犬の乳歯が生え変わる次期の注意点と折れたときや抜けたときの対処法

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仔犬の歯が折れた!おもちゃに血が付いている!と心配されていませんか?

そもそも犬にも乳歯はあるの?全部抜けていないとダメなの?と思われている方もいるのではないでしょうか。

犬にも乳歯と永久歯があり、人間と同じようにある時期に全て生え変わります。

この時、乳歯がきちんと抜けて生え変わらないと、乳歯遺残という状態になり、将来的に様々な問題を引き起こすことがあります。

こちらでは、犬の乳歯や永久歯の数やそれぞれの歯の役割から始まり、抜ける時期や気を付けることなど、そして乳歯遺残になってしまった時の対処などをご説明します。

仔犬の頃の事ですが、生涯にわたって影響が出る大切な歯の事です。

こちらで乳歯についてしっかりと知識を得ていただき、愛犬の健康な歯を守ってあげてください。

目次

1.犬にも乳歯ってあるの?
1.1.犬の乳歯が抜ける時期はいつ?乳歯の本数は?
1.2.犬歯や奥歯は抜ける?抜ける順番は?

2.乳歯の生え変わりで注意したいこと
2.1.乳歯が抜けない時や、折れてしまった時は?
2.2.乳歯遺残は抜歯が必要?費用は?

3.まとめ

1.犬にも乳歯ってあるの?

犬にも人間と同様に、乳歯と永久歯があります。産まれてから大人になるまでに乳歯から永久歯に1度だけ生え変わるのは、げっ歯類や象を除くほとんどの哺乳類が二生歯性という、成長過程における生態を持っているからです。

わざわざ乳歯が生え、抜けて永久歯に生え変わるのは、赤ちゃんの時はあごが狭く、大人になってから必要な大きさの歯と本数が入りきらないからです。ですから乳歯は永久歯と違い歯が小さく、本数も少なくなっています。

1.1.犬の乳歯が抜ける時期はいつ?乳歯の本数は?

犬の乳歯は通常、上14本、下14本の合計28本です。生後3週目程から生え始め、2ヶ月程で生え揃います。その後少しして乳歯が抜け、永久歯に生え変わる歯牙脱換期を迎えます。

乳歯が抜け始めるのは、早いと3か月齢くらいから、一般的には4ヶ月齢から5ヶ月齢くらいです。抜け始めてから徐々に生え変わり、7ヶ月齢から8か月齢くらいまで、おそくとも10ヶ月齢くらいまでにはすべての歯が永久歯に生え変わります。

乳歯の数:合計28本

  • 上あご:切歯6本、犬歯2本、前臼歯6本(上の合計14本)
  • 下あご:切歯6本、犬歯2本、前臼歯6本(下の合計14本)

永久歯は、上20本、下22本の合計42本で、乳歯には無い後臼歯があります。

永久歯の数:合計42本

  • 上あご:切歯6本、犬歯2本、前臼歯8本、後臼歯4本(上の合計20本)
  • 下あご:切歯6本、犬歯2本、前臼歯8本、後臼歯6本(下の合計22本)

切歯(せっし)とは前歯のことです。食べ物を口に入れる前に食いちぎる、毛づくろいをするなどに使われます。犬歯(けんし)は普段は牙と呼ぶことが多いでしょう。最も長く鋭い歯です。獲物などを仕留めて引き裂く、切歯と一緒に使用して物を運ぶなどに使われます。

前臼歯(ぜんきゅうし)は奥歯の前にある歯のことで、先端がギザギザした形になっています。食べ物を噛み切る時に使われます。後臼歯(こうきゅうし)は上面(噛合わさる面)がすりこぎ状になっていて奥歯にあたる歯です。しかし犬は咀嚼して物を食べません。かみ砕いたり、獲物を逃さないようにしっかり咥えるなどに使われます。

1.2.犬歯や奥歯は抜ける?抜ける順番は?

乳歯は全て抜けて永久歯に生え変わります。従って犬歯や奥歯も抜けます。一般的には乳歯は下から抜け始めます。最初に切歯、前臼歯、犬歯、の順に抜けていきます。生え変わりの時期や順番は個体差がありますので、多少違っていても心配することはありません。

乳歯が生える順番は、下あごの切歯、上あごの切歯、下あごの前臼歯、上あごの前臼歯、下あごの犬歯、上あごの犬歯が一般的です。

乳歯が抜ける時もこの順番になります。下あごの切歯、上あごの切歯、下あごの前臼歯、上あごの前臼歯、下あごの犬歯、上あごの犬歯です。ただし、順番は一般的なものなので、犬それぞれで順序は多少異なることがあります。

順序が違うからと言ってあまり神経質に心配する必要はありません。

乳歯が抜け始めると、およそ4~5ヶ月程の間に永久歯に生え変わります。この生え変わり時期を歯牙脱換期と言います。乳歯が抜け落ちて永久歯が生えてくる時は、歯ぐきがむずむずして痒がり、硬いものを噛みたがりますので、犬用のガムや噛んでも良いおもちゃを与えておきます。

柱や家具などをやたらと噛むようになるのは、むず痒さを解消しようとするためです。時には物だけでなく人も噛んできます。噛み癖が付きやすいのはこの歯牙脱換期で、この時期に噛んでも良い物といけない物をしっかりと教えないと、成犬になってからも何でも噛むようになってしまいます。

犬はそもそも噛む生き物ですから、噛むこと自体はなくなりません。また、人間が手で行うようなことを口で行います。ですから何かを噛むという事は普通で、問題は「噛んではいけない物」を知らない事なのです。

生え変わりのむず痒さを解消できるものを与えて発散させてあげる一方で、いけない物は噛ませないしつけをこの時期は忘れないようにしてください。

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2.乳歯の生え変わりで注意したいこと

生え変わりが始まったら、こまめに口内をチェックし、乳歯が折れていないこと、乳歯がきちんと抜けてきて最終的には全て永久歯に生え変わっていること、生え変わりの間の食べにくさやむず痒さを解消してあげることに気を付けます。

食事中に抜けた歯を飲んでしまう事や、抜けた時に出血していることもありますが、それほど問題ではありません。しかし、グラグラしているのにいつまでも抜けず、そこに永久歯が生えて来てしまった時は、早めに対処をする必要があります。

生え変わりの時期は、飼い主さんもすぐに気が付かないことが比較的多いようです。これは、食事の時に抜けて一緒に飲み込んでしまうことが多いからです。

いつの間にか切歯(前歯)が無くなっていた、口や足に血がついていた、おもちゃに歯が刺さっている、などで気が付くことが多いようです。犬は「歯が抜けた、歯がかゆい」などと話してくれません。

しかし、生え変わりの違和感やむず痒さで、しきりに何かを噛みたがる、何かいつもより落ち着きがない、口を気にしてモグモグしたり足で口を触ったりしている、といった行動が見られる場合が多いです。

一般的には4ヶ月齢前後から乳歯が抜け始めてきますので、この時期にさしかかったら変わった様子が無いかを見ておきます。

食事の最中に乳歯が抜けて飲んでしまう事が良くあります。乳歯は小さいので飲んでも特に問題ではありません。後日、便の中に入って出てきます。また、抜けた歯をカリカリとかじって遊んでいることがあります。口の中を傷つけたりしないよう、この場合は口内から取り出してしまいましょう。

よくおもちゃなどを噛んでいる場合は、おもちゃに歯が刺さっていないか見てみましょう。または遊んでいたおもちゃに血が付いていないかこまめにチェックします。

抜けた時に気にして前足で触った時には足に血が付いていることもあります。抜けた直後は出血することがありますが、通常はすぐに止まりますので問題はありません。念のため、出血が止まるまでは固いものを噛ませることを休ませます。

抜けたところに乳歯が欠けて残っていないかを確認しておきましょう。

生え変わりが始まると、とにかく歯ぐきがむず痒くなり噛みたい欲求にかられます。噛んで良いものを与え、欲求を満たしてあげるように気を付けましょう。

噛んで良いものを与えることで、むやみに電気コードやリモコン、家具など、そして人を噛まないようにします。噛んでも良いものとしては、あまり固すぎる物だと歯を痛めてしまいますので、犬用の安全なおもちゃやガムが適切でしょう。

時には引っ張りっこなどをし、一緒に遊んであげることでコミュニケーションを図ると同時に、ムズムズの解消をしてあげると良いです。噛むことで歯の生え変わりが促進されます。ただし、乳歯はどれももろく弱い歯ですから、強く引っ張ってしまうと歯に悪影響を与えます。引っ張る時は柔らかく、急激に強く引っ張らないように気を付けます。

食事については、ドライフードを食べている場合はそのままで基本的には問題ありません。いつまでも柔らかいものを食べていると歯石が付きやすくなります。

口内の違和感やむず痒さで食欲が落ちる、生え変わりで噛み合わせの高さが合わずに食べにくそうだと思われる時は、ウェットフードや、ドライフードをお湯で少しふやかして食べやすくしてあげる配慮をする程度で大丈夫です。

また、口内の雑菌が増え始める時期でもありますので、歯磨きの習慣をつけるにも良い時期です。犬の口はアルカリ性のため、虫歯菌が繁殖しにくく人間とは違って虫歯になりにくい性質です。

反面、犬は歯垢が2~3日で歯石に変わってしまうと言われ、歯周病になっている犬は3歳以上で8割いるとも言われています。歯が抜けた本数を確認する上でも、まだ歯磨きを始めていないのであれば、この期に歯磨きをする習慣をつけると良いでしょう。

2.1.乳歯が抜けない時や、折れてしまった時は?

生え変わりが始まったら、乳歯がちゃんと抜けていて、永久歯が42本全て生え揃うことを確認する必要があります。いつまでも抜けない乳歯がある、乳歯が抜けているのに永久歯が生えてこないなどは、場合によっては処置が必要なことがあります。

乳歯が折れてしまった、乳歯が抜けないまま同じところに永久歯が生えて来たという場合、乳歯遺残になることがあります。これらは将来、永久歯の成長の妨げになったり、口内トラブルの元や、咬み合わせに悪影響を及ぼしますので、気が付いたら早めに動物病院に相談することをおすすめします。

乳歯が抜けているのに永久歯が生えてこないことがあります。歯ぐきの中に永久歯が埋まったままの状態ですと、後で生えてくるときには歯並びが悪くなったり、生える際に痛みを出したりすることがあります。

また、小型犬に良く見られるのですが、もともと歯の数が足りないこともあります。仔犬の時は問題が無くても、成犬になるまでに42本の永久歯が揃っていない場合は、歯があるのに生えてこないのか、もともと歯が無いのか確認しておくことをおすすめします。

抜けるはずの乳歯が残ったまま永久歯が生えて、乳歯と永久歯が同時にある状態を乳歯遺残と言います。原因は明らかになっていませんが、小型犬に比較的多くみられます。

また、歯の中では犬歯が比較的多いようです。平均で遅くとも10ヶ月齢までには乳歯が全て抜けるとされています。この時期を過ぎても抜けない乳歯がある、あるいは乳歯があるところに永久歯が生えて来てしまっている場合は、早めに動物病院に相談することをおすすめします。

歯は本来、1カ所に1本しか存在できません。乳歯が残っているのに永久歯が生えて来てしまうと、生える位置や角度がずれてしまい、歯並びが悪くなります。歯も密集してしまうため、食べかす等が歯の間に残り易く、口腔内常在菌が繁殖しやすくなり炎症が起こります。炎症は口内炎や歯肉炎、歯周病といった口内トラブルに進行します。

歯垢や歯石も溜まりやすくなり、やはり歯周病になりやすくなります。歯周病は口臭の原因になるだけでなく、将来歯が無くなってしまったり、最悪は歯周病菌が血液に侵入して心臓や肺、腎臓などに疾患を引き起こすこともあります。

また、乳歯はもろく弱いので、折れてしまい感染を引き起こすこともあります。

乳歯遺残は歯並びにも大きく影響します。見た目が悪いだけでなく、永久歯の咬み合わせが悪くなり、食べるという事に不便が生じ、犬にとっては食べることが苦痛な状態なります。ひどい場合は、食べる際に痛みを感じて、生きるために基本的な食べるという行為にストレスを感じるようになります。

また、乳歯が折れてしまった場合、いつまでも抜けないようでしたら、こちらも乳歯遺残になる可能性がありますので注意です。犬歯に多いのですが、折れてしまうと噛んでも力が加わりにくく抜けないことがあります。

中途半端なところで折れたままでいると、歯の根本だけが歯肉内に残ってしまい歯肉内で腐ったり、歯髄がむき出しになって感染症になる危険も出てきます。折れたままいつまでも残っている、近くに永久歯が生えてきたという場合は動物病院で相談してください。

永久歯が生える順番は、下あごの切歯、上あごの切歯、下あごの前臼歯と後臼歯、上あごの前臼歯と後臼歯、下あごの犬歯、上あごの犬歯が一般的です。乳歯がきちんと抜けてその後に永久歯が生えているか、どこの乳歯が残っているかチェックが大切です。乳歯は永久歯より小さいので見分けがつきます。

乳歯遺残の場合は、歯が二重に生えているのでわかります。生え変わりの時期はこまめに口内をチェックし、もし42本が確認できない、不安があるという場合は早めに動物病院に相談すると安心です。

2.2.乳歯遺残は抜歯が必要?費用は?

乳歯遺残になってしまった場合、乳歯が抜けないまま長期間放置しておくと、口腔内のトラブルや乳歯が折れて感染症を引き起こしたり、永久歯が正常な位置に移動できなことで歯並びに影響を及ぼし不正咬合になることがあります。

これらのトラブルを防ぐためにも、適切な時期に乳歯を抜くことが必要です。適切な時期というのは、遺残している歯の種類や、どのくらいの期間乳歯が残っているかによりますので、乳歯遺残が確認された時は、まずは動物病院で相談することをおすすめします。

乳歯遺残で永久歯の生える位置が正常でない場合、咬み合わせが悪くなります。適切なうちに残っている乳歯を抜いておくと、自然と永久歯が正しい位置に移動することが多いです。いつまでも放置して年齢を重ねてしまうと、乳歯を抜いても永久歯が自然と動くことは無くなります。どうしても咬み合わせを矯正しなくてはならない状態になった場合は、外科的に矯正を行うことになります。

乳歯遺残をそのままにしておくと、歯の密集によって食べかす等が歯間に残り易く、口腔内常在菌の繁殖で炎症が起こりやすくなります。そのため歯周病などの口内トラブルも発生しやすくなります。

歯周病は刃の健康だけでなく、歯周病菌によって心臓や肺、腎臓などに疾患を引き起こすこともあります。咬み合わせが悪いことで食事がしにくい、ヨダレが垂れる、食べると痛みが出る、柔らかい食べ物しか食べられない等の支障が出ます。後で大変なことになってからでは治療も大掛かりになります。

乳歯遺残の治療は、どの歯であるかと状態によって変わってきます。動物病院でよく相談を受けてください。月齢が若く、乳歯がぐらぐらしているなどの場合、永久歯を傷つけずに器具を使用できる場合は、麻酔をせずに抜歯器具で抜いてしまうこともあるようです。

しかし、乳歯が根元からしっかりと残っている場合は、全身麻酔をして歯ぐきを切開し、抜歯する必要があります。
抜歯にかかる費用は、一般的には抜歯前の検査と全身麻酔で10,500円~30,000円、抜歯が別の場合は1本が1,000円~5,000円のようです。他の歯に比べて犬歯は2,000円ほど高いことが多いようです。

通院でできるか入院になるかはその病院の方針などによりますので、入院費が別にかかることがあります。また、歯科専門または得意な病院では、100,000円前後になることが多いようです。費用は高いですが、歯に関する専門の技術が高い上、抜歯以外にも口腔内ケアをしてくれるという点で、費用が高めになっています。

全身麻酔となると躊躇される飼い主さんも多い事でしょう。去勢や避妊の相談をされる方が出始める時期でもあるので、その時に口内チェックをしてもらい、時期的に可能であれば時期を合わせて同時に行ってしまうケースも多いようです。

3.まとめ

犬も乳歯から永久歯に生え変わりますが、その際に乳歯が残ってしまう事があること、放置しておくと乳歯が折れたり、乳歯遺残になって咬み合わせが悪くなるだけなく、口腔内のトラブルを引き起こしやすくなり、食事がとりにくくなるなど様々な影響が出てきます。

犬にとっても歯は一生の付き合いです。全ての乳歯がきちんと永久歯に生え変わるまで、生え変わりの時期はこまめにチェックをし、生涯にわたり愛犬が自分の歯で食事ができるように支えてあげましょう。

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