犬のストレスサインに注意!確認すべき犬の合図とストレス解消法

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現代社会に生きる私たちが日々ストレスに悩むように、犬もまた同じように日常生活において大なり小なりストレスを抱えています。

はじめのうちは軽度でも、蓄積されていくごとに慢性化するストレスは、犬の心や体に多大な悪影響を及ぼしかねません。

そこで今回は、犬のストレスに注目し、原因やストレスが溜まっている状態の犬のカーミングサイン、ストレスが原因で罹る病気、そしてストレス解消法を詳しくご説明いたします。

目次

1.犬のストレスとは

2ストレスを感じる原因は精神的・環境的なものが影響
2.1精神的なストレスとは?
2.2環境的なストレスとは?

3.ストレスを感じている時のカーミングシグナル
3.1.一箇所を『舐める・嗅ぐ』を続ける
3.2.同じ場所を往復し、『尻尾を追いかける』
3.3.舌を出して『息苦しそうにする』
3.4.体をぶるぶる『震わせる』
3.5.我慢をすることで『あくび』をする
3.6.コミュニケーション不足による『無駄吠え』

4.ストレスによる初期の症状3つ
4.1.ストレスによる『貧食で痩せる』
4.2見えなかった『フケが興奮や緊張で表面化』する
4.3引っ越しや宿泊、『環境の変化でよだれを垂らす』

5.過剰にストレスが溜まると病気になる
5.1近年急増中の『ストレス脱毛症』
5.2飼い主の死、分離(寂しさ)によるうつ病
5.3人間と同様の『ストレス疾患』
5.4免疫力低下による『感染症』

6.犬のストレスを解消する方法
6.1飼い主とのスキンシップで安心感を
6.2自然のメロディーは犬はリラックス状態に
6.3犬のツボを刺激することでストレスを解消
6.4運動は周に1回以上はしてあげる

7.まとめ

1.犬のストレスとは

私たち人間と同じように、犬もまたストレスを感じやすい生き物です。

例えば、知らない人が家に訪問したり、家の前に車が通過したり、雷が鳴ったりなどのささいなものから、長時間の留守番による飼い主の不在、家庭内不和、引っ越しなど、環境の変化や家庭内での人間関係の悪化などの深刻な理由で心身ともに激しいストレスを受けてしまいます。

犬のストレスの原因は、このように様々な要因がありますが、比較的軽度の状態でしたら軽い運動や散歩、おもちゃで遊んだりスキンシップや大好きなおやつを与えるなどで解消されます。

ところが、ストレスが蓄積し続け解消されることなく慢性化してしまうと、ちょっとやそっとではストレスを和らげにくくなってしまい、病気や脱毛症、無駄吠えなどの症状が現れ、最悪の場合は命を落としかねない重篤な病気を患ってしまう可能性もあります。

そのため、愛犬のストレスを和らげ、日々健やかに生活で切るように飼い主がすべきことは、常に愛犬の状態をチェックし、ストレスが溜まってないか、もし溜まっている場合は適切にメンタルケアをしてやる必要があります。
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2.ストレスを感じる原因は精神的・環境的なものが影響

犬のストレスの原因は、

  • 精神的要因
  • 環境的要因

の2つが密接にかかわっています。

犬は本能的に習慣行動を好む生き物であり、飼い主との関係性のみならず、周囲を取り巻く環境にも非常に気を使います。

また、犬も人間と同じように喜びや怒り、悲しみといった感情を持つ生き物であるため、過度な悲しみや怒りは犬の精神を大きく苛み、ストレスとなって心身ともに蝕んでいくのです。

では、犬のストレスの原因である『精神的要因』と『環境的要因』について詳しく説明していきたいと思います。

2.1精神的なストレスとは?

私たち人間と同じように、高度な感情を持つ犬にとって、ちょっとしたいたずらをしただけなのに酷く怒られたり、長時間留守番をして寂しい思いをすると、かなりのストレスを感じてしまいます。

特に飼い主の長期に渡る不在は分離不安を催し、ストレスの慢性化につながります。

また、集団生活を好む犬にとって家庭内不和は一大事であり、非常に大きなストレスとして心身ともに苛まれてしまいます。

感情表現が人間と異なる犬のストレスサインを見つけるのはとても難しく、一旦こじれてしまえば一体何が原因だったのか突き止めるのが非常に困難となります。

そのため、なるべく愛犬と触れ合う時間を設け、スキンシップなどを行うことで愛犬の不安や恐怖、緊張などの精神的要因から来るストレスを和らげてあげましょう。

2.2環境的なストレスとは?

環境的要因によるストレスは、主に雷や大雨、台風などの災害に寄るものから引っ越しなど今まで慣れ親しんだ土地から新しい土地に移るなどのほか、飼い主夫婦の間に子供が生まれたり等で人数が増えたり、逆に今まで家族の一員だった人物が家を出るなどして人数が減るなどの家族の人数変化なども含まれます。

私たち人間が就職やクラス替え、引っ越しなどの環境の変化によって大なり小なりストレスを感じてしまうのと同じように、犬もまた自分の周囲を取り巻く環境が変化することでストレスを感じてしまうのです。

特に、犬は環境変化を敏感に感じやすいため、犬によっては飼い主の髪型が変わるだけで不安になってストレスに感じてしまうのだそうです。

家の中で飼っているなら外からの刺激に反応しないかというとそうでもありません。

日中はカーテンを開けているご家庭が多いと思われますが、縄張り意識の高い犬にとって、窓の外を見ることができるということは常に自分の縄張り内に侵入者が表れないか警戒しなくてはならないということにもつながるのです。

こうした環境的要因によるストレスは、犬の個性にもよりますが、愛犬が環境変化に少しでも早く慣れるために飼い主が丁寧にかつ慎重にケアしてあげることが大切です。

また、家の中で飼っている場合は、日中は犬用ケージに入れたり、カーテンを閉めるなどをして窓の外の様子が分からないようにシャットダウンするのも方法の一つです。環境変化による不安や恐怖を和らげ、安心させることが重要です。

3.ストレスを感じている時のカーミングシグナル

カーミングシグナル(calming signal)とは、犬が不要な争いを回避したり、自分の状態を相手に伝えるための非音声的言語のことで、私たち人間と異なり、言葉を持たない犬が生まれついて持つ機能のことを指します。

“calming“は『落ち着かせる』という意味であり、自分と相手の緊張をほぐすのが主な目的とされています。

特に、ストレスを感じているときのカーミングシグナルは

  • 一か所をしつこく舐めたり嗅いだりし続ける
  • 同じ場所を何度も往復したり、自分の尻尾をいつまでも追いかける
  • 舌を出して「ハァハァ」と息苦しそうにする
  • 寒くないのに体をぶるぶると震わせる
  • あくびを頻繁にする
  • 無駄吠えが多くなる

の6つで、犬がこれらのカーミングサインをする場合は、ストレスが溜まっている可能性があります。

これらのカーミングシグナルを理解することは犬のストレスに気づき、解消および緩和に役立ちます。言葉を持たない犬の気持ちを理解するために、是非覚えておくとよいでしょう。

3.1.一箇所を『舐める・嗅ぐ』を続ける

愛犬がよく口元や前足などを舐めたり、地面の一か所をかぎ続けるなどの行為を見かけることはありませんか?

実はこれは高ぶった感情や興奮、緊張をなだめるために行うカーミングシグナルなのです。

この、口元や鼻先を舐める行動は“flicking”(フリッキング)と呼ばれ、自分の感情を鎮めるためだけでなく、相手の緊張をほぐすために行われます。

よく愛犬がいたずらして叱るときに、口元や鼻先を舐めていませんか?これは「もう、怒らないで。反省しているから」と飼い主をなだめているのです。

また、全身をまんべんなく舐めるグルーミングは、毛並みのお手入れだけでなく、精神的な不安を和らげ、緊張をほぐす作用があるとされています。

体のお手入れとともに、心のリフレッシュも兼ねているわけです。

また、散歩やドッグランなどの広場で遊んでいるときに、愛犬が同じ場所をかぎ続けている光景を見たことはありませんか?

これは、家族や自分の臭いなど、慣れ親しんだ臭いが感じられない不安を緩和し、新しい環境の臭いを嗅いでインプットすることで今自分が置かれた環境に慣れるためのカーミングシグナルなのです。

ところが、体の一部を頻繁に舐め続けたり、長時間同じ場所をかぎ続けるなど明らかに異常な場合は強迫神経症の可能性があります。

強迫神経症とは、自分の意思で行動をコントロールできなくなる一種の心の病気で、人間と同じように犬も過度のストレスが原因で自傷行為などの強迫神経症を患うことがあります。

特に、前足など同じ場所をいつまでも舐め続けていると舐性皮膚炎を引き起こし、放っておくと皮がむけ、骨が露出するほど重症化してしまいます。

舐性皮膚炎は前足や尻尾の付け根など口が届きやすい部位にできることが多いため、比較的早期に発見することが可能です。

なるべく症状の軽いうちに動物病院で適切な治療を受けましょう。

3.2.同じ場所を往復し、『尻尾を追いかける』

犬はストレスが溜まり、「どうしたらいいのか分からなくなる」ほど混乱状態に陥ると、不安や恐怖、心細さやストレスを和らげるために意味のない行動をとることがあります。

子犬が一人遊びで自分の尻尾を追いかけまわして遊んでいる姿を見かけたことはありませんか?

なんともほほえましい光景ですが、もし長時間、頻繁に尻尾を追いかけているようでしたら、ストレスによる常同障害かもしれません。

常同障害とは、同じ場所をいつまでも往復したり尻尾を長時間追いかけ続けたり、体の一か所をずっと舐め続けるなど何度も同じ行動を繰り返す不安障害の一種です。

一時的な症状であれば問題はありませんが、ストレスが慢性化し、過剰状態が続くとエスカレートすることもあります。

また、症状が悪化すると歯止めが効かなくなり、自分の意思で行為を止められない強制行動状態に陥ることもあり、常同障害と併発してしまうこともあります。

いずれも重症化した場合は動物病院で適切な処置を受けなければならなくなります。

なるべく初期段階のうちに原因であるストレスを解消し、改善することをおすすめします。

3.3.舌を出して『息苦しそうにする』

散歩や激しい運動の後でもないのに、愛犬が舌を出して「ハァ、ハァ」と息苦しそうに呼吸していることはありませんか?

これは周期の短い腹式呼吸を行うことで、ストレスで乱れた自律神経を正常な状態に戻しているのです。

私たちも緊張すると深呼吸をして気持ちを落ち着かせることがありますよね。

犬も同じように、緊張や不安を呼吸によってほぐし、ストレスを和らげているのです。

また、極度の緊張によって私たち人間が過呼吸に陥るように、犬もまたストレスが原因で過呼吸になることがあります。

息苦しく何度も呼吸を行い、「ヒュー、ヒュー」とのどの奥から呼吸するような音や豚の鳴き声のような呼吸音がする場合は、過呼吸の可能性があります。

応急処置として、恐怖心を与えないように優しく、愛犬の鼻をふさいで呼吸を一旦止め、発作を抑えましょう。

あくまでも愛犬に不安を抱かせず、「大丈夫」と優しく声をかけてそっと行うことが大切です。

もし頻繁に舌を出して息苦しそうに呼吸をしている場合は、鼻炎の症状が重症化していたり、気管支や肺、心臓などの循環器系の病気の可能性もあります。

いずれにせよ、まずはお近くの動物病院に掛かり、獣医師に診断してもらうようにしましょう。

3.4.体をぶるぶる『震わせる』

寒いというわけでもないのに、愛犬がぶるぶると体を震わせているときは、恐怖心や心細さ、不安感による震えの可能性もあります。

犬も人と同じように、何か怖いものを見たときや不安で仕方ないに極度の緊張を感じます。

その緊張を解きほぐすために体をぶるぶると震わせるのです。

特に、体を縮めて震えているのは相手に対して激しい恐怖心を抱いているサインです。

嫌いな人や掃除機など愛犬が怖がっているもの、雷や地震、台風などの災害も恐怖の対象に入ります。

そのため、恐怖心を煽る対象が愛犬の側にあったり、災害などでひどく怖い思いをしたときは、そばに寄り添って「一緒にいるから大丈夫だよ」と安心させてあげましょう。

私たち人間も、親しい人が側にいるだけで心が安心しますよね。

犬もまた同じように、信頼している飼い主が側にいることで安心し、恐怖心による不安を払拭することができるのです。

体の震えはストレス以外にも低血糖や中毒症状、“ホワイトシェイカードッグ症候群”など特定の犬種などに見られる症状の可能性もあります。

特に低血糖は内臓疾患の可能性もあるため、体の震えが頻繁に起こるようでしたらなるべく早急に動物病院に受診するようにしましょう。

3.5.我慢をすることで『あくび』をする

動物病院で診察や予防接種を受ける時になぜか愛犬が「ファ~」と大きなあくびをしているのを見かけたことはありませんか?

一見「リラックスしているのかな?」と思ってしまいますが、実は逆で、犬は「怖いから早く終わって!」という気持ちで一杯なのです。

犬のあくびは、興奮してたかぶった気持ちを静めたり、相手に対して「敵意はない」と表明することで互いの緊張を解きほぐす効果があります。

また、犬のあくびはどちらかというと人間のため息に近いもので、相手に対して「不快である」ことを表明するカーミングシグナルでもあります。

私たちがよく緊張したり、面倒事を押し付けられると思わずため息が出ますよね。

それと同じように、犬もあくびをすることで「ああ、イヤだなあ」と不快感を表に出すのです。

あくびを頻繁に行う場合は、犬が緊張、若しくは不安を示していることが多いです。そ

の場合、スキンシップの時間を増やしたり、大好きなおもちゃやおやつなどを与えるなどストレスを解消してあげましょう。

ところで、よく他の人があくびをすると自分にもうつって思わずあくびをしてしまった経験はございませんか?

実は犬も人間があくびをすると同じようにあくびをすることがあるそうです。

この人間から犬へのあくびの伝染には様々な仮説があり、共感や緊張によるあくび、固定動作や飼い主の表情のパターン学習などがあります。

集団生活を好む犬ならではのユニークな性質といえましょう。

3.6.コミュニケーション不足による『無駄吠え』

愛犬の無駄吠えを治したいと願う飼い主は少なくないかと思われますが、いくらしつけても治らず余計に無駄吠えが悪化する場合は、ストレスが過剰状態になり、慢性化している可能性があります。

主に飼い主とのコミュニケーション不足や環境変化、家族間の関係悪化などによる不安や恐怖、欲求不満、興奮などのストレスが蓄積していくと、ストレス発散のために無駄吠えをします。

これは、人間が感情を持て余して大声で泣き叫ぶのと同じようなものなのです。

犬にとって、『吠える』ということは本能に密接につながっています。

犬に対して「吠えるな!」というのは「呼吸するな!」といわれるのと同じくらい不可能なことなのです。

集団生活を好み、縄張り意識の高い性質を持つ犬にとって、吠えることはテリトリー内の仲間とのコミュニケーションをとるための手段であり、テリトリーに侵入してきた外敵を警戒・威嚇するために吠えるのです。

それは私たち人間が他者とのコミュニケーションのために会話・挨拶をするために言葉を話すのと同じなのです。

頭ごなしに「吠えるな!」と叱るのではなく、「もしかしたら愛犬とのコミュニケーション不足や愛犬が何かしら不安を抱えているのではないか?」と考え、なるべく早急にストレスの原因を解明し、解消してあげましょう。

それでも無駄吠えが収まらない場合は自分だけで抱え込まず、獣医師やプロのドッグトレーナーに相談するようにしましょう。
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4ストレスによる初期の症状3つ

ストレスが溜まることで様々な症状が起こりますが、ストレス障害をできるだけ軽度のうちに解消するためには、なるべく早い段階で兆候を見つけ出す必要性があります。

特に、初期症状として多いのが

  • 食欲不振による極端な体重の減少
  • フケの過剰発生
  • よだれの過剰分泌

の3つです。

これらの初期症状を発見・確認したらすぐに原因を突き止め、ストレスを解消してあげるのが理想です。

この項目では、これら3つの初期症状について、そのメカニズムと対処法をご説明したいと思います。

4.1.ストレスによる『貧食で痩せる』

人間と同じように、犬もストレスが蓄積されると、食欲が減退してしまいます。

環境変化や長時間の留守番などの飼い主不在による分離不安は、犬にとって非常に大きなストレスとなります。

食欲がなくなり、極端にやせ細ってしまうほど貧食になると体力も当然ガクンと落ちてしまいます。

特に、子犬やシニア犬は命にかかわることも少なくありません。

ストレスの元を取り除き、不安を解消してあげることが大切です。

また、元気で持病のない健康な犬であれば、2日ほど様子を見ても大丈夫ですが、2日以上経過しても改善が見られない場合は、消化器疾患の可能性もあります。

いずれにせよ、食欲減退は愛犬の命にかかわるので、なるべく早めに動物病院に受診することをおすすめします。

4.2見えなかった『フケが興奮や緊張で表面化』する

愛犬が興奮したりおびえているときに、突然ブワッとフケを大量に拭きだした経験はありませんか?

こうした一瞬でフケが大量に拭きだす症状はストレスによる新陳代謝の異常によって引き起こされるのです。

犬のフケは人間のものと同じく、新陳代謝による皮膚のターンオーバーによって角質化した古い皮膚で、ターンオーバーの過程で剥がれ落ちます。

通常ならば、フケはあまり目立たないのですが、酷く興奮したり緊張したりすると体温が上がり、新陳代謝がより活発になります。

そのため、ストレスによって乱れた新陳代謝によってフケが異常発生してしまうのです。

ストレスが原因で起こるフケの異常発生は、ストレッサーである不安や恐怖、怒りの感情などの興奮を抑えてあげることが大切です。

激しい興奮状態に陥っている場合は気の昂ぶりを静めるように優しくなだめて愛犬の精神状態を安定させましょう。

この他にも、乾燥や皮膚の病気、シャンプーのやりすぎなど、フケの異常発生の原因はストレス以外にもあります。

一時的な症状にとどまらない場合は、かかりつけの獣医師に相談し、なるべく軽度のうちに治療を受けるようにしましょう。

4.3引っ越しや宿泊、『環境の変化でよだれを垂らす』

引っ越しや宿泊など、生活環境が劇的に変化することは、環境変化に対して非常に敏感な犬にとって多大なストレスです。

こういった強い不安や恐怖が重なることで、いつも以上によだれを沢山垂らすようになる犬も少なくありません。

これは、急激な緊張状態による体温上昇をおさえ、ストレスを和らげるために行うのです。

犬は人間のような汗腺をもたず、口を開けて舌を垂らすことで体温調整をします。

ところが、強い緊張状態に置かれると体温が急激に上昇し、体温調節のためによだれを多く分泌します。

これは、私たちが緊張の時思わず冷や汗をかくのと同じプロセスです。

よだれの過剰分泌は、ストレスのほかにも消化器疾患や口腔の病気、熱中症、中毒、乗り物酔いなどがありますが、よだれと共に泡が出たり、けいれんなどの発作を起こしている場合はてんかんの可能性もあるため注意が必要です。

特に、てんかんの場合は意識障害が起きることもあるため、発作が起きたら動物病院で獣医師に詳しく診てもらうことをおすすめします。

5.過剰にストレスが溜まると病気になる

犬も人間と同じように、あまりにストレスが溜まりすぎると体調を崩し、病気にかかることがあります。ストレスが原因で罹る病気は主に

  • ストレス脱毛症
  • うつ病
  • ストレス疾患
  • 免疫力の低下による感染症

があり、中でもうつ病は高齢化社会が進むにつれ急増し、問題となっています。

この項目では、ストレスが原因で起こりやすい犬の病気について触れ、各症状や対処法についてご説明していきたいと思います。

5.1近年急増中の『ストレス脱毛症』

私たち人間がストレスで円形脱毛症になるように、犬もストレスが原因で体毛が抜け落ちる症状が出ることがあります。

最近急増中である脱毛症は主に尻尾の付け根や顔など部分的にハゲたり、全身に脱毛が見られるなど程度も様々です。

また、体の一部分を舐め続けてできる脱毛症はストレスによる自傷行為から来るもので、放っておくと舐性皮膚炎の原因になります。

よく季節の変わり目に愛犬の毛が抜けることがありますが、生え変わりの場合は全身の毛がまんべんなく抜けるのに比べ、ストレス性脱毛症は体の一部分の毛が抜けることが多いのが最大の違いです。

また、ストレス以外にも、カビや真菌などが原因で脱毛症になる場合があります。

いずれにせよ、部分的に脱毛が見られる場合は獣医師の診断を受け、適切な処置をしてもらいましょう。

5.2飼い主の死、分離(寂しさ)によるうつ病

人と同じように高度な精神活動を行うことができる犬は、やはり同じように多大なストレスを受けることで心に大きな傷を負い、病んでしまいます。

特に最近では高齢化社会が進む中、飼い主との死別による犬のうつ病が問題になっています。

症状はいつもより元気がなく、飼い主に興味を持たなくなり、食欲不振、あるいは過食に陥ったり、下痢気味、散歩に行くのを嫌がる、狭いところに入り込んで閉じこもったり、何時間も遠吠えをしたり、常に不機嫌になったり、酷い時には自傷行為に走ることもあります。

犬は本来、集団生活をする生き物で、特に自分より立場が上で頼りになる飼い主の存在は愛犬の大きな心の支えとなります。

ところが、飼い主の機嫌が悪く自分を顧みなかったり、家族内の雰囲気が悪く、家族同士の中が悪化していたり、長期間飼い主と離れ離れになることは、犬の精神バランスを大きく崩します。

特に、近年の高齢化社会による飼い主の高齢化が原因で飼い主と死別することは、犬の心に甚大なストレスを与え、治し難い心の傷を負ってしまいます。

犬のうつ病は現在研究途中であり、これと言った治療法はいまだ確立されていません。

獣医師に相談して、犬のうつ状態がよほど重傷でない限り、副作用のことを考えると投薬治療はあまりおすすめできません。

あくまで予防法ですが、うつ病にしないためには、犬を寂しがらせないことが重要です。

犬も人間と同じように、心と感情を持つ生き物です。

心にひどい傷を負ってうつ病になってしまった犬には「決して見捨てないよ」という気持ちを伝え、優しく、根気強く接し、獣医師と協力してゆっくり時間をかけてメンタルケアをしていきましょう。

5.3人間と同様の『ストレス疾患』

犬も人間と同じようなストレス疾患にかかることがあり、

  • 強迫神経症
  • 脱毛症・舐性皮膚炎
  • 下痢・血便
  • 不眠症
  • 吐き気・嘔吐

などといった症状が現れます。

中でも下痢や血便は大腸性のものが多く、食欲自体は普段通りなのに、量が少なく、ゼリー状の粘膜や血液がついている下痢状の便の場合はストレス性の下痢・血便である可能性があります。

一時的な症状であればすぐに回復しますが、慢性化すると悪化するケースも少なくありません。

いずれの症状も原因であるストレスを解消し、動物病院で適切な治療を受けることが早期回復につながります。

5.4免疫力低下による『感染症』

ストレスが蓄積され続け、慢性化すると犬の免疫力は極端に下がります。

免疫力が低下するとアトピー性皮膚炎や鼻炎などのアレルギーの重症化や、ガンなど命にかかわる病気を患うことも最近では少なくありません。

特にガンは、10歳以上の成犬の死因として約5割を占め、主に皮膚、リンパ、乳腺、血液や脊髄などの造血系、脾臓、肝臓、骨など多岐にわたります。

人間と同じように、犬のガンも初期症状のうちに早期発見・治療することで生存率がグンと上がります。

常に体調管理をし、少しでも違和感を感じたらすぐ動物病院に行きましょう。

とはいえ、素人ではガンの判断がしにくいため、定期的な健康診断を受けることをおすすめします。

頻度としては、子犬~成犬は1年に1回、シニア犬は半年に1回受けるとよいでしょう。触診などは1~2か月に1度受けるのが理想的です。

気になる健康診断の受診料ですが、問診・検温・聴診器などによる診断のみですと1,000~2,000円ほど、これに血液検査や検便・検尿が加わるとおよそ5,000~15,000円ほどかかります。

ガンは初期段階のうちに発見できれば治療も回復も決して困難ではありません。10歳以上になったら年に1度、健康診断を受けることをおすすめします。
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6.犬のストレスを解消する方法

私たち人間と同じように、犬もなるべくストレスが軽度のうちにこまめに解消してあげる必要があります。特に効果的な解消法は、

  • スキンシップ
  • 環境音や小鳥の声などの自然の音を聞かせる
  • 犬のツボ押しマッサージ
  • 週1程度の適度な運動
  • 月1、2回程度のシャンプー

などがあります。

そこでこの項目では、愛犬のストレス発散に効果的な方法を詳しくご説明したいと思います。

6.1飼い主とのスキンシップで安心感を

犬がもっとも安心するのは、飼い主とのスキンシップです。

特に、おもちゃで遊んであげたり、側にいて背中やお腹などを優しくなでて上げるのは犬にとって精神的に安定するとともに、幸福感に満ち溢れます。

特に、話しかけながらのスキンシップは効果的です。

毎日愛犬と一緒にいる時間を作り、スキンシップで絆を深めていきましょう。

6.2自然のメロディーは犬はリラックス状態に

小鳥のさえずりや木々のこずえが風に揺れてかすれる音、そよ風の心地よい音などは私たち人間にとっても心やすらぐメロディーです。

そして犬も同様に、こうした環境音や自然の音色に安らぎを覚えるのです。

犬は人間以上に自分の好きな音と嫌いな音を聞き分ける能力に秀でていて、大好きな飼い主の声や穏やかなリズムに癒しを求めているのです。

たまには愛犬と一緒に自然の声に耳を傾けてみてはいかがでしょうか。

6.3犬のツボを刺激することでストレスを解消

犬にも実はツボがあることを皆様はご存知でしょうか?特に、

  • 液門(前足の小指と薬指の付け根あたり)
  • 攅竹(さんちく。眉の上のくぼみ)
  • 神門(犬の親指側からひじ側にあるくぼみ)
  • 腰百会(腰からお尻にかけて背骨に沿ったところにある大きなくぼみ)

の4つのツボは、刺激してやることで犬のストレスを和らげるリラックス効果が期待できます。

犬にツボ押しマッサージを行う際に気をつけたいのが、ツボを指圧する際の力加減です。

犬も人と同じように、ツボを刺激されると痛みを感じます。

そのため、力を入れ過ぎるとかえって逆効果になってしまいます。

そのため、ツボを指圧する際は、目安として1か所ごとに3~5秒ほどゆっくりとツボを押し、ゆっくり離すのを6~10回ほど繰り返すようにしましょう。

やさしくツボを押しながら、指で“の”の字を描くようにクルクルと軽く揉んであげるのが、ツボ押しマッサージをうまくやるコツです。

6.4運動は周に1回以上はしてあげる

適度な運動は心身ともに健全にしてくれますが、犬もまた同じように、激しすぎない運動を習慣づけることで溜まったストレスを解消することができます。

毎日散歩に出かけるのはもちろんのこと、週に1度はドッグランや犬が入っても大丈夫な広場などでのびのびと遊ばせてあげるとよいでしょう。

また、犬には探索欲求という好奇心に根付いた生理的欲求があり、好奇心を刺激することで、密接にかかわっている快楽中枢も刺激され、幸福感に満たされるとされています。

そのため、普段とは違うルートで散歩したり、大好きなおもちゃやおやつを探すゲームなど、探索欲求を満たすための遊びをしてあげるとストレス発散に効果的です。

注意したいのが、激しい運動のやりすぎによる筋肉痛や関節、骨の損傷です。

また、適度な運動による疲労は心地よさを感じますが、激しい運動ではかえって苦痛ばかり感じてしまい逆にストレスの元になりかねません。

あくまで気軽な運動を心がけることが大切です。

6.5身体を清潔に保つために月に1.2回はシャンプーする

犬にとって、不衛生なままでいることはノミやダニ、カビなどによる皮膚病などの疾患を患うだけでなく、痛みやかゆみなどにいら立ち、ストレスが溜まる原因につながります。

そのため、皮膚病などに感染しないように月に1、2回程度シャンプーして体を洗って清潔にしましょう。

犬にシャンプーする際は、必ず犬用シャンプーを用い、優しくマッサージするように洗います。

爪を立てて激しくガシガシとこするような洗い方は犬の皮膚を傷めるため厳禁です。

洗い終わったら37~38℃のぬるめのお湯で念入りに泡を落とし、タオルで優しく水気をとったら、ぬるめの温度のドライヤーで湿った部分がなくなるまでゆっくり丁寧に乾かしましょう。

犬によっては、シャンプーが苦手な子もいるので、ご家庭でシャンプーをするのが難しい場合はプロのトリマーに頼んでシャンプーしてもらうか、獣医師に相談して適切なシャンプーのやり方を指導してもらうとよいでしょう。

7.まとめ

いかがでしたでしょうか?

現代社会に生きる私たち人間がストレスと密接にかかわっているのと同じように、犬もまた日々の生活によって様々なストレスを抱えています。

私たちのように言葉を持たない犬は、会話によってストレスを訴えることは不可能です。

愛犬が心身ともに健康に過ごすには、飼い主の日ごろの観察と愛犬の気持ちを理解してあげる努力が必要です。

「最近、スキンシップなどのコミュニケーション不足ではないだろうか?」「頭ごなしについ叱ってしまいがちではないか?」と愛犬に対する行動を一旦振り返ってみることも大切です。

可愛い愛犬がストレスに苛まれないよう、メンタルケアやコミュニケーションの時間を少しでも増やすように努めましょう。
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