犬の乳腺腫瘍の症状や手術費用、良性と悪性の違いと乳腺腫瘍の画像 

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「乳腺腫瘍」という病名を聞くと心配になりますよね。特に「腫瘍」という言葉を見るとガンなのかな?悪いものなのかな?と誰しもが不安になって当然です。しかも異変があっても、飼い主さんに言葉では伝えることのできない愛犬。本当に心配でたまらないですよね。

実は乳腺腫瘍は犬に頻繁にみられる腫瘍で、決して珍しい病気ではありません。獣医さんも多くの症例を診ており、経験した飼い主さんも多くいます。とはいえ、乳腺腫瘍の症状を始め治療法は何があるのか、ちゃんと治るのか。どのような薬が効くのか、手術をするのか、食べ物は変えたほうがいいのか、など数多くの疑問を抱くのが普通です。

そこで今回は「乳腺腫瘍」について説明します。これを読んで乳腺腫瘍に関する知識を増やしましょう。そうすることで、不安や心配もかなり解消できます。またいざというときも慌てず愛犬の治療に専念できますよ。

目次

1.乳腺腫瘍とは乳腺にできる腫瘍
1.1. 腫瘍には2つのタイプがある
1.2. 乳腺腫瘍の原因は一体何?
1.3. 乳腺腫瘍の特徴
1.4. 乳腺腫瘍の症状
1.5. 乳腺腫瘍が発生しやすい犬種リスト

2.乳腺腫瘍の治療
2.1.診断
2.2.手術
2.3.費用
2.4.手術後

3.乳腺腫瘍の画像集

4.乳腺腫瘍を患った犬のブログ

5.まとめ

1.乳腺腫瘍とは乳腺にできる腫瘍

「乳腺腫瘍」、それは文字通り犬の乳腺にできる腫瘍です。犬は、一度の出産で何頭もの子犬を出産する多胎動物です。そのため、乳腺は人と異なり左右に5対あり、犬によっては左右に4対という場合もあります。
これだけ数がありますから、乳腺組織は脇の下から、後ろ足の陰部の周辺というかなり広範囲を占めることがわかります。そして犬の乳腺は血管とリンパ管が複雑に関与しています。

乳腺腫瘍そのものはそれほど珍しい病気ではありません。意外と罹ってしまう子がいると言えます。
メスでは、全腫瘍の50%以上は乳腺腫瘍となっています。それなのでメスを飼っている方は特に注意する必要があります。オスにもできることがありますが、それほど多くはありません。

1.1.腫瘍には2つのタイプがある

乳腺腫瘍には良性と悪性の2タイプがあります。そもそも腫瘍とはどのようなものなのでしょうか。「腫瘍」というのは「細胞が規則的に分裂増殖せず、異常に増殖したもの」です。

体の中の細胞というものは、普通は規則にしたがって分裂し増殖しています。しかし細胞の中の遺伝子が何らかの原因で傷ついたり、遺伝子の一部に変異が生じたりすると細胞が規則に従わないで増殖してしまいます。そして増殖したものが「腫瘍」となるのです。

腫瘍のうち、良性腫瘍は、ゆっくりと増殖して体の他の部位には転移はしません。生命への影響も少ないと言えるでしょう。例としては脂肪種などが例に挙げられます。メス犬では、良性腫瘍摘出のあとにまた同じ部位、または他の乳腺に新しい良性腫瘍や多発性腫瘍というものが発生する傾向があります。しかし生命を脅かすということはありません。

一方悪性腫瘍は増殖し体の他の部位に転移をすることが多く、最終的にはその生体を死に至らせるものです。ただ悪性腫瘍のなかにも治療後は比較的、良好な経過をたどることもあります。また犬の悪性乳腺腫瘍では、肺に転移しやすいと言われています。

犬の乳腺腫瘍における良性と悪性の割合は、約50パーセントとなっています。
乳腺腫瘍が生じる可能性は、オスではまれではありますがどの犬にもあります。ただ特に多いのがメスの犬で、どちらかといえば避妊手術をしていない子、何度か発情を経験してから避妊手術をした子に生じる可能性が高くなります。

乳腺腫瘍の大きさは、小さいものは数ミリ程度です。2センチを超えると悪性の可能性が高くなります。放置するとあっというまに大きくなって小児の頭くらいの大きさになることもあります。

突然発生した腫瘍が2,3センチを超えていたら要注意、と覚えておきましょう。しかし大きいから悪性、小さいから良性というのは絶対ではなく小さくても悪性であることがあります。

また「自壊(じかい)」といって腫瘍の進行が進むと細胞が、皮膚を破ってしまい体外に露出してしまう状態になることもあります。腫瘍の増大に皮膚が耐えきれなくなるような状態です。
出血をともない膿がでたり悪臭がしたりすることがあります。また、痛みがあるので、犬は元気がなくなったり食欲が落ちたりします。

1.2.乳腺腫瘍の原因は一体何?

明確な原因は不明です。ただ乳腺腫瘍の発生にはエストロゲン・プロゲステロンなどの雌性ホルモンとのかかわりが示唆されています。また、乳腺腫瘍の発達の相対的なリスクは、発情周期の回数とかかわっているのです。

つまり、発情の回数が少ないほど乳腺腫瘍になるリスクが少ないという事です。老齢になって乳腺腫瘍が発生するメス犬の場合、避妊手術をしていないかまたは避妊が遅かった犬がほとんどです。妊娠の経験は特に関係ありません。

乳腺腫瘍は特にメス犬に多く、避妊手術の有無が大きな原因のひとつではありますが、原因はそれ1つだけではなく様々な原因が合わさっていることが考えられます。そのほか考えられる原因として、環境の要因や遺伝子変異、がん抑制遺伝子の関わりがあります。

愛犬に乳腺腫瘍が発生した場合は、何が良くなかったかと原因を追究したり「どうしてうちの子が」と悩んだりするよりも「今後どのように的確な治療をしていくか」ということに気持ちを切り替える事が重要です。

1.3.乳腺腫瘍の特徴

乳腺腫瘍は、8歳から10歳齢の老齢期のメスに多くみられるようになりますが、若齢の犬にも認められることもあります。若齢の犬み認められるのはそれほど頻度は高くないので、大きな特徴としては、「中高齢のメス犬」で「避妊手術をしていない犬」に多いということを覚えておきましょう。
先にも説明しました通り、メス犬に生じる全腫瘍の50パーセントを乳腺腫瘍が占めます。

乳腺腫瘍の発生率は、避妊手術をしている場合としていない場合で大きく異なります。避妊手術をしていない場合は避妊手術をしているメス犬に比べて、実に約7倍違うのです。また「初回の発情前」に避妊手術を行った場合の発生率は0.05%まで下がります。雌性ホルモンの関与が大きいことがわかります。

犬の乳腺腫瘍は乳腺周囲しこりが1つだけのこともありますし、複数ある場合もあります。複数のときは、すべてが同じ腫瘍ではなく良性と悪性が混在することもあります。また乳腺の片側だけに腫瘍ができたり両側にできたり、ということもあります。

1.4.乳腺腫瘍の症状

乳腺組織に「しこり」が確認されることが、まず大きな症状で唯一の症状になります。
しこりと一口に言っても大きさ、硬さはどれも同じというわけではありません。できる場所も乳腺組織の他、脇の下のリンパ節や下腹部リンパ節、または内股などです。症状が進んだ腫瘍は、小児の頭大になることもあります。
しこりの数も1個だけではなく複数みられることがあります。また触ってみると、ぐりぐりと動くものや固着してあまり動かないものもあります。

しこり周辺の皮膚が赤くなったり硬くなったりすることもあり、痛みがある場合もあります。その際、乳腺腫瘍ではなく皮膚炎と間違えてしまうことがあります。炎症がひどいことが多く、犬の多くは痛みで元気がなくなります。

良性腫瘍の場合はしこりがみられるだけで特にほかに症状がありません。肉眼でみても硬く結節性です。時々、血のような分泌物や膿が乳腺の孔から出てくることもあります。

悪性腫瘍の場合は、しこりに熱を持っていたり皮膚の炎症を起こしていたりします。悪性腫瘍だと、しこりが急速に大きくなって1~2ヵ月程度で2倍ほどになることもあります。さらに悪性腫瘍の場合、リンパ節や肺に転移しやすいのが特徴です。乳腺にとどまった場合は「自壊」といって皮膚が裂けるという症状が起きることがあります。自壊するとそこから出血し痛みを伴い、時に悪臭がすることがあります。

1.5.乳腺腫瘍が発生しやすい犬種リスト

乳腺腫瘍が発生しやすい犬種があります。
発生しやすいのは小型犬の純血種で、特にマルチーズ、シー・ズー、プードル、ヨークシャー・テリアに多いとされています。

とはいえ、この犬種のメスに絶対乳腺腫瘍ができるわけではなく、この犬種以外のメス犬はできないというわけではありません。どんな犬も人間と同じく何かしらの疾患にかかる可能性はあるので、日頃から注意をしてあげるということが大切です。

上記の犬種を飼っている方はもちろん、メス犬を飼っている方は、乳腺腫瘍があるということを頭にいれておきましょう。

2.乳腺腫瘍の治療

乳腺腫瘍はどのような治療が行われるのでしょうか。そして費用はどのくらいかかるのでしょうか。いろいろと心配になりますよね。乳腺腫瘍の場合は手術をしないということはほとんどありません。「診断」から、「費用」「手術」「手術後」について分けて説明しますね。

2.1.診断

乳腺腫瘍の診断はどのようにされるのでしょうか。病院によっても異なりますが、一般的な説明をしますね。

最初は飼い主さんが愛犬のお腹周辺をなでた時などに、しこりが手に触れて気づくことが多いようです。またトリマーさんや獣医さんが触ったときに、たまたま発見することもあります。しこりを発見したら早めに動物病院に連れていきます。

動物病院では、まずは「触診」といって触って診察をします。この時、しこりが筋層についているか、遊離しているか、またリンパ節が腫れていないかなども調べます。皮膚が赤くなったり、硬かったり、犬が痛がったりする炎症性の乳腺腫瘍もあります。炎症性の悪性乳腺腫瘍の場合は、悪性度が高くなります。

しこりの部分を「生検」と言って針で吸引して細胞診という検査します。ここではまだ良性か悪性かを判断することはできません。まずしこりが腫瘍なのか、本当に乳腺腫瘍なのかを確認するのです。

なぜならしこりが乳腺腫瘍ではなく脂肪肉腫といった他の腫瘍である可能性もあるからなのです。良性か悪性化は、摘出した腫瘍を調べて初めて判明するのです。しかし手術前にだいたい良性か悪性かはわかることが多くなっています。
最近は、この生検を行っていない病院もあります。

手術の前は、麻酔に備えて心肺機能をみるためレントゲン検査を行います。また悪性が疑われる場合、リンパ管や血管を通じて肺や他の臓器に転移していないかということもレントゲン検査から確認します。ここで肺の転移が見られると、手術ではなく対症療法になることもあります。

他に、血液検査も行い腫瘍による高カルシウム血症の有無や、貧血の有無、肝臓腎臓などの機能のチェックも行われます。

2.2.手術

一般的には多くの場合まずは外科的摘出です。摘出方法も様々で腫瘍の数や、乳腺腫瘍の発生した部位、良性か悪性かなどの状況によって異なります。

「腫瘍の部分だけ、または単一の腫瘍を切除する方法」「腫瘍がある片側の乳腺を切除する方法」「すべての乳腺を切除する方法」あるいは「腫瘍がある乳腺と、つながりの深い乳腺を切除する方法」あるいはという方法があります。
炎症性の悪性腫瘍の場合は、止血が困難になったり傷がなかなかつかなかったりということがあるため手術を行わないこともあります。

しこりの部分だけを摘出するのは、良性である可能性が高い場合に限定されます。しかし再び乳腺に良性のしこりが発生したり、のちの病理検査で悪性と判明したりすることもあります。
そうなると再び手術をする必要性がでてきます。再手術するのは犬にとっても負担なので、単一のしこり部分だけを手術して取り除くことはあまり推奨されていません。

腫瘍がある片側の乳腺を切除する方法は、最も多く摂られる方法です。左右の乳腺とも腫瘍が見られる場合は悪性度の高い側から切除し、後日反対側も切除という方法がとられます。

すべてを一度に摘出するのは縫合した部分が離れやすく推奨はされていません。しかし両側の乳腺とも悪性度が同じ程度だったり、大きな腫瘍ができて胸全体に占めたりするような場合は、左右の乳腺すべてを摘出する方法がとられることもあります。ドレーンといって体液が溜まらないように管を入れる、抗生剤を投与するなどしっかりとケアがされます。

2.3.費用

乳腺腫瘍の治療の費用については、手術の種類、腫瘍の大きさや数、入院日数などさまざまなことで大きく異なります。安い場合は5万円程度、高くなると50万円程度かかることもあります。目安としては日帰り治療で5万円程度、3~4日の入院で10万から15万円くらいが多いようです。

手術方法や費用に関しては、動物病院の先生やスタッフとよく話してしっかり説明を受けることが大切です。あまりに高かったり、説明がわかりにくかったりという時は別の病院でセカンドオピニオンを受けてもいいでしょう。

2.4.手術後

手術をしたあとはまず傷の修復を待ちます。状態によっては、入院が続いたり家で家族がみたりとなりますが、傷の治りは個体差があると認識しておきましょう。

腫瘍が悪性だった場合は再発、転移の確認のために、何か月かおきに診察をうけることになります。悪性腫瘍の状況によっては化学療法がおこなわれることもあります。肺に転移した場合などにおこなれることが多いようです。難治性の場合は、犬になるべくつらい思いをさせないように、様々な対症療法が施されます。

またQOLを維持するためにサプリメントを服用することもあります。また食事を高たんぱく低脂肪にすることを勧められる場合もあります。かかりつけの獣医さんに相談してケアをしてあげましょう。

3.乳腺腫瘍の画像集

乳腺腫瘍はどのような状態になるのでしょうか。画像をいくつか掲載しますのでご参考にしてください。

手術前の乳腺腫瘍

手術前の乳腺腫瘍です。その後手術は無事成功したとのことで一安心ですね。

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もしかしたら?のしこり

もしかしたら?のしこりです。心配ですね。

手術後の状態

手術後の状態です。乳腺腫瘍の手術が無事に終わってよかったですね。

LeLienさん(@lelien316)がシェアした投稿

抜糸後の写真

乳腺腫瘍手術後、抜糸が無事に終わった子の写真です。きれいに傷がふさがって結果も良性でよかったです。

大き目の腫瘍

大き目の腫瘍が見えます。手術が無事に終わってほしいですね。

4.乳腺腫瘍を患った犬のブログ

乳腺腫瘍を患ってしまった犬のことが書かれたブログをご紹介します。経験された方のお話はとても参考になりますね。

pet salon Mignon DIARY

pet salon Mignon DIARYはこちら

大きな乳腺腫瘍ができてしまった保護犬の子です。

ちわわぱらだいす オフィシャルブログ

ちわわぱらだいす オフィシャルブログはこちら

乳腺腫瘍の手術、傷のことなど参考になります。

保護犬と家族になろう♪

保護犬と家族になろう♪はこちら

保護犬との暮らしや里親探し、ひめのちゃんという子の乳腺腫瘍の治療が書かれています。

人生実況生中継! 辻よしなりオフィシャルブログ

人生実況生中継! 辻よしなりオフィシャルブログはこちら

まだ診断されたばかりのようですが、愛犬の乳腺腫瘍のことがつづられています。わかったときのことや自壊のことが書いてあります。心配ですね。

動物の「がん」と戦う獣医さん

動物の「がん」と戦う獣医さん はこちら

がんのことを書いている獣医さんのブログです。もちろん乳腺腫瘍のことも書かれており、専門家の意見は大変参考になります。

ペットのいる暮らし

まねき猫ホスピタル委員長 石井万寿美ペットのいる暮らし はこちら

こちらも獣医さんのブログです。写真も多くわかりやすいですね。

5.まとめ

犬の乳腺腫瘍は、中高齢で避妊手術をしていないメスの子に多いということがわかりました。まれに若いメス犬や、オス犬にもみられることがあります。
乳腺腫瘍には良性と悪性があり、その割合は約50%です。明確に良性か悪性かは腫瘍を手術で取り除き、組織の病理検査をしないとわかりません。
しかし悪性といってもどうにもならないというわけではなく、手術によって治ることもあります。大きな乳腺腫瘍ができていた子でも、手術をして抗がん剤の投与を受けたことで、完治した子もいます。

「腫瘍」「がん」という言葉を聞くと、誰しもが心配になり落ち込んだりしてしまいがちですよね。ましてや物言わぬ大切な愛犬だったら、そのショックと心配の度合いはかなりのものになります。
しかし、治療すれば治ることも多くそれほど悲観することはありません。大切なのは治療を受ける愛犬のケアをしっかりしてあげることです。

乳腺腫瘍の多くは、避妊手術をすることでかなり防げます。子犬を産ませる予定がない場合は。発情を迎える前に避妊手術をするといいですね。避妊手術をしておくことによって、子宮蓄膿症や子宮がん、卵巣がんなどの病気を予防することもできます。避妊手術をしておけば絶対に乳腺腫瘍にならない、ということではありませんが確率は相当減ります。

また、日頃から愛犬によく触れておくこともとても大切です。胸のあたり、お腹のあたりなど日頃からマッサージして触るようにしておきましょう。犬とのコミュニケーションも取れますし、なにか異変があった場合はすぐに気づくことができます。もちろんこれはオスの子にも重要なこと。オスにも乳腺腫瘍はありますし、なにより触れることは愛犬にとっても飼い主さんいとっても必要なことだからです。

そして、もししこりが手に触れたら、たとえそれが小さくてもすぐに動物病院に診せにいくことが大切です。具合が悪くても自分からは訴えることのできない愛犬のために、まめに飼い主さんがチェックしてあげましょう。

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