裏側がにごる
- 前房出血
- 虹彩の変形
- 瞳孔が縮む
- 涙や目やにが増える
- 目をこすろうとする
- 白目の充血
- 眼圧の低下
- 瞳孔の縮小
- 目の中に出血が起きる
- 目の中に膿がたまる
- 目の痛み
- まぶたの痙攣
片目だけに症状が現れることも、両目に症状が現れることも、左右交互に現れることもあります。症状が徐々に進行したり、よくなったり悪くなったりを繰り返すこともあり、犬によってさまざまです。
痛みを感じるため、しきりに目を気にして床にこすりつけたり、目をかくしぐさをし、涙や目やにが多く出ます。
始めは他の病気と見分けにくいので、発見が難しいですが、早期発見が大切な病気です。進行すると、目が曇ったり、目を細める仕草をします。
網膜にまで炎症が広がってしまうと、視力の低下、緑内障の発症、失明する可能性もあるので日頃から目を観察しておきましょう。
ぶどう膜炎になる原因はさまざまで、
- ジステンパー、ケンネルコフ、イヌヘルペスなどのウイルス感染
- レプトスピラ症、ブルセラ症などの細菌感染
- クリプトコッカス、ブラストミセスなどの真菌感染
- トキソプラズマ、リケッチア、リーシュマニアなどの原虫感染
- ハエウジ症、回虫などの寄生虫感染
- ケンネルコフ(アデノウイルス2型)に対するワクチン接種
- 腫瘍、角膜炎、結膜炎、水晶体の病変、歯周病などもともと保有している疾患
- ブドウ膜皮膚症候群、色素性ブドウ膜炎といった遺伝
などが考えられます。遺伝性のブドウ膜皮膚症候群は、目の炎症とともに、皮膚が局所的に白くなる症状が現れ、シベリアンハスキー、サモエド、秋田犬、シェットランドシープドッグに多くなっています。
色素性ブドウ膜炎は、ぶどう膜炎の炎症とともに水晶体への色素沈着の症状が現れ、ゴールデンレトリバーに多く「ゴールデンレトリバーブドウ膜炎」とも呼ばれます。
3.2.治療法は?目薬だけの治療で治る?
腫瘍、角膜炎、結膜炎、水晶体の病変、歯周病など、もともと持っている疾患がある場合は、その治療を先に行います。ウイルス、細菌、真菌、原虫、寄生虫の感染症が原因の場合は、抗生物質、抗真菌薬、駆虫薬の投与が行われます。
遺伝性のブドウ膜皮膚症候群や色素性ブドウ膜炎など、原因がよくわからない場合は、炎症を抑えるために点眼薬を使用したり、結膜下注射などを行うようです。
ぶどう膜炎は、身体検査をして角膜炎や結膜炎がないか診察し、スリットランプ検査で充血や膿があるか診察します。眼圧測定、眼底検査、超音波検査を行うことで、合併症がないかどうか確認し、血液検査によってその他の病気が原因になってないか検査します。
点眼治療では、ジフルプレドナート、プレドニゾロン、デキサメサゾンなどのステロイド点眼剤が使用されており、炎症を抑える効果があります。
他の病気があってステロイド点眼剤を使えない場合は、ジクロフェナクナトリウムなどの非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)が使用されるそうです。
内服薬を使用する場合もあり、血液によって薬の成分が全身に行きわたって、眼球全体への効果が期待できます。
内服薬の場合も炎症を抑えるステロイド剤、プレドニンが使用されます。しかし、長期にわたって使用すると、副作用を防止するために骨粗しょう症予防薬や、定期的な血液検査が必要です。
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4.犬のブドウ球菌って?
犬の皮膚病である膿皮症は、ほとんどがブドウ球菌によるものなのです。皮膚の細菌バランスが崩れると、常在菌であるブドウ球菌が悪さをしてしまいます。
膿皮症の治療のために薬用シャンプーが処方されますが、予防のために使い続けるのはおすすめできません。
4.1.ブドウ球菌と皮膚病や皮膚炎との関係
膿皮症(のうひしょう)という皮膚病は、原因の90%がブドウ球菌によるものです。ブドウ球菌は皮膚の常在菌なので、健康であれば害はありません。
しかし犬の皮膚は、角質層が薄い、細胞と細胞の隙間を満たしている脂質膜が少ない、毛包の防御力が弱いなどの特徴があり、少しのことで細菌バランスが崩れて、膿皮症を発症してしまいます。
不衛生な環境、すり傷、老化、栄養不良などによって、皮膚の細菌バランスが崩れてしまうのです。アレルギー性皮膚炎やアカラス症などの他の病気や、シャンプーのし過ぎによっても膿皮症は起こります。
膿皮症は、ブドウ球菌が異常繁殖して、膿を排出してしまった状態で、表皮、真皮、皮下組織の全てで発症する可能性があり、下記のような症状が出ます。
- 皮膚の赤み
- 発疹
- 脱毛
- 膿疱
- かさぶた
- 腫れ
- 痛み
- 発熱
4.2.膿皮症のさまざまな症状
膿皮症になる部位によって、それぞれ名前が異なります。
- 角質層に発生する表面性膿皮症
- 毛包とそれにつながる表皮に発生する表在性膿皮症
- 毛包全体、真皮、皮下組織に発生する深在性膿皮症
表面性膿皮症には、
- 化膿外傷性皮膚炎(かのうがいしょうせいひふえん)
- 皮膚皺襞膿皮症(ひふしゅうへきのうひしょう)
があり、化膿外傷性皮膚炎は、肌の表面にできた傷が化膿したもので、ホットスポットとも呼ばれます。長毛であることや、ノミアレルギーなどによって、かきむしったり、傷つくことが原因です。
皮膚皺襞膿皮症は、しわの間が化膿するので間擦疹(かんさつしん)とも呼ばれます。パグなどの顔のしわや、シャーペイやブルドックのしっぽ、太ったメスの外陰部周辺などに起こります。
表在性膿皮症には、
- 膿痂疹(のうかしん)
- 表層性細菌性毛包炎(ひょうそうせいさいきんせいもうほうえん)
- 表層性拡散性膿皮症(ひょうそうせいかくさんせいのうひしょう)
- 皮膚粘膜膿皮症(ひふねんまくのうひしょう)
があり、膿痂疹は膿を含んで黄色いかさぶたができます。寄生虫やウイルス感染した子犬が発症することが多いですが、かゆみも少なく、たいていの場合自然に治るので過度な心配はいらないでしょう。
表層性細菌性毛包炎は、毛包内が炎症を起こして化膿した状態になり、膿皮症の中で最も多いといわれる症状です。赤みを帯びて膨らんだような湿疹、膿疱、脱毛、かゆみなどの症状が出て、甲状腺機能低下症、クッシング症候群などが原因で起こることもあります。
表層性拡散性膿皮症は、毛包の炎症が円形に大きくなる症状で、膿疱や大きな輪のような紅斑が出るのが特徴です。
皮膚粘膜膿皮症は、皮膚の粘膜が化膿した症状で、唇やまぶた、外陰部、肛門など、粘膜のあるところに現れます。ジャーマンシェパードに多い症状です。
深在性膿皮症には、
- 深層性毛包炎(しんそうせいもうほうえん)
- せつ腫症(せつしゅしょう)
- 特発性膿皮症(とくはつせいのうひしょう)
があり、深層性毛包炎は毛包の炎症が悪化し、真皮にまで広がってしまった症状です。皮膚の奥に達するので、痛みをともないます。
せつ腫症は、おできといわれる状態です。細菌性毛包炎、ニキビダニ症、皮膚糸状菌症、毛包角化不全症などが原因で毛包が破壊され、真皮の中の成分が流れ出ることで起こります。短毛種の下あご、指の間、肉球などによくでます。
特発性膿皮症は、原因不明で潰瘍ができてしまう症状です。ジャーマンシェパードに多くみられるので「ジャーマンシェパードドッグ膿皮症」と呼ばれることもあります。
背中、そけい部、太ももの側面、口のまわりに現れ、5歳を過ぎてから発症することが多いです。
4.3.膿皮症の治療は?
表面性膿皮症は、クロルヘキシジンやヨウ素の入った温水に、10~15分間患部を浸して治療します。かゆみや痛みの緩和や、皮膚の血流を促進する効果があります。
表在性、深在性膿皮症は、抗生物質を投与して全身を治療することが大切です。表在性は最低3週間、深在性は最低6週間、投薬し続けなければなりません。症状がなくなっても、再発防止のため、さらに1~2週間投薬します。
甲状腺機能低下症、クッシング症候群、脂漏症、ニキビダニ症、皮膚糸状菌症、毛包角化不全症などがある場合は、その治療を優先し、寄生虫がいる場合は寄生虫の駆除を行います。子犬は、体内の寄生虫駆除も大切です。
また、なめすぎることで皮膚炎になる場合もあるので、ストレス管理も行いましょう。ストレスによって免疫力が下がると、炎症が治りにくくなったり、その他の病気を併発してしまうことがあります。心の健康も考えてあげましょう。
4.4.ブドウ球菌を抑制するシャンプーについて
膿皮症は、トリミングやブラッシングなどの日頃の手入れも大切です。またシャンプーを使うことによっても、細菌の繁殖を抑えることができます。
頻繁にシャンプーしすぎると、皮脂が落ちてしまい細菌が入りやすくなってしまうので、注意しましょう。シワの多い犬種は、顔や股間などの汚れがたまりやすい箇所を、1日1回濡れタオルで拭いてあげるとよいです。
軽度の膿皮症であれば、シャンプーによっての治療だけでよいこともありますが、シャンプー選びが重要です。
膿皮症におすすめのシャンプーで、市販されているものが「ノルバサンシャンプー」です。
これはアメリカの会社が開発した薬用シャンプーで、1973年から販売されており、今でもアメリカで愛用され続けている実績があります。
ノンバサンシャンプーは、
- 動物医薬部外品
- 細菌を抑制する
- 皮膚病の予防や治療用
- さわやかな香り
- 犬にも猫にも使える
などの特徴があります。脂漏性やノミ・ダニアレルギー性皮膚炎のためのシャンプーでは、皮脂を落とし過ぎたり、成分が強いことがあるので、かえって皮膚炎を悪化させてしまうこともあります。
ノンバサンシャンプーは、しっかり細菌を抑制してくれますし、コンディショナー成分も配合されていて、毛にツヤが出ます。
病院で処方されるシャンプーは「マラセブ」が一般的です。
- 動物医薬品
- 皮膚病治療用薬品
- 細菌やカビに効果的
などがマラセブの特徴です。ノンバサンシャンプーは予防の意味合いが強いですが、マラセブは治療に重きが置かれています。香料などは使われていないようで、香りのよさはありません。
ノンバサンシャンプーも、入手しやすいというメリットがあるため獣医師が処方することもあるので、皮膚病に効果を発揮するといえるでしょう。
皮膚病予防のために、これらの薬用シャンプーを勧める獣医師もいますが、皮膚に住む常在菌に悪影響を及ぼすとする獣医師もいます。
常在菌は悪玉菌と善玉菌のバランスが大切で、どちらかが多くても少なくても、皮膚トラブルにつながります。
治療のために薬用シャンプーを使用するのはよいのですが、予防のために定期的に使用するのは、かえって皮膚トラブルを招いてしまう可能性があるそうです。
日頃のシャンプーは薬用でなく、それぞれの犬の肌質にあったシャンプーを使用するのがよいでしょう。
5.まとめ
犬がぶどうを食べることで、急性腎不全を起こす可能性があります。ぶどうのどんな成分が中毒症状を引き起こすのかはっきりしていないため、一粒でも与えないほうが安心です。
ぶどう膜炎になると、涙や目やにが増えたり、目をかゆがるしぐさがみられます。
感染症やもともと持っている疾患の影響、遺伝などが原因で起こり、早期発見が大切です。症状が他の病気と区別しにくいですが、日頃から目の様子を観察しておくようにしましょう。
犬に多い膿皮症の原因は、ブドウ球菌によるものがほとんどです。炎症が皮膚の表面に起こるのか深層に起こるのかによって、病名が変わってきます。
局所治療や投薬治療が行われますが、軽度であれば薬用シャンプーでの治療になります。
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