犬の腹水の見分け方や症状がわかる!原因や治療法、余命などまとめ

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最近、愛犬のお腹が膨らんでいるけど、触ると水を入れたゴム風船のような感触がしたり、お腹だけ大きくなって、背中やお尻はそれほど大きくないといったことはありませんか?

もしかしたら、そのお腹のふくらみは腹水かもしれません。今回は、犬のお腹に水が溜まる腹水についてご説明していきます。

目次

1.犬の腹水とは
1.1.腹水によるお腹のふくらみと肥満はどのように見分ける?
1.2.腹水の原因は?

2.腹水になる原因の病気リスト
2.1.心不全
2.2.フィラリア症
2.3.肝性脳症
2.4.肺動脈狭窄症

3.犬の肝臓のトラブルが増えている!愛犬の肥満症に注意!
3.1.病院で検査しても原因不明ということもある
3.2.犬の肝臓トラブル由来による腹水の治療や医療費
3.3.犬の肝臓がんが発覚した際の余命はどれくらい?

4.腹水の水を抜くのは最終手段?必要に応じて腹水除去は行われる

5.まとめ

1.犬の腹水とは

犬の腹水とは、簡単に言うとお腹に水が溜まる症状のことです。

ワンちゃんといっしょ

通常であれば、30~50mL程度しか溜まらず、吸収されるのですが、肝臓や心臓などの病気にかかり、症状が進行するとそれ以上の水がお腹の中にたまり、固く膨れ、腹水が溜まった場所の臓器が圧迫されてしまい、臓器機能障害や、それによって全身に栄養がいきわたらなくなることによって起こる全身性の障害を引き起こすことがあります。

1.1.腹水によるお腹のふくらみと肥満はどのように見分ける?

腹水に寄るお腹のふくらみと肥満の見分け方は、お腹だけでなく全体的に体が大きくなり、全身に脂肪がつくことで、背骨が触れない場合は肥満である可能性が高いです。

ところが、妊娠でもないのにお腹だけが大きく、固く張り、触ると液体を入れて膨らませたゴム風船を外側から触ったときのような感触であったり、犬の前足を支えて後ろ脚だけで立たせたときに、お腹のふくらみが重力に従って下に移動した場合は、もしかしたら腹水の可能性があります。素人では判断が付きにくいため、疑わしい場合は獣医師に相談するとよいでしょう。

1.2.腹水の原因は?

そもそも、腹水はなぜ起こるのでしょうか。腹水には、

  • 浸出液
  • 漏出液

の2種類があり、それぞれ浸出液は腹部の臓器が炎症を起こし、体液が染み出るタイプで、漏出液はなんらかの病気によって血中のアルブミン濃度が低下し、浸透圧の低下によって血液中の水分が血管から染み出るタイプです。いずれのケースも空洞になっている腹部に溜まることで腹部臓器を圧迫し、呼吸困難や臓器機能障害などをもたらします。

もし、動物病院で腹水が確認された場合、お腹にたまった水の色や粘張性、混濁、臭いなどを確認した後、必要であれば清浄検査を行います。腹水に含まれる成分を屈折計という器具で腹水の比重やTP(蛋白)を測定したあと、血球計算機で細胞数を計測する生化学検査をし、お腹の中に溜まった水が浸出液であるか漏出液であるか調べます。その後、細胞学検査を行い、腹水内に出現している細胞がどのようなものであるか鑑別し、原因となる病気を確認し、根本治療を行います。

TP(蛋白) 細胞数
浸出液 3.0以上 5000以上
漏出液 2.5未満 1000未満

2.腹水になる原因の病気リスト

腹水の症状が出る原因は多岐にわたりますが、主な原因としては、

  • 心臓病
  • フィラリア症
  • 肝臓のトラブル
  • 腫瘍(がん)

などがあり、このほか、特発性リンパ管拡張症といった病気も腹水が症状として出る場合があります。また、大抵の場合、腹水の症状が出てしまうのは、病状が進行して悪化している場合がほとんどで、最悪の場合は手遅れになってしまうことも少なくありません。

そのため、できるだけこれらの病気は初期段階のうちに治療するか、もしくはワクチンの接種などで予防するよう努めましょう。

2.1.心不全

犬の心不全とは、全身に血液を送るポンプの役割を持つ心臓の機能が何らかの原因で低下し、異常が現れる病気で、特定の病気というよりは、広義での心臓の異常を指します。

心臓は左心と右心に分かれ、それぞれ病状が異なり、腹水の症状が現れるのはこのうち右心不全とされています。

また、左心不全と右心不全のどちらか一方を患うだけでなく、合併することも少なくありません。左右に心不全が起こり、機能が低下した場合は一見症状が安定したように見えますが、実際は病状が進行している可能性があります。

主な治療方法は、血管拡張剤や強心剤、腹水やうっ血、むくみがある場合は利尿剤を用い、呼吸困難などの症状が見られる場合は、気管支拡張剤を用いる薬物療法がとられます。

心不全が他の病気が原因で起こっている場合は、その元となる病気を治療します。いずれにせよ、犬自身への負担や費用も決して安くはないため、できるだけ初期のうちに治療できるよう定期的な健康診断は受けるようにしましょう。

2.2.フィラリア症

フィラリア症とは、アカイエカやヒトスジシマカといった蚊を媒介にして感染したフィラリア原虫が、犬の心臓や肺動脈に寄生する病気のことで、血液循環や内臓機能に重篤な障害を引き起こし、血管循環が悪くなることで呼吸困難や激しい咳、腹水などの症状が現れ、症状が進行し、重篤になると肝硬変まで引き起こす恐ろしい病気です。

また、キャリアとなる犬や猫がいれば、そこから蚊が吸血することで幼虫もとりつき、新たな媒介として他の個体に吸血し、フィラリア原虫が寄生する…、といったサイクルができあがってしまい、新たな感染主を生み出してしまいます。

フィラリアの発生は、蚊が発生する5月頃から始まり、寒くなって蚊の活動が減る12月まで感染する危険があります。特に、媒介となる蚊の活動が活発になる7~8月は十分注意すべきでしょう。

また、一度フィラリア症に感染した場合、寄生したフィラリア原虫を駆除したり、場合によっては外科手術を施さなければならなくなり、根治は非常に困難です。そのため、フィラリアに感染しないようにフィラリア予防薬を定期的に投与し、予防することが大切です。

2.3.肝性脳症

肝性脳炎とは、肝臓病由来の脳の病気を指し、肝臓が何らかの理由で機能不全となり、アンモニアなどの有毒な物質を十分に浄化できなくなってしまい、それらの毒素が体中をめぐり、脳にまで回ってふらつきや食欲不振、嘔吐、頭部を押し付けるような仕草といった症状だけでなく、大量の水を飲むといった症状だけでなく、重篤な場合は腹水や意識混濁、けいれん、昏睡などを引き起こし、最悪の場合命を落としてしまいます。

犬の肝性脳炎の治療方としては、原因となる病気の治療と薬物療法、食事療法がとられます。原因は肝機能が低下したことに寄って浄化されなかったアンモニアなどの毒素ですので、その元となる肝臓の治療を行います。門脈体循環シャントが原因である場合は、外科手術によって血液循環の改善を図ります。

薬物治療は、原因となるアンモニアなどの毒素を生成されにくくなるお薬を投与することで血中のアンモニア濃度を減らします。また、食事療法では一度絶食させて腸内をキレイにした後、犬の体内に残る毒素をできるだけ除去し、その後はアンモニアが生成されにくい低たんぱく質メインの食事を与えて改善していきます。

2.4.肺動脈狭窄症

肺動脈狭窄症は先天的なものがほとんどで、肺動脈の根元が狭く、血液が心臓内をうまく流れることができない状態になる病気です。症状としては、乾いた咳や呼吸困難、激しい運動をするのを極端に嫌がる、疲れやすい、四肢のむくみ、そして腹水です。主な治療方法は、薬物治療や運動療法、食事療法で、場合によっては外科手術を施す必要があります。

肺動脈狭窄症になりやすい犬種

ワイヤーフォックステリア、ミニチュアシュナウザー、ウェストハイランドホワイトテリア、チワワ、サモエド、マスティフ、ビーグル、ボクサーetc…

3.犬の肝臓のトラブルが増えている!愛犬の肥満症に注意!

近年では、ペットの長寿化によって家族の一員として長い間生活することが当たり前となってきましたが、それ故に、愛犬への愛情を注ぐあまり過食傾向に走る飼い主も少なくありません。

こうした餌やおやつの与えすぎが原因で肥満症を患う犬も多くなってきています。

「たかが肥満」と見くびってしまいがちですが、実は、肥満症は脂肪肝といった肝臓トラブルにつながりやすく、放置しておけば、肝硬変へと進行し、手遅れになるケースも決して少なくないのです。肝硬変は、黄疸や腹水などの原因となるだけでなく、肝性脳炎なども引き起こします。

そのため、日ごろから肥満予防を心掛け、脂肪肝にならないよう食事や運動をしっかり行い、愛犬が肥満症にならないよう注意しましょう。

3.1.病院で検査しても原因不明ということもある

ごくまれではありますが、動物病院で詳しく検査をしても腹水の原因がわからず、利尿剤投与や腹水の除去、食事療法に寄って様子を見て、改善されなければ回復して詳細に検査する必要があります。

かかりつけの動物病院でも原因がわからない場合は、セカンドオピニオンを利用する手段もありますので、愛犬の年齢や体質、体力などを考慮して選択するようにしましょう。

3.2.犬の肝臓トラブル由来による腹水の治療や医療費

肝臓は“沈黙の臓器”と呼ばれるほど我慢強い臓器といえますが、その我慢強さゆえに手遅れ一歩手前まで症状が現れず、動物病院にかかったときにはすでに手遅れであることも少なくありません。

そのため、腹水などの症状が現れている場合は病状がかなり進行している可能性もあります。

肝臓がんの場合は予防は難しいのですが、健康診断を行えば初期の段階で見つけることが可能です。また、急性肝炎は年一度のワクチンで予防でき、肝硬変の原因である脂肪肝は、肥満予防を怠らなければ肝硬変になるリスクを大分防ぐことができます。

何よりも、肝臓トラブルをなるべく起こさないようにし、できるだけ初期段階のうちに治療に臨めるようにするのがベストです。

急性肝炎

急性肝炎は、犬伝染性肝炎やレプトスプラ感染症、毒性の強い物質に寄る中毒など様々な原因があります。特に、細菌やウィルス性の急性肝炎は吐しゃ物から感染することもあり、他の犬に感染するだけでなく、特にレプトスピラは人畜共通感染症でもあるため、伝染しないように注意しなければなりません。

犬伝染性肝炎やレプトスピラは年に1回のワクチンで予防でき、特にレプトスピラは関西以西や田畑、河川近くに住む場合は必ず接種しておくようにしましょう。

急性肝炎の主な症状としては、嘔吐や下痢、黄疸、腹部を押すことで痛がる、出血しやすくなる、筋力の低下や知覚麻痺、けいれんや昏睡、腹水などがあり、進行すれば肝性脳症や血液凝固障害、肝臓肥大、肝硬変、脾臓炎、血液性貧血、けいれん発作、腹水が起こります。

主な治療方法としては、まず臨床症状から病状を判断しつつ、血液検査を行い、症状の進行度合いや原因を確認し、薬物療法や食事療法を行います。基本的に入院して治療を行いますが、退院して自宅で治療する場合は必ず安静を心掛けましょう。

肝硬変

肝硬変とは、肝臓が委縮し、固く変質する病気のことで、肝炎や脂肪肝などの病気から進行することで起こります。肝臓は健康な状態であれば自己修復が可能ですが、肝硬変まで進むと不可能になるため、完治することは非常に難しいです。

肝硬変になると肝臓機能が低下し、腹部の痛みや食欲低下による体重減少、症状が進むと、肝性脳症や黄疸、腹水といった症状が現れ、最終的に肝不全となり命を落としてしまいます。

治療方法としては、肝硬変になった時点で元通りに治すことはほぼ不可能ですので、対症療法によって肝硬変の進行を遅らせ、わずかに残った肝機能を維持するしかありません。

そのため、肝硬変にならないよう日々の食生活に気を付けたり、原因となる肝炎にかからないようにワクチン接種するなど予防に努めましょう。

肝臓がん

犬の肝臓がんは、

  • 肝臓自体にがんが発生
  • ほかの臓器からのがんが肝臓に転移

することによって起こり、通常は肝臓から他の臓器にがんが転移することはないとされています。初期症状はほとんど見られず、中期あたりから食欲不振や体重増加などの症状が現れ、更に進行して後期になると、黄疸や下痢、嘔吐、腹水などの症状が現れます。

そのため、腹水の症状が出た時点ですでに肝臓がんのステージはかなり進んでいて、最悪の場合、余命は幾ばくも無いというケースも少なくありません。

治療方法としては、外科手術による患部の切除や抗がん剤投与による化学療法、放射線療法のほか、最近では免疫細胞療法を行うことが可能となってきています。

ですが、外科手術による摘出手術を行う場合は体力が、化学療法は副作用の問題があり、放射線療法や免疫細胞療法を行える設備の整った動物病院も数が限られています。そのため、肝臓がんの進行具合と犬の年齢、体力、体質によって治療方針を決める必要があります。

肝臓がんを完全に予防することはほぼ不可能ですが、シニアにさしかかる5~6歳ごろから定期的に健康診断を行うことで、肝臓がんを初期の段階で発見し、治療することが可能です。肝臓がんだけでなく、どのがんも同じですが、発見が早ければ早いほど、予後も安定します。ご家庭の愛犬が5歳すぎたら定期的な健康診断を行うことをお勧めします。

犬の肝臓病の治療費は高額?

肝臓病の治療費は、動物病院によって異なりますが、場合によっては年間でおよそ100万円かかることもあるため、かなりの額を医療費として用いることになります。

高額医療費を全額負担するのは非常に難しい場合は、ペット医療の保険に予め入っておくと、いくらか負担してもらえるため支払う医療費も減ります。

金銭トラブルにつながらないよう、なるべくペット保険に加入し、事前に動物病院での肝臓病の治療費を下調べしておくとよいでしょう。

3.3.犬の肝臓がんが発覚した際の余命はどれくらい?

肝臓がんが発覚した場合の余命ですが、犬の肝臓がんで、末期の場合の余命は1~3年とされています。

初期段階のうちに発見し、適切な治療を受ければ予後は安定しますが、初期症状がほとんどないため健康診断以外で初期段階の肝臓がんを発見するのは、素人ではほぼ不可能です。

故に、黄疸や腹水といった目立った症状が現れるころには、もはや手遅れの状態であるといったケースは少なくないのです。

4.腹水の水を抜くのは最終手段?必要に応じて腹水除去は行われる

病院によっては、腹水に必要な栄養素があるため抜かないとったところもありますが、果たして、腹水を抜くことはよくないことなのでしょうか?

結論から先に言いますと、腹水を抜いたほうが楽であると判断すれば水を抜き、そうでなければ抜かない、といったほうが正しいようです。

腹水が溜まった場合、獣医師が取る手段としては

  • 水が溜まらないようにする
  • 溜まった水を抜く

ようにしています。水が溜まらないようにする、というのはつまり、腹水が溜まる原因を取り除くということです。その場合、血管拡張薬で血管を拡張し、血液の流れを改善し、利尿薬を用いることで、血液中の水分を減らし、血液量を減らすことでお腹に水が溜まるのを防ぎます。

溜まった水を直接針を刺して抜く手段は、血管拡張薬や利尿薬を投与しても追いつかず、薬の効果が出るまで待てない緊急の場合のみ行われます。

この手段をとる場合、痛みや出血、感染のほか、急激に腹水を除去することで、体内の水分量のバランスが崩れ、心臓に負担がかかるといったリスクもあり、あくまで緊急処置としての手段といえます。

いずれにせよ、腹水を除去したといって、原因となる病気の治療を行わなければ再びお腹に水が溜まっていきます。腹水を抜くのはあくまで対症療法であり、再発を防ぐには、根本治療を行うことが大切なのです。

5.まとめ

今回は、犬の腹水について原因と対処法についてご説明していきましたが、いかがでしたでしょうか?腹水は、重病化することで起こることも少なくありませんが、決して、腹水だからもう手遅れというわけではありません。愛犬が腹水を起こしてしまったからとあきらめるのではなく、まずは信頼できる動物病院で診察と検査を受け、適切な治療を受けましょう。

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