犬のしつけがうまくいく!知らなきゃ損するしつけのすべて

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健全な社会生活をつつがなく送るために、私たち人間が親からしつけをうけて生活に必要な行動や知識、倫理などを学びます。

犬たちもまた、飼い主やその家族、共生する自分以外の犬や猫などの生き物のほか、外の人間や動物たちとの共生および社会生活を平穏に営むために徹底したしつけが必要となってきます。

ところが、飼い主の中には『しつけ=体罰を与える』と考える方も少なからず存在します。

犬が問題行動を起こした際に、しつけと称してきつく叱ったり、殴るなどの体罰によって、逆に愛犬が非社会的な性格に陥り、更に咬傷事故や破壊行動などの異常行動に発展していきます。

飼い主のみならずその家族やほかのペット、外部の人間・動物にまでも被害が及ぶというケースも少なくありません。

そのため、近年では体罰をなるべく用いないしつけが主流になりつつあります。

そこで今回は、犬の問題行動矯正のためのしつけだけでなく、より効果的にしつけを行うための知識やトレーニング方法、おすすめのしつけ教室や補助用のアプリ・アイテムなどを詳しくご紹介していきたいと思います。

実際に愛犬をしつける際に是非参考にしてみてください。

目次

1.犬のしつけとは

2.犬のしつけで押さえるべき2つの基本理論

3.犬のしつけを実践する前に注意しておきたい『指示語』と『罰の与え方』
3.1.愛犬に必ず覚えさせるべきリーダーウォークと6つのしつけ
3.2.『首輪とリード』には必ず慣れさせましょう
3.3.犬の健康と事故から守る『リーダーウォーク』
3.4.リーダーウォークと並行して『おすわり』をしつける
3.5.おすわりができたら『待て』もしつけよう
3.6.『おすわり』と『待て』に慣れてきたら『伏せ』を覚えさせよう
3.7.散歩中の拾い食いを止める『出せ』のしつけ

4.犬に秘められたしつけに応用できる能力5選
4.1.数秒前の出来事なら正確に記憶する『短期記憶能力』
4.2.猿真似ならぬ犬真似、『模倣能力』が高い
4.3.ジェスチャー『理解力』はチンパンジーの4倍
4.4.人間同士の会話からを覚える『非言語能力』
4.5.場の空気を読んだり、人柄もしっかり観察する『洞察力』

5.犬の問題行動を改善するしつけ法7つ
5.1.無駄吠えする6つの『原因と解消法』
5.2.犬の『飛びつき癖』をやめさせるしつけ
5.3.犬の『唸り癖』をやめさせるしつけ
5.4.犬の『噛み癖』をやめさせるしつけ
5.5.犬の『拾い食い』をやめさせるしつけ
5.6.犬の『トイレ失敗』を成功に導くしつけ
5.7.犬の『食糞』をやめさせるしつけ

6.お家で役立つ便利な6つのしつけ法
6.1.『おて』は飼い主とのスキンシップに役に立つ
6.2.犬に『アイコンタクト』をしつければかわいさ2割増し
6.3.誰に触られてもへっちゃら!『ボディコントロール』のしつけ
6.4.『ハウス!』の一言でゲージや犬小屋へ
6.5.『トイレが的確な場所でできる』ようになるしつけ
6.6.『留守番』ができる犬ほど社交性が高い

7.犬のしつけ教室は基礎をしつける場所
7.1.『東京』のしつけ教室
7.2.『神奈川』のしつけ教室
7.3.『埼玉』のしつけ教室
7.4.『大阪』のしつけ教室
7.5.『京都』のしつけ教室
7.6.『札幌』のしつけ教室
7.7.『福岡』のしつけ教室

8.英語でわんちゃんに指示を出す場合

9.犬のしつけに役立つ本

10.犬が嫌がる音を出すアプリやアイテム、CD
10.1.グッズ
10.2.アプリ
10.3.CD

11.まとめ

1.犬のしつけとは

犬が自分以外の飼い主を含む周囲の人間や自分以外の犬や猫、その他動物などと軋轢なく社会生活を営む上で、社会ルールややってはいけない禁止事項を学ばせるのが『犬のしつけ』の大原則です。


例えば、愛犬が無駄吠えをすれば近隣の家庭に迷惑がかかりますし、室内で飼っている場合、トイレがうまくできなければ家のあちらこちらから悪臭や排泄物で汚染され、わがままな性格をうまく矯正できなければ家具をかじったりして家の中を滅茶苦茶にされ、家具も壊された飼い主は頭を抱えて家具を買いなおさなければなりません。

こうした問題行動を矯正するために犬へのしつけが必要となってくるのです。

犬のしつけにおいて大切なことは、「飼い主のほうが自分より偉い」と力関係を学ばせた上で、社会性やトイレや食事など犬の日常生活における必須行動を学習させ、また自分の周囲を取り巻く人間やほかの生物、環境に慣れさせることです。

そのため、犬に社会性を身につけ、最低限度の生活を営む能力を養うためには、飼い主自身が犬しつけについて学習する義務があるのです。

2.犬のしつけで押さえるべき2つの基本理論

愛犬をしつける際に重要なのは、しつける目的の明確化です。

ただ闇雲に「犬をなんとなくしつける」というスタイルでは上手くいかず、場合によっては犬のストレスに繋がり問題行動が悪化して異常行動に走るケースも少なくないのです。

そのため、犬のしつけでおさえるべき基本理念を念頭に置いてどのように愛犬をしつけるのか明確なビジョンを決めて行うようにするのが重要です。

犬のしつけで抑えるべき基本理念は二つあります。

  • 犬の初期学習
  • 犬の生涯学習

犬の初期学習とは、犬同士でのコミュニケーションのための犬語を学ぶことと、人間も含む犬以外の生物との馴化(じゅんか)を指し、所謂『社会化期』と呼ばれる生後3~12週齢の間に行う必要があるとされています。

私たち人間が幼児期のうちに言葉を覚え、家族以外の外部の人間や環境に触れることで小さな社会である家庭からより大きな社会へ参入することを学ぶように、犬もまた、社会生活を営む上で、自分以外の同種や他種とのコミュニケーションの仕方を学ぶ必要があるのです。

よく、「犬を飼う際は生後3カ月から」とされていますが、これは肉体的な安定以外にも、社会化期に母犬や他の兄弟犬と生活し、“個”と“他”の初歩的な概念とコミュニケーションの仕方を学ぶ必要があるからなのです。

犬の生涯学習とは、社会化期(生後13~14週齢)以降、犬が人間と同じ社会で暮らすうえで必要な知識や行動を学習することを指し、トイレや食事、ボディコントロールや留守番などの課題行動を身につけ、かつ無駄吠えや噛み癖などの問題行動の矯正が主となっています。

飼い主のライフスタイルや生活環境、家族構成や多頭飼い及び一頭飼い、もしくは猫や小鳥など犬以外の生物が共生しているか否か、飼い主の住居は集合住宅か一戸建てか、室内飼いか外飼いかなどといった要素も大いに関係するため、社会化期とともに修了する初期学習とは異なり、その変化に応じて年齢を問わず一生涯学び続けなければならないため、『生涯学習』と呼ばれています。

私たちが犬をしつける上で特に注目すべきなのが『課題行動』と『問題行動』です。

愛犬とともに生活する上でしてほしい行動としてほしくない行動を把握し、こうなってほしいという明確なビジョンを念頭に置くことが愛犬のしつけをする上で重要な要素となるのです。

2.1.犬にしてほしい行動としてほしくない行動を明確にする

愛犬をしつける上でまず念頭に置くべきなのが、『してほしい行動』と『してほしくない行動』を明確にすることです。

例えば、無駄吠えをしないようにしつけをする場合、ただ「無駄吠えをさせないようにしよう」というあいまいな目標を立てるのではなく、「馴染みの来客が来たときなど、吠えるべきでないときは静かにおとなしくしている」状態を『してほしい行動』として定め、「何度も来ている馴染みの来客に対してうるさく吠えたてる」状態を『してほしくない行動』として設定してください。

目標とすることで問題解決のための指針が定まり、より効果的にしつけを行えるのです。

2.2.犬が正しい行動と誤った行動をしたときの対処法を明確にする

犬のしつけにおいて一番重要なのが、『ほめる』ということです。

従来の犬のしつけでは問題行動を起こしたら、体罰を執行するやり方が推奨されていましたが、近年、犬の生態や知性レベルの研究が進み、体罰を与えるよりもむしろほめて伸ばす方が効果的であると認識されつつあります。

そのため、問題行動にのみ目を向けるのではなく、正しい行動にも目を向け、それに対しておやつやおもちゃなど物質的なごほうびや「よく出来たね、偉いよ!」としっかり声をかけて撫でてやる精神的なごほうびを必ず与えるようにしましょう。

犬が指示通り的確な行動が取れるようになったら、ご褒美の量を徐々に減らしていきます。

というのも、おやつやおもちゃによる物質的なご褒美はやがて犬が飽きてくる上、特におやつは肥満の原因につながります。

そのため、徐々に与える量を減らし、最終的には「よくできました!」等の言葉による褒賞のみで満足させるようにしましょう。

2.3.『古典的条件付け』と『オペラント条件付け』

犬のしつけを行う際に用いると効果的なのが、

『古典的条件付け』

『オペラント条件付け』

の二つの学習方法です。

『古典的条件付け』とは、異なる二つの刺激を組み合わせ、関連付けさせることで目的の行動を促す学習法で、ベルを鳴らして犬に餌を与える行為を繰り返し行うことで最終的には餌がなくてもベルの音でよだれが出るようになる『パブロフの犬』が有名で、別名『パブロフ型条件付け』とも呼ばれています。

例えば、『おすわり』のトレーニングをする際に、「○○、おすわり」と指示を出し、おすわりしたらご褒美を与えるという行為を繰り返し行います。

すると、そのうち犬が「指示に従っておすわりすればご褒美がもらえる!」と学習し、最終的には指示を出されただけでおすわりできるようになるのです。

『オペラント条件付け』とは、ある行動をした際にご褒美がもらえるなどいいことが起きると、またいいことが起こるよう自発的かつ積極的にその行動を繰り返したり、逆に痛い思いやつらい思いを経験することでその行動を起こすことに消極的になるなど、行動を起こした際に訪れた結果との関連性を結びつける学習法です。

例えば、初めて訪れたレストランにイケメンなウェイターがいて、しかも対応も丁寧だったので常連として通うようになったり、好きな作品が実写映画化したけどつまらなかったので以降は実写映画を敬遠するようになるなどもオペラント条件付けに当てはまります。

オペラント条件付けは次の4つのタイプに分かれます。

【4タイプのオペラント条件付け】

正の強化 ある行動を行った結果、ご褒美を与えることでその行動を積極的に行うようになる。
正の弱化 ある行動を行った結果、罰を与えることでその行動に対し消極的になる。
負の強化 ある行動を行った際、罰を与えないことでその行動を積極的に行うようになる。
負の弱化 ある行動を行った際、ご褒美をはく奪することでその行動に対し消極的にな

『古典的条件付け』も『オペラント条件付け』も双方必要なのは的確なご褒美(快)と罰(不快)の与え方です。

例えば正しい行動をとっても即座にご褒美を与えなければ、行動と快の現象が直結せず、何故ご褒美が与えられたのか理解できず正しい行動も見につきません。

逆に、問題行動を起こして即座に罰を与えなければその行動と不快の現象が直結せず、中々矯正できません。

愛犬が行動を起こしたら、その行動に見合った賞罰を即座に与えることができるよう常に気を配るように心掛けましょう。

2.4.犬の『集中力は10~15分』が限度

犬をしつける際にもう一つ注意すべきなのが一回のトレーニングにつき犬が集中できる時間が10~15分程度ということです。

私たち人間もそうですが、集中できる時間が限界になると、途端に作業効率や学習効率が下がります。

犬も同じで、集中力が途切れた状態でトレーニングを行っても中々身につかず、かえってトレーニングに対して嫌気がさしてしまいます。

そのため、時間になったらたとえトレーニングの途中でも中断し、インターバルを置いて同日の夕方や夜か翌日に再開するようにしましょう。

3.犬のしつけを実践する前に注意しておきたい『指示語』と『罰の与え方』

犬のしつけの基本方針は先ほどの項目でご紹介しましたように、『褒めて伸ばす』ことを主体としますが、より効果的にしつけを行うために『指示語』の統一と『罰の与え方』にも注意しておかなければなりません。

『指示語』とは「おすわり」や「待て」など犬にさせたい行動を指示するための言葉です。

この指示語が家族によって「おすわりして!」「おすわりしなさい」や「待ってて」「待て、待て」などバラバラだと、犬がどの言葉が指示語なのか混乱し、しつけも滞りやすくなります。

そのため、指示語は一定の単語を予め決めておき、家族全員が決められた指示語を用いて犬をしつけるようにしましょう。

『罰の与え方』として、犬が問題行動を起こした際は大声で怒鳴るなどしてきつく叱る、叩くなどの体罰はなるべく避けるべきです。

というのも、体罰や怒鳴るなどの行為は一貫性がつけづらく、犬も「何故怒鳴られたのか」「どうして叩かれたのか」因果関係が結びつかないことが多く、あまり効果がないのと、恐怖心を植え付けてしまうことで、「怒鳴られないようにしなくちゃ」「叩かれたくない」気持ちが先行し、逆に食糞や噛みつきなどの異常行動を促進させてしまう可能性があるからです。

最近ではこうした暴力的な体罰に代わり、『サプライズ』という方法が取り入れられつつあります。

『サプライズ』とは、薄めた酢をスプレーで吹きかけたり、装着したヘッドカラーを軽く引っ張るなど、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の五感に訴えかけ、あくまで犬の負担にならない程度の刺激を与えて正の弱化を図る行動を指します。

効果的に取り入れればしつけがやりやすくなる反面、やはり犬によってはストレスになり、下手に乱用すればかえって犬の反抗心を強めてしまうこともあるため、実践する際は動物行動医療の専門医や臨床行動学専門の獣医師などに予め相談するようにしましょう。

3.1. 愛犬に必ず覚えさせるべきリーダーウォークと6つのしつけ

愛犬をしつける際、生活行動だけでなく散歩のやり方もトレーニングすると思いますが、その中でも特に覚えさせておくべきなのが、

  • 『首輪とリードに慣れる』
  • 『リーダーウォーク』
  • 『おすわり』
  • 『待て』
  • 『伏せ』
  • 『出せ』

の6つです。

これらは飼い主と愛犬の主従関係や信頼関係などの関係性の構築だけでなく、散歩中の不慮の事故を防ぐためにも覚えておくべき行動です。

そこで、この項目ではこれら6つの行動のトレーニング方法についてご紹介していきたいと思います。

3.2.『首輪とリード』には必ず慣れさせましょう

まず犬に散歩のトレーニングを行う前にしておきたいのが、首輪とリードに慣れさせることです。
ほとんどの飼い主は、犬に首輪とリードを付ける必要性を理解しているかと思いますが、首輪とリードは愛犬の命を守るためだけでなく、外部の人間やほかの動物たちの命を守るためにも必要なのです。

また、首輪には迷子札や予防接種のタグなどをとりつけられるので、万が一愛犬が迷子になったときに首輪の特徴だけでなくスムーズに飼い主のところに連絡が行くため、早期発見につながります。

愛犬の安全を保障するために、首輪とリードはなるべく子犬のうちに慣れさせ、抵抗感を無くすようにしましょう。

3.2.1.首輪とハーネスのメリット・デメリット

犬の首輪には、スタンダードな首輪と胴回りを固定するハーネスが主流となっていますが、それぞれメリットとデメリットがあります。

 

首輪の

メリット

・取り外しが簡単

・サイズ・やカラー、種類が豊富

・自然素材で丈夫

・ネームタグや鑑札、迷子札や予防接種済みタグの取り付けが簡単

首輪の

デメリット

・革製のものはアレルギーのある犬に向かない

・首や機関を圧迫しやすい

・サイズが合わないと簡単に頭から首輪が抜ける

 

ハーネスの

メリット

・体に負担がかかりにくく、シニア犬にも安全

・犬が動きやすい

・首を絞めつけないので気道が圧迫されにくく呼吸しやすい

・急な引っ張りも衝撃が分散される作りになっているため、負荷がかかりにくい

ハーネスの

デメリット

・負荷がかかりにくいため、引っ張りによる注意があまり効果がない

・犬にとって引っ張りやすいため、どんどん自分の好きな方向に行こうとする

・胴回りを固定するので、犬服が苦手な犬には向かない

・ハーネス部分がこすれ、毛が抜けやすく部分ハゲになりやすい

 

首輪は主にしつけが未熟な犬や吠え癖や引っ張り癖がある犬などに向いていて、ハーネスは小型犬やシニア犬など、体力がなく気管支などに負荷がかかりやすい犬に向いているとされていますが、どちらもメリットとデメリットがあり、最終的には犬それぞれの個性に合わせて選ぶことになります。

愛犬の個性や特徴を把握して、適切なものを選ぶようにしましょう。

3.2.2.しつけに使う電流首輪は使用しない

犬のしつけを短期的に終わらせられるという謳い文句の『トレーニング首輪』。

犬が問題行動を起こした際に、リモコン操作によって微量な電流を流すという仕組みで通称『電流首輪』と呼ばれていますが、犬の心身の健康を考えるとあまりおすすめできません。

というのも、たとえ微量であっても継続して電気ショックを与えれば犬に身体的及び精神的なストレスが蓄積していきます。

すると健康被害や神経過敏、ハゲなどが現れ、更にストレスによる別の問題行動が発生する、または悪化するなどの問題が発生します。

そのためヨーロッパではトレーニング首輪の危険性が指摘され、規制されつつあります。

確かに、無駄吠えや噛み癖などの問題行動をなるべく短期的に解消したいと願う飼い主の方も少なくないと思います。

ですが、犬に過剰な負荷を与えることで問題行動を解消しようとするのはそれ相応の代償が伴います。

それは愛犬の心身の健康のみならず、信頼関係といったかけがえのない関係性も大いに損なうことになります。

愛犬の心身の健康を考慮しつつ、問題行動を矯正するのであれば、たとえ膨大な時間がかかるとしても、信頼関係を築きつつじっくり時間をかけてしつけを行うことが大切なのです。

3.2.3首輪とリードに慣れるためのトレーニング方法

犬に首輪とリードが安全なものであると理解させたうえで、首輪とリードを付けて散歩に出かけることを最終目標に設定し、『正の強化』をメインにしつけていきます。

予め大好物のおやつやおもちゃを用意し、まずはハンカチやバンダナなど、犬の首に負担がかかりにくいもので慣らしていきます。

首になにかされても暴れず、じっとしているのであれば「えらい!」と褒めながらご褒美を与えます。

慣れてきたら首輪を軽く首に触らせるところから始め、徐々に慣れてきたら実際に犬の首に首輪を巻きます。

このときも、ご褒美による『快』の報酬を与えるのを忘れないようにしましょう。

「首に首輪を巻かれる=うれしいことが待っている!」という古典的条件付けと「首に何かされてもじっとしている=うれしいことが待っている!」のオペラント条件付けによって、関連性が強化され、徐々に首輪に対する抵抗感がなくなっていきます。

完全に首輪に慣れてきたら、今度は首輪にリードを付けてみます。

初期のころは犬が好奇心からリードに噛みついてくると思いますが、その場合はリードに噛みつき防止剤を塗布するなど、噛んだら『不快』が即座に与えられるようにしておきましょう。

「リードに噛みつく=なんかいやなことがある」というオペラント条件付けによる『正の弱化』を促すことで、リードに噛みつく行為も減少するはずです。

3.3.犬の健康と事故から守る『リーダーウォーク』

『リーダーウォーク』とは、“Loose Leash Walking”の和製英語で、飼い主と愛犬の適度な距離感を保ちつつ寄り添って歩く行動のことです。

具体的にはリードが軽くたるんでいる状態が理想的な距離とされています。

リーダーウォークをマスターすることで、犬の拾い食いや道路に突発的に飛び出して交通事故に遭うなどの不慮の事故や無理なリードの引っ張りによる眼球圧迫や頸椎圧迫による犬の健康障害を防ぐことが可能です。

リーダーウォークのしつけ方は、まず『してほしい行動』と『してほしくない行動』を明確にし、正しい行動が行えたらすぐに与えられるように予めご褒美を用意し、集中できる環境を整えておきます。

なお、リーダーウォークのトレーニングの際、犬が予めリードと首輪に慣れておくことが必須となってきます。事前に首輪とリードに慣れておくようにしましょう。

リーダーウォークのトレーニングの下準備ができたら、早速実践に移ります。

首輪とリードを犬につけ、自由に歩かせます。

この時、情報量や興味を引くものが多い屋外ではなく、まずは屋内で行い、慣れてきたら屋外で行うようにしましょう。

犬がリードを引っ張ったら、決して動かずじっとしていましょう。首が締まることで、「飼い主から離れる=苦しい思いをする」と学習します。

犬が近寄ってきたら、即座にご褒美を与えましょう。

すると「飼い主のそばに行く=うれしいことが待っている!」と学習します。

このように、「飼い主からはなれると嫌なことがあるけど、近寄るといいことがある」と『正の弱化』と『正の強化』を関連付けることで、より効果的にしつけしやすくなります。

犬が飼い主と適切な距離感を保って歩行できるようになったら、今度は散歩ルートを変えてみたり、歩く速度を遅くしたり、早くしたりしましょう。状況や環境が変化しても一定の距離感を保ったままリーダーウォークに付いて来られるようにするためです。

どんな状況下にあっても変わらない距離感をつかませるため、じっくり時間をかけてトレーニングしていきましょう。

飼い主のテンポについていきつつ、しっかり一定の距離感でリーダーウォークを完遂できたら、必ずご褒美を与えましょう。どのような状況下に置かれても、リーダーウォークがしっかりできるようになるのが理想です。

3.4.リーダーウォークと並行して『おすわり』をしつける

『おすわり』は、犬のしつけの中でも初歩的かつ基本的なもので、例えば、散歩中の信号待ちでおすわりしてじっと信号が変わるのを待つような、時と状況によって迅速かつ確実に『おすわり』の態勢をとれるようになるのが理想です。

ここでは、散歩中を想定し、リーダーウォークと並行して『おすわり』のトレーニング方法をご紹介していきます。

まずはごほうびと首輪・リードを用意し、できるだけ愛犬がトレーニングに集中できる環境を作ります。

次に、『おすわり』と声をかけてリードを斜め後ろ上方気味に軽く引きます。

このとき、決して無理やり引っ張らないようにしましょう。すると、犬の重心が後方にいき、自然と『おすわり』の体勢になります。

後ずさりしたり、四肢を踏ん張って抵抗する場合は、背中の一番後ろ、しっぽの付け根より少し上の場所を少し強めに、下肢を丸め込むような形で下におろしましょう。

上手にできたら、すかさず「おすわりできて偉いね!」と声をかけ、撫でておやつなどのごほうびを与えます。

「飼い主の言葉に従っておすわりしたら、おいしいご褒美がもらえてうれしい!」という『正の強化』によって、『おすわり』という指示語と「おすわりの態勢」の関連付けを強化させていきましょう。

補助なしでおすわりができるようになったら、今度はハンドサインと指示語のみでおすわりができるようにトレーニングしましょう。

人差し指を一本上に立て、「おすわり!」と指示を出します。

犬はすでに「『おすわり』=おすわりの体勢」と学習していますので、指示語に従っておすわりするはずです。

できたら「指示通りにおすわりできて偉いね!」と褒め、ご褒美を与えましょう。

もしまだ十分でなければワンステップ戻り、指示語とお座りの関連付けを強化しましょう。

繰り返しトレーニングすることで、指示語とハンドサインの関連性を理解し、最終的には指示語だけでなくハンドサインのみで『おすわり』ができるようになるのが理想です。

慣れてきたら、今度はリーダーウォークと並行して『おすわり』のトレーニングをしていきます。

最初は片道5m程度の距離から始め、1往復ごとに『おすわり』をさせていきます。

おすわりできたらごほうびを与え、徐々におすわりさせる回数を増やしていきます。

慣れてきたら、往復する距離を徐々に長くし、実際に散歩中でも実践してみましょう。

まだ不十分と感じたら、ワンステップ戻ってやり直しを繰り返していきます。

どのしつけの場合も同じですが、焦らずじっくり、確実にトレーニングしていきましょう。

また、犬の集中力が途切れたら、たとえトレーニング中でも中断するようにしましょう。

3.5.おすわりができたら『待て』もしつけよう

『おすわり』が完璧にできるようになったら、今度は『待て』をしつけます。

『待て』を覚えることで、飼い主と犬の主従関係と信頼関係の強化のほか、拾い食いや突発的な飛び出しなどの問題行動を事前に防いだりするなど、犬だけでなく飼い主の身に危険が及ばないようにすることもできます。

この項目では、散歩中を想定し、リーダーウォークと『おすわり』の二つと並行して『待て』をトレーニングする方法をご紹介していきます。

まずは明確なビジョンを頭に描き、ごほうびと集中できる環境を用意します。できれば、犬には首輪とリードを付けておきましょう。

『おすわり』の体勢をさせてから、即座にご褒美を与えられる距離で、犬の顔の前に手のひらをかざしつつ『待て!』と指示語を与え、一歩下がります。

このとき、犬が飼い主のほうに飛びついたり、動いたりせず姿勢をキープできたら即「待てができて偉い!」と褒め、ご褒美を与えます。

これを繰り返すことで、「待て=うれしいことが待っている!」と犬に学習させます。

もし、犬が姿勢を崩したり、動こうとしたときはリードを軽く引っ張り、動きを止めます。決して無理やりリードを引っ張らないようにしましょう。

近づいて止まった時点で即座に「ちゃんと止まれていい子だね!」と声をかけて褒め、すばやく『不快』から『快』へ切り替えるようにしましょう。

『待て』の姿勢に慣れてきたら、2歩、3歩…と少しずつ離れる距離を広げ、最終的にはリードの長さまで遠ざかっても姿勢を崩さず『待て』ができるようにします。

ある程度離れた距離で『待て』ができるようになったら、今度は待機時間を長くしていきます。

『待て』と指示し、ご褒美を与えるまでの間、ハンドサインとして犬の目の前で手のひらをかざして『待て』の指示を繰り返します。

こうして指示語とハンドサインの関連性を結びつけつつ、『待て』の姿勢をキープする時間も増やしていきます。

このとき、一度に時間を延ばすのではなく、1秒、2秒と秒刻みで増やしていくようにしましょう。

静止状態での『待て』がマスターで来たら、リーダーウォークと並行してトレーニングしていきます。

予め『おすわり』をマスターしたうえで行いましょう。

やり方は『おすわり』の時と同じように、1往復ごとに『おすわり』『待て』の指示を出し、上手にできたら即座にごほうびを与え、できなければ軽くリードを引くようにします。

このとき、『おすわり』→『待て』の順番を崩さないようにしましょう。バラバラに行うと犬が混乱してしまうからです。慣れてきたら距離を伸ばし、回数も増やしていきます。

リーダーウォークと並行したトレーニングをマスターしたら、今度は実践編として散歩中で『おすわり』と並行して『待て』のトレーニングを行います。

最初は戸惑いがあるかもしれませんが、焦らずじっくりと行い、まだ不十分と感じたらワンステップ戻ってトレーニングをやり直します。

いつもの散歩ルートに慣れたら、ルートを変えてみたり、ドッグランなど広い場所で『待て』のトレーニングに挑戦してみましょう。広い場所で行う際は、普段より長めのリードを用いてみてもいいでしょう。

様々な条件下で『待て』ができるようになるのが最終的な目標です。

3.6. 『おすわり』と『待て』に慣れてきたら『伏せ』を覚えさせよう

リーダーウォーク、『お座り』、『待て』が完璧にマスターで来たら、今度は『伏せ』のトレーニングも行いましょう。
的なしつけ方とともに、リーダーウォーク及び『おすわり』、『待て』と並行したトレーニング方法もご紹介していきます。

『伏せ』をしつける際に重要なのは、指示語と『伏せ』の体勢を関連付け、その結びつきを強固にすることです。

そのため、オペラント条件付けである『正の強化』を中心にトレーニングしていきます。また、『伏せ』のしつけを始める前に事前に『おすわり』と『待て』をマスターしておくこともお勧めします。

まずは、ご褒美用のおやつを用意し、犬に首輪とリードを付けて、集中できる環境づくりを予めしておきます。

『おすわり』または『待て』の体勢をとらせてから、首輪とリードを繋いだ部分より少しリード側の方を持ち、無理に力を入れすぎない程度に加減して『おすわり』の姿勢から頭を下げるように下に引き、『伏せ』の体勢にさせます。

もしリードを引っ張っても頭を下げず抵抗する場合は、頭もしくは背中の前方(頭部方向)を斜め前気味に下に向かって押しましょう。

この場合も、犬に負荷がかからないよう、力を加減し、ゆっくり『伏せ』の姿勢をとらせるようにします。

この場合も、「伏せ!」の指示語を同時に出すようにしましょう。指示語を出しながら『伏せ』の体勢をとらせることで、犬に「指示語=伏せ」の関連付けをさせるためです。

指示通りに『伏せ』の体勢をとらせてくれたら、即座に「伏せが上手にできてすごいね!」と声掛けしながらご褒美を与えましょう。

こうすることで、より指示語と『伏せ』の関連性が一層強化されます。

手による補助無しで『伏せ』の姿勢をとれるようになってきたら、今度は指示語とハンドサインの組み合わせによるトレーニングを行います。

『伏せ』のハンドサインは、片手の人差し指を一本立てた状態で、地面を指さすよう腕から動かすようにします。

この動作と指示語「伏せ!」を併せて行うことで、指示語とハンドサインの関連性を学習させます。

指示語とハンドサインに従って犬が『伏せ』の姿勢をとったら、瞬時に「指示通りに伏せして偉いよ!」と声掛けしつつご褒美を与えましょう。こうすることで、「飼い主の指示としぐさ通りに伏せしたらご褒美がもらえたぞ!」と学習していきます。

『伏せ』は、犬によっては早くて30分程度でマスターしますが、大抵は2~3日程度で、それよりも習得が遅い犬もいます。

犬の特性や個性を尊重しつつ、焦らずゆっくりとトレーニングすることが飼い主と愛犬双方の関係性を保ちつつ確実にマスターする近道です。

リーダーウォークと並行してトレーニングする場合は、予めリーダーウォーク及び『おすわり』、『待て』のしつけを修了しておきましょう。

1往復に1回『伏せ』をさせ、徐々に回数を増やし、往復距離も延ばしていきます。慣れてきたら散歩中に『伏せ』をさせるトレーニングに移って行きます。

この場合も即座にご褒美を与えられるようにおやつを携帯しておきましょう。

『伏せ』は比較的早めにマスターできるものの、単調になりがちなので、『おすわり』や『待て』と組み合わせてトレーニングするのも効果的です。

最初のうちは『おすわり』→『伏せ』→『待て』と流れを一定にし、慣れてきたらランダムに指示を出していきます。

このようにトレーニングに遊びも組み込むことで、「飼い主の指示に従うとなんだか楽しい!」とトレーニングと『快』と関連付け、しつけに飽きにくくなるのです。

3.7.散歩中の拾い食いを止める『出せ』のしつけ

散歩中に飼い主が困る行動の一つである『拾い食い』。それを未然に防ぐために『出せ』のしつけは徹底的に行うべきです。

メリットとしては拾い食いによる犬の危機を未然に防ぐほか、口にしたものを飼い主に明け渡すという主従関係につながる行動のため、より関係性が強化されるという点です。

『出せ』のしつけは主従および信頼関係がカギとなりますので、事前にリーダーウォークのしつけを万全に行い、関係性を強化してから行うことをおすすめします。

まずはご褒美と指示語の決定です。

特に指示語の統一化は重要で、家族によって『出せ』の指示語が「出しなさい!」だったり「口の中のものちょうだい」とバラバラになってしまうと犬の方が混乱してしまいます。

そのため、事前に家族内で指示語を決定しておきましょう。ここでは、「出せ!」を指示語として設定します。しつけに集中できる環境が準備できたら、早速トレーニングに移ります。

まずは犬が口に何かを咥えている状態を作るため、少々大きめのおもちゃなどを咥えさせます。

このとき、あまりお気に入りのものを与えるとかえって執着心が強まり、しつけが滞りがちになるため、犬が「ちょっと気になるなー」程度のものを咥えさせましょう。

犬がものを咥えている状況を作ったら、次に犬の鼻先におやつや餌などをみせびらかすようにちらつかせます。

これは『行動対比』と呼ばれ、ちらつかせるものは、大好物のものやお気に入りのものなど、今犬が加えているものより魅力的なものにすると効果的です。

すると、犬は大好きなおやつを食べたいがために今咥えているものを手放します。

この『行動対比』を活用し、「このおもちゃ、気になっているけど、大好きなおいしいおやつの方が欲しいからいいか!」と自分が加えているものよりもっと魅力的なものがあると理解させるようにしましょう。

『行動対比』によって犬が「今咥えているものよりもっと魅力的なものがある」と学習し、咥えたものを簡単に手放すようになったら、今度は「出せ!」の指示語と咥えているものを手放す行為を関連付けさせます。

指示語通りに咥えているものを手放したらすかさず「よくできました!」と声掛けしてご褒美を与えます。

こうすることで、「飼い主の言うとおりに口からものを出したらほめられた!」と学習し、指示語と行動の関連性が強化されます。

このとき、「指示語→行動」の順にしつけるとより効果的に関連付けを学習できます。

犬が、「出せ!」という指示語と、口に咥えているものを手放す行動の関連性をしっかり学習できたら、今度はおやつなどの誘惑をちらつかせずに指示語のみで『出せ』ができるようにしていきます。

「出せ!」と指示を出し、すんなり口に咥えているものを手放したら、即座に「咥えているもの出して偉い!」と声掛けしてご褒美を与えます。

そうすることで、「咥えたものを指示通りに出したら、飼い主からご褒美がもらえる!」と関連付けを強化し、最終的には指示語のみで『出せ』の行動をするようになります。

『出せ』をしつける際に注意したいのが、犬が「口の中に入れたものを出せば、より上等なごちそうがもらえる」と誤って学習する点です。

もし愛犬が誤認して、食事中に餌を出して「もっといいものちょうだい!」と要求するようになったら、必ずプロのドッグトレーナーなどに相談するようにしましょう。

4.犬に秘められたしつけに応用できる能力5選

犬は元来、社会生活を営む性質を持っており、時代が進むにつれ、その知的能力に関する研究も進められてきました。

その結果、犬が社会生活を営む上で特に活用している5つの知的能力がわかってきました。

  • 短期記憶能力
  • 模倣能力
  • 理解力
  • 洞察力

これら5つの知的能力を駆使し、母犬や兄弟犬などの自分以外の犬や飼い主とその家族の行動を模倣し、「こう言われたらこうする」、「こうしたらああいう結果になった」と理解、学習することでコミュニケーションを図り、社会になじんでいるのです。

そして、この犬の特性を活用することで、正しい行動をとる訓練や問題行動の矯正が効果的に行うことができるのです。そこで、この項目ではそうした犬の5つの知的能力についてご紹介していきたいと思います。

4.1.数秒前の出来事なら正確に記憶する『短期記憶能力』

犬には2~3秒前の出来事であれば細かなことでも覚えていられる『短期記憶能力』があります。

そのため、古典的条件付けやオペラント条件付けを用いたしつけを行う際に、この短期記憶能力を念頭に置いて、正しい行動をとったとき、あるいは問題行動を起こしたときに2~3秒以内に素早く的確な褒賞を与えることで、行動とご褒美の関連付けが容易になり、行動と賞罰による快・不快の連想もより強固になります。

気を付けておきたいのが、これは人間にも言えることですが犬は時間がたつにつれその記憶もあいまいになってしまうということです。

2~3秒あたりが記憶の最大で、そのあとは時間がたつにつれどんどん記憶が薄れていき、30秒を過ぎるとほとんど覚えていません。

そのため、時間が過ぎてからごほうびや罰を与えても「どうしてごほうびくれたんだろう?」「何も悪いことやってないのに罰を与えられた!」となり、行動による結果の関連付けができません。

遅くとも10~20秒以内に行動に対する賞罰を与えるようにしましょう。

4.2.猿真似ならぬ犬真似、『模倣能力』が高い

よく人間の幼児が親や友達の言動や行動を物まねする姿を見かけませんか?自分以外の周囲の人間の行動を真似することで、社会生活を営むための能力を養い、馴化していくための能力を『模倣能力』といい、同じく集団で社会生活を営む習性を持つ犬にもこの『模倣能力』が備わっています。

例えば、母犬が定められた場所で用を足すのを子供犬が見てそれを真似して用を足すのも『模倣能力』によるものです。

そのため、社会期が終わる週齢までは母犬や兄弟犬から離さず、この模倣能力によって基本的な生活能力を養う必要があるとされています。

一頭飼いの場合、人間の行動を犬に観察させ、犬のお手本となることで、犬の模倣能力を活かしたしつけを行うことが可能です。これは『真似してごらんメソッド』と呼ばれ、しつけ教室でも取り入れられています。

例えば、遊んだおもちゃを片付けさせるしつけを行いたいのであれば、このメソッドを活用し、「飼い主の真似をしておもちゃを片付けたらご褒美がもらえる!」と関連付けさせることでやがて自発的におもちゃを片づけるようになります。

このメソッドを用いたしつけを上手くやるコツとしては、単純な行動から徐々に複雑な行動に移していくことです。

焦らずじっくりと行うようにしましょう。

4.3.ジェスチャー『理解力』はチンパンジーの4倍

「犬の理解力は果たしてどのくらいか?」と疑問に思う方は少なくないかと思います。

ある研究によれば、犬の動作読み取り能力はチンパンジーの4倍、人間の子供の2倍とされていて、しかも人間の発する言葉の意味だけでなくイントネーションまでも読み取り、素早く理解する能力に長けているという結果が出たそうです。

この『理解力』の高さを利用することで、愛犬のしつけがよりスムーズに行えます。

例えば、犬に『おすわり』をしつける際に、ただ「おすわり!」と指示語を出すよりも名前を読んで指示語を出した方がより理解力が高まり、学習しやすくなります。

ここで注意したいのが、「名前→指示語」の順番を守ることです。

犬は人間が話す単語とイントネーション双方を聞くことで、その意味を理解することができますが、会話の先頭もしくは途中にさしはさまれるよりも最後に言われたほうがより理解しやすく、これは対象物を見せて「これは○○だ」と繰り返し教えられるのと同じくらいの学習効果とされています。

そのため、行動と指示語の関連付けを強固にしたい場合は、してほしい指示語は最後に持ってくるようにしましょう。

また、指示語を出すときや褒めるときなど、イントネーションに気を使うとより効果的です。具体的には、少々オーバー気味に、演技がかったようなイントネーションで指示を出したり、褒めるようにしましょう。

言葉だけの指示より、行動を伴った指示をしてもらったほうが理解しやすくなるのは人も犬も同じです。

特に、犬には優れた動作読み取り能力があり、視覚的な指示の方が覚えやすい性質を持っているため、ハンドサインと指示語を組み合わせることで、より学習しやすくなります。

例えば、『おすわり』をさせるときに、人差し指を一本たてて見せ、名前を呼びながら「おすわり!」の指示語を出す方が、ハンドサインなしでやるよりも早く覚えさせることができます。

動作読み取り能力と言語読み取り能力の両方を上手に活用していきましょう。

4.4.人間同士の会話からを覚える『非言語能力』

『非言語能力』とは、所謂『察する』能力のことで、身振りや姿勢、表情や視線、外見、言葉のイントネーションなど言語以外の要素で他者に自分の気持ちや状態を伝える能力を指し、犬にも多少の非言語能力が備わっています。

例えば、飼い主が夢中になってゲームを楽しんでいるときに犬がうれしそうに傍に寄ってくるのは、飼い主の様子を犬が観察し、感情を理解することで、「あ、ご主人なんか楽しそうだぞ!自分も混ぜてほしい!」と犬が考え、行動したからなのです。

この『非言語能力』をしつけに活用することで、犬もより理解力を深め学習しやすくなります。

例えば、ボールをとってくるしつけを行うときに、ただ淡々と「とってこい!」とボールを投げても、飼い主の様子を観察した犬は「あ、つまらなそうだな、これ」と察し、中々上手くいきません。

逆に飼い主が「ほーら!ボールだぞ!とってこい!」と楽しそうにボールを投げて指示を出せば、その様子を見た犬は「あ!飼い主楽しそう!とってくればいいんだね!」と感じ取り、ボールを喜んで取って来てくれます。

このように、態度やイントネーションを時と場合によって変化させることで、「あ、この行動取れば飼い主が喜んでくれるぞ」、「あ、これやったら飼い主嬉しくないかも…」と認識し、より出された指示の意味を読み取り、理解する能力を深めることができるのです。

4.5.場の空気を読んだり、人柄もしっかり観察する『洞察力』

犬は空気を読んだり、察する能力に優れ、所謂『洞察力』に長けた生き物です。

そのため、飼い主の動作や言葉の意味・イントネーションを素早く理解し、正しい行動をとるべき時や問題行動をとってはいけない空気を察し、的確な行動をとることができます。

例えば、飼い主の目配りで餌がどこにあるのかを理解したり、飼い主が表に出さないよう気を配っていたにもかかわらず、薬を飲む時間になると途端に逃げだすのは、常日頃、犬の高い『洞察力』による観察によって行動パターンや表情が読まれているからなのです。

この優れた『洞察力』を活かし、普段から愛情を持って接することで飼い主に対して愛犬もポジティブな感情を持ち、「この人のいうことを聞けば、間違いない」と理解します。

逆にすさんだ環境で常に犬に対して飼い主が横暴な態度をとっていれば「こんなのイヤ!」と犬もすさみ、問題行動ばかり起こすようになってしまいます。

つまり、犬は飼い主及び生活環境の『鏡』といえるのです。正しくしつけを行うのであれば、まずは飼い主の生活スタイルや犬に対する態度を見直してみてはいかがでしょうか?

5.犬の問題行動を改善する7つのしつけ法

犬と生活する上で特に改善する必要がある問題行動は、

  • 無駄吠え
  • 飛びつき癖
  • 唸り癖
  • 噛み癖
  • 拾い食い
  • トイレ下手
  • 食糞

の7つです。

いずれも放っておけば大きな事故につながり、場合によっては犬と飼い主だけでなく、周囲を取り巻く外部の人間にも甚大な損害を与えかねません。

そこで、これら7つの問題行動について詳しく紹介しつつ、その改善方法をご説明していきたいと思います。

5.1.無駄吠えする6つの原因と解消法

犬の問題行動の中でも、飼い主が特に頭を悩ませるのが愛犬の無駄吠えだと思います。

ですが、そもそも犬に無駄吠えはありません。

私たちが無駄吠えだと思ってしまう吠えにはきちんと理由があります。

理由がわからないから私たちは「なんでこんなに吠えているんだろう?」と思ってしまうのです。

ここではわかりやすいように「無駄吠え」としていますが、本当は無駄じゃないということを忘れないようにしましょう。

必要以上に犬が吠えてしまう原因としては

  • 欲求不満
  • 分離不安
  • 縄張り意識
  • 激しい恐怖
  • 持病やケガによる痛みなどの苦痛
  • 認知症

この6つが犬の無駄吠えを引き起こす要因とされています。そこで、この項目では異常6つの原因ごとに詳しく解説していき、無駄吠えの矯正方法についてご紹介していきたいと思います。

5.1.1.欲求不満からの無駄吠え

犬の無駄吠えの一因として大きな割合を占めるのが『欲求不満』です。犬の欲求は『生理的欲求』、『安全欲求』、『行動欲求』の三つの『基本欲求』からなり、これらが十分に満たされていないと、無駄吠えをはじめとする問題行動を起こしがちになってしまいます。

 

犬の基本欲求
生理的欲求 飲食、睡眠、排泄行動、呼吸など
安全欲求 病気やケガからの回避及び開放、一定の温度・湿度が保たれた快適な住居など
行動欲求 探索・追跡欲求、遊び、交尾など

 

また、イギリスフランベル委員会による犬や猫などの家畜動物における動物福祉のための最低条件としての権利を提唱した『Brambell’s Five Freedoms(ブランベル5つの権利)』では次のように記されています。

 

ブランベル5つの権利

1.Freedm from Disease.(病気にならない保障)

2.Freedom from Hunger and Thirst.(飢えと渇きによる栄養失調からの解放)

3.Freedom form excess Heat and Cold.(温度差の激しさによる不快な環境からの解放)

4.Freedom of Movement.(活動行動の自由)

5.Freedom to act our most natural behavior.(あるがままの行動・表現を自由に行う保証)

 

つまり、これら犬の基本的な欲求を満たすことで、無駄吠え矯正につながるわけです。

普段の愛犬への接し方で、もし欲求を充分に満たせてないという方は、まず無駄吠えを矯正するより先に愛犬への態度や生活環境の改善、欲求不満の解消から始めることをおすすめします。

5.1.2.飼い主と離れることによる分離不安で吠える

犬の分離不安については、前の項で触れました。

仲間との集団生活が本能に刷り込まれている犬にとって、特に信頼を寄せている飼い主の不在は耐えがたい苦痛につながります。

原因としては、犬の社会化期における初期学習不足、飼い主の留守中にトラウマになる出来事が起こった、飼い主の犬への無関心からくる愛情不足など、多岐にわたって存在します。

そのため、原因追及が難しく、気づいた時には破壊行動などといった深刻な問題行動を伴うほど重症化するケースも少なくありません。

そのため、疑わしい症状が見られたら、軽度のうちに臨床行動学専門の獣医師の診断を受ける必要があります。

分離不安を未然に防ぐには、やはり飼い主と愛犬の関係性を見直すことでしょう。

もちろん、愛情たっぷりにかわいがることも大切ですが、あまりにも猫かわいがりしすぎると犬の方が飼い主離れできなくなり、依存するようになってしまいます。

そのため、犬の自立心を促すように常に毅然とした態度で接し、外出する際も犬に「行ってきます」などの声掛けをせず、あくまで日常生活の延長として出かけ、帰宅後もあくまで淡々とした態度で接しましょう。

また、留守中に愛犬が寂しさを募らせないように、事前に留守番のしつけを徹底して行い、「飼い主がいなくても寂しくない」ように安心できる場所や一人遊びして過ごせるようおもちゃを用意しておくのも効果的です。

また、『おすわり』や『待て』、『伏せ』などのフォーマットトレーニングをやり直すことで、関係性の修復が可能です。日常のしつけの中で、是非フォーマとトレーニングを取り入れるようにしましょう。

分離不安は犬の精神的な病気の一つであるため、素人では治療することは非常に困難です。

もし愛犬が分離不安の症状を見せるようになったら、決して抱え込まず、専門的な知識をもつ獣医師や専門家に必ず相談し、適切な治療を受けるようにしましょう。

5.1.3.自分の敷地内に誰かいることが許せない縄張り意識からくる無駄吠え

犬、特にオスは本能的に縄張り意識を持ち、自分の集団の維持やメスや子犬などの弱いものたちを外敵から守るために侵入者への敵意及び攻撃表明として威嚇し、吠えることで集団の仲間たちに「外敵が来たぞ!」と知らせます。

これが縄張り意識による無駄吠えの仕組みです。

縄張り意識が強くなる原因として、性別だけでなく幼少期から自分以外の犬との接触や飼い主以外の人間になれていないこと、そして自分が群れのリーダーであると錯覚しているなどが見られます。

特に、自分がリーダーであると誤認したまま放置しておくと、飼い主に対して攻撃する危険性もあるため、早期のうちに「飼い主の方が自分よりも偉い」という事実を再認識させる必要があります。

方法としては、飼い主の愛犬への態度の一貫性と『快』、『不快』のコントロールのほか、「飼い主は自分にとって頼りになる存在である」と犬に再認識させることです。

具体的には、食事や縄張り(飼い主の家)から出るのは常に飼い主を優先し、犬はそのあとから行動させることで、「主導権は飼い主にある」と強く認識させます。

また、犬は集団生活において生きる術をリーダーから学ぶ習性を持っています。

そのため、フォーマットトレーニングやリーダーウォーク、アイコンタクトといったしつけを行うのも飼い主がリーダーであることをより強く認識させるのに効果的です。

5.1.4.地震や雷、知らない人への恐怖からくる無駄吠え

地震や台風、落雷が起きたり、顔見知りでない人が飼い主の家にやってくるなど、災害や見知らぬものは犬にとって恐怖の対象になりがちです。

恐怖心からくる無駄吠えの解消としては、やはり恐怖対象の克服が一番の近道でしょう。

とはいえ、無理やり克服させようとするとそれがトラウマとなり、新たな無駄吠えの原因を作る可能性があるため、事前に臨床行動学専門の獣医師や専門家に相談してから行うようにしましょう。

恐怖や不安の原因を追究し、徐々に『快』の状態にするためには『拮抗条件付け』と『系統的脱感作』を活用します。

『拮抗条件付け』とは古典的条件付けの一種で、恐怖や不安を感じる対象に対し、喜びや安らぎなど、恐怖や不安とは両立しない感情を徐々に転換していき、最終的に感情の抑制を図るやり方で、『系統的脱感作』とは、苦手意識を持つものをまずは弱めの刺激から与え、徐々に刺激を強めて耐性を強化するやり方です。

この『拮抗条件付け』と『系統的脱感作』を併用すると犬の恐怖対象の克服がよりスムーズに行えます。

5.1.5.病気や怪我で痛い等からくる無駄吠え

人間も病気やケガの痛みによって悲鳴をあげたり苦しそうにうなるように犬も同じく苦痛による悲鳴を上げます。

犬は本来我慢強く、ちょっとした痛みなら耐えますが、悲鳴を上げるほどの痛みとなると、病気がケガが重篤な状態である可能性もあります。

そのため、常に愛犬を観察し、苦痛で吠える場合の鳴き声のパターンを把握する必要があります。

主に、以下の鳴き方をしたら病気やケガによるものと疑うようにしましょう。

  • 弱弱しく、鼻にかかるような声で鳴く
  • 高い音で非常に短く鳴く
  • 高い音で連続して吠える
  • 「キャイーン!」といった高い音の悲鳴

いつもより弱弱しく、高い鳴き声を犬が発したら、外傷はないか、目立った異常はないか調べ、疑わしいと思ったらすぐに動物病院で診察を受けましょう。

5.1.6.認知症による無駄吠え

犬の認知症の症状の一つとして、『無駄吠え』があげられます。犬の認知症症状として、

  • 無駄吠え
  • 夜啼き
  • いつも通る屋外や生活している屋内で迷子になる
  • 顔見知りの人が屋外、屋内問わず認識できない
  • あいさつや飼い主へのスキンシップなどの行動低下
  • 怒りやすく、すぐ感情的になる
  • トイレ以外の場所で粗相する
  • 昼夜逆転する

etc…

といった症例が多岐にわたって挙げられます。

なお、犬の認知症の対象年齢として、小型犬なら9~13歳、中型犬なら9~11歳、大型犬なら7~10歳、超大型犬なら6~9歳あたりに発症するとされています。

犬が対象年齢で、かつ上記の症状が見られたら認知症を疑いましょう。

認知症による無駄吠えの対策として、犬の欲求や要求を読み取って叶えてあげたり、お気に入りのおもちゃや大好物のおやつなどで気を紛らわせたり、常に寄り添って孤独感を解消してあげましょう。

5.1.7.『無駄吠え』をやめさせるためのしつけ方法

犬の無駄吠えを矯正するしつけ方として、『フォーマットトレーニング』とオペラント条件付けによる『負の弱化』をメインに行います。

フォーマットトレーニングをすることで、興奮状態にある犬の感情を沈め、リセットさせることで無駄吠えを防ぐことができます。

また、無駄吠えをしたときに与えようとしたご褒美を取り上げることで、犬が「無駄吠えしたら、せっかくもらえるはずだったご褒美が取り上げられてしまうから、やめよう」と学習します。

これが『負の弱化』です。

また、『タイムアウト』によって一時的に犬を無視したり、犬を飼い主とは別の場所に隔離することで「飼い主の関心を自分に向けられなくなる」状況を作ります。

犬にとって飼い主の自分への興味や関心を向けられなくなること自体が罰に値するため、「無駄吠えしたら、飼い主が自分に関心を向けなくなってしまった」と学習することで『負の弱化』が働き、無駄吠えの頻度を減らすことができます。

犬が無駄吠えをやめ、大人しくなったらすかさず「大人しくしてて偉い!」と声をかけて褒め、ご褒美を与えましょう。

こうすることで、「吠えるのをやめて大人しくする=ご褒美がもらえる!」と行動と結果を関連付けて学習します。必ず『負の弱化』と併用して行うようにしましょう。

また、時と場所によって無駄吠えさせないようにするには、『プルーフィング』という方法を用います。

『プルーフィング』とは、時間や場所によってご褒美を与える回数をランダムにする方法で、このプルーフィングを繰り返し行うことで、どのような状況下にあっても無駄吠えしないようにしつけることができます。

いつもの散歩道のルートを変えてみたり、ドッグランなどの広い場所などで行うと効果的です。

この他、犬の環境自体を変えるのも無駄吠えを減らすのに効果的です。

具体的には、犬から外の様子が見えないよう、犬が生活している部屋は常にブラインドやロールカーテンで窓から外の様子を見えなくしたり、屋外で飼っている場合は玄関から離れた場所に犬小屋を設置してあげます。

こうすることで外部との接触機会が減り、縄張り意識による無駄吠えも激減します。

犬の無駄吠えを矯正する際に気を付けたいのが、『PREE』や『消去バースト』による自発的回復です。

例えば、無駄吠えをしてなだめるためにおやつなどを与えるなど間欠的に報酬を与える行為を繰り返していた場合、その報酬を得るまで無駄吠えし続けたり、急に無駄吠えをやめさせようとしたら犬がムキになってギャンギャン吠え、より悪化するといった事例は、PREEや消去バーストが原因です。

無駄吠えを矯正する上で避けて通れませんが、決して根負けせず、妥協せず、気をしっかり持ち、焦らずじっくりと時間をかけて矯正するようにしましょう。

5.2.犬の『飛びつき癖』をやめさせるしつけ

飼い主の帰宅時に、喜びのあまり愛犬が飛びついてくる様子は一見和やかな雰囲気ですが、放置しておくと転倒事故によるケガを引き起こし、場合によっては重大な損害を招く可能性もあります。

そのため、犬の飛びつき癖はなるべく早めに矯正する必要があります。

犬の飛びつき癖の主な原因としては、

  • 喜びや要求
  • 権威を示すため、序列確認する
  • 好奇心
  • 狩猟本能

の4つが挙げられます。

この項目では、これら4つの要因を詳しく説明し、犬の飛びつき癖の矯正方法についてご紹介していきたいと思います。

5.2.1.喜びや欲求を満たしてもらうための『飛びつき癖』

尻尾を振りながら飛びついてくる場合、喜びによる感情や「こうして欲しい」と欲求を満たしてもらうために要求してくる場合があります。

「飼い主が帰って来てくれた!うれしい!」と玄関先で飛びついて来たり、「ねぇ、遊んでよ!」と飛びついてくるのは飼い主にとってもうれしいことですが、小型犬や中型犬までならともかく、成犬期の大型犬の場合、放っておくと転倒事故につながります。

そのため、喜びや要求による飛びつき癖をなくすには、こちらもうれしい気持ちをぐっと抑え、淡々とした態度をとるようにしましょう。

5.2.2. 立場や強さなど、序列確認による『飛びつき癖』

犬は集団生活の中で縦の関係を築き、強さによって序列付けします。

そのため、見慣れないものや自分よりも弱いと判断した対象に序列確認をするため飛びついてくることがあります。

相手が小さな子供だった場合、思わぬ事故につながる可能性があるため、飛びつこうとする前に『おすわり』や『伏せ』など『カウンターコマンディング』を用いるようにしましょう。

5.2.3. 見慣れないものへの好奇心からくる『飛びつき癖』

犬は好奇心が強く、探求欲求を持つため、何か見知らぬものを見かけたら、「ん?なんだろうこれ、面白そうだなあ!」と対象物に飛びつこうとします。

散歩中に自動車や歩く人、風にあおられて転がる紙袋など、外は犬の好奇心を引くものであふれています。

そのため、どのような状況下でも気が散らないようにリーダーウォークや『おすわり』、『待て』、『伏せ』といった服従関係を強化するトレーニングを徹底して行いましょう。

5.2.4. 狩猟本能からくる『飛びつき癖』

犬は元来、生きるために獲物を狩って食べる生き物なので、イエイヌとして人間とともに生活するようになってからも、その根底には狩猟本能が残り続けています。

そのため、自分より小さな小鳥などの生き物を『獲物』とみなし、捕まようと飛びつこうとするのです。

走る自動車や自転車、道を行き交う人、特に子供に対しては狩猟本能が働き、つい飛びつこうとします。

犬が怖い人にとってはたまったものではありませんし、走る自動車に飛びつこうとするのは、突発的な交通事故につながりかねません。

矯正するためにも、まずいかなる状況下でも落ち着いた行動が取れるようにリーダーウォークや服従訓練を徹底的に行うようにしましょう。

5.2.5. 飛びつき癖を矯正するためのしつけ方

犬の飛びつく癖を矯正するには、犬の「飛びつくこと自体が『快』である」という認識を変え、「飛びつくと『不快』なことが待ち受けている」ことと「飛びつきをやめると、『快』が待ち受けている」認識を刷り込ませます。

しつけ前に「犬が興奮のあまり好き勝手に飛びつこうとしないようにする」という明確なビジョンを念頭に置き、ご褒美と罰に用いるアイテムを事前に用意しておきます。

犬の欲求については、前項(5.1.1.欲求不満からの無駄吠え)にてご説明しましたのでそちらを参考になさってください。

まずは、愛犬の様子をよく観察し、飛びつこうとする状況を把握しておきます。

例えば、飼い主の帰宅後や犬が遊んでほしい時、散歩中に知り合いの犬や人を見かけたときや見知らぬものを見かけたときなどを明確に理解します。

飛びつくシチュエーションやタイミングを把握で来たら、しつけの実践に移ります。

飛びつき癖を矯正する際、中型犬から大型犬の場合は必ず付添人をつけ、不慮の事故が起こらないようにしましょう。

犬が飛びついてきても決してなだめたり、かわいがったりしないようにします。これは飼い主以外の家族も同様です。必ず態度に一貫性を見せるようにしましょう。

飛びつこうとしてきたら、『おすわり』などの『カウンターコマンディング』を利用して行動を抑制します。

カウンターコマンディングとは、飛びつきなど好ましくない行動をする前に同時に行えない行動をすかさず指示することで、飛びつき行動の代替をさせることで行動を抑制する方法です。

指示通りにおすわりしたら、すかさず声に出して「ちゃんということ聞けて偉いね!」と褒め、ご褒美を与えて行動の『正の強化』を図りましょう。

もし指示通りにおすわりせず、飛びついて来たらすかさず罰を与えます。

決して怒鳴ったり、きつく叱ったり強く叩くなどはせず、行動の『負の弱化』を促す『タイムアウト』や『正の弱化』をもたらす『サプライズ』を用いるようにします。

すると犬は「飛びついたら無視された」「飛びついたらなんかびっくりすることされた」と関連付け学習します。

これらは『正の強化』と併用して行うことで「飛びついたら無視されたり、驚かされたけど、飛びつくのをやめたらご褒美がもらえた」と学習し、繰り返し行うことで、行動と結果の関連性をより強固なものにします。

再発防止のために、『タイムアウト』や『フォーマットトレーニング』、『リラックスシグナル』などを取り入れると効果的です。

犬の飛びつき癖を再発させないようにするために特に必要なのが、犬の欲求不満を解消してやることです。

というのも、犬が飛びつきたくなるのは飼い主にかまってもらいたい、自分の好奇心や追跡、探索欲求を満たしたいと思いながら叶わず、日々フラストレーションが溜まっている可能性もあるからです。

そのため、飼い主自体が日ごろの生活スタイルや犬の接し方について改め、犬の欲求を充分に満たせているかどうか見直す必要もあります。

5.3.犬の『唸り癖』をやめさせるしつけ

犬が「ウゥ~」と唸る場面をよく観察してみると、見知らぬものや来客などといった自分の縄張りに侵入者がやってきた場合が多いと思われます。

そもそも、犬が唸るのは敵性対象を攻撃する前に追い返すための威嚇行為で適正攻撃行動の一種とされています。

もし犬が威嚇しているにもかかわらず無視して近寄れば即攻撃態勢に移り、場合によっては咬傷事件を引き起こしてしまいます。

犬が唸るなどの攻撃行動に移る原因は以下の通りです。

非感情的攻撃行動 捕食性、母性による防衛本能
感情的攻撃行動 恐怖心、食物関連、所有性、優位性、縄張り性、同種間性、遊び、疝痛性、薬剤性、防護性

犬の唸り癖の原因は多岐にわたりますが、特に飼い犬に多いのが恐怖心からくる唸りと所有欲による唸り、食物関連の唸りです。

この項目ではそれぞれの原因ごとに唸り癖を矯正するしつけ方をご紹介していきたいと思います。

5.3.1.『所有欲』からの唸り癖を矯正するしつけ方

犬がおもちゃで遊んでいるとき、別の犬が「自分も遊びたい!」と近寄ってきたら突然唸りだした光景を見たことはありませんか?これは犬の所有欲からくる行動で、『リソースガーディング』と呼ばれます。

この所有欲からくる唸り癖を矯正する場合、上手くトレーニングしないと飼い主との関係性がこじれる可能性もあるため、予め臨床行動学の専門家に相談してからトレーニングを始めるようにしましょう。

所有欲からくる唸り癖をご家庭でも矯正するやり方として、『視覚的刺激』と『古典的条件付け』、『オペラント条件付け』を活用します。

まず、犬のお気に入りのおもちゃにたこひもなど丈夫なひもを取りつけ、すぐに引っ張り寄せられるようにします。

犬は首輪とリードを付け、柱などに固定し、噛みつかれない程度の距離でトレーニングを行います。

トレーニングは事前に半日から1日程度おもちゃで遊ばせるのを犬に我慢させてじらしてから行います。

犬の目の前でひもを付けたおもちゃを見せびらかし、唸り始めたら犬から目をそらし、無視します。

その後、唸るのをやめたタイミングを見計らって即座に犬の方を向いて「唸るのやめて偉いよ!」と声掛けして褒め、おもちゃを投げ与えます。

こうすることで、「唸るのをやめたら、おもちゃがもらえた!」と犬が行動と『快』を結びつけ、学習します。

おもちゃはしばらく遊ばせてからスキを見て即座にひもを引っ張って回収するようにしましょう。

このトレーニングを数日ほど繰り返すことで、視覚的刺激によって「人の手」と「人の姿」が安全なものであると認識すると同時に、古典的条件付けによって「ご褒美」が結びつき、結果的に「唸るのをやめる=ご褒美がもらえる」という関連付けが強化されるのです。

「人の手」と「人の姿」が安全なものであると犬が認識したら、今度は所有物に人の手を近づけても大丈夫であると学習させるトレーニングに移ります。

大好物のおやつを持った方の手をお気に入りのおもちゃで夢中になって遊んでいる犬の目の前に近づけます。

この時万が一に噛まれた時を想定して最初のうちは厚手の軍手をはめて行うようにしましょう。

手が近づいて犬が「おもちゃをとられる!」と察し、唸り始めたらおやつを持っている方の手を素早く犬の目の前からどけます。

犬が唸るのをやめた瞬間、タイミングを見計らってご褒美のおやつを与えましょう。

これを繰り返し行うことで、犬は「唸ると大好物のおやつをもらえない」ことと「唸るのをやめたら大好物のおやつがもらえた!」ことを結びつけ、学習します。

このトレーニングで注意すべきなのが、ご褒美に与えるものです。

犬が今遊んでいるものよりもっと魅力的なおもちゃを用いると、回収するのが非常に難しく、かえって逆効果になってしまいます。

そのため、その場で無くなるおいしいおやつをご褒美に与えるようにしましょう。

5.3.2.『恐怖心』からの唸り癖を矯正するしつけ方

恐怖からくる唸り癖の場合、『系統的脱感作』と『拮抗条件付け』を活用し、恐怖心を薄めるとともに、オペラント条件付けの『正の強化』を併用してしつけていきます。

ここでは、人の手を怖がる犬を例にしてみましょう。

人の手が自分に近づくのを恐れ、唸る犬は、人の手になれていなかったり、なにがしかのトラウマを抱えている場合があります。

そのため、「人の手は自分に危害を加えない」ことと「人の手に触れられるとうれしいことが起こる」ことを関連付けて学習させるようにします。

具体的にはまず人の手を視覚刺激で慣らしていき、徐々に手を近づけていきます。

このとき、犬の頭の上ではなく、下から差し出すようにしましょう。

近づけても唸らなければ「唸らなくて偉いね!」と褒め、手から直接ご褒美を与えます。

もし唸るようであれば、手を近づけるのをやめ、当日の別の時間か翌日に再開するようにしましょう。

慣れてきたら、仕上げとして『プルーフィング』を行い、飼い主以外の人間の手に対する恐怖心を払拭するようにしましょう。

最終的に「人間の手は怖くない」と犬に学習させ、人の手に対する恐怖心を克服させましょう。

5.3.3.『食物関係』による唸り癖を矯正するしつけ方

犬は野生時代の名残から、「いつまた餌にありつけるかわからない」という意識が根強く残っているために、食べ物に対して強い執着を持っています。

そのため、食べている最中に人の手が近づくと唸るのは、かつての習性によるものといえます。

とはいえ、放置しておけば咬傷事故につながる危険性もあるため、なるべく矯正したほうが良いでしょう。

食物関係による唸り癖を矯正するには、まず『人の手が自分の食器に近づくのに慣れる』こと、『餌に近づく人の手に慣れる』ことを念頭に置き、『オペラント条件付け』を活用して人の手とご褒美の関連性を強化する方向でトレーニングを行います。

まず、犬に半日~1日ほど餌を与えず完全に空腹な状態にして餌への欲求を高めます。

このとき、突発的に飼い主のほうにとびかかってこないよう予め犬をリードで柱などにつないでおきます。

また、犬に噛みつかれてけがをしないようにはじめのうちは厚手の軍手を身につけることをおすすめします。

用意ができたら、犬の目の前にいつも使っている空の食器を置き、犬が目視できるよう飼い主の近くに餌の入った容器を見せつけます。

そこで犬が唸り始めたら犬を視界に入れない方向を向き、無視します。

犬が唸るのをやめた瞬間、犬の方を向いて「唸るのやめて偉いよ!」と褒めながら手で5粒程度の餌を食器に投げ入れて与えます。

この「人の手が食器に触れる」視覚的刺激と「ご褒美」を結びつける古典的条件付けを活用したトレーニングを数日間毎食繰り返し行うことで、やがて犬は「人の手が食器に近づくとご飯がもらえる」ことと「唸らなければご飯がもらえる」ことを関連付けて学習します。

人の手が自分がいつも使っている食器に近づいても平気な状態になったら、次のステップに移ります。

二つの餌皿を用意し、1回分の餌の量を5等分にし、30cmほど離してから片方はいつもの1/5の量の餌を入れ、もう片方は空の状態にしておきます。

犬に餌を食べさせ、軍手をはめた手に大好物のおやつを持って空の方の食器にゆっくりと手を近づけます。

唸り始めたら手を止め、唸るのをやめた瞬間、「唸るのやめて偉いよ!」と褒め、空の方の餌皿にご褒美のおやつを投げ入れます。

このトレーニングを一回の食事につき5回繰り返し、数日間毎食行うことで「餌を食べている最中に人の手が餌に近寄ってくる」視覚的刺激と、「ご褒美」を結びつける古典的条件付けによって「人の手が餌に近づけばいいことがある」とオペラント条件付けによる関連付けによって人の手が『快』をもたらしてくれると理解するようになります。

また、段階ごとに二つの餌皿を5cm刻みで徐々に近づけていき、最終的には空の餌皿を無くして餌皿一つだけでトレーニングを行えるようにしましょう。

5.4.犬の『噛み癖』をやめさせるしつけ

犬の問題行動の中で最も危険度が高いのが『噛み癖』です。

『噛む』行為は犬の攻撃行動の中でも最も殺傷力が高く、矯正せずそのままにしておくと、場合によっては重篤な咬傷事故に発展してしまいます。

そのため、早期のうちに噛み癖を矯正する必要があります。

犬の噛み癖の原因として、歯牙脱換期などの生理的なもの、遊びの延長などの習慣的なもの、不安や恐怖など精神的な緊張による興奮からくるもの、しつけや日々の欲求不満からくるストレスや疾患による精神疾患的なものと本能的、心理的な要因を考慮すると実に多岐にわたります。

    • 歯牙脱換期(生後4~7カ月頃の子犬の乳歯が永久歯に生え変わる時期)
    • 遊びの延長
    • 攻撃性
    • 怒り、恐怖、不安などの感情による過剰な興奮
    • 本能的な衝動(狩猟犬に多い)

また、撫でようと手を近づけたときや餌の入った食器をとろうとしたとき、見知らぬ人が自分の縄張りに入ったときやほかの犬との喧嘩中に仲裁しようと割込んだとき、更に何の前触れもなくいきなり噛みついてきた場合は、遊びの延長ではなく、原因も複雑なため素人ではしつけが大変困難です。

そのため、場合によっては臨床行動学や動物行動医療に詳しい専門家に頼る必要があります。

この項目では、比較的しつけのしやすい遊びの延長による噛み癖、歯牙脱換期の噛み癖のしつけについてご紹介していきたいと思います。

5.4.1.『遊びの延長』からくる噛み癖のしつけ方

まず、犬の噛み癖をやめさせるための明確なビジョンを頭に描きます。

ここでは、『遊びの延長としての噛み癖』を矯正するのが目的ですので、してほしい行動として「噛んではいけないもの(人、物問わず)の前では噛もうとせず、じっと大人しくする」ことと、してほしくない行動として、「噛んではいけないものに遊びの延長で噛みつく」ことを念頭に置きます。

しつけ方の流れとしては、してほしい行動を犬がとったら即座にご褒美を与え、してほしくない行動をとったら即座に罰を与えます。

オペラント条件付けの『正の弱化と』『正の強化』を併用して行いましょう。

また、『噛み癖』を矯正する場合に注意しておきたいのが、一つの刺激と『快』・『不快』を混在させないこととご褒美と罰を与えるタイミングを見誤らないことです。

特に今回は『正の弱化』を中心にしつけていきますので、罰を与えるタイミングを誤ると「なんで罰を与えられたんだろう?」と犬が行動と結果を理解できなくなってしまいます。

また、飼い主だけでなく家族全員が一丸となって行うことが何より重要です。

一人でも甘やかしてしまう人がいると、矯正のためのしつけがスムーズに行えないためです。

これらを念頭に置き、噛み癖矯正のしつけに取り組みましょう。

まず、下準備として事前に犬が噛みついてくる状況について詳細に把握しておきます。

常に愛犬の状態を観察し、噛み癖が出る状況やタイミングをノートなどに記録しておくとよいでしょう。

次に、ご褒美と罰を与えるためのアイテムを用意します。

罰を与える際は決してきつく叱らず、強く叩いたり大声を出すなどといった体罰は用いず、犬にヘッドカラーを装着したり、水で薄めた酢をスプレーしたり、空き缶に小石を入れてカラカラと音を鳴らすなど、サプライズを用いるようにします。

下準備ができましたら、噛み癖の矯正トレーニングに移ります。

予め犬をじらしておき、疑似的に噛み癖が出る状況を作ります。

最初のうちは思わぬ咬傷事故を防ぐため、厚手の軍手を装着して行うようにしましょう。

遊んでいる最中に、歯が手に当たった瞬間、少し大げさ気味に「痛い!」と声をあげ、遊びを中断します。

遊びを中断すること自体が犬にとって罰(『不快』)につながりますので、「飼い主がいたがったら、遊べなくなる」と関連付けさせます。

タイムアウトしてしばらく時間をおいてから遊びを再開し、先ほどと同じ状況になったら遊びを中断する行為を繰り返し行うことで犬が反復学習し、「歯をあてると飼い主が遊んでくれなくなる」ことから「噛んだら飼い主が遊んでくれなくなるからやめよう!」という認識に繋がります。

これは、噛んだ相手が瞬間高く、短い声で痛みを訴えてきたら攻撃を中断する『攻撃抑制』を利用したしつけ方で、飼い主が「痛い!」と痛みを訴えることで「噛んではいけない」と犬に強く認識させます。

この『攻撃抑制』は母犬と他の兄弟犬と生活し、遊んでいくことで学習していきます。

そのため、犬の社会期(生後3カ月~3カ月半)はなるべく母犬や他の兄弟犬と一緒に過ごさせたほうがいいとされています。

5.4.2.『歯牙脱換期』頃の噛み癖のしつけ方

生後4~7カ月ごろになると、子犬の歯は乳歯から永久歯に生え変わります。

その時期になると口の中がむずがゆく、おもちゃやタオル、柱などその辺のものをかじるようになります。

生理的要因のため、口の中のむずがゆさは時期が過ぎれば自然と収まりますが、このまま噛み癖が定着してしまう可能性もあるため、この時期のうちに噛み癖の矯正を行う必要があります。

まず、ご褒美と罰を与えるためのアイテムを用意し、犬がかじってもいいおもちゃなどを用意します。

このとき、用いるおもちゃはなるべく生活用品やぬいぐるみなど人間の子供が遊ぶようなおもちゃは与えず、犬用ロープやコングなど、生活用品とは異なるシルエットのおもちゃを与えるようにしましょう。

というのも、タオルや人間用のおもちゃを用いると犬が「これで遊んでもいいんだ!」と誤認してしまうからです。

必ず犬用のおもちゃを用いてしつけるようにしましょう。

次に、スリッパなど犬が噛みつきたがりそうなものに噛み癖防止のためのスプレー(苦みのあるタイプ)を吹き付けておきます。

すると、犬が噛みついた時に苦みを感じ、「これを噛んだら、なんかイヤーな味がした!」と一瞬体が停止します。

これは、オペラント条件付けの『正の弱化』を活用したやり方で、「噛みつく」という『行動』と「苦み」という『不快』が即座に結び付けられます。

その後、噛むのをやめたら、「噛むのやめて偉いね!」と声掛けをして褒め、ご褒美に犬用のおもちゃを与えます。

こうすることで、犬「噛むのをやめたら飼い主がほめてくれた」ことと「飼い主が渡したおもちゃは噛んでもいい」ということを関連付けて学習します(『正の強化』)。

この二つの過程は必ず併用して行うようにしましょう。

5.4.3.『犬歯切断』は長期的に見て犬のためにならないのでNG

犬の噛みつきによる被害を防ぐため、『犬歯切断』する飼い主がいますが、長期的に考えると、この手術は決して犬のためになりません。

というのも、犬歯を切断するということは確かに噛みつかれたときに重傷を負うなどといった危険を予防することは可能ですが、『噛みつき癖を矯正する』こと自体は決して解決されていません。

安易な手段に走らず、地道に、かつ根気強くしつけていくことが何より大切なのです。

5.5.犬の『拾い食い』をやめさせるしつけ

犬が拾い食い食いする主な原因として、

  • 本能によるもの
  • 栄養不足によるもの
  • 心理的/精神的な要因によるもの

があります。

犬は野生時代の名残から、「餌を見つけたらすぐに食べる」という本能が刷り込まれているため、道端に落ちているものを餌と認識し、「これを逃したら二度と餌にありつけないかもしれない」と判断してしまうのです。

また、充分に餌をもらえていないときやビタミンや食物繊維などの栄養素が足りない場合、草などを食べたり、場合によってはほかの犬の糞を食べるなど問題行動をすることもあります。

更に、欲求不満など心理的な要因が絡んで拾い食いすることもあり、『拾い食い』をやめさせるにはまず根本的な原因を探る必要があります。

また、『拾い食い』によってたばこなど犬にとって有害な物質を含むものや他の動物のフン、一見無害に見えても毒の入った食べ物などを口にすることで、犬に甚大な健康被害を引き起こし、場合によっては命を落とすこともあります。

そのため、「犬の本能だから」と楽観視せず、犬の拾い食い癖を徹底的に矯正するようにしましょう。

5.5.1犬の拾い食い癖は『快』と『不快』の正しい結びつきで改善できる

犬の拾い食い癖を矯正するために、まず犬が拾い食いに対する『快』と『不快』の認識を改める必要があります。

犬にとって、「食べる」という行動自体が『快』につながるため、拾い食い自体も行動と『快』の結果が直結している状態にあります。

そこで、拾い食いを矯正するために「拾い食いをする=『不快』」と「拾い食いをしない=『快』」であると認識を改善させる必要があります。

具体的に、してほしい行動として「外出先で拾い食いをしない」ことと、してほしくない行動として「外出先で勝手に拾い食いをする」ことを明確なビジョンとして念頭に置き、してほしい行動をとったらご褒美(快)を即座に与え、してほしくない行動をとったら即座に罰(不快)を与えるようにします。

拾い食いの矯正をする際は、オペラント条件付けの『正の強化』を中心に行うようにします。

まず、下準備としてご褒美用のおやつを用意し、犬の興味を引くようなものを取り払って集中できる環境を作り、犬に首輪を付けてリードで柱などに固定します。

準備ができたら、早速しつけに入ります。

犬の目の前に、かつギリギリ口が届かないところに大好物のおやつを置き、犬が拾い食いする状況を疑似的に作ります。

このとき、予め犬を空腹状態にすると効果的です。

犬がおやつを欲しいあまりに要求してきますが、じっと我慢して犬からおうかがいを立ててくるまで待ちます。

犬が飼い主の方を向いてうかがう様子を見せたら即座に「おうかがいしてくれて偉いよ!」と声掛けして褒め、ご褒美のおやつを与えます。

すると、犬が「飼い主におうかがいを立てたらご褒美がもらえた!」と学習します。

慣れてきたら、今度は指示語と結び付けるトレーニングに移ります。

犬の意識が地面に置いてあるおやつから飼い主の方へ向いた瞬間、「おあずけ!」と指示語を発します。

これを繰り返すことで「『おあずけ!』=拾い食いしない」と指示語と行動を結びつけて理解するようになります。

このとき、行動と指示語の関連性を記憶しやすいように「行動→指示語」の順番に声掛けをするようにしましょう。

指示語と行動の関連付けが充分に定着したら、今度はリードを外し、犬がいつでも拾い食いできるような状況にし、「おあずけ!」と指示を出します。

このとき、地面に落ちているおやつを無視して飼い主の方を向いておうかがいしたら成功です。

もし飼い主を無視しておやつに向かって来たらサプライズによる罰を与え、ワンステップ戻って徹底的に指示語と行動の関連付けを再学習させます。

最終的に、「地面に落ちているものは自分のものではない」と理解させ、飼い主の許可がない限り口にしないと犬が認識するようにします。

5.5.2.『般化』と『プルーフィング』の活用でどんな人の「おあずけ!」も聞くようにする

『拾い食い』の矯正の場合、飼い主の指示だけでは不十分です。

そのため、『般化』や『プルーフィング』を活用して飼い主以外の人間からの「おあずけ!」も聞き入れるようにトレーニングしましょう。

『般化』とは、公園や広場、ドッグランなど、異なる場所や状況下において『快』と『不快』のトリガーとなる共通刺激を見出すことで、『プルーフィング』とは、異なる環境や様々な人との経験によって共通刺激が適用するのを学習させることです。

飼い主の家庭内だけでなく、ドッグランやドッグカフェ、散歩道などの異なる環境や場所だけでなく、行きかう人々やほかの犬の飼い主など、自分と飼い主以外の存在も同じく「おあずけ!」という指示語を出すことで、犬は「おあずけ!」が唯一の共通であると認識します。

「おあずけ!」を共通刺激として認識することで、どのような状況下でも拾い食いを防ぎ、また再発を予防することができます。

5.6.犬の『トイレ失敗』を成功に導くしつけ

犬が人間と同じ場所で生活すする上で徹底的にしつけるべきなのが適切な場所での排泄行為ですが、中にはトイレでの排泄がうまくいかず、粗相してしまう犬も少なくありません。

所謂『トイレ下手』になる原因としては、

  • しつけ不足
  • 病気・ケガ
  • 服従行為の一種として
  • 激しい恐怖心など過剰な感情発露による興奮
  • 分離不安
  • 本能からくるマーキング
  • 欲求不満
  • 老衰

など、多岐にわたります。

特に、子犬時代にトイレのしつけをしっかり行わなかった場合は、成犬になってもトイレ下手なままになってしまいますので、子犬のうちから根気強く徹底的にトイレのしつけを行うようにしましょう。

また、しつけを行う場合、くれぐれも感情的になって怒らないようにします。

さらに、罰を与えると場合によっては「罰=排泄行為」と結び付け、飼い主に怒られないように隠したり食糞行為に走るケースもあるため、なるべく体罰やきつく叱らないようにします。

また、しつけの一環として犬が粗相した場所に無理やり鼻先を付けるというのがありますが、効果はほとんどなく、かえって飼い主と犬の信頼関係を損ねてしまうため絶対に行わないようにしましょう。

5.6.1.『しつけ不足』によるトイレ下手の治し方

しつけ不足によるトイレ下手の場合、どの段階で躓いているのか確認してから再度トイレのしつけをやり直します。

トイレのしつけ方については「6.5.『トイレが的確な場所でできる』ようになるしつけ」にて詳しく紹介していますので、そちらを参考になさってください。

もし、犬がトイレではない別の場所に用を足したら、犬を隔離し、そっと排泄物をかたずけ、その場所の消臭を徹底的に行いましょう。

粗相した時は、決して感情的になって犬を叱らないようにしましょう。

5.6.2.トイレ下手は『病気』や『ケガ』が原因かも?

普段はちゃんとトイレで用が足せるのに、別の場所でするようになったら、病気やケガなどが原因の可能性があります。

例えば、おしっこの回数や尿の量が異常に増えたり、血が混じっていたり、量が極端に多いもしくは少ない場合や尿の臭いがきつかったり、色が濃く、濁っている状態であれば、なんらかの病気の可能性があります。

また、脱臼や捻挫、関節炎や骨折などの痛みで失禁することもあります。

いずれにせよ、愛犬の様子をよく観察し、怪しいところがあればすぐに動物病院で獣医師に診察してもらいましょう。

5.6.3.『トイレが気に入らない』のもトイレ下手の原因に

犬によってはトイレ自体が気に入らず、わざと別の場所で用を足すことがあります。

これは『素材嗜好性』によるもので、排泄する場所の足元の感触や状態が自分の好みに合わないためにトイレで用を足すのを嫌がるのです。

この素材嗜好性は生後1カ月半~2カ月半ごろから発達し、特定の場所や素材などの好みが出始めます。

この時期にトイレの素材に慣れさせておけば、成犬になってもトイレが気に食わないからと別の場所で用を足すような問題行動をしなくなります。

5.6.4.『服従行動』の一環としてのトイレ下手

主にメスや子犬、自信がなく意志薄弱な性格の犬や虐待経験のある犬が起こしやすいのが『服従行動』の一環としてのおもらしです。

これは、自分より優位にあたる存在「自分はあなたよりも弱い存在なので、どうかいじめないでください」というアピールで、耳を下げて視線をそらし、しっぽを股の間に挟み、仰向けになってお腹を見せる所謂『服従』のポーズをして非攻撃の意思を示すのですが、エスカレートすると、少量の尿を漏らしてより服従の意思を示します。

これは、子犬のころ、母犬に叱られたときに見せるポーズでもあり、順調に成長していけば自然と収まるのですが、虐待などを受けて自信喪失した犬は成犬になってもこの習性がのこってしまいます。

解決方法としては、行動療法による矯正方法がメインとなります。

予め犬用おむつをはかせて服従行動を誘発させ、おもらししなければ「おもらししないでよく頑張ったね!偉いよ!」と声に出して褒め、ご褒美を与えます。

すると、「おもらししないとご褒美がもらえる上に褒められる!」と自信が付きます。

逆に、おもらししてしまったらタイムアウトして一時的に無視し、「服従体制をとったら無視された」と学習させます。

これを繰り返し、慣れてきたらおむつをとっておもらししなくなるまで学習させます。

また、飼い主のある行動によって犬が服従体制をとる場合、その行動をとらないようにすることで改善されることもあります。

どういう行動をとったら愛犬が服従体制をとってしまうのかよく観察し、なるべく愛犬の前ではその行動をとらないように努めましょう。

5.6.5.強い恐怖心などによる『過剰な興奮』も原因

犬に強い恐怖体験を与えると、体の震えやしり込みする体勢などとともに爆発的かつ異常な量で尿失禁や遺糞症を起こします。

そのため、強い恐怖を与える対象を取り除くのが、一番の解決方法となります。

ある一定の対象への恐怖心を克服する場合は、『系統的脱感作』を活用し、苦手とするもの、恐怖を抱くものに徐々に少しずつ慣れていくようにしましょう。

恐怖心だけでなく、一過性のハイテンションによる失禁、所謂『うれション』の場合は、ストレスが原因の場合が多いため、解決策としては犬の生理的・行動的欲求を理解し、それを満たしてあげるとよいでしょう。

人と同じく、犬もまたガス抜きが必要なのです。

5.6.6.『分離不安』によるトイレ下手の矯正方法

『分離不安』とは、前項で紹介しましたように、飼い主と離れ離れになることに対して犬が強い恐怖と不安を抱く心理的な病気で、破壊行動や無駄吠えなどのほか、粗相といった行動も分離不安によって誘発されます。

解決法としては犬の分離不安を解消してやるのが一番です。

犬が一匹でも寂しくないよう、留守番のトレーニングをしたり、リラックスシグナルを活用するなど、飼い主がいなくても精神的に安心できる場所を作っておくことで、分離不安を和らげることができます。

あまりに分離不安の症状が重い場合は素人では改善が大変難しいため、専門の獣医師の診断を受け、どう対処すべきか相談するようにしましょう。

5.6.7.『マーキング』によるトイレ下手

特に未去勢のオス犬に多くみられる『マーキング』ですが、主な理由として、他のオス犬に対する優位性や、発情期のメスへのセックスアピール、縄張りの主張のためだけでなく、心を落ち着かせるためにマーキングすることもあります。

屋外で飼っている場合はそれほど気にしなくても大丈夫ですが、室内飼いの場合は部屋のあちこちに犬がマーキングすると不衛生且つ悪臭によって人間の生活環境が悪化してしまいます。

そのため、去勢するかもしくはサプライズによる行動の弱化を活用するようにしましょう。

やり方としては、決められたトイレ以外の柱やカーテンにマーキングをしたらすかさず巣を水で薄めたスプレーを吹きかけたり、小石を入れた空き缶を振ってカラカラと音を立てて犬を驚かせます。

こうすることで、犬が「マーキングするとなんかビックリすることが起こる」と関連付け、徐々にマーキング回数が減っていきます。

また、飼い主と犬との関係性を見直すのもマーキング癖を矯正するのに重要です。

犬は自分が群れのリーダーであると錯覚すると、強い縄張り意識を示すためマーキングだけでなく威嚇や噛みつくといった攻撃行動に移ります。

そのため、常に飼い主が上であることを示すためにフォーマットトレーニングやリーダーウォークといった主従関係の回復を図るようにしましょう。

また、マーキングはオス犬だけでなく、メス犬も行うことがあります。

大抵は他のメス犬への優位性のアピールやオス犬に対する発情期のアピールによってマーキング行為を行うため、発情期が過ぎれば自然と収まります。

もし発情期が過ぎても収まらない場合は、オス犬の時と同じように行動の弱化を狙ったしつけを行いましょう。

5.6.8.飼い主の『興味・関心』を引きたいためにわざとトイレを失敗する

飼い主の興味や関心を自分に引きつけたくてトイレ以外の場所で排泄行為をする場合、犬が「トイレ以外の場所で用を足す」ことと「飼い主が構ってくれる」ことを結びつけてしまい、誤って認識してしまっている場合があります。

かつて愛犬が粗相した時、怒ったりまたは猫かわいがりしてしまった経験はありませんか?犬が粗相した時に何らかの反応をしたことを犬が記憶してしまったがために「構ってもらうためにトイレ以外の場所で用を足そう」という発想に至るわけです。

解決策としては、誤った認識を払拭し、「トイレ以外の場所で用を足したら飼い主から構ってもらえなくなる」と再学習するようにしましょう。

まずは、「トイレ以外の場所で用を足せば、飼い主が構ってくれる」という誤った学習を消去するため、犬がトイレ以外の場所で用を足す状況を作ります。

もしトイレ以外の場所で糞やおしっこをした場合、何のリアクションも起こさず、しばらく時間を置きます。

その間、犬に対して空気と同じように扱い、完全に無視します。

しばらくしたら、犬をそっとその場から立ち去らせ、別の部屋やケージなど飼い主の姿が見えない場所に隔離します。

その後、犬の排泄物を掃除し、再度同じ場所で粗相しないように徹底的に消臭します。

これを根気強く行うことで、犬も「トイレ以外の場所で用を足しても、飼い主は構ってくれない」と再学習します。

犬が飼い主に構ってほしくて問題行動を起こす根底には、飼い主とのコミュニケーション不足があります。

常に忙しさから愛犬とのスキンシップや遊びといったコミュニケーションがおろそかになっていませんか?甘やかしすぎるのも問題ですが、適度なコミュニケーションをとることは、犬との良好な関係性を保つために必要なのです。

少しの時間でもいいので、愛犬と過ごす時間を必ず確保するようにしましょう。

5.6.9.『老衰』によるトイレ失敗の対処法

今までトイレを失敗することがなかったのに、年をとって以来粗相が多くなってきた場合はろうかの可能性が高いです。

犬も年をとれば人間と同じように様々な機能が低下し、粗相など自分の意思ではどうしようもできない行動が目立つようになります。

老衰によるトイレ失敗は決して犬自身に問題があるわけではありません。

そのため、感情に任せて飼い主が起これば、犬は非常に悲しい気持ちになってしまいます。

もし年をとった犬がトイレ失敗して粗相してしまったら、「お年寄りなんだから、しかたないよね」とおおらかな気持ちで粗相した場所を掃除するようにしましょう。

トイレ失敗が頻繁になってきたら、犬用の紙おむつを利用するようにしましょう。

5.7.犬の『食糞』をやめさせるしつけ

犬が食糞行為に走る原因としては、

  • 自然な食糞行動
  • 不自然な食糞行動

の二つに分けられます。

自然な食糞行動は、子犬のころ、自分の糞を好奇心などに寄って口に入れたり、母犬が自分の子どもを捕食者から守るための母性本能により、子犬のにおいが強い糞を食べて痕跡を消すという理由があり、こちらの場合は自然に食糞行為は収まるため特に問題はありません。

ところが、母犬以外の成犬に見られる食糞行為は不自然な食糞行動である場合が多く、その原因はビタミンB・K不足からくる栄養失調や食事の量が不十分であること、心理的ストレスや飼い主に構ってほしいために関心を引くための食糞、また子犬のころの生育環境や母犬の真似で行った食糞が根強く残っていたり、薬による一時的な異常行動や認知症といった要因など多岐にわたって存在します。

そのため、犬をよく観察してなぜ食糞行動に走るのか深く理解し、犬の餌の改善やストレス発散や欲求不満を解消してやります。

5.7.1.愛犬の『食糞』をやめさせるためには

子犬のころの食糞行動や母親による防衛本能のための食糞行動は自然と収まりますが、成犬時の不自然な食糞行動は場合によっては一生涯残る可能性があります。成犬の食糞行動は重篤な病気や寄生虫感染などの危険性が高いため、徹底的に矯正する必要があります。

犬の食糞行動をやめさせる簡単なやり方としては、犬がトイレで用を足したら即座に糞を片づけることです。

また、食糞防止のサプリを餌に混ぜてみたり、ビタミンB・Kなどの栄養素が不足している場合は、餌として与えているドッグフードを変えてみると食糞が治まることもあります。

また、飼い主があまり犬に構ってやれないとストレスや欲求不満によって食糞行動に走るケースも少なくありません。

そのため、犬との接し方を改め、コミュニケーションを十分にとるようにしましょう。

場合によっては、病気や認知症の症状の可能性もあるため、動物病院で獣医師に診てもらう必要があります。

食糞行動をやめさせるためには、何より早期発見と迅速な対応が必要です。

犬が食糞行動をするとつい感情的になってきつく叱ってしまう方も少なくないかと思われますが、その行為がかえって食糞行動を悪化させる場合もあります。

根気強く、かつ犬に対して思いやりを持って矯正していくようにしましょう。

6.お家で役立つ便利な6つのしつけ法

犬とのコミュニケーション及び、生活する上で是非ともしつけておきたいのが

  • 『お手』
  • 『アイコンタクト』
  • 『ボディコントロール』
  • 『ハウス』
  • 『トイレ』
  • 『留守番』

の6つです。

前半三つは愛犬と飼い主との主従関係や信頼関係を強化する上でしつけておくと非常に便利です。

後半三つは、飼い主と愛犬ともに滞りなく生活を送るために是非ともしつけておくべき行動です。

この項目ではこれら6つのしつけ方法について詳しくご説明したいと思います。

6.1.『おて』は飼い主とのスキンシップに役に立つ

犬に教える芸の定番である『お手』は、初心者でも簡単にしつけることができ、しかも『お手』を身につけることで人の手に対して抵抗感や恐怖を抱かなくなるため、突然手を出されて噛みつくなどといった傷害事故を防ぐことができます。

また、『お手』をすることで飼い主と愛犬のコミュニケーションが容易にでき、信頼関係や主従関係といった関係性をさらに強めてくれます。

しつけの下準備として、まずはご褒美を準備し、できるだけ集中しやすい状況を作ってから実践に移ります。

最初は犬の前足片方を優しく持ち上げて、「お手」と声をかけ、行動と指示語を結びつけます。

このとき、穏やかかつはっきりとしたイントネーションを心掛けましょう。前足を持たれて5秒以上じっとしていたら成功です。

「お手してくれて偉い!」と声をかけつつ即座にご褒美を与えましょう。

こうすることで、「片足を飼い主に預けたら、ごほうびをもらえた!うれしい!」と行動と『快』の結果が結びつき、指示語に従った結果、いいことがあると学習します。

片足を触れられることになれ、犬が指示語と行動の関連性を十分学習したら、今度は手のひらに自主的に片前足を乗せるようにしていきます。

このとき、愛犬の名前を読んでから続けて「お手!」と指示を出すと効果的です。

手のひらの上に片前足を乗せたら、瞬時に「お手上手だね!」と声掛けして褒め、ご褒美をあげ、「お手をしたらうれしいことがあった!」と関連付けさせます。

褒めるときは多少オーバー気味に褒めるとより効果的です。

最終的におやつなどの物質的なご褒美なしでも自発的にお手をするようになるよう、じっくりトレーニングしていきましょう。

6.2.犬に『アイコンタクト』をしつければかわいさ2割増し

犬に『アイコンタクト』をしつける主なメリットは、飼い主に注目させるという点です。

例えば、道端に何か興味を引かれるものが落ちていたとき、「これ、咥えてもいい?」と犬がお伺いをするように飼い主にアイコンタクトする習慣を身につければ、拾い食いを防ぐことができます。

また、飼い主と犬の上下関係の強化だけでなく、犬が不安を感じたときに飼い主にアイコンタクトを送ることで、「ああ、飼い主が傍にいるから大丈夫だ」と安心し、パニックに陥るのを防ぐことができます。

デメリットとしては、アイコンタクトに頼りすぎて飼い主の方が犬の別のアプローチを見逃してしまう点と、目線を合わせるのが苦手な犬にはそもそも向いていないという点です。そのため、アイコンタクトをしつける前に必ず愛犬の性格や性質を把握しておく必要があります。

『アイコンタクト』のしつけ方は主にオペラント条件付けの『正の強化』を中心に行うようにします。

事前にご褒美を用意し、集中できる環境を整えたら早速トレーニングを始めてみましょう。まず、1秒以内に犬に触れられる程度に近づき、向こうを向いている犬の名前を1度だけ呼んでやります。

このとき、一瞬でも目があったらすかさずご褒美を与え、「目があえばご褒美がもらえる」という関連付けをしていきます。名前を呼んで視線を合わせる行動がおおよそ5回連続で成功したら、次のステップに移ります。

今度は、大好物のおやつやお気に入りのおもちゃなど、犬にとって魅力的なアイテムを用いて注意をそらし、一度だけ名前を呼んでみましょう。

一瞬でも目が合ったら、「いい子だね!」と褒め、ご褒美を与えます。

このときも、目が合った瞬間1秒以内にご褒美を与えるようにしましょう。ある程度目を合わせることに慣れてきたら犬の気を引きそうなものを置き、徐々に犬の気が散る環境にしていきます。

こうすることで、「例え興味が引かれようとも飼い主に呼ばれたら目を合わせなくてはいけない」ことをしつけていきます。

誘惑に負けず、飼い主とのアイコンタクトをこなせるようになったら、屋外でのアイコンタクトトレーニングをします。

まだ充分にアイコンタクトが取れていない場合は、ワンステップ戻ってトレーニングを繰り返しましょう。

最終的にどんな状況下にあっても飼い主とアイコンタクトをとって行動すべきか否かをうかがえるようにできるよう、焦らずじっくりとしつけていきましょう。

6.3.誰に触られてもへっちゃら!『ボディコントロール』のしつけ

飼い主と愛犬がコミュニケーションをとる上で最も重要なのが、『ボディコントロール』のしつけです。

犬が体に触れられ慣れていれば、愛犬が突発的な事故に遭遇した時、飼い主が咄嗟に救助することができたり、よその人がいきなり撫でようとして噛みつくなどの咬傷事故を防ぐなど、最悪の状況を回避することが可能です。

また、犬の体の部位で、特にお腹やしっぽなどの弱点部位を触らせるのは服従の意味もあり、飼い主との上下関係の強化につながります。なるべく子犬のうちに人の手に触られる状況に慣れておくのがベストです。

『ボディコントロール』のしつけ方として、オペラント条件付けの『正の強化』をメインに行います。

注意したいのが、力づくで仰向けにする『アルファロール』と力づくで横向きにする『ドミナンスダウン』の2つです。

この方法は犬にとって非常に負荷がかかりやすく、かえって反抗心を植え付けかねません。ですので、素人の方はなるべくこの二つの方法は取り入れないようにしましょう。

『ボディコントロール』のしつけに入る前に把握しておきたいのが、犬の弱点部位です。

体に触られ慣れていないうちにこの弱点部位に触れるのは、例え飼い主といえども激しく抵抗され、場合によっては咬傷事故を引き起こしてしまいます。

弱点部位に触れるのはボディコントロールが充分できるようになってからにしましょう。

犬の弱点部位 耳の先端、鼻先(マズル)、足の先、尻尾、性器(オスの場合)

予め、ご褒美用のおやつを用意し、犬がしつけに集中できる環境を整えたら、『ボディコントロール』のしつけに移ります。

まずは頭や背中など触られても犬が抵抗しない部位を優しく触り、じっとしていたらご褒美を与え、「触らせたらご褒美をくれた!」と関連付けていきます。

慣れてきたら徐々に撫でる回数を増やし、「なでられることでうれしいことが待っている!」と充分に学習したら、徐々に触れる部位を増やしていきます。

順番としては、『耳→足→鼻先(マズル)→腰→尻尾』と抵抗が少なめな部位からなでるようにしていきます。同じように、「触らせたらいいことがあった!」と学習するようにご褒美を必ず与えましょう。

犬が体に触れられるのに慣れてきたら、今度は「横に寝そべる=ご褒美」と「仰向けで寝そべる=ご褒美」の関連付けをします。

両方とも力づくにやるのではなく、「寝そべるのは気持ちのいいことだ」と犬が理解するように優しく寝かしつけるようにします。

じっとしている状態を保っていたら即座に「ねんねできて偉いよ!」と声をかけて褒め、ご褒美を即座に与えましょう。

犬が撫でられること、寝そべることに充分慣れてきたら、撫でる力加減をやや強めにしたり、そっと撫でるなど変化を付けてみます。

このとき、決して強く叩いたりしないようにしましょう。

最終的にはいろんな力加減に慣れ、人に触られる恐怖心や抵抗感を無くし、「体に触れられるのは気持ちいい」と犬に理解させるのが目標です。

根気強く焦らずにトレーニングしていきましょう。

6.4.『ハウス!』の一言でゲージや犬小屋へ

犬を飼う際、屋外室内問わず犬の生活スペースとなる場所を決め、犬小屋やケージを設置する飼い主は多いですよね。

私たち人間が、自分のスペース内にいると安心するように、犬もまた、犬小屋やケージ内を安息の場所とすることで、精神的に安定します。

そのため、犬が寝食できるだけでなく、安らぎの場所としての『ハウス』を定義づけ、自発的にハウスに行けるようにし付ける必要があります。

『ハウス』のしつけの方針としては、オペラント条件付けの『正の強化』を活用します。

まずはご褒美となるおやつとしつけに集中できる環境を作り、愛犬の居住スペースとなるケージとクレート(運搬用のケージ)を用意しておきましょう。

ケージは広すぎず狭すぎず、寝所とトイレを別々に設置できる程度の広さがベターです。また、ケージ内部はタオルや毛布などを敷き詰め、快適な環境にしておきます。

用意ができたら、『ハウス』のしつけに移ります。

まず、犬にケージが安全な場所であることを理解してもらうため、おもちゃやおやつを用いてケージにおびき寄せます。

ケージに入ったら迅速にご褒美を与え、「ケージに入るといいことが待っている」と関連付けさせます。

ケージから犬を出し、今度は「ハウス!」と声に出してケージに犬をおびきよせ、指示語と行動を結びつけます。

この繰り返しで、「飼い主が『ハウス!』と言ったのでその通りにケージに入れば、うれしいことが起こる」と関連付けを強固にしていきます。

犬がケージが安全なものと判断し、入ることに抵抗を見せず慣れてきたら、今度はおびき寄せるためのおやつやおもちゃなしで、指示語のみでケージに入るようにトレーニングします。

ご褒美を見せず、「ハウス!」だけでケージに入ったら、素早く「ケージに入って偉いね!」と声掛けしつつご褒美を与えます。

この時、「指示語→行動」の順になるよう気を付けて指示を出しましょう。

もし指示を出しても自発的にケージに入ろうとしない場合は、ワンステップ戻って指示語と行動の関連付けを強化していきます。

最終的に、「ハウス!」のみで犬が自発的にケージに入るようにしましょう。

6.5.『トイレが的確な場所でできる』ようになるしつけ

食事と並び、犬のしつけに重要なのが『トイレ』のしつけです。

特に室内で飼う場合は確実にしつけなければ家中排泄物と悪臭で不衛生になってしまうだけでなく、マーキングによる犬の権威づけを促進してしまい、主従関係の逆転といった悪影響も起こりかねません。

そのため、トイレのしつけはじっくりと確実に行いましょう。

しつけ方としては、オペラント条件付けの『正の強化』を中心に行います。

というのも、排泄する行為は犬のみならず生物すべてが生きる上で必要な行動なので、きつく叱ったり、暴力などの罰を与えると、「排泄自体が悪」と考えるようになり、トイレを我慢して膀胱炎や便秘などといった諸症状を引き起こしたり、場合によっては罰を怖がって排泄物を隠したり、ひどい場合は食糞症になってしまうからです。

そのため、「決められた場所で用を足す=快」の関連付けを中心にしつけていくようにしましょう。

ご褒美用のおやつやおもちゃ、トイレ場所を決めたら、指示語も設定しましょう。

指示語と排泄行為を関連付けることで、犬の排泄コントロールがある程度とれるようになるからです。できれば、トイレの指示語は統一するようにしましょう。

トイレの指示語例 「ワンツー、ワンツー」、「ウィー、ウィー」、「チッチ、チッチ」、「ピーピー」etc…

また、予め愛犬をよく観察し、便意のサインを把握しておきます。このとき、ノートなどに排泄記録を付けておくとよいでしょう。

犬の便意サイン ・落ち着きなく、そわそわしている

  • 用を足そうとする場所でぐるぐる回る
  • 床のにおいをしきりにかぐ
  • 自分のお尻が気になって仕方なさそう

etc…

犬が用を足したくなるのは、餌を食べてしばらくたった後や、運動後、起床後などです。

便意サインと用を足したくなる時間帯などを予め把握しておくことで、トイレのしつけがスムーズに行えます。

これら事前の準備が整いましたら、早速トイレのしつけに移りましょう。

まずは犬が便意サインを示し、用を足したそうにしたら、所定のトイレ位置に運び、用を足させます。

このとき、トイレの指示語を用いることで、「指示語=トイレで用を足す」と関連付けするだけでなく、「飼い主が声をかけてくれるから、安心して用が足せるよ!」と犬が安心できます。

上手に所定の位置で用が足せたら、「おトイレ上手だね!」と声をかけ、即座にご褒美を与えましょう。

こうすることで、「決められた場所で用をたしたら、ご褒美がもらえてうれしい!」と犬が関連付けて学習するようにします。

また、生き物にとって排泄行為自体が『快』である(自己報酬的行動)と考えられているので、「排泄をする=快」と「決められた場所で排泄=快」が結びつき、より行動の『正の強化』が確かなものになるのです。

犬が「用を足すのはトイレでするもの」と学習したら、今度は便意を模様したら自発的にトイレに向かうようにしつけます。

この場合、古典的条件付けを活用し、トイレと便意の関連付けをしっかり事前に行うと、よりスムーズにトレーニングすることができます。

自由に行き来できるようにトイレを設置し、犬が自発的に用を足しに来たら成功です。

「ちゃんと自分からトイレしにきて偉いよ!」とすかさず声をかけて褒め、ご褒美を与えて関連付けの強化を図りましょう。

もし犬がトイレ失敗した場合は決してきつく叱ったり、暴力による罰を与えないようにします。

感情的に起こらず、犬を別の場所にそっと隔離してから粗相した場所を掃除し、しっかり消臭します。

このとき、消臭を怠ると、犬が同じ場所で粗相してしまうため、徹底的に行いましょう。

根気強く、暖かい気持ちで行うのがトイレのしつけのコツです。

6.6.『留守番』ができる犬ほど社交性が高い

仕事や出張、旅行、買い物など、日常生活において飼い主が一日中ずっと愛犬のそばにいるというのは難しく、愛犬を一人っきりにさせるのはどうしても避けられません。

そのため、飼い主が家の中にいなくても平気なようにしつける必要があります。

『留守番』のしつけをするのは飼い主のみならず犬にとっても実に有用です。

特に集団生活を好む犬は一人でいることに強いストレスを感じ、分離不安になりやすい生き物です。

そのため、分離不安による破壊行動や無駄吠えなどの問題行動を予め防ぐため、犬に「飼い主がちょっとくらい居なくてもへっちゃらだ!」と教え込むことで、分離不安を防ぎ、おとなしく待つことができるようになります。

犬に『留守番』をしつける際はオペラント条件付けの『正の強化』をメインに行います。

というのも、例えば犬が留守中に家中めちゃくちゃにしたのを家に帰ってから叱っても、犬には行動と結果の結びつきができないため、効果がなく、かえってストレスになって行動を悪化させかねないからです。

そのため、犬には「飼い主が帰ってくるまでおとなしく待つ=快」と関連付け学習をさせるようにしましょう。

まずはしつけの準備として、予め『ハウス』のしつけを完了した上で、『分離不安』についてしっかりと理解を深めておきます。

分離不安とは、飼い主が自分の傍にいないことに対して激しい不安と恐怖心を抱き、破壊行動や無駄吠え、粗相といった問題行動に走る症状を指します。

分離不安の症状は飼い主がいなくなってから30分以内に起こるとされ、主な症状は、

  • 破壊行動
  • 家具などを勝手に動かす
  • 異常な量のよだれを垂らす
  • トイレ以外の場所に粗相する
  • 苦痛と悲哀に満ちた鳴き声を発する
  • 家中を落ち着きなくぐるぐると徘徊する
  • 前足やしっぽを噛むなど自傷行為を繰り返す

などです。

もし分離不安の兆候を感じられたら、まずは専門としている獣医師と相談してからトレーニングするようにしましょう。

予め『留守番』のしつけの前段階の準備ができたら、実践用のご褒美と一人遊びに向いている犬用のおもちゃを用意します。

おもちゃは、口に入りきらない大きめのもので、壊れにくく且つ硬すぎないものを選びましょう。

  • 一人遊び用の犬のおもちゃ:バスターキューブ、デンタルコットン、コング

etc…

また、タオルや手ぬぐいといった人間が日常生活に用いる道具をおもちゃに見立てるのは避けましょう。

そうした日用品をおもちゃにすることで犬が「人間が使っているものも自分のおもちゃだ」と勘違いし、留守中に日用品にいたずらをして壊してしまうからです。

そのため、犬用のおもちゃを必ず用意しましょう。

準備が整いましたら、『留守番』のしつけを行います。まず犬をハウスに入れます。

このとき、ハウスは必ず寝所とトイレの場所を別々にしておきましょう。

犬をハウスに入れたら犬の視界からそっと消え、様子をうかがいます。

飼い主がいなくなって、犬が「キューン、キューン」と哀し気に鳴くかもしれませんが、ぐっとこらえ、鳴き止むのを待ちます。

鳴き止んだ瞬間に犬の前に姿を出し、「いい子で待っててえらかったね!」と声に出して褒め、ご褒美を与えます。

こうすることで、「鳴き止めば、飼い主が戻ってくる!」ことと「吠えなくても飼い主が帰ってくる!」こと、そして「じっと待っていれば、ご褒美がもらえる!」ことが結びつき、「吠えなくても飼い主は必ず自分のところに戻ってきてくれて、しかもいいことが待っている!」と学習するのです。

もし中々鳴き止まない場合は、ケージの中におもちゃを入れ、犬がおもちゃで遊ぶのに夢中になったのを見計らって退出します。

退出する時間は、はじめのうちは10秒程度で、徐々に延ばすようにしていきましょう。

すると、「飼い主がいなくても、お気に入りのおもちゃがあるから寂しくない!」ことと「吠えなくても飼い主は必ず自分のところに帰ってくる!」ことが関連付けされ、「一人でも寂しくないし、じっと待ってれば飼い主は戻ってくる」と学習します。

犬が短時間ながらも飼い主不在に慣れてきたら、徐々に犬の視界から消える時間を増やしていきます。

最初のうちは10数秒程度でも、根気強く続けて行けば、長時間飼い主の不在に耐えることができます。

より効果的にしつけるために、ご褒美をランダム化することで、「おとなしくじっと待つ」行為がご褒美をもらえるための行為であると期待し、長時間でも待ち続けることが可能になります。

この報酬期待のための行動を繰り返し行うのことを『PREE』といいます。

犬の『留守番』トレーニングを行う際に取り入れたいのが、『独立トレーニング』や『外出ルーチンのランダム化』、『リラックスシグナル』などの補助トレーニングです。

これらをしつけと並行して日常的に行うことで、より効果的に『留守番』のしつけを行うことが可能です。

独立トレーニングとは犬が一人ぼっちでも寂しくないようにする事
外出ルーチンのランダム化→ 外出時の飼い主の行動を先読みさせない事

リラックスシグナルは犬が安心するものを用意することで、『快』と『特定の刺激』を古典的条件付けによって関連付ける

犬に『留守番』を教える上で重要なのが、飼い主の根気強さと精神力です。

いくら愛犬がかわいそうになって鳴き止まないうちに顔を出してしまえば、中々しつけが見につきません。

長期にわたる飼い主の不在に愛犬が安心して留守番できるように、是非心を鬼にして、腰を据えてしつけるようにしましょう。

7.犬のしつけ教室は基礎をしつける場所

犬が常に正しい行動をとり、問題行動を起こさないようにするために飼い主は責任を持って犬をしつけなければなりません。

もし、自分一人で愛犬をしつけるのが困難だったり、より最新のしつけ方を学びたい場合は、プロのトレーナーによる『しつけ教室』に足を運ぶとよいでしょう。

この項目では、特におすすめの犬のしつけ教室をご紹介していきたいと思います。

7.1.東京のしつけ教室

  • 『DOGINDEX』

「おやつを使わないトレーニング」をポリシーとした東京・神奈川を中心に活動するしつけ教室です。

初回にカウンセリングを行うことで、犬の性格や個性だけでなく、生活環境や食生活といった細かな部分まで把握し、それぞれに合ったトレーニングを選んでくれます。

コースは6種類あり、簡単なトレーニングを行うものからシニア犬向けのコースまで幅広く展開しています。

トレーニング料金:7,000円~42,000円

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  • 『dog studio LOVE WOOF!!』

しつけ教室だけでなく、トリミングやペットホテルや保育園といった施設も充実し、また、一時預かりだけでなく長期から犬の一生涯まで預けることも可能で、里親探しの代行も受け付けています。

また、しつけ教室は出張も受け付けているため、どうしても外に出るのが苦手な犬も安心して受講することが可能です。

トレーニング料金:3,800円~78,000円

公式サイトへ

7.2.神奈川のしつけ教室

  • 『ドッグスクールユナイテッド』

子犬のパピートレーニングから本格的なオーナートレーニングまでプロのトレーナーが犬の個性に合わせてトレーニングをしてくれます。

事前にカウンセリングを行うことで、より的確な指導を受けることができます。

また、外出するのが苦手な犬のために、出張トレーニングも受け付けていますので、ご家庭で犬のしつけ教室を受けることも可能です。

トレーニング料金:20,000円~48,000円

公式サイトへ

7.3.埼玉のしつけ教室

  • 『梅香壮』

家庭犬だけでなく、警察権の訓練も行う犬の訓練学校として高い実績を誇り、開業当時から今に至るまで、数々の名犬を世に輩出しています。

トレーニングもパピートレーニングコースから、家庭ではちょっと手の付けられない性格の犬を徹底的にしつけるための預かり訓練コースがあり、ご相談に応じて4~8カ月の期間を選べます。

出張訓練も請け負っていますので、犬に上質なトレーニングをさせたいとお考えの方は是非ご利用してみてはいかがでしょうか。

トレーニング料金:4,000円~80,000円(1回の料金)

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7.4.千葉のしつけ教室

  • 『犬育て塾 101(ワンオーワン)』

パピートレーニングから短期集中トレーニングコースまで幅広く展開し、プロのトレーナーがい丁寧かつ親身になって愛犬のトレーニングを行います。

生後5か月から対応し、成犬のしつけや問題行動の矯正もしてくれるので、成犬になっても問題行動を繰り返す犬のしつけ直しをお考えの方におすすめです。

このほか、ドッグホテルやドッグシッター、出張カウンセリングなども充実していますので、まずはカウンセリングから受けてみてはいかがでしょうか?

トレーニング料金:18,000円~135,000円

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7.5.大阪のしつけ教室

  • 『Dog Catch』

15年間で1,500組以上の犬をトレーニングした経験と実績のあるしつけ教室です。

コースも少人数制のグループレッスンやマンツーマンで指導してくれる要予約制のプライベートレッスン、ドッグトレーナーの家に1か月間滞在させることでより丁寧なトレーニングを受けることができるホームステイコースと犬の個性に合わせたコースを選択することが可能です。

また、出張トレーニングコースも請け負っていますので、ご家庭でプロのトレーナーによる訓練も可能です。

トレーニング料金:30,000円~162,000円

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7.6.京都のしつけ教室

  • 『京都警察犬学校 問題行動専門しつけ教室』

犬の問題行動の矯正に行き詰っている方は、こちらのしつけ教室のご利用をおすすめします。

京都でも有数の警察犬訓練学校で、特に飼い主が一日で的確な問題行動のしつけ方を習得できる『集中訓練一日コース』は、問題行動専門家による個人指導を受けることができます。

動物行動学を活用し、家庭環境を考慮した室内での訓練を行うため、犬に寄り添いつつ飼い主の優位性を保った訓練を行えます。

トレーニング料金:犬の個体差、性質によって変動。要相談。

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7.7.札幌のしつけ教室

  • 『ドッグトレーナーおぎの』

生後6か月未満から受講可能のしつけ教室で、パピーコースから基本的なしつけを学べる家庭犬訓練コース、犬の性格や個性に合わせて問題行動を矯正していく月四回の問題行動解決コースのほか、トレーナーが預かることで犬とトレーナーのマンツーマントレーニングに集中できる預かり訓練コース(1~3カ月)と飼い主と犬の信頼関係を築きつつ、親身になって訓練を行ってもらえます。

トレーニング料金:12,000円~60,000円

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7.8.福岡のしつけ教室

  • 『いぬのわくせい』

犬をしつける上で大切な時期である社会期のパピートレーニングや、ステップアップトレーニングなどといった基本的なしつけから、トイレや甘噛み癖、無駄吠えといった問題行動の改善など、事前にカウンセリングを受けることで、その犬にあった適切なトレーニングを受けることができます。

また、トライアルとしてお試しレッスンがあるので、まずどういった訓練を受けるのか事前に確認することも可能です。

トレーニング料金:4,000円~24,000円

公式サイトへ

8.英語でわんちゃんに指示を出す場合

ご家庭によっては、愛犬をしつける際に、英単語もしくは簡単な英熟語を指示語に用いているところも少なくないかと思われます。

指示語を英語にすることで、日本語で指示するより早くコマンドを出せるのが一番のメリットといえます。

犬のしつけでは、状況に応じて的確な指示語を瞬時に出せるかが重要なので、素早く、かつ短い単語で指示を出せる英語は指示語として用いるのに最適です。

また、犬にとって英語の発音の巧拙はあまり関係ないため、「英語の発音は難しいから苦手」という方でも安心して指示出しすることができます。

日本語による指示出しをしつけに取り入れることは決して悪くはないのですが、英語と比べて日本語の場合は同じ意味の単語が複数存在するのがほとんどで、しかも日常会話によく使われるために、犬が混乱してしまうことも少なくありません。

例えば、『待て』という意味の言葉でも、英単語なら“Stay”で済むのが、日本語だと“待て”のほかに“待ってろ”、“待ちなさい”、“そこにいて”など同じ意味の単語が複数存在し、犬にとっては「どの言葉に従えばいいの?」と混乱し、ときにはトレーニングが中々進まず、困難になることも。

そのため、明確に、かつ意味を統一しやすい英単語を活用することで、犬が複数の単語による指示によって混乱することを防ぐことができます。

英単語を指示語にする唯一のデメリットは、やはり日常で英会話をしないご家庭ですと使い慣れていないため、咄嗟の指示に英単語が出てこないという点でしょう。

その場合、声に出して練習することをおすすめします。

音読によって意味と発音を連結させることで、緊急を要する際も即座に英語による指示を出すことができるようになります。

より効果的に指示を出すために、指示語は日本語を用いる場合と同じように統一することをおすすめします。

以下によく使われる英語による犬への指示語表を掲示しますので、愛犬のしつけの際には是非参考になさってください。

 

犬のしつけよく使われる英語の指示語
日本語 英語 発音
お手 Paw

Shake

ポォ

シェイク

おすわり Sit! シット!
おかわり the other hand

Shake hand the other

ジアザーハンド

シェイクハンドジアザー

待て Stay

Wait

ステイ

ウェイト

伏せ Lie

Down

ライ

ダウン

立て Stand スタンド
来い Come カム
放せ Leave it リーヴィット
見て Watch me ウォッチミー
歩け Walk ウォーク
そばにつけ Heel ヒィール
止まれ Hold it ホールディット
行け OK オーケー
いい子 Good boy

Good girl

グッボーイ

グッガール

行け Go ゴー
駄目 No ノー
ゲージへ House ハウス

 

9.犬のしつけに役立つ本

今回、日常生活において特にしつけておきたい犬の行動についてご紹介していきましたが、「より犬のしつけに詳しくなりたい」、「もっと細かく犬の性質や状態によってやるべきしつけを学びたい」という方のために、犬のしつけに役立つ本をいくつかご紹介していきたいと思います。

『犬バカですが なにか?』

犬バカですが |amazon

15年間約2,000頭もの犬の問題行動に向き合ってきた著者、中西典子氏による「犬と人との正しい付き合い方」をテーマにした『犬バカですが なにか?』では、ただ人間にとって都合の良い行動を犬にさせるのではなく、いかに犬たちが日々を健やかに生活しできるよう人が寄り添っていくことを重視すべきかを説いています。

より犬の幸せを考えつつ、しつけの仕方に悩む方にオススメの一冊です。※kindle版のみ

『「犬と遊ぶ」レッスンテクニック:見落としがちな「犬との遊び」は最大のトレーニング法だった!』

「犬と遊ぶ」 レッスン テクニック |amazon

犬をしつける際、まじめにやらないといけないとお考えの方も少なくないと思われますが、犬と飼い主の関係性を強化する上で、実は『遊び』こそが最良のトレーニング方法であると説いた一冊が、イェシカ・オーベリー氏の著書『「犬と遊ぶ」レッスンテクニック:見落としがちな「犬との遊び」は最大のトレーニング法だった!』です。

犬にとって『遊び』とはどういったもので、飼い主と犬にとってどのような効果をもたらすのか、犬との『遊び』によって犬がどのようなことを学び、そして飼い主が得るものとは何かについて詳細に説明されています。

トレーニングといえば厳しくしなければならないと考えがちになり、中々上手くいかず行き詰ったときは、是非この著書を読んで視点を変えてみてはいかがでしょうか?

10.犬が嫌がる音を出すアイテムや環境音に慣れるためのCD

音の出るグッズやアプリを用いることで聴覚的サプライズを与えたり、また日常生活を送る上で避けて通れない環境音の克服を促すCDなどを効果的に用いることで、より犬のしつけを効果的に行うことができます。

そこでこの項目では、犬のしつけや環境音に慣れるためのグッズやアプリ、CDなどをご紹介していきたいと思います。

10.1.グッズ

  • 『犬用ホイッスル(犬笛)』

犬のしつけに用いる定番アイテムといえば『犬用ホイッスル(犬笛)』です。

犬用ホイッスルは人間には聞こえず犬にのみ聞こえる周波数の音を発することができ、聴覚的サプライズだけでなく、行動を指示する際の合図として用いるなど様々なトレーニングに大いに役立ちます。

種類も樹脂製から金属製と豊富で価格の幅も広いのが特徴です。

また、音によって周囲の人に迷惑をかけずに済むのも魅力的です。

10.2.アプリ

    • 『犬笛』(無料)

「本格的な犬笛を購入するのは少々敷居が高い」とお考えの方にオススメなのが、こちらの『犬笛』アプリです。

アプリを起動したら出る画面上のグラフを長押しするだけで、人間の耳には聞こえない周波数の音を出すことで犬に聴覚的サプライズを容易に与えることができます。

音量も自在に変更でき、しかも周囲に迷惑がかからないため、いつでもどこでもしつけに用いることができます。※Androidのみ対応

      • 『吠えないワン』(無料)

スマートフォン用の犬のしつけアプリケーションは豊富にありますが、中でもこの『吠えないワン』は、犬の吠えた声の大きさに応じて、空き缶の「カラン!」という音や、掃除機がゴミを吸い込む音など、犬の嫌がる音を鳴らすことで、無駄吠え防止を図ります。

これさえあれば、実際に空き缶や掃除機などの道具を準備しなくても、iPhoneだけで即座に犬に聴覚的サプライズを与えることができます。※iPhoneのみ対応

10.3.CD

      • 『WANモア・レッスン』

こちらの『WANモア・レッスン』は、犬が飼い主とつつがなく生活する上で克服すべき環境音が収録されたCDで、風や花火、雷や学校のチャイムなどといった外の環境音を収録したものです。

『アウトドア編』と、掃除機や赤ちゃんの泣き声、スキャナーの音などを収録した『インドア編』の二種類があり、繰り返し犬に聞かせることで、日常生活を送る上で必ず耳に入ってくる環境音に慣れることができます。

11.まとめ

今回は、犬のしつけについてご紹介していきましたがいかがでしたでしょうか?

しつけとは、ただ飼い主の要望を愛犬に押し付けるのではなく、愛犬を取り巻く環境や飼い主以外の人間、動物と馴染むことで平穏に社会生活を営むことこそが重要であるとご理解いただけたかと思います。

愛犬のしつけは一朝一夕には習得することはほぼ難しく、飼い主の知識と忍耐力だけでなく、愛犬との強い信頼関係があって初めて結実することができるのです。

焦らずじっくりと、腰を据える覚悟で愛犬のしつけに臨むようにしましょう。

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