犬と人では体の作りが違っているので、人間の尺度で犬の食べ物選びをしてしまうと危険です。
犬に食べさせてはいけない有名な食べ物だと玉ねぎなどがありますが、野菜がすべてダメ、という訳ではありません。
例えば今回ご紹介するキャベツ。これは犬に食べさせても大丈夫な野菜の1つです。
しかし、大丈夫だからといって大量に食べさせるのは危険なんです。
ここではキャベツを犬に与えるメリットや、適切な量、食べさせ方などをご紹介します。
目次
1.犬はキャベツが好き?食べることができる?
1.1.キャベツは犬にとっても栄養豊富
1.2.キャベツでアレルギーは出ない?
1.3.キャベツの食べ過ぎは結石の原因に
3.犬へのキャベツのあげ方
3.1.生と茹でたものはどっちが良い?適切な量は?
3.2.芯は取り除いてあげよう
4.キャベツを使った手作りごはんレシピ
4.1.ささみとキャベツを使った手作りごはんレシピ
1.犬はキャベツが好き?食べることができる?
犬の中にはキャベツが大好きな犬もいますので、飼い主さんの中にはおやつ代わりにキャベツを与えている、という方もいるのではないでしょうか。
冒頭でも書きましたが、キャベツは犬が食べても問題のない食べ物のひとつです。
キャベツにはご存じのように、食物繊維が多く含まれていますので、人間と同様に犬の胃腸の環境改善にも良い食べ物になっています。
ただし、もともと犬は肉食寄りの動物になっていますので、野菜を積極に取るような生き物ではありません。
キャベツに多く含まれる食物繊維も、ある程度の量であれば、プラスの効果が期待できますが、あまりに極端に大量に与えてしまうと、消化不良を引き起こす原因になる恐れもありますので、与えすぎには注意が必要だと言えます。
1.1.キャベツは犬にとっても栄養豊富
キャベツには、体に良いとされる様々な栄養素が多く含まれています。
人間と犬では確かに体の作りは多少違いますが、キャベツの栄養素は犬にとっても人間と同じように体に良いとされています。
それではキャベツには、どのような栄養成分が含まれているのかを見てみましょう。
ビタミンC
ビタミンCを含む野菜や果物は多くありますが、キャベツは100g中44mgとかなり多くのビタミンCが含まれている食べ物のひとつになっています。
ビタミンCは、犬にとって主に体の免疫機能の向上に役に立つ栄養素になっています。
犬はビタミンCを体内で合成できるとも言われていますが、一日に合成できる量が決まっているため、ビタミンC不足になる可能性も十分考えられるため、キャベツから不足分を摂る、というのは悪いことではありません。
ビタミンU
ビタミンUには胃腸の粘膜の代謝を活発にしてくれる効果があるため、胃腸の保護の手助けや消化吸収に役立ちます。
また、胃酸の分泌を抑制してくれる効果もあり、胃腸粘膜の修復にも役に立つ栄養素になっています。
ビタミンK
ビタミンKには血液の凝固作用がありますので、怪我をした時などの止血に役に立ちます。
また、丈夫な骨を形成するのにも欠かせない栄養素のひとつになっています。
カルシウム
キャベツはカルシウムも多く含んでいる野菜です。
ご存じのように、カルシウムは骨や歯を形成するためには必要な栄養素のため、犬にも欠かかすことのできない重要な栄養素のひとつだと言えます。
このように、キャベツには犬にとっても良いとされる栄養素が豊富に含まれています。
その他にも、視力障害防止や病気の予防などの効果が期待できるベータカロチンや、正常な生命活動をおこなうのに欠かせないカリウム、血中酸素の運搬に必要な鉄など、まだまだ多くの栄養素を含んでいる優れた食べ物なのです。
1.2.キャベツでアレルギーは出ない?
このように栄養素も豊富に含んでいる犬にとっても良いとも言える食材のキャベツですが、ごく稀にキャベツアレルギーを持っている犬がいます。
犬も人間と同じように、個体によっては食物アレルギーを持っていることがあるため、アレルギーを起こす食品を摂らないように気を付ける必要があるのです。
キャベツなどの野菜類は、その他の肉類や魚類、穀物などに比べるとアレルギーを起こしにくい食べ物ではありますが、皮膚炎や鼻炎、目の炎症、消化器の異常などが見られる場合はアレルギーを起こしている可能性が高いと言えます。
そのため、そういった症状が見られた場合は、キャベツを与えるのはすぐにやめ、症状が落ち着くのを待つか、あまりにひどい場合は獣医さんの診断を仰ぐようにしてください。
また、キャベツにはヨウ素の吸収を阻害する成分が含まれています。
それが原因でキャベツを食べ過ぎると、甲状腺が栄養素をより吸収しようとするためにフル活動してしまいます。
その結果、甲状腺腫という腫瘍が、犬の体内にできてしまう恐れもありますので、甲状腺に持病を持つ犬にはキャベツは与えないほうが良いでしょう。
キャベツ以外にも白菜や大根、ブロッコリーなどのアブラナ科の野菜にも同じ成分が含まれていますので、甲状腺に持病のある犬にはキャベツだけでなく、アブラナ科の野菜は与えないように気を付けましょう。
1.3.キャベツの食べ過ぎは結石の原因に
持病で結石持ちの人はキャベツをあまり食べないほうが良いと言われています。
その理由は、キャベツには「シュウ酸」と呼ばれる成分が多く含まれているからです。
シュウ酸は体内に取り込まれると、カルシウムと結合して「シュウ酸カルシウム」という成分になります。
このシュウ酸カルシウムが、実は徐々に固体化してしまい、結石の原因物質になると言われているのです。
もちろん、私たちが普通にキャベツを食べているだけで、尿道結石になってしまったなんて話はあまり聞きませんが、極端な量を食べ過ぎると、そういった病気の原因にもなる恐れがあるということは頭に入れておきましょう。
実は犬の結石という疾患は近年増加しています。
通常、ショウ酸の多く含む食材というと、多少知識のある人はほうれん草を連想するかと思います。
確かにほうれん草には100g中770mgものシュウ酸が含まれており、それに対してキャベツは360mgですので、キャベツと比べてもほうれん草には倍以上のシュウ酸が含まれています。
ただ、独特のえぐみを持つほうれん草よりも、クセのないキャベツのほうが犬は好んで食べますので、ついつい多くの量を与えてしまう危険性を考えると、キャベツのシュウ酸にも注意が必要だと言えるのです。
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2.犬にキャベツをあげるメリット
ここまでは、少し不安を煽るようなことを言ってしまいましたが、どんなに体に良いものでも摂りすぎると弊害が出てくるということは当然のことです。
キャベツには上記で紹介した摂りすぎによるデメリットだけでなく、食物繊維が含まれていますので、便秘の解消や消化不良の解消にも役に立ちます。
さらには、様々な病気の予防に最適な抗酸化作用の高いビタミンCや血液の凝固作用のあるビタミンKなどが特に豊富に含まれています。
また、上記でも触れましたがビタミンUは、キャベツから発見された成分で、胃腸の保護や消化不良を防いでくれます。
別名「キャベジン」と呼ばれていますが、この名前をどこかで聞いたことがある人は多いのではないでしょうか?
そうです、あの胃腸薬の「キャベジン」は、このキャベツの成分であるビタミンUを多く含んでいるのです。
胃腸薬の成分として使用されるくらいのものですから、それだけでもどれほど胃腸のトラブルに有用かがわかっていただけるのではないでしょうか。
このように、キャベツには様々なメリットも存在しますので、摂りすぎにさえ注意すれば、犬にとっても健康的な食べ物であることは間違いないと言えるのです。
3.犬へのキャベツのあげ方
栄養豊富でアレルギーの心配が少ないキャベツですが、与え方にはそれなりに注意が必要です。
ここでは、そんなキャベツの与え方に対する注意点をまとめてみました。
3.1.生と茹でたものはどっちが良い?適切な量は?
ここで紹介させていただいたように、キャベツには豊富な栄養素が含まれていますので、これらの栄養素を効率的に摂取させるには、生で与えたほうがよいとされています。
その理由は、ビタミンをはじめとする栄養素は熱を与えると壊れてしまうからです。
ただし、キャベツは決して消化に良い食べ物とは言えませんので、生で与える場合は、細かく刻んでから与えるようにしましょう。
犬は基本的に、口にいれたものをあまり噛まないですぐに呑み込んでしまいますので、大きなまま与えることは犬の消化によくありません。
また、食物繊維は熱を与えても壊れてしまうことはありませんので、食物繊維を与えることをメインとするのであれば、消化にもよいことからも茹でてから与えるのがよいでしょう。
さらに、前述で紹介した犬の結石による疾患を引き起こす可能性の高いショウ酸ですが、このショウ酸も熱を与えることで、キャベツに含まれるショウ酸の量を減らすことができます。
そのため、ショウ酸の摂取が気になる方も、キャベツは茹でてから与えるのがよいでしょう。
まとめると、キャベツの栄養素を与えるのが目的であれば、キャベツを小さく刻んでから与える量も少量にしておくこと。
消化不良やショウ酸が気になるようであれば、茹でてからキャベツを与えるのがおすすめだということです。
犬に与えても大丈夫なキャベツの量ですが、当然種類や個体差もありますので正確な量は一概には言えませんが、餌といっしょに与えるのであれば、適切な食事量の1/5程度にとどめておくのがよいと言われています。
3.2.芯は取り除いてあげよう
よく「キャベツの芯は犬に与えていいのか?」という質問を見かけますが、基本的には犬がキャベツの芯を食べたからと言って大袈裟に心配する必要はありません。
しかし、犬の体調や個体差によっては胃酸の分泌量が少ない場合があり、その状態でキャベツの芯を食べ過ぎると、キャベツの芯に含まれている「硫化イオン」が原因で中毒症状を起こすこともあると言われていますので、基本的にはキャベツの芯は与えないほうがよいでしょう。
少なくとも体力の弱った犬や老犬などには、キャベツの芯は与えないほうがよいと言えます。
また、そういった問題以前にキャベツの芯は固く消化しずらいため、食べものをよく噛んで食べない犬に適している食べ物とは言えないでしょう。
4.キャベツを使った手作りごはんレシピ
ここではキャベツを使った犬の手作りごはんのレシピを紹介させていただきます。
キャベツの他にも、様々な食材を組み合わせることで、より健康的な食事になりますので、是非挑戦してみてはいかがでしょうか。
鶏ひき肉のキャベツたっぷり雑炊
キャベツににんじん、チンゲン菜など様々な野菜が入った犬が大好きな雑炊です。
材料
※体重3kgの犬の場合
- 鶏ひき肉25g
- ごはん適量
- キャベツ1/2枚
- にんじん1cm
- チンゲン菜1枚
- ごま油少々
作り方
- キャベツ、にんじん、チンゲン菜を細かく切ります。
- 鶏ひき肉とごはん、細かく切ったキャベツ、にんじん、チンゲン菜を水で煮込みます。
- 鶏ひき肉と野菜に火が通ったらごま油を入れて混ぜて出来上がり。
詳しいレシピはこちら
http://wanchef.com/D/D5000?recipe_id=1030
キャベツたっぷり砂肝
砂肝は犬の大好物。
そんな砂肝にキャベツをはじめとしたたっぷり野菜をとっぴんぐして栄養バランスのよい食事に仕上がっています。
材料
※体重3.8kgの犬の場合
- 砂肝30g
- キャベツ25g
- ピーマン10g
- にんじん10g
- 桜えび少々
- 青のり少々
- すりごま少々
- オリーブオイル少々
作り方
- 砂肝、キャベツ、ピーマン、にんじんを細かく切ります。
- 細かく切った砂肝、キャベツ、ピーマン、にんじんを水で煮込みます。
- 火が通ったらザルにあげ水を切って人肌程度に覚まします。
- 最後にオリーブオイルを少々かけたら出来上がり。
詳しいレシピはこちら
http://wanchef.com/D/D5000?recipe_id=1174
春キャベツの彩りリゾット
春キャベツを使った、優しい味わいのリゾットです。
優しい味わいとやわらかい食感は、生後3ヶ月ほどの子犬にもおすすめです。
材料
※体重1.3kgの犬の場合
- 鯵1切れ
- キャベツ1/2枚
- パプリカ適量
- ごはん適量
作り方
- キャベツ、パプリカをみじん切りにする。
- 鯵とごはん、みじん切りにしたキャベツとパプリカを水で煮込みます。
- 野菜が柔らかくなったら、鍋の具材を全てフードペッパーに20秒ほどかけたら出来上がり。
詳しいレシピはこちら
http://wanchef.com/D/D5000?recipe_id=1356
4.1.ささみとキャベツを使った手作りごはんレシピ
犬の定番の健康食材と言えば、やはり鶏のささみでしょう。
鶏のささみは、犬用の様々なドッグフードの材料として使用されている定番の食材で、高たんぱくでありながらヘルシーなのが特徴です。
また、高たんぱくなだけでなく、ビタミンやミネラルも多く含まれており、反面炭水化物や脂質はほとんど含まれていないという人間にとってもヘルシーで栄養価の高い食材になっています。
ただし、鶏のささみは他の肉類と比べて、リンを多く含んでいます。
リンの摂りすぎは、骨のカルシウムの減少につながってしまいますので、栄養価が高いからと言って、ささみばかりを与えるのではなく、他の食材とローテーションしながら与えるのが良いでしょう。
鶏ささみのミネストローネ
強力な抗酸化作用を持った食材のトマトを使ったミネストローネ風の犬用ごはんです。
材料
※体重4kgの犬の場合
- 鶏ささみ10g
- キャベツ20g
- にんじん5g
- じゃがいも10g
- 干ししいたけスライス1g
- トマト20g
作り方
- 鶏ささみをアクを取りながら煮込みます。
- 鶏ささみがゆであがったら鍋から取り出し、ゆでた鶏ささみを一口大の大きさに切り分ける。
※鍋のお湯は捨てない - キャベツ、じゃがいも、にんじんをみじん切りに、トマトはさいの目にカット、干しシイタケは細かく粉砕しておく。
- 鶏ささみを取り出した鍋に、みじん切りにしたじゃがいもとにんじん、細かく砕いた干ししいたけを入れて煮込みます。
- さらに、鶏ささみとみじん切りにしたキャベツ、さいの目にカットしたトマトも入れて弱火で15分から20分ほど煮込んだら出来上がり。
詳しいレシピはこちら
http://wanchef.com/D/D5000?recipe_id=1113
鶏キャベツうどん
栄養価の高い鶏ささみとキャベツに、消化の良いうどんを組み合わせた、犬の体に優しいごはん。
材料
※体重9kgの犬の場合
- 鶏ささみ60g
- キャベツ適量
- えのき適量
- うどん1/4玉
作り方
- 鶏ささみを一口大に切る。
- 鍋に鶏ささみを入れ、水で煮込みます。
- キャベツ、えのきを食べやすい大きさに細かく切り、鍋に加えて煮込みます。
- うどんを食べやすい大きさにちぎって、鍋に加えて煮込みます。
- 人肌程度に冷まして出来上がり。
詳しいレシピはこちら
http://wanchef.com/D/D5000?recipe_id=429
5.まとめ
このように、基本的にはキャベツは犬に与えても問題ない食べ物になっています。
キャベツを食べることによって起こりうる弊害もいくつか紹介させていただきましたが、キャベツに限らずなんの食材も、過剰に摂取することは体に良くありません。
いくら栄養価が高い食材だからといって、同じものをたくさん与えるのではなく、様々な食材をバランスよく与えることが良いというのは、犬も人間も同じです。
愛犬の健康のためにも、正しい知識を持って食事をさせてあげましょう!
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