暑い夏に多くみられる症状に、熱中症や脱水症状がありますが、人間だけでなく犬も熱中症や脱水症状を引き起こすことがあります。
実際に症状が現れてしまった時、どのように対処すべきか、また、何をしてあげれるのか知っておきたいですね。
ニュースなどのメディアを通じて、熱中症や脱水症状で命を落とされた話を耳にしますが、犬も同じで、これらは症状が重篤化すると命の危機に繋がる危険性があります。
家庭でできる予防や対策、応急処置を知っていれば、冷静な対応や症状の悪化を防ぐことも出来ますね。
今回は、熱中症や脱水症状に効果的なポカリスエットについてご紹介していきます。
与え方のポイントや症状によっての注意点などを参考にしてください。
水分補給はできているという方も、実はそれだけでは予防や対策は万全ではありませんので、正しい知識を身に付け、万が一にも対応できるよう備えておきましょう。
目次
1.犬の熱中症対策にポカリスエットは効果的!
1.1.ポカリスエットを飲ませる時に注意するポイント
1.2.熱中症の症状とは
1.3.熱中症になった場合の対処方法
1.4.効果的な熱中症の予防法
2.脱水症状が出るのは夏場だけではない
2.1.脱水症状の確認ポイント
1.犬の熱中症対策にポカリスエットは効果的!
犬が熱中症になってしまう暑い夏場、家庭でできる対策の一つがポカリスエットです。
室内で飼育している場合、クーラーなどで室温を調整したり、野外の飼育でも日陰を作るなどの対策をされている方は多いのではないでしょうか?
さらに、水分補給でいつでも飲めるお水を用意していることでしょう。
水分補給はもちろんですが、熱中症の対策でより重要なものがナトリウムとカリウムの補給です。
熱中症では体内の水分が汗として排出されますが、汗の中には電解質と呼ばれるナトリウムやカリウムが含まれており、これらも同時に体外へ排出されているのです。
ポカリスエットは水分と、ナトリウム、カリウムなどの電解質、それと糖分を一度に摂取することができる飲み物です。
水分だけでは足りない電解質を含んでいるポカリスエットを飲ませることで、熱中症の予防ができると言えます。
また、ナトリウムは糖分と一緒に摂取することで、吸収をより良くしてくれますので、これらを含むポカリスエットはお勧めの飲み物なのです。
ちなみに、有名なスポーツドリンクにアクエリアスもありますね。
ポカリスエットと成分の比較をしてみましょう。
ナトリウム | カリウム | |
ポカリスエット | 49mg | 20mg |
アクエリアス | 40mg | 8mg |
暑いと人間と同じように犬も汗をかきます。その際、水分と同時に塩分も一緒に排出されるため、ナトリウムやカリウムなどの電解質を多く含むポカリスエットがより効果的な飲み物と言えます。
また、粉末タイプのポカリスエットには、1袋当たりナトリウム520mg、カリウム227mgが含まれています。(コップ約5杯分)
1.1.ポカリスエットを飲ませる時に注意するポイント
人間と同じように犬も汗をかくと水分や電解質が排出されるのですが、大人と子供で量が違うように、人間と犬も排出量や必要量は大きく違ってきます。
人間用のポカリスエットを与える場合は、3~4倍に薄めてあげるようにしましょう。
そのままの濃度で与えると栄養過多になり、体調不良や病気の原因にもなりかねませんので、注意が必要です。
1.2.熱中症の症状とは
夏になるとニュースなどで取り上げられている熱中症ですが、愛犬が熱中症にかかっているか判断できなければ、その後の処置が遅れて手遅れになってしまうことも考えられますね。
そこで、熱中症についてご紹介します。
熱中症とは、日差しの暑さや運動によって体温調整をする機能がコントロールを失い、体に障害が起こった状態の総称です。
そして、これが重症化したものが、日射病や熱射病です。
日光に当たって体温が異常に上昇した状態を日射病と言います。
環境温度が高温であったために動物の体温が異常に上昇した状態を熱射病と言います。
熱中症の症状は、呼吸の異常(パンティング)、急激な体温の上昇(40℃以上)、心拍や脈拍の増加、流延、元気がなくぐったりしている、ふらつき、吐き気、嘔吐、下痢、眼振、目や口腔粘膜の充血などが挙げられます。
さらに症状が進行すると、虚脱や意識の喪失、筋肉のふるえ、けいれんがみられます。
吐血、下血、血尿、チアノーゼやショック症状がみられるほど進行すると命に関わることもあります。
1.3.熱中症になった場合の対処方法
愛犬が万が一、熱中症になった場合、まずは高温の環境から遠ざけ涼しい場所へ移動させます。
冷房や扇風機の当たる部屋や風通しの良い日陰を探しましょう。
体温を下げることを意識し、体全体に水がかかるようにバケツや桶などに水をはり、シャワーなどで全身に水をかけます。
但し、氷水などの冷たすぎる水では、毛細血管が収縮してしまい、かえって体温が放散しなくなってしまいます。
あまり冷たくない水を用いるよう注意してください。
氷水で絞ったタオルを全身に巻いてあげるのも有効な処置です。
タオルが暖かくなったらその都度タオルを冷たくしてあげましょう。
水分補給ができそうな場合は、飲み水も準備します。
体温計がある場合、直腸で体温を測ります。
15~30分ごとに確認し、39.5℃以下に下がったら冷やすのをやめます。
早急に動物病院へ連れていきますが、この際も氷枕などを当てながら(頭部や脇の下)移動します。
1.4.効果的な熱中症の予防法
熱中症は対処が遅れると、命にもかかわる大変危険な症状です。
そこで、熱中症にならないようにあらかじめ予防法を学んでおきましょう。
- 熱中症になりやすい状況や原因を知ろう
犬の体温調節の仕方
犬には人間のような水上の汗を出す汗腺(エクリン汗腺)が足の裏や鼻の頭付近など体の一部にしか存在せず、主な体温調節は、パンティングと呼ばれるハァハァとした呼吸によるものです。
唾液を蒸発させ、気化熱で体温を下げようとします。
体温調節のほとんどを呼吸に頼っているため、人間よりも体温の放散の効率が悪いのです。
そのため、犬の方が高温多湿の環境に弱く、特に水分補給が出来なかったり、排尿を我慢する状況では、熱中症になりやすくなってしまいます。
- 犬が熱中症になりやすい状況
蒸し暑い日の車内や室内での留守番
熱中症になりやすい原因の中でも多いとされる状況がエンジンを切った車での車内放置、留守番です。
日差しが強い日の車内は温度が急上昇し、熱がこもった状態になります。
その様な中においていかれてしまうと、数分の間でも熱中症になってしまう可能性が高いといえます。
窓を開けているだけでも十分ではありません。
必ず犬だけで放置せず、どうしてもの場合でもエアコンをつけた状態で、数分だけにとどめましょう。
閉め切った室内での留守番も注意が必要です。
直射日光が当たる場所にケージを置いたりしていませんか。
犬が自分で涼しい場所へ移動できなかったり、水分補給を十分に出来ない環境では熱中症になる危険があります。
カーテンのある部屋で、常に水分補給ができる環境の中でお留守番をさせましょう。
クレートやハウスの訓練ができているわんちゃんは特に直射日光が当たらない場所の確保が大切です。
エアコンの管理も徹底しましょう。
人間より体温が高い犬が快適に感じる温度は23℃前後と言われています。
しかし、子犬や老犬など寒すぎるのも体に良くありませんね。
また、エアコン代も気になる方は、湿度を60%以下に調節して下さい。湿度が下がるとエアコンも25℃前後で対応できます。
設定温度は、寒さに弱い犬種などその仔によって変わりますし、部屋の広さやエアコンの効き具合でも変わってきますので、目安としての参考にご自宅で調節しましょう。
熱中症や暑さ対策グッズとして、ひんやりプレートというペット用に冷却マットも販売しています。
体温がが下がりすぎないように注意して活用しましょう。
真昼の散歩
散歩の時間や気温にも注意が必要です。暑い夏の昼間のアスファルトは50℃近くにまでなってると言われています。
人間より地面に近い犬は日差しの照り返しをより直接的に感じることになります。
25℃以上の夏日や蒸し暑い場合は時間帯に気をつけましょう。
暑い昼間に散歩をすると熱中症になるリスクが高くなってしまいますね。
また、靴を履かない犬は熱く焼けたアスファルトを直接肉球を付けて歩くことになり、火傷の原因にも繋がります。
夏場は、日差しが強くない朝や夕方に散歩へ出かけ、散歩コースもアスファルトが少なく日陰が多い道を選びましょう。
歩かせる前に一度触って温度を確認して判断するのも良いですね。
また、散歩時にいつでも水分補給ができるよう忘れずに持って出かけましょう。
屋外飼育
屋外飼育では、日差しが直接当たり、気温の調節もできないため、熱中症になりやすい状況ですね。
どうしても屋外の飼育になる場合は、必ず日陰を作り、風通しがよくなる環境を作ってあげてください。
犬小屋を高床式にしたり、すだれやすのこを使うなどの対策を心がけましょう。
水が苦手でない仔ならば、大きな桶などに水をはったり、小屋の周りに打ち水をするだけでも気温を下げる効果が期待できます。
飲み水は常に補給できるようにしておきましょう。
ほかにも過剰な運動やドライヤーの熱風が原因で熱中症になってしまう場合があります。
体温や気温が上がることに関しては、犬の状態を確認しながら、休憩や水分補給を十分に行い、熱中症にならない工夫を心掛けましょう。
- 熱中症になりやすい犬の特徴
特に、下記の犬はさらなる注意が必要です。
- 短頭犬種
シーズー、パグ、ペキニーズ、ブルドッグ、ボストンテリア,フレンチブルドッグなど
マズルが長い犬種より、もともと呼吸がしづらい構造になっている為、熱中症になりやすいとされています。
- 寒い地方の原産国、被毛が厚い犬種
シベリアンハスキー、サモエド、ボルゾイ、セントバーナードなど
シェットランドシープドッグ、チャウチャウ、グレートピレニーズなど
被毛も2層構造で密集しており、寒さに耐えれる構造になっている為、暑さには弱く熱中症になりやすいとされいます。
- 胴長短足の犬
ダックスフンドやウェルシュコーギーなど
地面からより近い犬は照り返しの熱をより高温に受け、熱中症になりやすくなります。
- 肥満の犬
皮下脂肪により、熱がこもりやすく、心臓や気管に負担がかかり、呼吸による体温調節が普通の仔に比べむずかしくなり、熱中症を引き起こしやすくなります。
- 黒色の被毛
黒色は日光を吸収しやすく、熱中症になりやすいとされています。
- 子犬や老犬
体の生理機能がみはったつであったり、反対に衰えていることで、体温調節がうまくできずに、熱中症になりやすくなってしまいます。
- 呼吸器系が弱っている犬
スムーズな呼吸がしづらい気管虚脱や心疾患の犬は呼吸で体温調節がうまくできずに、熱中症になりやすい傾向があります。
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2.脱水症状が出るのは夏場だけではない
熱中症の他にポカリスエットが効果的な症状として、脱水症状が挙げられます。
夏場は特に脱水症状が出やすい時期ですが、冬場なら安心という訳ではありません。
実は、冬場にも隠れ脱水の危険が潜んでいます。
また、状況によっては、夏場よりも冬場の方が脱水に注意する必要があると言われています。
- 冬場に脱水が起きる原因
冬の乾燥した外気が体内の水分を奪い、脱水症状を引き起こすことがあります。
最近の家の構造は、気密性が高くなっており、昔の家より乾燥しやすくなっているのです。
また、冬場の暖房やヒーターによって、人間よりも体温の高い犬たちには暑い室温になっていることがあり、知らず知らずのうちに冬でも汗をかいている場合があります。
冬場に脱水症状を考えることは意外かもしれませんが、乾燥や室温、ヒーターなどに長時間近づいていないかなどを確認しておかないと、冬場でも脱水症状を引き起こしてしましますので、十分に気を付けてあげましょう。
また、水分補給はもちろんですが、食事をしっかり食べておかなければ、脱水の予防は十分ではありません。飲水の量だけでなく、フードの量もしっかり確認しましょう。
- そのほかの脱水症状の主な原因
犬は人間と同じように体内の70%~80%が水分でできています。
体重の10%以上の体液が失われると脱水症状で体が動かなくなり、ひどい場合はショック症状で死に至ることもあります。
水分補給が不十分であったり、過度に体液が喪失した場合に脱水症状を引き起こします。
暑さや冬の乾燥などの環境によるものや病気や怪我による場合が考えられます。
- 激しい嘔吐、下痢
- 急性胃腸炎
- 感染症
- 急性腎不全
- 糖尿病
- 熱中症
などが挙げられます。
脱水症状では水分だけでなく、電解質も一緒に体外へ排出されてしまいます。
よって、水分と電解質を一緒に補給する必要があるのです。
脱水症状がみられた場合は普通の水だけを補給するのではなく、ポカリスエットがより効果的になります。
与える時は、3~4倍に薄め、少量をゆっくり様子を見ながら与えてください。
一度に大量の水分を与えると胃腸に負担が大きくかかるので気をつけましょう。
また、大量の水分だけでは脱水症状が進行してしまうことをご存知でしょうか。
大量の水分だけを補給していると、どんどんと体液が薄くなっていきます。
↓
体液が薄くなることを防ごうとし、のどの渇きがなくなります。
↓
過剰に摂取した水分が尿として排泄され、さらなる脱水へ進みます。
水分と共に電解質を補給することはもちろん、過剰な水分補給にも注意が必要です。
2.1.脱水症状の確認ポイント
- 苦しそうな呼吸
「ハァハァ」と息が荒くなり苦しそうな様子がみられます。
- 皮膚の弾力性がなくなる
皮を引っ張り、離した際に戻りが遅くなります。
- 毛細血管再充満時間が遅い
歯茎を押すとピンク色から白色になりますが、通常は1~1.5秒以内に色が戻ります。
脱水では、色の戻りが遅くなります。
- 歯茎の粘着
水分が奪われ、いつも以上に口の中が粘々します。
- 目のくぼみ、元気消失、意識朦朧などの症状も現れます。
3.腎不全の犬に薄めたポカリを与えても大丈夫
急性腎不全や末期の腎不全の症状の1つに脱水症状があげられます。
しかし、腎不全の場合に気を付ける必要があるのが、塩分ですね。
ポカリスエットは脱水症状に有効的なドリンクですが、塩分、糖分も多く含まれている為、腎不全による脱水症状となれば、話は変わってきます。
一時的な処置として少量や希釈したものを与えることは間違いではありません。
しかし、与え方によっては、腎不全の悪化にも繋がりかねませんので、動物病院で相談することをお勧めします。
その仔の症状によって、どの程度与えてもよいのか、また、別の方法で脱水を防ぐべきなのか処置の内容は変わってきますね。
専門的な知識があり、症状をよくみて下さっている担当の獣医師さんへ相談してみましょう。
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4.まとめ
今回は、熱中症や脱水症状に有効的なポカリスエットをご紹介しましたが、与え方やその仔の症状によっての注意点はしっかり守ってあげてくださいね。
熱中症や脱水症状は進行すると命にもかかわる危険な症状です。
日頃の対策をしっかり行い、万が一症状が現れた場合も冷静な応急処置が行えるよう事前の心構えや正しい知識を身に付けておきましょう。
普段と違う状態を知るには、普段の状態を知っておく必要がありますね。平熱や皮膚の様子、口の中の状態を把握しておくと変化にもいち早く気づけますね。
また、緊急時にポカリスエットを与えて飲んでくれないなどの事態も考えられますので、夏場に熱中症対策として、薄めたポカリスエットを少量から与え、慣れさせておくこともお勧めします。
分からないことや、気になる症状が現れたら、動物病院へ連絡し、すぐに診てもらうようにしましょう。
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