愛犬の分離不安症に悩んでいませんか?
犬の分離不安症による問題行動は愛犬にとっても飼い主にとっても辛いものですよね。
犬の分離不安症の原因の一つは「可愛がり過ぎること」です。
その対処法は地道なしつけと飼い主自身の犬への接し方を見直すこと。
そこで今回は愛犬の分離不安症の2つの治療方法(行動療法と薬物療法)としつけ方法、愛犬が分離不安症かどうかをチェックする方法などを紹介していきます。
愛犬の分離不安症は飼い主の愛犬への接し方を変えること、そして地道にしつけをしていくことで治すことができます。
愛犬も飼い主も辛い分離不安症から脱して、飼い主べったりの状態を卒業させてあげましょう!
目次
1.犬の分離不安症
犬は子犬の頃は人間の赤ちゃんと同じで、心配で目を離すことができません。
部屋の中には触られてはいけない物、食べてはいけない物がたくさんあります。
飼い主がしっかりと見守っていないと危険がいっぱいなので、どうしても愛犬に付きっ切りになってしまいますよね。
しかし時間が経つうちに、それらのことに慣れてきて、愛犬は何をすれば良いのか、何をしたらいけないのかを学習していきます。
愛犬が成犬になる頃には、あまり家の中を荒らされることもなく、少しずつ留守番もできるようになってきます。
愛犬は飼い主さんのことが大好きで、いつでもどこでも飼い主さんにくっついてきます。
トイレに行くときやお風呂に入るときもくっついて来ようとしますよね。
ケージなどで飼い主と離れる場所を用意してあって、眠る時などはそこに行くことが習慣になっていれば、時間が経つと飼い主さんが離れる時間が長くなっても、徐々にその時間にも慣れていきます。
しかし、飼い主と離れることに慣れることができずに、飼い主が出かけた後に問題行動を起こす、また体調を崩すというところまで行き着いてしまうと、これは一種の心の病気であると言えるかもしれません。
そんな状態になってしまうと、愛犬にとっても飼い主にとっても良い状態とは言えません。
それでは、分離不安症による問題行動とは、どのようなものを言うのか、説明してみます。
- 飼い主が出て行った後に異常に吠え続ける
飼い主が家を出ると、置いて行かれるのが嫌で吠える犬は多いです。
でもしばらくすると諦めて、吠えることを止めることがほとんどです。
ところが分離不安症になると声が枯れるほど、いつまでも吠え続けます。
飼い主は外にいるので気がつきませんが、近所の人から指摘されることで気づくことが多いです。
- トイレ以外の場所で排泄をしている
普段はトイレの失敗はほとんどしないと安心して出かけて、帰ってみると部屋のあちこちに排泄されていてびっくりしたという例も多いように、留守中にあちこちに排泄してしまうというのは、分離不安症の一つの症状です。
- 留守中に暴れている
普段はおとなしい犬でも、留守中に大暴れしていて、家に帰ってみると部屋中が大荒れで驚くことがあります。
ゴミ箱をひっくり返す、ぬいぐるみやクッションなどを破壊する、家具をかじる、などの他にも飼い主がうっかりテーブルなどに置いておいた食べ物を盗み食いしてしまうこともあります。
この症状で心配なことは、異物を誤食することです。
- ストレスが体調を壊す
犬はとてもデリケートなので、精神的なストレスや不安が体調を壊してしまうこともあります。
下痢や嘔吐などが典型的な症状ですが、他に病気などがなく、飼い主が出かけた時だけ下痢や嘔吐が表れていたら、分離不安症の症状だと言えるでしょう。
なぜ分離不安症になってしまうのかということについては、様々な原因があります。
例えば、一緒にいる時間が多かったのに、飼い主がパートに出ることになったなど生活パターンの変化で愛犬が独りでいることが多くなったなどのことがあれば、分離不安症になってしまう可能性があります。
生後3ヶ月くらいまでの「社会化期」と言われる時期に、あまり外に散歩に行くことがなかった、飼い主家族以外の人間に会うことがなかった、なども飼い主べったりの原因になることがあります。
飼い主自身が犬を可愛すぎるのも原因になることがあります。
急に留守番が苦手になった場合は、留守番中、飼い主が知らない間に近所で工事があってすごい音がした、急に雷雨が降ってきて雷が落ちた音がした、なども原因になります。
血統的に神経質な場合もあります。
分離不安症の原因は一つではありませんが飼い主の行動が原因になっていることも多いです。
愛犬の分離不安症で悩んでいる飼い主さんは、原因に思い当たることがないかどうか、一度、愛犬への接し方を考えてみてください。
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2.分離不安症を治すにはしつけが一番
分離不安症は「しつけの不具合」で片付けられるものではありません。
飼い主と離れることで不安とストレスを感じ、体調まで壊してしまいそうであれば、治療を必要とする病気であると考えられます。
分離不安症を治すには少し時間がかかりますが、少しずつ飼い主がいない状態に慣れさせていくしつけをすることが効果的です。
分離不安症の治療には行動療法(しつけ)と薬物療法の併用が効果的であると言われていますが、ここでは行動療法について説明します。
これらはしつけであるとともに、分離不安症の対処法ともなりますので、できていないところがあれば、結果を急がずに少しずつできるようにしていきましょう。
- 飼い主が外出の準備をすることに慣れさせる
分離不安症の犬は飼い主が外出の準備をしている時から落ち着きをなくしてしまいます。
まずはその状態に慣れさせていくことが大切になります。
外出をしないときでも外出をする準備をするふりをしてみます。そして実際には外出をしません。
この状態を繰り返すことで実際に外出をする準備をしていても不安にさせないようにします。
- 実際に外出してみて時間を少しずつ延ばしていく
次に実際に外に出てみて、最初は数秒で戻ります。
そして数秒から数分へ、外に出ている時間を少しずつ延ばしていきます。
始めのうちは飼い主が外にいる時は室内に人間の声がするテレビやラジオをつけておくといいでしょう。
- 外出30分前は犬にかまわない
外出前に、留守番をさせてかわいそうとばかりに話しかけたり遊んであげたりする飼い主さんも多いですが、これは分離不安の犬にとっては逆効果です。
外出30分前からは犬を無視するようにしましょう。
「すぐ帰ってくるからね」「いい子にして留守番していてね」と声をかけると、飼い主がどこかへ行ってしまうことを察知して余計に不安になってしまいます。
- 留守にする前にお気に入りのおもちゃなどを気づかれないように置いておく
外出前に、愛犬がお気に入りのおもちゃや飼い主のにおいがついたものなどを準備しておき、外出する時にさりげなく、それらのものを置いておきます。
気づかれないようにするのは少し難しいですが、上手くいけば少しの時間であれば気がまぎれて一匹でも過ごすことができるようになります。
- 帰宅して犬が興奮していても無視する
飼い主が帰宅すると愛犬が異常な興奮状態で迎えることがあります。
留守番をさせていた申し訳なさと駆け寄ってくる可愛さで、つい飼い主のほうも興奮状態に陥ってしまいがちです。
しかし、ここはグッと堪えて犬が落ち着くのを待ってから犬に接してあげるようにしましょう。
帰宅して犬が暴れてゴミ箱をひっくり返していたり、トイレではない場所に排泄していたりするのを見つけても叱ってはいけません。
後で叱られても犬には何のことかわかりません。その場で叱らないと効果がないのです。
- 犬主導型にしない
愛犬がおやつを欲しがれば与え、布団に入ってくれば一緒に寝てあげるというのは、可愛さのあまり、ついしてしまいがちなことです。
しかし犬主導型の生活を続けていると飼い主は何でも自分がしたいことをしてくれる=自分のほうが立場が上だと考えてしまいます。
犬主導型になってしまうと、分離不安症を起こしやすくなります。
これは愛犬へのしつけというよりは飼い主の行動を改めないといけないのですが、愛犬主導型かなと感じたら、飼い主主導型の生活に変えていくようにしましょう。
飼い主が主導して「待て」などの命令に従うように訓練をします。できた時には思いっきりほめてあげましょう。
- 独りでいる場所と時間を作ってあげる
犬用のハウスを特に用意していないという飼い主さんも多いですが、犬にも独りでいる時間というものが必要です。
ましてや分離不安症を治したいという場合はなおさらです。
常に飼い主さんがそばにいれば、当然飼い主さんが離れると不安になってしまいます。
愛犬専用のハウスを作ってあげて誰もかまわずに静かに過ごせる時間を作ってあげるようにしましょう。
そうすると独りでいることにも少しずつ慣れていくことでしょう。
これらの分離不安症の行動療法と対処法は、家族全員の協力が必要です。
1人だけでがんばっていても、他の家族が出かける前に声をかけていたり、犬が欲しがったらすぐにおやつを与えていたりすると効果が期待できませんので、犬が独りでいることに慣れるためにも、家族全員で対処するようにしたいですね。
3.分離不安症に効果があるとされている薬
犬の分離不安症を治すには行動療法(しつけ)と薬物療法を併用して行うことが効果的なのですが、薬物療法に使用する薬とはどのようなものなのでしょうか?
どのような効果があり、どのような副作用があるものなのか気になりますね。
そこで分離不安症に効果があるとされる薬をいくつか説明します。
- ジルケーン
ジルケーンは薬ではなくサプリメントで、インターネットなどでも購入できます。
ストレスや不安を抱える犬や猫に効果があるとされています。
ミルク由来の天然成分からできています。薬ではありませんが獣医さんの指示を仰いだほうが、より安全に与えることができるでしょう。
いきなり薬剤を使用するのが躊躇われるという場合に試してみてはいかがでしょうか?
- クロミカルム
クロミカルムは分離不安症の治療薬として認可されている薬です。
脳内の神経伝達物質の乱れを正す作用があります。
精神を安定させることで分離不安症や攻撃行動、問題行動などを起こしてしまう場合に使用されます。
分離不安症に使用した場合、不安が取り除かれることによって行動療法も入りやすくなるという効果があります。
- アナフラニール
アナフラニールはクロミカルムと同じく有効成分クロプラミンが脳内のノルアドレナリンとセロトニンの量を増大させることによって不安を和らげ分離不安症などにも効果があるとされています。
人間にも抗うつ剤として使用されている薬です。
- クロフラニール
クロフラニールはアナフラニールのジェネリック薬です。
働きはアナフラニールと同じで価格が少し抑えられます。
薬剤療法で気をつけなくてはいけないことは、必ず行動療法の補助として使用するということです。
薬剤だけ投与するということは避けましょう。
行動療法がなくては分離不安症を治療することは困難です。
また薬剤を使用する時は必ず動物病院で指示を仰ぐようにしましょう。
薬剤の場合、犬がもともとかかっている病気や体質によって投与できない場合があります。
副作用の可能性もありますので、しっかりと確認してから利用しましょう。
分離不安症と診断された時のみ使用して、薬剤だけを購入して投与することも避けましょう。
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4.自分の犬は大丈夫?分離不安症チェック法
家の中で飼っている犬は、どの犬も分離不安症になる可能性があります。
外出する度に、家で留守番している愛犬のことが気になりませんか?
家の中で大声で吠えて近所迷惑になっていないか、ゴミ箱をひっくり返していないか、クッションなどを破壊していないか、あちこちで排泄していないか、誤食してしまつていないか、外出していても落ち着かないですよね。
飼い主がそばにいるとしないことでも、分離不安症の犬はやってしまうのです。
もしかして家の犬は分離不安症?と思うこともあると思いますが、簡単なチェック方法をあげてみました。
あなたの愛犬は大丈夫でしょうか?早速チェックしてみてください。
- どこへ行くにも飼い主の後をついていく
飼い主が動くたびに愛犬もウロウロ、たとえ寝ていても飼い主が動く気配があるとサッと起き上がり、どこへでもついてくる、たとえトイレやお風呂でも。
当然、お風呂やトイレではドアを閉めているでしょうが、ドアをガリガリとしたり、ドアの前でじっと待っていたりしませんか?
- 飼い主が外出する気配を感じてソワソワ
飼い主が外出する準備をすると、気配を察して急にソワソワしませんか?落ち着きがなくなって様子が変だな?と思うことはないですか?
- 飼い主がそばにいる時はいい子にしている
飼い主がそばにいる時は暴れたりトイレを失敗したり一切しないのに、留守中はまるで違う犬でも来たのかと思うくらいに暴れた形跡があって、帰宅して驚いたことはないですか?
- 飼い主が帰宅したときの反応がオーバーすぎる
飼い主が帰宅したら、どんな犬でも大喜びしますが、その喜び方が異常にオーバーで飼い主も引いてしまうくらいであることはないですか?
- 飼い主の姿が見えないと大騒ぎ
飼い主が外出していなくても飼い主の姿が見えなくなると、鳴いたり吠えたり大騒ぎをする、そんなことはないですか?
これらのことが頻繁に現れるようなら、分離不安症の可能性が高いですね。
すぐに対処法を考える必要があるでしょう。
これらの行動は、どの犬にも一つ二つは思い当たることがあるでしょうが、分離不安症というのは、病気でもあるので、問題行動を起こしている時の犬には、相当なストレスがかかっています。
帰宅して疲れた時に、部屋の中の惨状を見て、それを片付けなければならない飼い主も大変ですが、どうしてそうなったか原因を考えて、しっかりと対処するようにしたいですね。
5.まとめ
飼い主が外出しようとすると、外出して欲しくなくてソワソワ、どの犬も飼い主さんが大好きなので、そういう傾向はあることでしょう。
しかし分離不安症というのは、そういう状態が病的なものとなって、問題行動を起こしてしまうことを言います。
飼い主が外出した後、声が枯れるまで吠える、部屋のものを破壊する、トイレ以外の場所で排泄をする、そういう問題行動となって表れるのが分離不安症です。
分離不安症に対処するには行動療法と薬物療法の併用が効果的です。
薬物療法はあくまでも行動療法の補助として考え、獣医師の診断なしに薬物だけを与えるということは避けましょう。
行動療法は、独りでいることに少しずつ慣れしていくことにつきます。
時間がかかるかもしれませんが、最初は数秒から始めて愛犬が独りでいる時間を少しずつ長くするようにしていきます。
大切なことは飼い主自身の行動を見直すことです。
可愛がり過ぎること、愛犬主導の生活をすることが、より愛犬が飼い主に依存していくことになってしまいます。
しつけを見直すことも分離不安症の対策としては必要です。
愛犬が分離不安症なのかどうか、とても気になることですが、家の中でどこへ行くにも飼い主についていく、少し姿が見えないだけでも大騒ぎ、出かける素振りを見ただけで落ち着きをなくす、飼い主が帰宅したときの興奮状態がすごすぎる、ということが頻繁であれば分離不安症の可能性が高いので、対処法を考えるようにしましょう。
愛犬の分離不安症を治そうとする時は、飼い主さん1人ががんばってもなかなかできることではありません。
家族全員に理解をしてもらって協力をしてもらうようにしたいですね。
そして飼い主自身が愛犬と離れることが不安な「不安分離症」になっていないかをもう一度考え直してみましょう。
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