犬にも認知症があることをご存知でしょうか。もし、わんちゃんが高齢で、いつもできていたトイレがきちんとできない、よく知っている散歩コースや家の中で迷子になったりということがあれば、認知症の可能性があるかもしれません。
認知症の判断は難しいのですが、DISHAと呼ばれる5つの症状があれば認知症の可能性が高くなります。
そこで、その5つの症状や認知症チェックシート、認知症になりやすい犬種、症状を緩和させる方法、予防策についてご紹介していきます。
認知症は、飼い主さん、ご家族の愛情で予防や緩和ができますので、ぜひ、覚えていただき、わんちゃんが認知症になったとしても飼い主さんが慌てず、落ち着いて、わんちゃんに接してあげてください。
目次
2.初期症状の判断は難しく、DISHAのどれかかから始まる
2.1.自分が今置かれている状況が認識できないDisorientation『見当識障害』
2.2.培ってきた情報を上手く使えないInteraction『社会的交流』
2.3.昼夜逆転Sleep-wake cycle『睡眠サイクル』
2.4.しては行けないところでの排泄House soiling『不適切な排泄』
2.5.目的のない行動Activity『活動性』
4.認知症の症状を緩和させる治療法
4.1.『鎮静剤・麻酔薬』による夜鳴きや徘徊を防ぐ
4.2.DHA、EPA『サプリメントで症状の改善』
4.3.体調や症状によって『効果が期待できる漢方薬』
5.認知症にならないための予防法
5.1.『体内時計を正常にする』ための日光浴
5.2.『運動することは認知症の予防』につながる
5.3.部屋の『環境を犬に合わせて変える』
5.4.飼い主との『スキンシップで脳を刺激』
5.5.スキンシップを兼ねた『マッサージ』
1.犬の認知症とは
人と同じように犬にも老化現象があり、その老化現象のひとつが認知症です。最近では、良質のドッグフードやおやつなども増え、犬の食生活が向上、また、動物医療の発達もあり、犬の寿命が伸びています。そして、犬の高齢化とともに認知症を発症する犬が増えているのが現状です。
老化が始まる年齢は犬種により異なりますが、目安は以下の通りです。
- 小型犬;9~13歳
- 中型犬:9~11歳
- 大型犬:7~10歳
- 超大型犬:6~9歳
犬の認知症は老化にともなう脳の委縮変化、脳神経細胞の機能障害や自律神経の失調が原因となり発症すると考えられていて、以前はできていた行動ができなくなってしまうという、人間の認知症と同じような症状がでてきます。現在では、犬の認知症のメカニズムが徐々にわかってきていますが、まだ、不明な部分が多い病気です。
また、犬の認知症は特定の犬種に多いといわれていて、遺伝による発症も考えられます。、そのほかの要因としては、食事や、生活環境なども認知症発症に関係があるともいわれています。そして、ストレスは脳内の酸化物質の蓄積を促進させるため、認知症が進む原因になるようです。
認知症を発症する可能性が多い犬種は日本犬だといわれています。中でも、柴犬や柴犬のミックスは発症率が高いといわれ、他には紀州犬、甲斐犬、北海道犬なども認知症になる可能性があるということです。
日本犬に比べ、外国の犬種は認知症にかかりにくい、または、かからないというデータがあり、ラブラドール・レトリーバー、ミニチュア・ダックスフンド、チワワ、パグなどの犬種は認知症をほとんど発症しないということです。
ミックス犬については、日本犬の血を引いているかどうかがわかりにくい場合がありますが、その場合には目安として尻尾を見るといいでしょう。尻尾が立っていると日本犬の可能性が高く、外国の犬種は尻尾が立った犬種が少ないことからこのように言われています。
また、犬が認知症を発症してから、亡くなるまでは悲しいことですが、半年足らずのようです。これは、わんちゃんそれぞれで異なるかと思いますが、もし、わんちゃんが認知症になってしまったら、1日1日を大事に、そして、わんちゃんに穏やかに過ごしてもらいたいですね。
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2.初期症状の判断は難しく、DISHAのどれかかから始まる
犬の認知症にはどのような症状があるのでしょうか。実は、DISHA(ディーシャ)と呼ばれる5つの症状が見受けられると、認知症の可能性が高くなります。症状が出始める順番は、わんちゃんによりそれぞれ異なります。こちらでは、認知症の5つの症状DISHA(ディーシャ)についてご紹介します。
2.1.自分が今置かれている状況が認識できないDisorientation『見当識障害』
DISHAの「D」、Disorientation(ディスオリエンテーション)の頭文字で、「見当識障害」のことを言います。見当識障害は、これまでの経験知(知っていることやできていたこと)が混乱して起こる症状で、見当がつかない、自分が置かれている状況がわからなくなります。
(具体例)
- よく知っているはずの近所の道や場所や家の中で迷ってしまう
- 散歩に行き、帰る方向がわからなくなる
- 家の中でもどこにいるのか分からなくなり、迷子になる
- 落着きがなく家の中を歩きまわる。
- 狭い所に入っても、後退して抜け出せない。
- 食事時間、場所がわからない。
2.2.培ってきた情報を上手く使えないInteraction『社会的交流』
DISHAの「I」は、Interaction(インタラクション)の頭文字で「社会的交流」のことです。これは人間や他の犬との交流ができなくなる症状で、「関わり方の変化」のことです。飼い主に対しても無関心になったり、逆にものすごく愛情を求めるようになったり、また、攻撃性を示す場合もあります。
(具体例)
- 飼い主や人に抱っこ、撫でられても反応がない、喜ばない
- 人や他の犬と遊ぶことに興味を示さない、「遊ぼう」の動作をしない
- 飼い主の関心を引こうとしない
- 指示に対して反応がにぶい、言葉で合図しても応えない
- 呼びかけ、話しかけても反応しない
- 家族が外出から帰ってきても迎えない、シッポを上げて振らなくなる
- 飼い主に異常につきまとう、甘える
- 怒りっぽくなる
- 他の犬へ攻撃性を示す
- 多頭飼いの場合、同居犬へ攻撃性を示す
2.3.昼夜逆転Sleep-wake cycle『睡眠サイクル』
DISHAの「S」は、Sleep-wake cycle(スリープ・ウェイク・サイクル)で睡眠サイクルについての症状、眠りが乱れる「睡眠覚醒周期」のことです。多く見られるのは、昼間の睡眠時間が増え、夜間の徘徊や夜泣きが増えてしまいます。
(具体例)
- 不眠と過眠を繰り返す
- 昼間の睡眠が増加、夜間の睡眠が減少する
- 昼と夜が逆転し、昼間は寝ている
- 夜間に家の中を徘徊
- 夜泣きが増える
- 遠吠えをする
2.4.しては行けないところでの排泄House soiling『不適切な排泄』
DISHAの「H」は、House soiling(ハウス ソイリング)の頭文字で不適切な排泄を意味し、排泄が乱れる「排泄の失敗」のことです。今まで、できていた室内での排尿と排便がコントロールできなくなり、トイレを急に失敗するようになります。
(具体例)
- 家の中で飼い主さんが見ている前で排泄する
- トイレ以外の場所で排泄する
- トイレサイン(前兆)が見られなくなる、
- 外から戻ったあと家のなかで排泄する
- 突然おもらしをする
2.5.目的のない行動Activity『活動性』
最後はDISHAの「A」、これは、Activity(アクティビティ)で「活動性」についての症状です。活動性の変化が起こり、意味のある行動が減り、無意味な行動が増え、無関心、反応しないなどがあり、散歩していても昔ほどクンクン匂いをかがなくなったり、執拗に同じ場所を舐めるといった行動を示すことがあります。
(具体例)
- 噛み付いたりする
- 人やものを舐め続ける
- 食欲が低下、増加
- 円を描くように一方向に歩き続け、疲れるまで止まらない
- 物事に反応しない、ぼんやりしていることが多い
- 何もないのに壁や宙をじっと見つめていることがある
- 機敏さ、警戒心がなく、目的のない動き、うろつきをする
3.認知症予備軍か認知症のチェックシート
ご自宅のわんちゃんが高齢で、もし、いつもできていることが急にできなくなったり、いつもとは違う行動が多くなるなど、認知症の疑いが出てきた場合にその判断材料として、ご自宅でも簡単にできる認知症チェックシートがあります。
こちらでは、内野式認知症チェックリストについてご紹介します。内野式認知症チェックリストは、犬の痴呆診断基準100点法でこれらの診断基準は動物エムイーリサーチセンターの内野富弥先生によって1997年に作成されたものです。
以下の通り、点数により「問題なし」「認知症予備軍」「認知症」の判断の目安となります。
判断の目安
合計点数: 30点以下の場合は「問題なし」
合計点数: 31~49点の場合は「認知症予備軍」
合計点数: 50点以上の場合は「認知症」
ただ、最終的には獣医師を受診し医師の判断が必要となります。また、このチェックシートではわからない他の病気を患っている場合もありますので、もし、「問題なし」の結果であったとしても、わんちゃんの様子がおかしいと感じられた場合には同様に獣医師の診察を受けるようにしてください。
診断項目 | ||
食欲・下痢について | 点数 | |
1 | 正常だ | 1 |
2 | 異常に食べ、下痢をする | 2 |
3 | 異常に食べ、下痢をしたり、しない場合もある。 | 5 |
4 | 異常に食べ、ほとんど下痢をしない | 7 |
5 | 異常に食べ、下痢をしない | 9 |
生活リズムについて | 点数 | |
1 | 正常だ | 1 |
2 | 昼の活動が減少、夜も昼も睡眠をとる | 2 |
3 | 昼も夜も眠っていることが多くなった | 3 |
4 | 昼も夜も眠って夜中から明け方に突然起き動き回る | 4 |
5 | 4の状態を人が制止不可能な状態 | 5 |
後退行動(方向転換)について | 点数 | |
1 | 正常だ | 1 |
2 | 狭いところに入りたがり、進めなくなると自力でなんとか後退する | 3 |
3 | 狭いところに入ると自力で後退できない | 6 |
4 | 3の状態だが部屋の直角コーナーでは自力で方向転換可能 | 10 |
5 | 3の状態で部屋の直角コーナーでも自力で方向転換不可能 | 15 |
歩行状態について | 点数 | |
1 | 正常だ | 1 |
2 | 一定方向にフラフラ歩き不正運動(足元がおぼつかない状態)になる | 3 |
3 | 一定方向にフラフラ歩き、大円運動(大きな円を描く)になる | 5 |
4 | 歩いているうちに小円運動(小きな円を描く)になる | 7 |
5 | 自分を中心に旋回運動(ぐるぐる回る)になる | 9 |
排泄状態について | 点数 | |
1 | 正常だ | 1 |
2 | 排泄場所を時々間違える | 2 |
3 | 所構わず排泄する | 3 |
4 | 失禁する (おしっこを漏らす) | 4 |
5 | 寝ている間に排泄をしてしまう(垂れ流し状態) | 5 |
感覚器異常について | 点数 | |
1 | 正常だ | 1 |
2 | 視力の低下、耳が遠くなる | 2 |
3 | 視力・聴力が明らかに低下、匂いを嗅ぐことが増える | 3 |
4 | 聴力がほとんど消失、臭いを異常かつ頻繁にかぐ | 4 |
5 | 嗅覚のみが異常に敏感になる | 5 |
姿勢について | 点数 | |
1 | 正常だ | 1 |
2 | 尻尾と頭が下がるが、足腰はしっかりとしている | 2 |
3 | 尻尾と頭が下がり、立てるがフラフラする | 3 |
4 | 立ち上がったままぼーっとしていることがある | 5 |
5 | 異常な姿勢で寝ていることがある | 7 |
鳴き声について | 点数 | |
1 | 正常だ | 1 |
2 | 鳴き声が単調になる | 3 |
3 | 鳴き声が単調、声が大きい | 7 |
4 | 真夜中から明け方に突然鳴き出す(ある程度制止可能 ) | 8 |
5 | 4と同様だが、全く制止できない | 17 |
感情表出について | 点数 | |
1 | 正常だ | 1 |
2 | 他人や動物に対し、なんとなく反応が鈍い | 3 |
3 | 他人や動物に対し、反応がない | 5 |
4 | 3の状態で飼い主のみにかろうじて反応がある | 10 |
5 | 3の状態で誰にも反応がない | 15 |
習慣行動について | 点数 | |
1 | 正常だ | 1 |
2 | 今までできた行動、習慣的行動が一時的にできなくなる | 3 |
3 | 今までできた行動、習慣的行動の一部が持続的にできなくなる | 6 |
4 | 今までできた行動、習慣的行動がほとんどできなくなる | 10 |
5 | 今までできた行動、習慣的行動がすべてできなくなる | 12 |
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4.認知症の症状を緩和させる治療法
犬の認知症は確実に有効な治療薬というものが、残念ながらまだ存在していません。
そこでこちらでは、認知症の症状を少しでも緩和させる治療方法、お薬についてご紹介しますが、いずれも獣医師の診察、判断なく、飼い主さんのみの判断で行うことは危険が伴う場合もありますので、必ず動物病院へ連れていくことが前提となります。
4.1.『鎮静剤・麻酔薬』による夜鳴きや徘徊を防ぐ
鎮静剤や麻酔薬では、認知症そのものの進行を止めることはできません。ただ、夜泣きや徘徊が深刻になると介護される飼い主さんも不眠やご近所迷惑など、心配事が増えてしまうため、最終的な手段として、鎮静剤や麻酔薬をわんちゃんに処方されることがあるようです。
ただ、薬の分量やわんちゃんの体質などにより薬が効きすぎて何日も眠り続ける、または、眠り続けそのままわんちゃんが亡くなってしまうという可能性もあります。
もし、鎮静剤や麻酔薬の使用をお考えの場合には、上述のリスクがあることを踏まえて検討し、必ず動物病院で獣医師の判断を受けてください。
4.2.DHA、EPA『サプリメントで症状の改善』
DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)は、オメガ3系脂肪酸に分類されていて、血液をサラサラにし、動脈硬化を防ぎ、 脳神経細胞を活性化させる働きがあるため、認知症予防や症状の改善に効果が期待できるといわれています。
EPAとDHAはお互いに補いあい、2つの働きにより相乗効果をもたらすので一緒に摂取するとより効果的です。
ただ、DHAとEPAは酸素に触れると酸化しやすいことから、活性酸素の働きを抑える作用(抗酸化作用)のあるビタミンE、ビタミンCが含まれ、DHAとEPAが酸化されないように工夫されたサプリメントでの摂取をした方がいいでしょう。
特に柴犬などの日本犬は、魚中心の食生活を長い期間送ってきたので、他の外国の犬種に比べるとDHAやEPAのを多く必要としている事から、認知症を発症しやすいのではないかと考えられています。
そして、サプリメントは人間用のものは与えず、犬用のサプリメントを選びましょう。また、サプリメントだけでなく、塩分を控えた動物用の煮干しや青魚をごはん、おやつにトッピングしてあげるのも効果があります。
EPA、DHA共に魚の油(フィッシュオイル)に多く含まれているので、日ごろから摂取するといいですね。
4.3.体調や症状によって『効果が期待できる漢方薬』
漢方薬は、体のバランスを保つ働きをする臓器組織を助け、もともと体にある自然治癒力に働きかけて、ゆっくりとした効果をもたらし、そして免疫力を高めてくれます。犬の認知症の場合も同様にわんちゃんの体にゆっくりと働きかけ、改善が期待できるといわれています。
特に漢方薬には鎮静作用、精神安定作用のある生薬、血液のながれを促進する生薬が含まれているものは、認知症の症状の緩和に有効のようです。以下の漢方薬は犬の認知症の症状を緩和する作用があるといわれています。
- 抑肝散(よくかんさん)神経症、不眠症、夜泣き、かんしゃく(神経過敏)など
- 加味逍遥散(かみしょうようさん)不眠が起こる原因を解消 など
- 黄連解毒湯(おうれんげどくとう)不眠症、神経症 など
- 加味帰脾湯(かみきひとう)不眠症、精神不安 など
漢方薬は西洋薬に比べ、大きな副作用はないのですが、種類により、飲み始めてから1〜3週間ほど軟便や便秘、目やに、湿疹など症状がでてしまう場合もありますが、しばらくすると収まってくるようです。
もし、1か月ほどしても副作用が続くようなら、アレルギーを考慮し、漢方薬の使用はやめたほうがいいでしょう。
漢方薬は植物性で、体に優しく効果が期待できるということがメリットです。
5.認知症にならないための予防法
できれば、わんちゃんには認知症になってほしくないと願うのは、皆さん同じかと思います。そこで、こちらではわんちゃんが認知症にならないための予防策をご紹介します。
いずれも認知症だけでなく、年齢を重ねるとで起きてしまう症状にも効果があるようですので、いつもの運動、行動に+αで健やかに過ごしてもらいたいものですね。そして、飼い主さん共々、健康になりましょう。
5.1.『体内時計を正常にする』ための日光浴
日光を浴びると明るい気分になりますね。でも、日光は気持ちを明るくするだけでなく、体の中にもいい影響を与えてくれます。それは、日光を浴びることで体内時計がリセットされ、脳に良い刺激を与え、そして、体内時計が正常になれば、夜によく眠れるホルモンの分泌を促してくれます。
この睡眠をうながすホルモンは、日光を浴びてから12時間程度で分泌されますので、そこから逆算すると早朝の日光が一番効果的だと考えられます。朝起きたら、日光を浴びる、そして、日光を浴びながらのお散歩はより効果があるようです。
ただ、夏の日差しが強い時期には熱中症などを起こすことがありますので充分に注意をしてください。また、窓越しの日光でも効果はあるのですが、やはり効果は、直接日光を浴びた方が高くなり効果的となります。
まず体内時計を正常にすることが、認知症予防には大事だということですね。
5.2.『運動することは認知症の予防』につながる
認知症以外にも年齢を重ねることにより、だんだんと足腰が弱くなったり、筋肉の衰え、体力の低下が懸念されます。そして、認知症を含め、体力の低下などの老化を防ぐためには、やはり適度な運動をすることが効果的です。
まず、欠かせないのがお散歩です。犬だけでなく「歩行」は、脳からの伝達により行われていますので、歩くこと、また、走ることで脳の活性化につながり、認知症の予防、進行防止になります。お散歩の中に、駆け足や早歩きなどをわんちゃんの負担にならない程度に組み入れると、より効果があります。
お散歩コースを変えたり、飼い主さんと一緒にお出かけすることも脳の活性化につながります。そして、外の空気を吸う、匂いを嗅ぐ、土の上や草の中を歩く、他のわんちゃんや人と交流をすることも、とてもいい刺激になりますので、できればお散歩は毎日、行ってほしいと思います。
もし、わんちゃんに身体的な問題があれば散歩をすることは難しいですが、外の空気を吸うだけでもリフレッシュできるのではないでしょうか。
お散歩以外にもおうちの中で、「お手」や「おすわり」「まて」などのしつけで軽い運動をしてみたり、後ろ歩き、あおむけなどで脳の活性化、筋肉の強化も期待できます。
5.3.部屋の『環境を犬に合わせて変える』
わんちゃんに合わせて生活環境を変えてあげる、おうちの中をわんちゃんが過ごしやすいようにすることは、転倒やけがの防止にとても大事です。以下に例を挙げてみましたので、ご参考にしてみてください。
フローリングの床
足腰弱くなってきたわんちゃんは歩きにくいので、
- 滑りにくい床材にする
- カーペットやコルクを敷く
- 滑り止め加工をしたシート貼る
などで、床を歩きやすいようにしてあげましょう。
わんちゃんの爪も伸びていないかも気を付けてあげてください。
柱やでっぱり、家具などの角
万が一ぶつかって、けがをすることを防ぐためにも、わんちゃんの高さに合わせて、クッション材やタオルなどを巻いてあげるといいでしょう。
家具と家具の隙間
わんちゃんが入ってしまい、抜け出せないことも考えられるので、隙間にはペットボトルを置くなどの対処をしましょう。
ドア
開閉時にわんちゃんが誤って挟まるのを防ぐには、ドアストッパーでドアを固定しておくか開けっ放しにしない、また、わんちゃんがドアに近付かないように気を付けましょう。
電気コード
わんちゃんが引っ掛からないようにコードカバーをしたり、置き場所に気をつけて、お部屋の中を安心して歩けるようにしてあげましょう。
室温
年齢を重ねると自律神経の機能が低下しますので室温にも気を付けましょう。夏は涼しく、冬は26~27度で人が少し暑いと感じる温度がいいといわれています。エアコンの風などが直接わんちゃんの体にに当たらないように気を付けてあげてください。
5.4.飼い主との『スキンシップで脳を刺激』
わんちゃんは、飼い主さんに構ってもらうことがとてもいい刺激になります。そして、飼い主さんが、わんちゃんとこまめにコミュニケーションをとると、わんちゃんに安心感を与え、脳の活性化にもつながります。
わんちゃんの反応が鈍くなっているかもしれませんが、ぜひ、以下のような事をたくさんしてあげて、わんちゃんの不安を取り除いてあげてください。
- おもちゃを使って遊ぶ
- 名前を呼ぶく
- 話しかける
- 撫でてあげるく
- ごはんの時はそばにいる
5.5.スキンシップを兼ねた『マッサージ』
マッサージは、わんちゃんの皮膚や手足に刺激を与え、脳の活性化を促進し、コミュニケーションと同様にスキンシップを通して、わんちゃんを安心させることができます。
犬のマッサージの仕方がわからない、ツボがあるの?など、わからないことも多いですが、ただ、わんちゃんの体を撫でてあげるだけでも効果があります。また、以下のような方法もありますので、試してみて下さい。
- 毛並みに沿って手のひらを這わせながら、ゆっくりと撫でる
- お尻から足先へ向かい、手に少しだけ力を入れて撫でる。足の甲、指も同様にく
- 足をゆっくりと優しくぎゅっと握り、ゆっくりと放していく
- 太ももの裏、骨盤の上の筋肉に円を描くように刺激を与えるく
また、天然のアロマオイルを使えば、わんちゃんの緊張をほぐせ、精神的にもリラックスしてもらえます。ディフューザーで香りをだしたり、毎日のケアに使えるアロマオイル配合のグルーミングスプレーなどを使うのもいいでしょう。
マッサージは毎日数分でかまいませんが、食後など、わんちゃんがおなか一杯のときは避けた方がいいでしょう。
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6.まとめ
犬の認知症は人間と同様、老化現象により起こります。まだまだ、そのメカニズムは解明されていない部分が多いですが、DISHAの症状がみられた場合には、認知症チェックシートの活用、そして、できるだけ早く獣医師の診断、判断を受けることをおすすめします。
認知症になったわんちゃんは、不安や精神的なストレスが大きいといわれますので、食生活や生活環境、飼い主さんとのスキンシップやコミュニケーションでわんちゃんの不安をできるだけ取り除いてあげられるといいでしょう。
そして、飼い主さんとのお散歩やおでかけで脳の活性化を促進してあげてください。飼い主さんの負担もあるかと思いますが、家族の一員として愛情をこめて接してあげてほしいと思います。
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